具体的な修正:カレンが15年前までは怪物祭に参加していたような描写がありましたが、原作では怪物祭は5年前からの開催でした。
『大樹の迷宮』での素材集めはかなりの大成果となった。これでリヴィアに卸した分と生地店で使ったお金が回収出来た。その代わり三日ほどはソロでダンジョンに潜り続ける形になったけど。特に危険な事はなかったけど、顔を見せなかったからベルが心配してないかしら? でもあの子もダンジョンに潜ってる事だから登っていくときに会うかも知れないわね。
「と、思ってきた訳だけど……」
結局、遭遇する事なく地上に出てきた。と言うかこれに関しては私の失念ね。今日は
「……探すか」
そうしよう。うん、そうしよう。あっ、なぜかダンジョンに潜ろうとしてた冒険者たちが道を開けてくれたから行きやすいわね。
========
とある喫茶店
========
「よぉー、待たせたかフレイヤ?」
「少し前に来たばかりよ、ロキ」
その少しで店中の子供らを魅了しとる癖に。アイズは……、うん大丈夫やな。同性でも魅了するのが『美の女神』フレイヤや。ちょっと心配しとったが、取り込まれる事がなくてよかったわ。まぁ『綺麗』だとか『美人』だとか、そう言った感情はあったやろうな。
「それで隣の彼女はいつ紹介してくれるのかしら?」
「そういや初対面やったな。ウチのアイズや。紹介ならこれぐらいでいいやろ。アイズ、挨拶したれ」
「……初めまして」
「可愛いわね。貴方が惚れ込むのもわかるわ」
「せやろ」
でもあげへんで。アイズたんは【
「今日はせっかく
「あら、なんの事かしら?」
想定内の回答やな。素直に自分の口から言う気はない、と。
「とぼけるなや。珍しく神の宴に顔を出すわ、さりげなくウチから情報を聞き出そうとするわ。何かを企んでると思うやろ」
「まさか、企んでないわよ」
こう返すか。どうせそれは嘘やろうが、コイツがこういった行動に出る理由は……。
「男か」
この言葉に、フレイヤは笑った。どうやら正解やな。相変わらず男癖の悪い女神やな。
「つまりどこぞのファミリアの子供を気に入ったわけか。ったくこの色ボケ女神め」
「それは心外ね。ちゃんと分別はあるわよ?」
「どの口が言うねん。で、その目に止まったのはどんなヤツや? それくらい聞いてもいいやろ」
「そうね……。強くはないわ。貴方や私のファミリアの子と比べてもまだとても頼りない。少しの事でも傷ついて簡単に泣いてしまう、そんな子。でも綺麗だった。透き通っていた。あの子は私が今まで見たこともない色をしていたわ」
ほぉ、フレイヤでも見たことのない色なぁ。
「見つけたのは本当に偶然。あの時もこんな風に……」
あん? どないした。急に話を止めて?
「ごめんなさい、急用ができたわ」
「はぁ!?」
なんや急に。言葉通り急に用が出来たのかい!
なんてツッコミが言える暇なんてなく、席から立ったフレイヤは店を出ようとする。ちょっと気に食わんな。ならウチからも一言。
「――ならカレンちゃんはウチがオトしとくけどいいんか?」
ウチがこう言うと急ぎ足だったフレイヤの足が止まり、こっちに顔を向けた。
「――いいえ、彼女は私が貰うわ」
それだけを言ってすぐに行ってしもうた。お互いが狙ってるモンへの執着を改めて伝えて。しっかしあからさまなライバル心剥き出しやったな。こりゃあウチの方でももう少しカレンちゃんを口説いとくか。そやな、フィンの背中でも叩いてやったほうがいいかもな。
「なぁ、アイズ……って、どないした? 窓の外なんて眺めて」
「……いえ」
ん~、なんか興味を引くもんがあったんか? でもこれで話も終わった事やし、フィリア祭に行くとするか!
==========
==========
――ブルッ!
今、背筋に悪寒が。まるで狙われた……ああ、ロキ神とフレイヤ神が私の争奪で宣戦布告でもした所かしら。勘弁して欲しいけど。
さて、
「……え………んって人……してるん……」
「うー……ちょ……」
あら、この声。
その声が聞こえた方に目を向ければベルとヘスティア神、そしてメガネのハーフエルフの少女がいた。最初の声はベルだったけど、次に聞こえた女性の声は彼女ね。せっかく見つけたんだし声を掛けておきましょうか。
ん? ヘスティア神がハーフエルフの彼女の前に出てきた?
「アドバイザー君、君は自分の立場を利用してベル君に色目を使ってる、なんてしてないだろうね?」
「こ、公私の区別はつけているつもりですが……」
……うん、そう言うのね。
「――なーにを言ってるんですかー、ヘスティア神?」
「うへっ!?」
急ぎ足忍び足でヘスティア神の後ろを取り、静かに両肩に手を置いて耳元で囁く。するとヘスティア神はビクリと驚いた。
「カカカカレンくんっ!」
「あっ、カレン姉さん」
「違う」
「あいたっ」
また姉さんって呼ぶベルにチョップしとく。全く、いつになったらおばさんが定着してくれるのかしら。
「貴女は?」
「初めまして。カレン・デュラスよ。ベルのおばさんみたいって思ってくれればいいわ」
「カレン・デュラス……」
ん、この反応……。私の事はギルド内じゃ聞いてるかもね。まぁ彼女からその件を聞かれない限りは言わなくていいわね。
「初めまして。ベル君のアドバイザーをさせて頂いていますエイナ・チュールと言います」
「そうかしこまらなくていいわ。――それはそれとして、ヘスティア神。彼女になーにを言ってたんですか?」
もう一度聞きつつ、震えが止まらない肩から手を離すとヘスティア神はすぐに離れた。
「特に深い意味はないんだよ! やっぱり主神として色々気を配りたいなぁ~って」
「そうですか。でも私の耳には何やら釘を刺したように聞こえましたが」
「えええっと、それは……。ベル君逃げるよ!」
「えっ、か、神様!?」
「それじゃあカレン君! またね!!」
「ああっ、ちょっと―――っ!!」
あっ、逃げた。でもまだ話は……。
「ん?」
逃げる2人の背中の、ヘスティア神が背負ってる荷物が目に入った。かなり小さめで物が入ってるようには見えなかった。大きさから大体、ナイフが1本入ってるくらい……。ああ、なるほど。
「ベルの力になってくれたのね」
しょーがない、この件と今日のデートぐらいは許してあげましょうか。
「あの……」
「ああ、ごめんなさいね。エイナちゃん、でいいかしら?」
「はい、構いません。それで貴方がベル君の叔母ということですけど……」
「見ての通り血の繋がりはないわ。でもエイナちゃんが聞きたいのはそこじゃないわね。私があの子に特別扱いしないかってことでしょ?」
「聞いてた通り、察しがよろしいですね」
「どんな話かしらね、それ」
でもエイナちゃんの懸念はわかるわね。私は一応、ウラノス神を後ろ盾にこの街にいるからギルドの一員って見方もある。そんな私が一個人を贔屓するのは中立の立場であるギルドとしては問題よね。
「その線引きはしっかりしてるつもり、とは言ってあげたいけどある程度の手助けはしたいと思ってるわ」
「そうですか」
「あら、なんだか嬉しそうね。エイナちゃんもベルの事が心配なのかしら?」
「はい。ベル君は色々と危なっかしいので」
それはわかるわね。
「ならお互いに見守りましょう。私は私で、エイナちゃんはエイナちゃんで」
「はい」
「あっ、ついでに変な虫が来てないか教えて頂戴。ベルに近づいてくる子は一度、顔を会わせたいから」
「そ、そうですか……」
あれ、エイナちゃんが引いてる。ちょっと怖い顔でもしてたかしら?
「ったく、あいつらはなにやってんだ!」
「愚痴は後だ! さっさと人を回すぞ!」
あら、何か騒がしいわね。あれは……【ガネーシャ・ファミリア】の団員かしら? なんだか慌ててるけど。
「すみません、何かあったんですか?」
騒いでる彼らにエイナちゃんが聞きに行ったわね。ギルド員として異常があれば気になるわよね。そうね、私も横から聞いてみましょう。
「ああ、西ゲートにいた何人か腰を抜かしてへたり込んだようにぶっ倒れたらしい。あそこはモンスターの監視が必要だからな。何人かこっちから代わりを出すところだ」
「西ゲート……」
彼らの話を聞いた途端、エイナちゃんの顔に緊張の色が出てきた。これは、胸騒ぎがすると言う類の顔だ。
それにしても……。
「腰を抜かしたように、ね」
その胸騒ぎ、あながち間違いじゃないわね。おそらく、あの女神が動いてる。これはちょっと行って見たほうがいいわね。
Q:カレンさん、貴女がベル君の周りにいる女の子を見定めたい理由は?
A:ほら、ベルってお祖父さんの影響でハーレム願望があるでしょ? でもその割には初心で無垢なんて矛盾を抱えてる。でも結果として「純粋な少年が少女の為に動ける」形にもなる。あの子、絶対にモテると思うのよ。
だから変な虫がつかないか心配なのよ。だから私が目を光らせないと。
Q:現在の所、表立って目を光らせたのはヘスティア様ですよね? 彼女についてはどう思います?
A:変なのにお金を使ってそう。それも多額で。
Q:じゃあベル君が憧れてるアイズさんについては?
A:彼女は一度、目を合わせただけだからここで返事は出せないわ。ただ彼女がベルの目標になってるから、ヘスティア神より好感が持てるわね。あっ、だからってOKを出させたいなら私に認められなきゃね。