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セオロの密林
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ムワァ……
「!!?!!??! ゲホッ! ゴホッ!」
「おはよう弟。これマジックポーション」
大地の隆起と陥没が起きたこの場所で不自然に平坦な地面を残したここ、魔法を発動した中心地で倒れていたアーシンに気付薬を嗅がせたあと、開封済みのマジックポーションを差し出す。
「……ぷはっ。スッキリする味で良かった」
「いきなり強力な奴をあげる訳ないでしょう。それよりもアーシン」
「……ごめん姉さん。母さんが相手でも顔を言われると抑えられなかった」
「はい受け入れます。ちゃんと妹にも謝るのよ」
「ああ。――そのイベルグが母さんを足止めしてるんだな?」
「そ。すぐに行く―――と言いたいけどその前に即興で連携を決めるわよ」
「わかった」
返事は即答。この切り替えの速さはありがたいけど、躊躇いがないも取れる。これが悪い方向に向かわなきゃいいけど。
なんて、これは後。急いで妹の加勢をしなきゃね。
ダメかも知れない。
気合い入れて1人でお母さんに向かったけどやっぱり強い。身体、技術、武器。それらが私の上。幸いなのが私の実力を出して見るための戦い方をしている事。その境目が私の全力を出し続ける事がギリギリのライン。これ、追い詰められかも。ううん、岩陰に隠れてる時点で追い詰められてる。
「ん~」
母さんは気楽そうだ。あの槍もきっとスゴい奴。多分、あの人の為に作った武器の筈だ。私のツヴァイヘンダー・マルミアは頑丈さに定評があるけど打ち合う自信がない。壊れる自信があるから防御は避けて、でもやっぱり無理だから隠れた。
「でもここで」
それでも前へ。辛くても一歩を。遠くても食らいつく。
「やるって決めて来た」
お姉やお兄がいれば「いまいち気迫がない」と返される声で隠れるのを止めた。岩陰から飛び出したから。
「おっ」
私に気付いたお母さんは槍を構え直す。でも両手でも扱う槍だろうに、片手しか使わってない。まぁ両手で使ってるなら、私は絶対勝てないけど。
「改めて」
「ええ、来なさい」
真っ向勝負。一番分が悪くて一番の最善。
お互いの間合い。両手剣と槍は、槍が広い。その間合い内に一歩、入り込んだと同時に身を屈める。すると頭上に冷や汗が流れるような風を感じた。正体はわかりきっているから私は攻撃に転じる。
身を屈めてより振り回しが難しくなったマルミアの剣先を地面に突き刺して慣性の法則? で立ち上がる。その勢いのまま、マルミアを軸に回転して蹴りを放つ。
「おっと」
お母さんはそれを器用に、不安定な体勢になって躱す。その体勢は槍を振った腕が体の内にあり、そしてさっきの私と逆で仰け反る体勢だった。
ほとんど感覚頼りだった。軸にしたマルミアを固定し、狙い曖昧のままだけとこの距離なら当たると蹴りを落とす。
当たった感触は、なんだかバネの様な感触だった。目を凝らすと私の足はお母さんの槍の石突辺りで受け止められていた。お母さんは仰け反った体勢で、槍を持った手も片手のままで。
「うそん」
「マジよん」
思わず本音が漏れるとお母さんが笑顔と一緒に返事をしてくれた。と思ったら蹴りを落とした足が絡まり、関節が曲がらない方向に引っ張られて思わず剣から手を離した。
「武器は離しても体勢は崩しちゃダメよ。出ないと、―――命を危機にさらす」
教えるような声が鋭く冷たい物になると体が真上に浮く。私が空を飛ぶ竜人だけどここまで体勢が不格好だとすぐに整えられない。それでもお母さんの方に顔を向けると、良い笑顔で槍を構えて――。
「下っ!!」
お姉の声が聞こえた。だから強引にも下へ移動……。今の体勢からの下で良かったよね?
「天然素直でよろしい!!」
「寧ろ心配だけどな!!」
お兄の声が一緒に聞こえたと同時にお母さんの周りから白い煙が立ち上がり、手放したマルミアが飛んでくる。きっと白い煙はお姉で剣はお兄の仕業だ。
「そして
重くなる。お兄が重くなるって言っているから、うん、わかった。飛んでくる剣を、逆さまで受け取る。お姉特性の篭手は防刃仕様で問題なし。
「【地の章。重力の節。回りて引く力、回りて斥ける力。この地の法則を我が意のままに狂わせ、見えぬ触れぬ力をここに閉めさん。グラヴィティ・コア】!!」
お兄の魔法が私とお母さんを覆う。体に数倍の重さを感じると力の限り柄をお母さんに振り下ろした。
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ダンジョン・第9階層
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「せぇえええやぁあああっ!!!」
遠目から、ベル・クラネルの大剣がミノタウロスの肉を斬る。ナイフでは通じないと奪い取った、所でしょう。しかしミノタウロスのネイチャーウェポンは石斧の筈。そしてどうも見覚えのある大剣ですね。
しかし見に来た私以外にこの戦いを見る方々がいますね。真剣に見ているので声を掛けるのは憚れますが、無言で並ぶのも失礼でしょうか。
「横、失礼します」
「え?」
「あ、貴女」
「目を逸らさないほうが良いのでは?」
私に気付いて何人かはこっちを見ましたが、この指摘でベル・クラネルの戦いに戻す。しかし、放置する訳でもないようですね。
「どうしてここに? カレンは一緒?」
「残念ですがカレンは別件でいません。故にこちらは私に任せて下さいましたが、その
「……戦ったの?」
「話でしたら後がよろしいかと。聞けば目の前の戦いに集中できませんでしょうから」
「………わかった」
目の前の戦いに注目しながらの会話。しかし目の前の
ああ、懐かしいことを思い出しました。
『カレン、貴女は冒険者をどのような存在と思っていますか?』
かつて私はカレンにそう問いました。まだ起動したばかりの私には情報が必要でした。そんな
そしてカレンはあの問いにこう答えました。
『私の意見だけど、『持たざる者』かしらね』
聞いた時は初めて『首を傾げる』という動作の思考を得たと改めて思います。そんな私の、私すら理解出来なかった思考を察してかカレンはその理由を語ってくれました。
冒険者の街、オラリオには全てがある。富も名声も強さも、手に入らないものなんてない夢が詰まった場所だと。故にその場所に集まる者たちは、冒険者になる者たちはオラリオでなければ得られない物を求めてくる。言い方を変えれば、
――弱さに絶望して強さを求める者。アイズ・ヴァレンシュタインとベート・ローガを見た。
――輝かん光を見てここにきた者。ヒリュテ姉妹、ティオネとティオナを見た。
――夢を見て実現させようとする者。リヴェリア・リヨス・アールヴと、フィン・ディナムを見た。
――その全てを抱く者。ベル・クラネルを見た。
彼は冒険者となり、彼女らは冒険者。かつてのカレンの肩書きであり、今もなお彼女の根底にある存在。彼女が選んだ、彼女の偶像。
「……
もし彼がこの試練を越えたなら、私も始めましょう。さぁ、ミノタウロスは渾身の一撃を放つ体勢へ。ベルも迎え撃つために大剣を構えます。あぁ、ここまでの成長を見せる彼は本当に輝いています。
さてカレン、貴女の方は子供達の成長を実感していますか?
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セオロの密林
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「―――っはは」
ピシリ、と。
三人が即興で組み合わせたこの一撃は体に確かな重さを与えた。地に着けた両足は沈み、体は痺れ、骨が僅かに軋んだ。とは言え、私だから五体が残っている訳だけど。Lv.3までだったら確実に両足の骨が折れてたでしょう。
「……お母さん、嬉しい?」
「ええ、あなた達の成長が嬉しくてね」
真上からよく知るイベルグの声に返事をした。それにしてもこっちは数倍の重さを感じてるのにこの子は平気だ。なるほど、
「じゃ、行くよ」
そう言ってイベルグは刃を握ったまま振り上げ、もう一撃振り落とした。
「んんっ」
流石に一撃目と違い、落下した分がない事でさっきより弱かった。それでも重い一撃で両足は再び沈む。
「十分!」
「下がれイベルグ!」
エルシュウとアーシンの声が聞こえる。たださっきとは違い、別々の場所だ。すぐ視界に捉えようとして見付け、気付く。視界の死角じゃなかったけど、対応できる範囲外に二人がいた事を。
「【空の章。歪曲の節。進めば右往左往に。進めば上昇下降に。進行法則は乱れ、曲がり曲がる道筋に迷え。ストレイ・プリズン】!」
「毎分1200発! MG42の二丁お待ち!!」
アーシンの魔法詠唱の直後、エルシュウの銃声が鳴り響く。魔法らしき囲いが私を捕まえ、連射する銃弾はそれをすり抜けて入ってくる。でも銃が重いのか足場は固定している。
魔法の壁をすり抜けた銃弾は変わった様子はなく、でもすぐに射線上から体を離す。エルシュウは外れたにも関わらず撃ち続けながら射線を変えていく。無関係の方向へ。
「おっ」
思わずその射線上を目で追い、
「―――っ!」
銃弾の速度は矢より速い上に、弓以上の連射をする。それが四方八方から放たれるのは恐らくこの魔法の効果。
ここまでの分析を回避と防御で出来た。その間に擦った傷と、命中したのが数発。ステイタスの高さと竜人の種族特性の鱗でいくつかの命中は外れたからまだ窮地には陥っていない。とは言え流石にこのままじゃ私でも危険だ。
怪我を最小限に受けつつ対処を瞬時に判断する。その材料はアーシンの魔法。いまだ銃を撃ち続けるエルシュウ。その二人の意識の外にイベルグが控えている。逃げたとしても二手、三手は間違いなく用意してる。なら、やる事は一つ。
「せい……っ、やぁっ!!」
その場か動かず、槍を地面に叩き付けた。
――――ドォオオンッ!!
槍で叩いたとは思えない程の音と衝撃が地面に広がる。その震動が魔法を砕き、風圧が銃弾を押しのける。そして――。
「【空の章。縛の節。連鎖の項。ここに我の行いを打ち破りし者あり。しかして逃がすな。逃亡者を許すな。残骸よ、今再び彼の者を捕えよ。アン・ブレイク・チェイン】!!」
アーシンの魔法と同時、イベルグの大剣が私の足下に突き刺さった。次の判断を考え、実行するよりも先に、
砕いた魔法が再構築されて鎖のようになり、私と武器、そしてイベルグの大剣を捕える。鎖はパズルのように複雑に絡み合い、力業では時間は掛かる。いや、大剣をも捕えている時点でそれは無理だ。解くには魔法が解除されるか、まさにパズルのように解くか。
「……ま、この隙を逃すわけ無いか」
その判断と行動を阻むようにいくつもの鉄の塊が転がる。そして視界の隅、イベルグがエルシュウとアーシンを
つまり、この鉄の塊は爆弾――――――。
バァァアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!
・エルシュウ印のお薬
彼女が調合する薬は基本、戦闘中を踏まえて極端な効力を持つ。具体的には五感の関する者は二の次。味が悪ければ臭いがキツい物も。最もそれは気付薬に使っている。
・ツヴァイヘンダー『マルミア』
イベルグの愛剣。旅の最中、ドワーフの国の偏屈な鍛冶職人に鍛えて貰った。ある属性を付加されているが、普通なら武器に付ける属性ではない。
(※名前の由来はヘラクレスが帯剣・マルミアドワーズ)
・ベル・クラネルの戦い
それは美しかった。それは輝いていた。無名で未熟で、何の才能も強みない、カレンが影ながらサポートしたくなるような、弱い少年ではなかった。
夢を、理想を追い掛ける冒険者。穢れなき真っ白な想いが燃えていた。その光景に、華も自分の未来を定める。
・最後の爆弾
種類は
・ドラゴネット3姉兄妹(3/3・妹)
名前 イベルグ・ドラゴネット
種族
所属 無所属
職業 旅人
職業 旅人
【ステイタス】
Lv.3
力E418 耐久C641 器用B781 敏捷D568 魔力A845
発展アビリティ
精癒:E 武術:H
魔法
【 】
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・
詠唱式
【
】
スキル
【 】
・
【 】
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・
・
カレン・デュラスの第三子で次女。前衛で壁役。バトルスタイルは大剣でありながら多彩な扱いが可能なツヴァイヘンダー。時には剣先を握り戦法の幅を広げるために篭手は外せないが、素手でも躊躇わない肝の据わり方をしているので一番危なっかしい末っ子。彼女の本質として『死中に活』なので自己犠牲のきらいが強い。そのせいで姉兄はフォローに気を配らないとダメだが、逆に彼女が前を行くからついて行ける面もある。戦闘では最もリーダーに向いているのは彼女かも知れない。
日常では天然だがのんびり屋だか、ふわふわしてつかみ所が無い。しかし家族は深く愛しているので話はよく聞きよく返す。人と付き合う上で最上の素質であり、性格もあいまって一番の愛されキャラ。なので姉兄から大切にされている。カレンも信頼と心配が同居する感情を抱いており、母子としても理想とも言える。
追記:外見プロフィール
見た目は姉と同様でカレンの生き写しだが母と姉と違うのはシニオンヘアーと巨乳ぐらい。なのに身体的に腰回りが細い女性の理想体型。服装のイメージは『修道騎士』。鎧とローブを合わせている、一見して動きづらそうな物だが曰く『イベルグはこれが一番』らしい。とは言え異世界仕様なので機動性と防御性はしっかりしている。
ルートを選んでください。
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カレンの正体を知る『語り』
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子供たちが原作と関わる『若竜の物語』