2話でUA500♪
それは熱病のように俺を動かす。
『貴方は逃げて!』
ズキズキと頭を最悩ませる痛み。
この世の何処へ逃げよというのか。
「今日は何書いてるのさァ?」
「だ~か~らっ、人様の日記帳を堂々と覗き込むナ!」
青年と・・・あれは刀剣か。
「まぁまぁ、アタシと主は特別な仲じゃないか。」
「激しく語弊と誤解を呼びそうだな。」
笑い合う主従の声が更なる痛みを叫ぶ。
「いやさ、歴史を変えようとする奴等を倒して、歴史を修正していくのは目的なわけだろう?」
「・・・・・・ソレ、今更言うの?主、ボケた?」
「ボケてない!話を最後まで聞け!で、何が言いたいかってつーと、誰が本来あったはずの"正しい歴史"と改竄された"間違った歴史"を判別するんだ?もしくは、どうやって変えられようとしている歴史を察知する?」
『この構図って本当に"正しい"のかしら?』
審神者であろう彼の発言に、己の身の内で警鐘が響く。
「余計な考えは戦いの邪魔になるんだろうけど・・・歴史が現在の時点で改竄される事を含めて、正しいと認識されるとか・・・でも、そもそもその考えでいくと、俺達の戦いの"勝敗自体"が・・・ん?」
その先を言わせない、聞きたくがない為に。
きっとそうなのだろう・・・その為だけに俺は彼等の前に姿を現す。
「アンタ、誰?」
不躾とも、不遜ともとれるその声がと姿だが、不思議と嫌悪感はない。
どことなく懐かしくもある。
彼女と似ているからであろうか?
『むねちー、また眉間にシワ寄ってるよ?スマイルスマイル。』
彼女?
彼女とは一体誰の事だ?
「俺か・・・俺の名は三日月宗近。」
「みかづき・・・確か、鶴りんの兄貴の?」
鶴・・・りん?
「鶴りんて呼ぶと、またキレられるよぉ?この前、取っ組み合いの喧嘩になりかけたのに、主は懲りないねェ。鶴りんの刀匠が三日月宗近の弟子だっただけで、刀剣の兄弟ってのは、普通同じ刀匠が打ったものを言うんだヨ。」
「おぉっ、あのぽこぽこいる半ズボン藤四郎軍団か。て、オマエも鶴りん呼んでんじゃねぇか。」
ぽむと手を打つ青年に傍らにいる大太刀・・・彼は次郎太刀だったか、が苦笑する。
「主は仇名をつけないと覚えられないのかい?」
『おぉっ、骨喰ではないか、懐かしい!』
「三日月宗近って言えば、天下五剣とも謳われる・・・。」
「お?どした?調子が悪いのか?こっちで座って茶でも飲んで休んで行けよ。」
「はァ・・・我が主ながら、器がデカいのか、ブッ飛んでるというのか・・・。」
青年の勧めるまま、彼等の横に座す。
これまた不思議な感覚だ。
「天下五剣というより、ただのじじぃだな。」
何より自分で欲したものでもないのだが・・・。
「俺の名は直だ。まぁ、天下五剣の凄さは良く解らん。解らんが、だが、しかし、だがしかし、俺が最近会う刀剣、皆変なヤツばっかりじゃないか?」
「はいよ、お茶。」
「どうも。」
大太刀が煎れた湯呑を受け取ると、何故だか笑みがこぼれる。
「・・・酒、入れてないよな?」
「同じ悪戯は3回以上はしっませぇーん。」
「2回はするのかよ。」
妙な既視感はあれど、嫌な気はしない。
それに何故だか、彼の横は・・・。
「全く。出だしがおネェの大太刀に、洗濯が大変そうで漂白剤に漬け込みたくなる純白鶴りんに、緑ジャージ。で、今度は自称じじぃ。自分の相方じゃないとはいえ、オマエ等本当に刀剣かよ。」
鶴りんというのは、先程の会話からして鶴丸國永の事であろう。
緑ジャージ・・・とは?
緑と言えば、石切丸と鶯丸が浮かぶが・・・あれらは少なくともジャージとやらではないな。
となると・・・。
「御手杵・・・の事かの?」
「あぁ、そう、そんなん。何かローマ帝国史の皇帝に出てきそうな。」
「何よ、ソレ?」
「そんな感じじゃね?オテギヌウスⅡ世とかって。」
よくは解らぬが、意外性のある若者とだけ評しておくべきか・・・。
「何でⅡ世なのか?」
思わず横槍を入れてしまった。
「突っ込むトコロはソコ?」
いやはや、次郎太刀に俺まで呆れた目で見られてしまったな。
「いやぁ、意外と面白いな、流石、天下五剣。」
「面白さで頂く号ではないのだが・・・。」
「あ、そうだ!お近づきの印にコレやるよ。この前の戦の報奨とやらで、黒ゴンに2個貰ったんだけどさ。ウチ、刀剣はジロたんしかいないから、1個どうぞ。ジロたんにも。」
無造作に手に何かを押し付けられる。
『はい、コレ。貴方にアゲる。』
「あらァ~、主からの贈り物なんて、アタシってば愛されてるぅ。」
「ハイハイ、アイシテマスヨー。」
「これを?頂いても?」
手に押し付けられたのは、小さなお守り。
「うん。何でも敵からの攻撃を軽減する呪符が入ってんだと。眉ツバもんだけど、無いよりマシだろ?気休め的に。」
「もぅっ、身も蓋もありゃじない。こういうのは気持ちの問題なの!」
「そんなムキにならんでも・・・あ、今度また貰ったら藤四郎軍団にでもやるか。アイツ等、なんとなく体力低そうだし。」
『短刀なんざ、幾らでも代えはいらぁな。勿体ねぇ。』
途端にジクジクと心の臓の奥から沁み出て来るようで、思わず掌の"お守り"を握り締める。
そうだ、人間は"天下五剣"の名だけで、俺を見る生き物だとしか思ってなかった。
愚かで、哀れな・・・。
『天下五剣でも三日月宗近でもなく、私にとってはむねちーなの!』
それはもう遥かに遠くて・・・。
「おぃ!」
ぎゅっと誰かが腕を掴む。
その感触に、微かな音に、はっとなる・・・彼の、左腕か・・・?
「何だよ、"むねちー"?まさか、アンタもジロたんと同じで愛されてるぅ~とか思っちゃったりしてる?」
そう・・・その感触は・・・懐かしくて・・・そして遅過ぎた・・・。
「いや、そなたのような審神者に逢えて良かったと、な。」
出逢うのが・・・余りにも・・・・・・遅過ぎたのだ・・・。
く、口調が良くわからんようになってきた・・・。
あ、2016年の手帳をむねちーにしようか悩んでます(謎)