世界が君を砕いても・・・。   作:鵜飼 ひよこ。

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よしっ、どんどん読み手が少なくなっていくゼ( ノ゚Д゚)!


第6輪:想いの宿る先。

 あれから、今も俺達は戦い続けている。

そうだと気づいてしまったから・・・最初から俺には選択肢なんて無かったわけだし。

ただ、戦う確固たる理由が出来た。

 

「検非違使・・・検非違使のぉ。」

 

 俺の目の前に腰掛けた老審神者が笑う。

検非違使とは最近戦場に現れ始めた軍勢の事だ。

俺達だけなく、その攻撃の対象と被害は相手にも及んでいる。

 

「どちらの側にも属さないなんて、天邪鬼だね。」

 

 彼の相棒、【加州 清光】は呆れて肩を竦める。

 

「歴史を修正するのも、それを正すのも、どちらも歴史を変える事には変わりはしないって事なんだろうさ。」

 

 何処かで聞いたような台詞が自分の口から出て、俺も苦笑するしかない。

 

「変えるって言ったって、こっちは元に戻してるだけなんだけれど?全然、意味が違うじゃないか。キミ、馬鹿なのか?」

 

 俺に対しての清光の吐く暴言に、彼の主がその左腕を掴んでひねり上げる。

 

「いやぁ、すまんの。こんなヤツで。」

 

「いえ。」

 

 全く表情すら変えずに、ギリギリと関節をキメてる様が逆に怖い。

 

「わかっ、解ったから、あ、主、手をっ?!」

 

 当の清光クンは涙目ですが・・・。

 

「お前さんのが天邪鬼じゃ。」

 

 孫にでも接するかのように俺達に微笑む。

微笑むのはいいですが、手を離してからにしてあげてください。

やっぱアンタのが検非違使より怖ぇよ。

 

「俺は・・・アレは一種の歴史の自浄作用なんじゃないかって思う時があるんです。」

 

 最近になって仲良くなった老審神者は、白くなった長い顎鬚を撫でさする。

 

「成程。幾度となく修正され、歪み定まらぬ歴史分岐を強制的に集束させている、と。」

 

 終息でなく集束。

この言葉に未来の分岐に関しての思想が歴史の修正に関する一定のスタンスが解る。

 

「結局、争いの内容がどうであれ、未来、俺達からしたら現在ですが、常に不安定って事ですから。」

 

 そう考えるとアレの無差別攻撃の理屈も説明出来ない事もないんだが・・・。

断言するには、些か根拠や証拠が少ない。

 

「かと言うてもあの成りじゃとのぉ。」

 

「それこそ歴史の変化させる者達の模倣なんでしょう。」

 

「で、敵と同じ姿なのか。悪趣味だね。」

 

 ようやく解放された自分の腕をさすりながら清光が言う。

彼には悪いが、俺達は敵の姿のワケを知っている、知ってしまった。

 

「案外、向こうには検非違使が俺達の姿に見えているのかも知れませんよ?」

 

 根源的なモノは同じ。

時の流れに、存在に関する強い想いも。

果たして、刀剣の姿としてどちらが正しいのか。

以前、ジロたんが器物である自分の想いの宿る先は何処なのだろかと言っていたのを思い出す・・・。

 

「視る側の主観によるという事か。まるで"胡蝶の夢"のようじゃの。」

 

「夢だったらいいんですけどね。」

 

 そうすれば、何もかも夢で済ませて笑い話に出来るんだがなぁ。

俺は清光と同じ左腕をさすりながら溜め息をつく。

 

「ん?左腕をどうかしたのか?」

 

「いや、何か最近、時々痺れるというか、重いっていうか・・・。」

 

 それでもすぐ治まるのだけれど。

 

「古傷かの?まぁ、かくいうワシも時々・・・。」

 

「それはトシだね。あだっ、あだだだだっ!」

 

 ・・・口は災いの元って知ってるか?

 

「ワシも・・・時々思うのじゃよ。」

 

「?」

 

「果たして、この戦いはワシ等の代で終わるのかと・・・。覆水、盆に返らずという言葉があるようにな、盆に返せるとすれば誰もが戻したいと思うのも解る。じゃが、終わりがあるからこそ、戻せないからこそ、生きるという事に希望が持てる。子の代に示せるのかと、な。」

 

 今、戦っている者は、果たして総じて"同じ目的の為"に過去を変えようとしているのか?

 

「今の戦いが終わっても、第二、第三が待っている・・・と?」

 

 過去の改変とはそれ程に甘美な蜜。

 

「でなければ、世界大戦なんてもんは起こらなかったじゃろうよ。」

 

「まぁ、確かに・・・。」

 

 過去の大戦で失われた命の灯に比べれば、この戦いはクリーンな戦争に見えるかもな。

俺は目の前の刀剣を眺めながら、曖昧な返事をする。

 

「なぁ、"直"、もしワシの身がこの先・・・。」 「嫌ですよ、絶対嫌です。」

 

 その先を言わせる事なく、言葉を被せる。

本当、心底うんざりするよ、そんなの。

 

「第一、そこの"天邪鬼君"が、あなた以外の主を認めるわけがない。」

 

 誰が何を言おうと、俺は断言する。

刀剣にだって、器物にだろうとも、"想い"はある。

俺達の言葉に清光が眉をしかめているように。

 

「それに、俺はには今日、新しい"仲間"が来るもんで。」

 

「・・・そうか。ならば、こんな所におらんで早よう行ってやれ。」

 

 

 

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