芽吹く闇。育つのは・・・   作:夢持ち少年

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始まりの芽、芽吹くは闇。

 なんなんだよ。俺は目の前で寝っ転がって鼻ほじってるお爺さんを見てそう思った。

 いや、混乱してるぞ? 真っ黒な空間に突然白い服を着たお爺さんが出てきたと思ったら はぁ、と俺の顔を見た途端溜息吐いてその場に寝そべったんだからな。

 

「そういう訳で、君には転生してもらう」

「どういう訳だよ・・・」

 

 主語を言えよ、主語を。あ、おい。めんどくさそうな顔してんじゃねえよ。此方は現状に頭が付いてきてなくて既に考えを放棄してるんだからな?

 

「あ、そうじゃった。おぬしにも特典をやらなくてはならんのだが、どうせおぬしも『チートな特典欲しい』とか『ハーレム作るからなでポくれ』とか言うんじゃろう? ああ、つまらん。つまらぬわおぬしらは。もう何回目じゃよ・・・もうよいわ、こちらで勝手に決めさせてもらうからの・・・もうクジで決めてしまうか」

「いや、だからなんのこ tーー」

「よし、終わったぞ。サッサと転生させてやるから駄々なんぞ捏ねるんじゃないぞ? そんじゃあの。どんな人生になってもわしは責任を取らんからな・・・はぁ」

 

 

 イヤ、マジデ ナニ コノ ジジイ。

 ろくに話も聞かないで何自己解決して溜息はいてんだよ。ああ、クソッ。 スガンッ と急に酷く痛くなる頭を抱えながら、憎々しくお爺さーーいや、ジジイでいいやーーを睨みつけた所で、俺の意識は途絶えた。

 

 クソッ、何がしたかったんだよこのジジイィ・・・てか、誰だよッ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界に産まれなおして早10年。俺は前世の記憶なんてものは無く、ただ『転生した』という事だけ何となく分かるだけである。当然名前など思い出せないし、どんな生活をしていたのか や 何歳だったのか なども『一切』覚えていない。そもそも、そういうことが分かったのも数年前の俺の誕生日で一人寂しく玄関の外で蹲っていた時にひどい頭痛がした時だったしな。てか、『転生』ってなんの事だよ。此方はなんも覚えていないんだぞ!? ・・・はぁ・・・何も聞くな。後でちゃんと説明をするから。

 

 さて、この世は優れている者だけが上に上がることが出来て、その近くにいる普通の者は、遠くにいる普通の者より下へ強制的に下げられる。また、普通より劣っている者だと何時しか『人』と扱われることはなくなるものだと、俺はそう認識した。

 現に俺はこの世界での一つ上の実の兄達にボコボコと力いっぱい殴る蹴るを受けているからな。その口から発せられるものは『ゴミ』や『クズ』などの罵倒ばかり。それと時々、『お前は転生者なんだろ!?』とか『お前なんか原作に出てこないだろうが!』とか『お前も何か特典貰ってるんだろう!』とか『俺らのハーレム要員をこれ以上減らしてたまるか!』とか、まあ他にも言われるんだけど・・・だから、転生者や原作とか特典ってなんの事なんだよ・・・。

 

 一応、俺には家族がいる。構成は年が離れた姉が1人、一つ上の兄が2人である。俺はその末っ子。兄達はさっき言ったとおりである。ただし、兄達は確か天才と呼ばれる分類で、周りから神童などと呼ばれている。変わって姉は、とにかく優秀でいつも凛としている。また兄達が俺にしている暴力の事は知らないし、俺が暴力で怪我をしても兄達が自分達に都合がいいように手を回してくれるお陰で毎日ではないが叱られている。最近では周りから姉達の汚点とか言われているし、姉もそれが何でか気に入らないからなのか俺を見る目つきが変わってきた。主に『失望』。俺は元々頭は良くない。一つを見てすぐに出来るわけが無い。ましてや兄達のように『一を見て十を知る天才』などでは無いし、姉のように強い訳でもない。もう既に姉達は俺を家族とは見てないのではないのか。と感じる事はあるが俺自身としてはとても怖い。一人になるのは怖い。それ以上に信じていたモノが偽物だったなんて思いたくなかった。

 

 俺は今日、兄達と一緒に姉が出るとある大会の試合を見に外国来ていた。姉は順調に勝ち進んでいき次で決勝。俺はそれが始まる前にトイレに行って戻ろうとした時に何かを嗅がされ、気を失った。気が付けば手足は椅子に縛られ、倉庫のようなところの中心に座らされていた。状況が読み込めず、周りを見回すと黒服を着た体躯がガッチリとした男数人がニヤニヤと気持ち悪い顔でコチラを見ていた。

 

 俺は誘拐されたのか・・・

 

 誘拐されたのはいくら馬鹿なやつでもこの状況だと分かることだ。

 何やら先程何処かに電話していたリーダーと思われる男がカタカタと少し震える俺に何処かに気分が良くなったのか今の状況を俺に話した。目的は姉の決勝戦の棄権と引渡しで兄達も誘拐され、アチラは二人一緒のところにいるらしい。引渡しはどちらかが姉に助けられ残った方がコイツらの取引先に引き渡すという事らしい。

 

 

「ギャハハハハッ!! 残念だったなァ糞餓鬼ィ・・・お前のオネーチャンはお前を切り捨てたみたいだぜェ?」

 

 

 薄暗くとても広い倉庫のようなこの場所に男の声が響きわたる。この世界はとことん俺を陥れたいようだ。

 

 

「此処は、向こうの方より会場に近い所にあるんだが、あろう事かお前のオネーチャンは遠い方のお前の兄貴達を助けに行ったようだぜぇ。アハハハハハ!! やっぱり噂は本当だったとはなァ・・・姉の一番下の弟は既に見放されているだったか? ブハハハハッ!!」

 

 

・・・おれは・・・見捨てられ、た・・・・・・ああ、やっぱり俺は貴方達とは家族ですら無かったのか。それなら、すべてに納得が、いく・・・・・・もしかしたら初めからだったのかも知れない・・・・・・クソックソクソクソクソクソクソクソクソクソクソッ!!! 信じていたモノが全て間違っていた。そんなの理不尽じゃねえか!! ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!!! 憎いッ! 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いッ! アイツらが憎い、目の前で全部をぶち壊しやがったコイツらが憎い、世界が憎い、そして・・・ずっと梱も無く信じていた馬鹿な自分が憎い!!!

 

ーーナラ、コワソウヨ...ワタシガアナタニソレガデキルチカラヲアタエテアゲルカラ...キミガニクンダコノセカイヲ...アノヒトタチヲ...キミジシンモ...ダレモキミヲトメラレナイ...サア、ワタシトイッショニ......コワソウネ...ーー

 

 次の瞬間俺の視界は赤く染まり意識を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 次に気がついた時、俺は倉庫のようなところの中心に立っていた。周りは真っ赤に染まり俺の両手も顔も赤に染まっていた。しかし、俺の視界にはそれらすべてが色が落ちてモノクロに見えた。

 

 

 これが俺である『織斑秋也(おりむらあきや)』にとって初めての人を殺すということだった。そんな中でも俺は何も思うことは無かった。

 

 









息抜き息抜き。
これ大事。(´・ω・`)
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