『終わりにしよう』
何度も喉まで出かかっては、ひん飲んだ言葉。
「今日会える?」
恋人から電話で言われた言葉。
告白してきたのは、意外にも銀時からで。最初は、飲み仲間。顔見知り程度。たまに見せる笑顔に俺は惹かれていった。お互いに両想いと知りそのまま体を重ねた。
けど、最近彼奴の態度がおかしい。急によそよそしくなった。飲みに誘っても断られ、家に行っても居留守を使われる。その癖、金がいるときには俺のとこにやってくる。俺は、コイビトジャナイノカ?
待ち合わせ場所に行き、姿を見ると言えなくなる。
お前が俺の好きな笑顔で手を振ってるから。
「ごめん。仕事忙しかった?」
謝るんなら呼ばないで欲しい。どうせまた、金だろ?そう思いながらも会いに来てしまう。こいつの事が好きだから。
「別に、ちょうど終わった所だし。いつもの店か?」
俺が無愛想に言うと“副長だもんね”と返してきた。その言葉の後には、“金持ってきてるよね”とかだろ?言いそうになる口を押さえ言いだした。
不意に、銀時が手を繋いできた。いつも嫌がるのに……この感触を忘れたくなくて思わず手に力が入る。
「痛いんだけど………手」
あからさまに、睨んでる。これ以上は危ないか。しぶしぶ手を離すと、今度は腕を掴んできた。
なんだ?今日のこいつはおかしい。この半年間1度だって手なんて繋いだことがないのに……………。
今までより、多い金額を要求されるのか?俺の全財産を奪い取って後はゴミ箱にポイってか?
こいつの考えてることがわかんない。昔はこんなことなかったんだけどなぁ。
そんなこと考えている間に、目的地に着いたみたいだった。頭の上にハテナが並ぶ。だって、ここって……。
「えへへ。1度来てみたかったんだよね。お前に頼んでも連れてきてくれそうになかったから、お前とこの局長さんに頼んでさ。けど、あいつ知らなかったみたいで。調べてくれたんだ。お前には内緒で。」
「なんで…なんでそんなことするんだよ。勝手に調べてんじゃねぇ。」
自分でも、驚くくらいの低い声が出た。
「トシ?怒ってるの?」
なんでこんなことするんだよ。俺への当て付けか?だって、ここは秘密の場所だから。
「帰る。」
未だに俺の腕にしがみついてる銀時を俺は振り払った。これでやっと言えるのかもしれない。あの言葉を……。
「もう…」
言いかけてオレハマタコトバヲノンダ。
目の前にいる恋人が、目に大粒の涙を溜め声を出さずに泣いていたから…。
なんで、泣くんだよ。俺はお前にそんな顔してほしくないのに。
俺は、何も言えなくなった。
続くかも