城下町のダンデライオンー櫻田家の次男は変人?ー《凍結中》 作:ションタ
プロローグ
––––––櫻田家。
それ程珍しい苗字ではないが、櫻田家は普通の家庭とは違い、特殊なところがある。
まず、櫻田家は家族全員を合わせて12人の大家族。父の総一郎と母の五月。そして10人の子供達––––上から葵、修、奏、幸、茜、岬、遥、光、輝、栞の四男六女で構成されている。
ここまで聞くとただの大家族だが、実は違う。
一つは、櫻田家の大黒柱である櫻田 総一郎はこの国を統べる王様––––つまり、櫻田家はこの国の王家の一族ということになる。
そしてもう一つ。王族である櫻田家の兄弟姉妹達には全員、特殊能力が備わっている。能力は1人一つ、皆それぞれ違うものを持っている。
以上の二つが、櫻田家が普通の家庭とは違う、特殊なところ。だがそれ以外を除いけば、彼らは一般人とさほど変わらない普通の生活を送っている。
––––––これはそんな家族のお話。
–––––––*–––––––
「幸ちゃん朝だよ! 起きて!」
ぐうすか眠っている少年の体を揺らし、起こそうとしている少女––––彼女の名前は櫻田 茜。櫻田家の三女で、高校生になってまだ日が浅い、花をも恥じらう15歳の女の子だ。
「んァ……んだよ母さん……。今日は日曜日だぜェ……。もう少し寝かせてくれよォ……」
「私はお母さんじゃないよ!? それに今日は月曜日だし! ほら、そんなこと言ってないで早く起きてよ!!」
茜に起こされている少年––––彼の名前は櫻田
こんななりだが、一応この物語の主人公でもある。
幸は目をゴシゴシこすりながら、横たわっていた体を起こす。茜は幸が起きると、やっと起きたかと言わんばかりに「ふぅ」と一息吐く。
「ん、くわァ〜……はよ〜す茜」
「おはよう、幸ちゃん。ほら、起きたんだったら早く着替えて! 学校遅刻するよ!」
「へいへい、わァ〜たわァ〜た」
茜に適当な返事をすると、ベッドから立ち上がり、体をふらつかせながらTシャツを脱ぎ始める。
「ちょっ、なな何してんのっ!?///」
すると、その光景に顔を赤くさせて焦り出す茜。
「んァ? 何って着替えじゃねーか」
「そ、そうだけど………あぁもう!!」
幸が答えると、彼女は顔を赤く染めたまま早歩きで部屋から出て行ってしまう。
「……なんだったんだ?」
茜の行動を幸は疑問に感じるが、今は着替えを済ませるのが先決だと思い、彼は着替えを再開させる。
「あァ、めんどくせェ……。どうして中学高校ってのはこう堅苦しい格好しねェといけねーんだろうなァ……。小学校の時みたいに私服でいいじゃねーか」
学校の制服に対し愚痴をこぼすも、着替えを着々と進める。
そして数分後、最後にブレザーを着用し着替えを完了させる。
「うしっ、こんなもんだな! さーて、今日も一日適当に頑張りますか!」
気合いを入れ自室を後にする幸。
もしここに茜がいれば「『適当』は余計でしょ」と、一言ツッコんでいたに違いないだろう。
––––––こうして、櫻田 幸を中心とした櫻田家の物語が幕を開けるのだった。
感想などがあったらよろしくお願いします!