城下町のダンデライオンー櫻田家の次男は変人?ー《凍結中》   作:ションタ

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それではどうぞ!


第二話

父の総一郎に言われテレビ出演する事になった櫻田家の兄弟姉妹達。当日、彼らはとあるビルの前に集められていた。

周りには多くの野次馬でごった返している。

収録が開始すると、ビルに取り付けらた大きなモニターに男女の司会者が映し出される。

 

 

『視聴の皆様、こんにちは』

 

『なんと今週の櫻田ファミリーニュースは王家御兄弟、御姉妹の全員に来ていただいております!』

 

『皆様、よろしくお願いします! 国民の皆様も王族の方々には、特殊能力が備わっております』

 

『本日はあるゲームに挑戦して頂き、その力を披露して頂こうと思います』

 

「へ? そんなの聞いてないよ」

 

 

茜は突然告げられたことに小声で呟く。

 

 

『そのゲームとは、『危機一髪ダンディ君を救え!』』

 

『屋上に取り残された人々に見立てた人形、ダンディ君。それを制限時間内に多く回収して下に用意された籠に入れて頂くというシンプルなゲームです』

 

『国王からも、激励のメッセージを頂いております』

 

 

モニターの画面が切り替わり、彼らの父であり国王の櫻田 総一郎の姿が映し出される。

 

 

『皆惜しみなく力を発揮し、国民の皆様に自分達の事をよく知ってもらうように頑張って欲しい。一番成績が悪かった者は城のトイレ掃除をしてもらう』

 

 

最後に子供のような無邪気顔で総一郎は言う。その言葉に兄弟姉妹は全員、嫌そうな表情を浮かべる。ただ1人を除いて。

 

 

(なんだビリでもいいや! 目立つよりもトイレ掃除の方がマシ!)

 

(とか考えてっと思うけど、コイツ城にトイレがいくつあんのか知ってんのか?)

 

 

幸は茜の思考を読み取り心中で呟く。

なんたって城のトイレの数は100以上。1日では到底終わらない数だからだ。

 

 

(つーか、俺も今回ヤバイんだよなァ……どうせよ……)

 

『制限時間は30分。皆様、準備はよろしいですか?』

 

『『それではスタートです』』

 

 

スタートの合図ともに周りの野次馬達も歓喜の声を上げ始める。そんな中、兄弟姉妹で先に動いたのは––––––

 

 

「僕はこの壁を登ります」

 

 

四男の輝だ。輝はオレンジ色のオーラを放出させて能力を発動する。

 

 

『四男、輝様の能力は怪力超人(リミットオーバー)

 

『ものすごいパワーを発揮し、順調にビルを登っていきます』

 

 

怪力超人(リミットオーバー)は大人以上の強い力を発揮する事ができる能力だ。

 

 

「よし、あたしだって!」

 

 

次に動き出したのは五女の光だ。

 

 

「あんまり無理しないでね」

 

「分かってるって! よいしょ」

 

 

心配する葵に軽く返すと、光は近くに植えられていた木を登り始める。そして、彼女が上まで登り終えると––––––

 

 

「よし! 始めちゃおっかな!」

 

 

木に手をかざして能力を発動する。

 

 

『五女、光様の能力は生命操作(ゴットハンド)。生命の成長を操ることが出来ます。』

 

 

生命操作(ゴットハンド)の力で木はビルの屋上まで急成長していく。

 

 

「さすがです! 光姉上!」

 

「ふふーん!」

 

 

輝の言葉に気分を良くし、胸を張る光。しかし、能力を使い過ぎたせいか、木はビルの屋上をどんどん超えていってしまう。

 

 

「伸びすぎたー!!」

 

『残念! 24時間は元の大きさまで戻りません!』

 

「なーにやってんだか……」

 

 

下で窺っていた奏は呆れ顔で言う。

 

 

「よく考えたら自分で登るなんて効率悪いですね」

 

 

そう言うと、奏は能力を使い5体のドローンを生成させる。

 

 

「では、よろしくお願いします」

 

 

奏の言葉に反応したドローンたちは、屋上へと飛んで行く。

 

 

『次女、奏様の能力は物質生成(ヘブンズゲート)。あらゆる物質を生成することが出来ます』

 

 

しかし、この能力は欠点がある。生成した物の価値に等しい金額だけ奏の通帳から引き落とされてしまう。諸刃の剣なのだ。

 

 

「私も頑張らなくっちゃ!」

 

 

岬は体からオーラを放つと、彼女そっくりの7人の分身が現れる。

 

 

『四女、岬様の能力は感情分裂(オールフォーワン)。最大で7人の分身を生むことが出来ます』

 

「頼んだわよみんな!」

 

 

そう告げると岬+分身達はビルの中へと走って行く。

 

 

「え、そうなの? ごめんなさいちょっと分からない……」

 

「栞、何話してるの?」

 

「あのね、折角消火栓さんが近道教えてくれたんだけど、分からなくて……」

 

「何て言ってるの?」

 

「B2……荷物用エレベーター……27階で乗り換え」

 

「あぁ、あのルートね」

 

「お姉ちゃんわかるの?」

 

 

気になった茜は葵に喋り掛ける。

 

 

「前に一度見学に来たことあるから」

 

『六女、栞様の能力は物体会話(ソウルフレンド)。生物だけでなく、無機物とも会話する事が出来ます』

 

『長女、葵様の能力は完全学習(インビジブルワーク)。一度覚えたことは決して忘れません』

 

 

葵は栞と手を繋ぎ、一緒にビルの中へ入って行く。

 

 

「じゃ、俺も。ずっと映りっぱなしってのもなぁ」

 

「うわぁー!! 忘れてたー!!」

 

 

修はそう言うと、一瞬にして屋上へ移動する。

茜はというと、カメラに映っていることを思い出し、幸の後ろに隠れてしまう。

 

 

『長男、修様の能力は瞬間移動(トランスポーター)。ご自身とご自身が触れた物を一瞬で移動させることが出来ます』

 

(兄貴の能力って便利でいいよなァ……。俺の能力も、アレみたいに楽そうなやつが良かったわ……)

 

 

瞬間移動(トランスポーター)を使う修を羨ましそうに見つめる幸。

 

 

「そういえば、なんで幸ちゃんは能力使って屋上まで行かないの?」

 

 

何時まで経っても動こうとしない幸に、茜は疑問をぶつける。

 

 

「そうしたくても出来ねーんだよ……」

 

 

幸は顔を歪ませ茜に返答する。茜はその意味が分からなかったらしく、頭に「?」を浮かべてしまう。

 

 

『おっと、ここで遥様にも動きが!』

 

『三男、遥様の能力は確率予知(ロッツオブネクスト)。あらゆる可能性の確率を知ることが出来ます』

 

「幸兄さん、茜姉さん」

 

 

遥は確率予知(ロッツオブネクスト)を使用し終えると、幸と茜に声を掛けてくる。

 

 

「ん? どうした遥?」

 

「え、えっと……こ、幸ちゃん! 遥! わ、わわ私何すればいいの!」

 

「お前は少し落ち着け」

 

 

涙目でワタワタし出す茜に幸は一言言う。

茜が落ち着くと、遥が2人に話し始める。

 

 

「このまま2人が何もしないとビリになる可能性は87%。同じく僕も74%。でも、3人で協力すればその確率は25%まで下がるって僕の確率では出てる」

 

「私、別にビリだっていいよ……」

 

「……お前、本気で言ってんのか?」

 

「へ?」

 

「茜姉さん、お城のトイレがいくつあるのかしってるの? 僕も詳しくは知らないけどあの大きさだからね。細かい所も数えたら……」

 

「それに城に行ったら色んな奴に会うことになんだぞ?」

 

 

遥と幸の言葉に、顔をどんどん青くさせる茜。そして彼女は決心する。

 

 

「やるわ私! 絶対9位になってみせる!」

 

「9位ってお前……」

 

「うん、3人で頑張ろう! でも、どうして幸兄さんは能力を使って屋上へ行かないの?」

 

「あっ、私も聞きたい!」

 

「お前にはさっき言っただろ」

 

「あれじゃ分かんないよ!」

 

 

茜の台詞に幸は溜め息すると、乱暴に頭を掻きながら2人に告げる。

 

 

「俺、今能力使えねーんだ」

 

「「え?」」

 

「だから、能力使えねーんだよ」

 

「「え、えー!?」」

 

 

幸が告げた言葉に2人は驚きを隠せなかった。

 

 

「正確には、あと7秒しか使えねーな。ほれ、見てみろ」

 

 

幸は腕を突き出して腕輪に付いている液晶を2人に見せる。

 

 

「あっ、ホントだ! あと7秒しかない!」

 

「幸兄さん、いつ能力使ったの?」

 

「ここに来る前、迷子になってるガキを見つけてな。そいつの母親探すのに能力使っちまったんだ」

 

「なるほど、だから途中でいなくなってたんだね」

 

「そーゆーことだ」

 

 

能力が使えないことを説明すると、3人は再び本題へ戻る。

 

 

「んじゃ、茜頼むわ」

 

「えっ、私!」

 

「僕の能力じゃ飛べないし、幸兄さんじゃ屋上に着く前に能力が切れちゃうからね。消去法で姉さんしかいないんだよ」

 

「そっか……。うん!わかった!」

 

 

返事をした茜は、幸と遥の手を繋ぎ能力を発動させる。

 

 

『三女、茜様の能力は重力制御(グラビティコア)。ご自身とご自身が触れた物の重力を操る事が出来ます』

 

 

茜は重力を操り、ビルの屋上へ飛んで行こうとする。しかし––––––

 

 

「茜姉さん、なんでこんなゆっくりなの? 何時もみたいに一気に屋上に行けばいいじゃん」

 

 

遥が疑問に思い茜に聞く。幸も同じらしく彼女に視線を送る。

 

 

「ダメだよ。もしそんなことしたら……」

 

「したら?」

 

「……パンツが見えちゃう……」

 

「はァ……仕方ねーな。茜、俺も一緒に押さえてやっから、それでもっとスピード出せ」

 

「え?」

 

 

幸はそう言うと、繋いでいる手とは反対の手で茜のスカートを押さえる。これですぐ屋上に着くだろうと幸は考えたのだが––––––

 

 

「こ、こここ幸ちゃん!? なな何するのこんな公共の場で!! きょ、兄妹だからって、やって良いことと悪いことが!?!///」

 

 

いきなりお尻を触れられた茜はパニック状態に陥る。右へ左へ空を飛び回る。

 

 

「ね、姉さん落ち着いてっ!!」

 

「暴れんな茜!! 落ちる!! 落ちるゥ!!」

 

 

飛び回る茜に、幸と遥は振り落とされないように必死で彼女の手を握り続ける。

 

 

「何やっての……あの子達は……」

 

 

それを目撃した奏は、呆れた表情を3人に向け静かに呟く。

 

 

その頃、屋上では––––––

 

 

「これで50個目、と」

 

「さすが修兄上です!」

 

「お前も頑張るな」

 

 

ダンディ君を救出した数がちょうど50に達した修。そんな彼に輝は敬意の言葉を掛ける。

そこへ––––––

 

 

「だからダメだって!!」

 

「姉さん、落ちる!!」

 

「輝ー!! そこどけー!!」

 

 

空を飛び回っていた3人が輝に向かって飛んで行く。このままではぶつかる。

その時––––––

 

 

「ぐっ……!」

 

 

修が輝を押しのけながら瞬間移動(トランスポーター)で瞬間移動する。

 

 

瞬間移動した場所はとある桜の名所だった。

 

 

「大丈夫か輝」

 

「ありがとうございます、修兄上」

 

 

どうやら輝に怪我は無かったようだ。修はホッと一息ついて安心する。

しかし––––––

 

 

「修兄上、何ですそれ?」

 

「ん?」

 

 

修は手に持っていた物を確認する。よく見るとそれは茜が履いていたスカートであった。

 

 

その頃ビルの屋上では––––––

 

 

「いててぇ……」

 

「茜、テメェなァ……」

 

 

頭をさすりながら起き上がる遥。その隣では大きなタンコブを付けた幸の姿が。

 

 

「2人とも大丈夫?」

 

 

茜は起き上がり2人に声を掛ける。

 

 

「大丈夫じゃないよ……。修兄さんがいなかったら今ごろ……うおっ!?」

 

「ん? どうしたの?」

 

「茜、下見てみろ下……」

 

「へ?」

 

 

幸に言われ茜は視線を下に向ける。するとそこには、スカートを履いていないパンツ姿の自分の下半身が目に映った。

 

 

「きやゃゃゃぁぁぁ!!!///」

 

 

茜は顔を真っ赤にして盛大に悲鳴を上げる。

その姿はカメラにバッチリと映ってしまい、見物に来ていた男達が歓喜の叫び声を上げている。

 

 

(何やってんだよ……)

 

 

幸はそう思いながらも、自分が着ていたジャケットを脱ぎ始める。そしてそのジャケットを涙目で一生懸命下を隠している茜の膝にそっとかけてやる。

 

 

「ふぇ?」

 

「無いよりはマシだろ。兄貴が戻って来るまでコレで隠してろ」

 

「こ、幸ちゃん……ありがとう……」

 

 

お礼を言う茜に、幸は照れ臭そうに頬を人差し指で掻いて遥の所へ行く。その際、下の方で男達のブーイングが聞こえたが気にしない。

 

 

「遥、時間はどれくらいだ?」

 

「あ、あと3分ちょっとだけど……。どうするの幸兄さん? 茜姉さんはあんな状態だし、階段じゃ間に合わないよ。このままじゃ僕たちはトイレ掃除に……」

 

 

黙り込んでしまう遥。幸は短く溜め息をして喋り出す。

 

 

「遥、俺がここまで何の為に能力を使わねェできたか分かるか?」

 

「え……?」

 

 

問われた遥はどういう事だと思い考え始める。少し考え込むと、彼は何かを理解したらしく「あ!」と声を漏らす。

 

 

「分かったなら早く人形持ってこい」

 

「うん!」

 

 

遥は幸に言われ急いでダンディ君を3体持ってくる。

 

 

「兄さん持ってきたよ!」

 

「ご苦労さん」

 

 

持ってきたダンディ君を幸は受け取ると––––––

 

 

「うし、んじゃちょっくら行ってくるわ。茜のこと頼んだぞ」

 

 

そう告げると、幸は突然走り出し、ビルの屋上から飛び降りてしまう。彼はどんどん下へ落ちていき、ビルの半分辺りに差し掛かった所で能力を発動させる。彼の背中から悪魔の様な黒い翼が「バサッ!!」と勢いよく生える。

 

 

『次男、幸様の能力は悪鬼羅刹(ジャガーノート)。強大な闇の力を生み出し、どんな物でも木っ端微塵に粉砕する事が出来る能力です』

 

 

幸は地面ギリギリの所で急降下し着地する。着地に成功すると、自分の腕にはめてある腕輪の液晶を確認する。

 

 

(うし! ちょうど7秒だったな。––––っと、そんなことより人形を……)

 

 

と、幸は籠が置いてある場所へ急いで向かい、3つの籠にダンディ君を1体ずつ入れていく。

茜、遥、そして––––––

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––光の籠に。

 

 

「「「「「えぇぇぇーっ!!」」」」」

 

 

周りで見ていた葵、奏、岬の3人と野次馬達が驚きの声を上げる。

 

 

ピピィーーー!!

 

 

周りが驚いている中、ゲーム終了のホイッスルが鳴り響く。

 

 

「ふゥ、終わった終わったァ」

 

「終わったじゃないわ––––ですよ!! 何をやってるんですか幸!!」

 

 

葵、奏、岬、栞の4人が近づき、奏が幸に言い放つ。

 

 

「あん? 何ってダンディ君の救出じゃねーか」

 

「そういうことではなくてっ!!」

 

 

奏の発言に訳が分からない表情を浮かべる幸。

 

 

「幸、奏が言ってるのは『どうして光の籠に人形を入れたのか』ってことじゃないかなぁ?」

 

 

葵が代弁して幸に伝える。

 

 

「んだよ、そーいうことかァ。それに関しては特に理由はねーよ」

 

「え?」

 

「それってどういう––––––」

 

「んじゃ、俺便所行ってくるわ」

 

「ああ! 幸ちゃん!」

 

 

幸は岬の疑問を無視してそそくさと退散する。

 

 

「全く、あの子ったら……」

 

「葵お姉ちゃんは幸ちゃんがした行動の意味分かった?」

 

「そうだねぇ……。多分、光のことを思ってやったんじゃないかな?」

 

「光を?」

 

「うん。お城のトイレってたくさんあるでしょ? それを光1人でやらせるのは可哀想だと思ったんじゃないかな? 幸は昔から優しい所があるから……」

 

「ホントあの子ったら昔からああなんだから……」

 

「でも、そこが幸ちゃんの良い所だよね!」

 

「幸お兄様…優しい」

 

「うん、そうだね!」

 

 

4人は幸に対し、微笑を口角に浮かべる。

 

––––––こうして『危機一髪ダンディ君を救え』は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

––––––テレビスタジオ

 

 

『トップは修様、最下位は幸様となりました』

 

「はぁー……」

 

「大丈夫か茜?」

 

 

司会者がゲームの結果を発表する中、幸は落ち込んでいる茜に声を掛ける。

 

 

「ふぇー! 頑張ったのにー!」

 

「光、木の上にいただけじゃん。あとで幸ちゃんに感謝しなよ!」

 

 

2人の前列の席では、自分の結果に嘆いている光に岬が言う。

 

 

『ここで国王選挙現時点での順位を発表します』

 

 

司会者がそう言うと、モニターに順位が映し出される。

 

 

10位 櫻田 修

 

9位 櫻田 輝

 

8位 櫻田 遥

 

7位 櫻田 岬

 

6位 櫻田 光

 

5位 櫻田 栞

 

4位 櫻田 幸

 

 

『まだ、当時されたばかりということで、この辺は票の差に開きはありません』

 

「えー、私6位……」

 

「うぅ……。栞と幸ちゃんに負けてる……」

 

「どういう意味だァ岬!! つーか、なんで俺4位ッ!?」

 

 

光と岬は落ち込んだ顔をし、幸は自分の順位にビックリする。

 

 

(な、何で! 私呼ばれてない!)

 

 

茜というと、自分の名前がモニターに無いことに慌てふためいていた。

 

 

「続きまして第3位は、奏様です」

 

「えぇ!?」

 

 

自分では無く奏の名前が呼ばれ、茜は思わず声を出す。その際、奏と目が合ってしまい、反射的にごめんなさいと謝ってしまう。

 

 

「果たして4月の順位発表1位を獲得するのは、大方の予想通り長女の葵様か。今月ひったくり犯を捕まえた茜様か」

 

 

ドラム音が流れ始め、一定の時間が経つとバァン!! とモニターに映し出される。結果は1位 葵、2位 茜と出た。

 

 

「はっ!よかったぁ………。––––って!? 全然良くないじゃん!!」

 

 

ゲーム+選挙の結果発表は、茜の叫び声とともに終わりを告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

就寝時間。茜は1人ベランダで膝を抱え座っていた。そんな彼女に葵が寄り添って話し掛ける。奏も一緒だ。

 

 

「茜、そんな所にいると風邪引くよ?」

 

「私は野に咲くたんぽぽになりたい……」

 

「何言ってんのよ、アンタは……」

 

 

奏にツッコまれるが、茜は無視して話しを続ける。

 

 

「もう注目されたり、監視されるのは嫌……」

 

 

膝に顔を埋める茜。葵は少し考え込んでから口を開く。

 

 

「一つだけ方法があるとしたら、王様になることかな。そうすれば、監視カメラを廃止したり、王家ニュースを打ち切ったりすることが出来るよ」

 

 

茜は「えっ」と小さな声を出し、葵の方へ顔を上げる。

 

 

「それに王様なったら、法律を変えて兄妹結婚とか出来るかもしれないわよ?」

 

「カ、カナちゃん!? ななな何を言ってるのかな!!」

 

 

奏の発言に冷や汗をかいて動揺する茜。そんな茜に葵が問いただす。

 

 

「茜、単刀直入に聞くけど、あなた幸のことが好きでしょ? 兄妹としてじゃなく1人の男性として」

 

「な、何でっ!?///」

 

「そんなこと、あんたの行動や表情を見れば分かるわよ。いつも幸の側にいるし、幸が姉さんや他の女の子たちと喋ってるとすぐに機嫌悪くなるし」

 

「うぅ……///」

 

 

図星を突かれた茜は、顔を真っ赤にして俯いてしまう。

 

––––––そう櫻田 茜は双子の兄である櫻田 幸を一人の男性として恋心を抱いているのだ。

 

茜は最初こそ恥ずかしそうにしていたが、その表情はどんどん悲しそうな表情へと変わっていく。

 

 

「……やっぱりおかしいよね……。双子のお兄ちゃんを好きになるなんて……」

 

 

俯きながら静かに語り出す茜。

しかし––––––

 

 

「私は全然おかしくないと思うよ」

 

「へ?」

 

「私もそう思う。偶々好きになった人が兄だったってだけじゃない」

 

 

顔を微笑ませて茜に言う葵と奏。

 

 

「それに、お母さんもアンタのこと応援してたわよ」

 

「お、お母さんまで知ってるの!?」

 

「お母さんだけじゃないよ。岬と遥、あと栞もかな」

 

「そ、そんなに!?」

 

 

二人に告げらた茜は、驚き過ぎて混乱してしまう。

 

少しすると落ち着きを取り戻した茜。彼女は二人にある事を宣言する。

 

 

「お姉ちゃん、カナちゃん、私王様になる。王様になってひっそりと生きる。そして幸ちゃんと……っ///」

 

 

最後に何か考えたらしく、茜は顔を再び真っ赤にさせて頭から湯気を出す。

 

 

(なんか矛盾してるけど……)

 

「はぁ……」

 

 

葵は苦笑し、奏は呆れ顔で溜め息を吐くのだった。

 

––––––こうして、茜は自分のため、そして大好きな兄(櫻田幸)と結婚するために王様になると決心するのだった。

 

 




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