城下町のダンデライオンー櫻田家の次男は変人?ー《凍結中》   作:ションタ

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それではどうぞ!


第三話

「茜、俺もう我慢出来ねェ!」

 

「きゃッ!?」

 

 

幸は茜を壁際に追い詰めて手を壁にドンと突く。いわゆる壁ドンだ。

 

 

「こ、幸ちゃんダメだよ! 私達、兄妹なんだよ?///」

 

「そんなの関係ねェ! 俺は茜のことが好きだ!! 兄妹としてじゃなく1人の女として!!」

 

「そ、それって……」

 

「だから茜、俺の女になってくれ。絶対にお前の事、幸せにすっからよ」

 

「は、はい……///」

 

 

茜は、目を瞑り唇を突き出す。

幸も顔を近づけ茜の唇に自分の唇を重ね––––––

 

 

 

ピリリリ ピリリリ ピリリリ

 

 

 

「……………………」

 

 

そこで目が覚める茜。

現実だと思った?残念、夢落ちでした!

 

 

「はぁー……」

 

 

夢だと気づいた茜は大きな溜め息を吐く。

 

 

(あと少しだったのに……。せめてキスが終わる所まで見せてよぉ……)

 

 

心の中で残念そうに呟く茜だった。

 

 

 

*

 

 

 

櫻田家の朝食は、いつも家族全員でとっており一家団欒の時でもある。

 

 

「修ちゃん、醤油取って」

 

「ん、ほら岬」

 

「ありがとう!」

 

「こら輝! またグリンピース残して!」

 

「うぅ……僕苦手なんだよなぁ……」

 

「そんな事言ってると幸みたいになっちゃうわよ?」

 

「母さん、それどういう意味だァ? それにこの目は生まれつきなんだが」

 

「そんな事はどうでもいいの。あんたもちゃんとトマト食べなさい!」

 

「いや、これ食いモンじゃねーだろ……。金をいくら積まれてもこんなもん食いたくねーよ」

 

 

嫌そうに返答する幸。

そんな彼を––––––

 

 

「……」

 

 

茜は一心不乱に見つめ続ける。幸はそのことに気が付くと彼女に声を掛ける。

 

 

「茜、どうした? 俺の顔に何かついてんのか?」

 

「へ! なっ何でもないよ!? 顔には何もついてないから大丈夫だよ!」

 

「?……そうか」

 

(うぅ……まだドキドキしてるよぉ……)

 

 

幸には何でもないと答えたが、心中では昨夜のことや夢のことを思い出し、心臓の心拍数が凄い事になっていた。

 

––––––前回の話(第二話)で気づいたと思うが、茜は幸のことを兄妹としてではなく1人の男として好意を寄せている。それは小さい頃からずっと。だが、これが世間一般ではおかしいことは茜自身百も承知。叶わぬ恋だと決めつけていた。しかし、昨夜葵と奏に背中を押され幸のことを本気で落とそうと決心したのだ。あと国王も。

 

 

「あ、そういや親父」

 

 

幸は茜と話し終わると、今度は総一郎に声を掛ける。

 

 

「どうした幸?」

 

「便所掃除って何時やればいいんだ? 休みの日か?」

 

「あぁー、そのことなら今日から頼む。どうせお前なら1時間で終わるだろ?」

 

「親父は俺をなんだと思ってんだよ……。無理に決まってんだろーが。最低でも3、4時間は掛かんぞ」

 

「それでも十分早いと思うけど……」

 

「さすが幸兄上です!」

 

 

反論した幸の言葉に葵は苦笑いを浮かべて静かにツッコム。そして何故か尊敬の眼差しを送る輝。

 

 

「ねぇハルちゃん! 幸ちゃんがいつ掃除を終わらせるか調べてみてよ!」

 

「えぇ……」

 

「止めておきなさい光、遥は自分の能力に自信がないのよ」

 

「むっ、そんなことないよ」

 

「そんなことあるわ。自信がないから使わないんでしょ? 悔しかったら能力使ってみなさいよ」

 

「……わかった。そこまで言われたら僕も黙ってられないからね」

 

「やったー!」

 

(ふふ、楽勝ね)

 

(遥、お前チョロ過ぎだろ……)

 

 

最初は嫌がっていた遥だが、奏の口車にまんまと乗せられて能力を発動させる。そんな彼に対し幸は呆れた表情でオムレツを口にする。

 

 

「えーと……幸兄さんが掃除を終わらせる確率は1時間 7%、2時間 31%、3時間 63%、4時間 90%、て出たよ」

 

「……1時間で終わらせることもできるんだな……」

 

 

遥から結果を聞いた修は驚きながら呟く。他の兄弟姉妹も修と同じような反応をしていた。そんな彼らに幸は「そんな驚くことか?」と言いたげな顔でオムレツの最後の一口を口に放り込む。

 

 

「ほら皆、話してばかりいないで早く食べちゃいなさい! 遅刻しても知らないわよ!」

 

 

五月の発言で皆は急いで食事をする。そして食事を済ませたものから各々学校の支度に取り掛かる。2人を除いて。

 

 

「あんた達は待ちなさい」

 

「「ぐえっ!?」」

 

 

五月に服の襟首をガシッと掴まれ潰されたカエルの様な声を出す幸と輝。

 

 

「2人はトマトとグリンピースを食べ終わるまで学校には行かせません!」

 

「酷いです母上ぇ……」

 

「ま、それはそれで俺は嬉しい––––––ん?」

 

 

幸は制服の袖を引っ張られる感覚がし、そちらに顔を向ける。そこにはムッとした表情で幸を睨みつけいる栞の姿があった。

 

 

「どうした栞?」

 

「幸お兄様…トマト食べてください…」

 

「で、でもな栞……」

 

「食べなきゃ幸お兄様のこと嫌いになります…」

 

「ぐっ……」

 

 

栞の言葉に顔を歪める幸。

 

––––––結局2人はトマトとグリンピースを口に押し込んで学校へ向かった。

 

 

 

*

 

 

 

高校組は何時ものように学校へ到着すると、幸と茜は一年生の教室、修と奏は二年生の教室、そして葵は三年生の教室へと向かう。

3人に別れを告げた茜は、自分の教室を目指して足を運ばせていた。

––––––幸の背中をさすりながら。

 

 

「幸ちゃん大丈夫?」

 

「……大丈夫な訳ねーだろ……うぷっ」

 

 

真っ青な顔で口を押さえながら返答する幸。どうやら朝食に食べたトマトの気持ち悪さがまだ残っているようだ。

 

 

「……どうして幸ちゃんは昔からトマトが嫌いなの?」

 

 

疑問に思い聞いてみる。

 

 

「……あの食感、舌触り、味、全てが嫌いだ……うぷっ」

 

「そうかな? 普通に美味しいと思うけど」

 

「お前はまだ知らねーだけなんだ……。あいつらの本性を……」

 

「トマトに本性も何もないでしょ……」

 

「……ん、もう大丈夫だ。ありがとな、茜」

 

 

トマトの気持ち悪さが無くなった幸はいつもの表情へと戻る。

 

その後、教室に辿り着いた2人は、クラスメートに挨拶をしながら教室へ入り、自分達の席へ行く。幸の席は窓際の一番後ろ、茜はその隣だ。茜は荷物を置くと親友の花蓮と美香子の所へ行ってしまう。

幸はと言うと––––––

 

 

(ん〜……暇だァ)

 

 

席に着くとやる事が無いらしく、1人机で突っ伏していた。

そこへ––––––

 

 

「よっ! おはよー幸」

 

「んァ?……なんだ小次郎かよ」

 

「なんだとは酷いな……」

 

「すまんすまん。はよーす小次郎」

 

 

幸に話し掛けてきた茶髪で額にヘアバンドを着けた少年は幸の中学時代からの友人––––––松平 小次郎だ。

 

 

「あ! そういや小次郎、今日ファ◯コン版のド◯クエIII持ってきたか?」

 

「持ってきたぞ。ほら」

 

「おおー! サンキュー! スー◯ァミ版はやったことはあったんだがよォ、ファ◯コン版はなくてな」

 

「ま、そんな変わんねえけどな」

 

「それでもやってみてェじゃんか!」

 

 

2人がゲームの話しで盛り上がっていると––––––

 

 

「2人ともおはよう!」

 

「おっ、裕介! おはよー!」

 

「はよーす。今日は随分遅かったじゃねーか?」

 

「いやー寝坊しちゃってね……」

 

 

黒髪で大きなアホ毛が一本出ている小柄な少年––––––名前は藤林 裕介。小次郎と同じで幸とは中学からの友人だ。

 

 

「どうせまた遅くまでテディベアでも作ってたんだろ」

 

「うん。隣のクラスの子に頼まれちゃってね」

 

「お前、ホント女子力高ェよな」

 

「そんなことないと思うけど……」

 

「いや、その辺の女子よりずっと高いと思うぞ」

 

 

幸と小次郎に素直に褒められ、裕介は照れ臭そうに人差し指で頬を掻く。

 

 

「おらお前ら、そろそろ時間だから席に着け」

 

 

そこへ担任教師の間島がダルそうな顔で教室に入ってくる。間島の入ってきたことにより、生徒たちは自分の席へ戻り始める。

 

 

「じゃあ俺席に戻るわ」

 

「僕も自分の席に戻るね」

 

「おう」

 

 

2人も他の生徒と同じように自分の席へ戻って行く。幸は再び暇になる。

 

 

(どうせホームルームの後は嫌いな数学だし、このまま寝ちまうか)

 

 

暇になった幸は、何時ものように目を開けたまま眠りに入ってしまう。

 

 

「Zzz……」

 

(また幸ちゃん眠ってる……)

 

 

鼻提灯を出しては引いてを繰り返す幸に、茜は心中で呆れながら呟く。

 

––––––この後、幸が間島に叩き起こされたのは言うまでもないだろう。

 

 

 

*

 

 

 

4時間目の授業が終わり昼休み。ある者は購買へパンを買いに、そしてある者は友達同士で食事を始めたりと思い思いのことをする。

そんな中、我らが主人公(笑)櫻田 幸はダルそうに机で突っ伏していた。

 

 

「あァ〜……授業ダルい〜……もうやだ〜……幸ちゃんお家帰りた〜い……」

 

「仕方ないよ幸ちゃん、それが学生の本分なんだから。今日は後2時間で終わるんだから頑張ろうよ」

 

 

グッタリする幸に茜が言う。

 

 

「お前はそうかもしんねェけど、俺はこれ終わったら城の便所掃除が待ってんだぞ」

 

「あ、そうだった……ごめんね」

 

「謝んな、なんか切なくなる」

 

 

先程よりもグッタリ度を倍増させる幸。そんな幸を見ていた茜はある事を思い付く。

 

 

「あっ、そうだ! だったらさ、私もトイレ掃除手伝うよ! それだったら掃除も早く終わって幸ちゃんもすぐ帰れるよ!」

 

 

「いい考えでしょ!」と自分の提案を嬉しそうに喋る茜。

しかし幸は––––––

 

 

「いや、別にいい」

 

 

とバッサリ断る。

 

 

「えっ!? どっどうして!!」

 

 

即答で答えた幸に、茜は納得がいかないといった感じで理由を聞いてくる。幸は突っ伏していた体を起こして「ん〜」と伸びをしながら話し出す。

 

 

「一応今回は罰ゲームとしてやる訳だから、誰かが手伝うのは駄目なんじゃねーの? それに、茜がいたら逆に終わんの遅くなりそうだし」

 

「えっ! 何でよ!!」

 

「いや、お前の人見知りで移動すんだけでも時間掛かりそーだし。それにお前、城の奴らに会いたくねェから、昨日頑張ったんじゃねーのか?」

 

「うぅ……」

 

 

反論が出来ない茜は「私がこんなんじゃなければ……」とブツブツ喋り下を向いて落ち込んでしまう。幸は席から立ち上がり話しを続ける。

 

 

「ま、お前の気持ちは十分伝わったから、そう落ち込むんじゃねーよ」

 

「で、でも……」

 

 

励ます幸。だが、茜はまだ落ち込んでいる。そんな茜に幸は溜め息混じりに近づくと、彼女の頭にポンと手を乗せて撫で始める。

 

 

「っ!?」

 

「それに、俺はお前のそういう顔じゃなくて笑ってる顔の方が好きなんだ。だから元気出してくれ」

 

 

幸は優しく語りかけ微笑を浮かべる。

 

 

「……///」

 

「茜?」

 

「え!? あっ、な、何!///」

 

「そりゃこっちの台詞だ。いきなり黙っちまってどうしたんだよ?」

 

「う、ううん何でもないから!! 大丈夫だからっ!!///」

 

 

頬を赤く染めながら首をブンブンと横に振って否定する。幸は「あれ、俺何かやっちまったか?」と首を傾げてしまう。

 

 

「おーい! お2人さーん! イチャついてないでそろそろ昼飯にしようぜ!」

 

 

そんな2人に小次郎が声を掛けてくる。後ろには裕介、花蓮、美香子の3人も一緒だ。

 

 

「イチャついてるって、どういう意味だよ……?」

 

「そのまんまの意味だ」

 

「そっそんな事より2人とも昼食にしましょ。ほら、幸も何時まで茜の頭手を置いてるの!」

 

 

そう言うと花蓮は半ば強引に茜の頭から幸の手を退かす。

 

 

「あぁ……」

 

 

茜は幸の手が離れて残念そうな顔をする。幸はというと「鮎ケ瀬はそんなに腹減ってんのか」と的外れな考えをして席を移動させる。

 

 

 

*

 

 

 

幸と茜のイチャつき?から少し経ち、今は6人で机をくっ付けて昼食をとるところだ。

席の並びはこんな感じ––––––

 

 

小幸裕

机机机

美茜花

 

 

幸は弁当箱を開けると顔を顰めてしまう。

その原因は––––––

 

 

「うわっ、トマト入ってやがる……」

 

 

自分の嫌いなプチトマトが入っていたからだ。

 

 

「あっ茜……」

 

「嫌だよ。それくらい自分で食べなさい」

 

「そこをなんとか!」

 

 

幸は茜にプチトマトを食べてもらうようお願いするが茜は顔を背けて嫌の一点張り。

そんな2人のやり取りを見た裕介は––––––

 

 

「幸、トマトにはビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどの栄養がたくさんあるんだから、ちゃんと食べなきゃダメだよ?」

 

 

とトマトの良い所を幸に教える。だがそれで幸が食べてくれる筈もなく、彼は裕介に「どうでもえェわッ!?」と苛立ち気味にツッコミを入れる。

 

 

「そうだぞ幸、ちゃんと食べねえとダメだろ」

 

 

小次郎も幸に食べるよう説得するが––––––

 

 

「うっせェ!! この味覚障害ッ!!」

 

「誰が味覚障害だっ!! 俺の舌は正常だ!!」

 

「嘘つけっ!! んな無残な弁当見せられたら誰だってそう思うわ!!」

 

 

そう言うと幸は小次郎の弁当に指を差す。そこには赤い液体に覆い尽くされた無残な弁当の姿があった。他の4人は気持ち悪そうにその弁当を見つめている。

 

 

「松平!! アンタその食べ方はやめなさいって何度言ったらわかるのよっ!!」

 

「うん、さすがにその食べ方はここではやらないでほしい…かな……」

 

 

痺れを切らした美香子は苛立った声で小次郎に怒鳴る。横に座っていた花蓮も口を押さえて美香子に便乗する。

 

 

「別にいいだろ。俺はこの食べ方が好きなの。これ止めたら俺が俺でなくなるね」

 

「それにしたって限度があるよ、松平君……」

 

 

呆れ顔で小次郎に返す茜。

 

そう小次郎は大のケチャップ好き、ケチャラーなのだ。3食全てどんな食べ物にも大量にケチャップをかけて食す。制服のポケットや鞄の中にはいつもケチャップを携帯する程だ。

 

 

「もはや生ゴミだな、コレ」

 

「生ゴミ言うな!!」

 

「それに比べて、3人の弁当は美味そーだなァ!」

 

「聞けよッ!!!」

 

 

幸は小次郎を無視して裕介、花蓮、美香子の弁当に視線を向ける。

 

 

「そうかな? まだまだ改良したい所がいっぱいんだけどなぁ」

 

「アタシも同意見ね」

 

「この完成度でまだ完璧じゃないんだ……」

 

 

裕介と美香子の発言に茜は苦笑いする。

 

 

「鮎ケ瀬の弁当も美味そーだな!」

 

「そ、そうかな?」

 

「おゥ、特にこのアスパラのやつが」

 

「……も、もしよかったら食べてみる?」

 

「お!良いのか!」

 

「うん、まだあるから大丈夫だよ」

 

 

そう言うと花蓮はアスパラのベーコン巻きを箸で掴み幸の弁当箱の蓋(裏面)に乗せる。

 

 

「おう! サンキューな! では早速……」

 

 

口にアスパラのベーコン巻きを入れてもぐもぐと食す幸。

 

 

「ど、どうかな?」

 

 

花蓮は不安げな表情で幸に感想を聞く。幸は口に入れたアスパラのベーコン巻きを飲み込んで答える。

 

 

「んぐ、すげェ美味かったぞコレ!」

 

「そっそう、良かったぁ……(やった!!)」

 

 

表には出さないが、幸の感想に内心凄い喜んでいる花蓮。

 

 

「鮎ケ瀬って料理上手なんだな」

 

「そんなことないよ。私なんてまだまだだし」

 

「いやいやそんな事あるって。俺が毎日食いてェと思うくらいだからな」

 

「えっ!? あっ?! そ、それってその!!? あの!?!///」

 

「あん?」

 

 

幸の毎日食べたい発言に花蓮は顔を真っ赤にして慌てふためいてしまう。そんなことを知る由も無い幸は訳が分からず首を傾げてしまう。

 

 

「イテェッ!?」

 

 

首を傾げているとふくらはぎに激痛が走る。どうやら誰かに蹴られたようだ。大方予想がついている幸はふくらはぎを抑えその人物に問いただす。

 

 

「何すんだよ茜ェ……」

 

 

そう、幸を蹴ったのは茜だ。

 

 

「ふんっ!……幸ちゃんのばか(ボソッ)」

 

 

茜は目じりを吊り上げながらそっぽを向く。そんな彼女の行動に幸は「なんなんだよ……」と呟きながら「?」を浮かべる。

 

 

(幸、爆発しろ)

 

(相変わらず鈍感だなぁ……)

 

(もはや哀れに思えてくるわね)

 

 

小次郎、裕介、美香子は三者三様の気持ちで幸を眺めていた。

 

この光景は長い間続いたらしい。

 

 

 

*

 

 

 

学校が終わり幸と茜は現在帰宅中だ。本当はそのまま城へ向かうつもりだった幸だが、いつも一緒に帰っている姉の葵が先生に呼ばれているらしく、こうして2人仲良く帰宅しているのだ。

 

 

「ごめんね幸ちゃん……」

 

「気にすんな、いつもの事だろ。そう思うん気持ちがあるんだったら、早くその人見知りを直せよ」

 

「うぅ……」

 

 

幸の発言にぐうの音も出ない茜。彼女は昼休みのように下を向いて落ち込んでしまう。

 

 

「私っていつも助けられてばかりだね……」

 

「んな事ねーだろ」

 

「そんなことあるもん! 小さい頃からずっと幸ちゃんの事頼りっぱなしで、私の方からは何一つしてあげられてないもん……」

 

 

更に落ち込んでしまう茜。「はァー……」と長めの溜め息をつくと、幸は茜の額に軽くデコピンをする。

 

 

「痛っ!?」

 

「そうやって直ぐに落ち込むんじゃねーよ。昼休みにも言ったじゃねーか。俺は笑ってるお前が好きだって」

 

「でも……」

 

「……それにいつも助けられてんのはこっちの方だっつーの(ボソッ)」

 

「へ? 今なんて––––––」

 

「な、なんでもねーよ! ほれ、んなとこで突っ立ってねェでさっさと行くぞっ!!」

 

「あぁ! 待ってよ幸ちゃん!」

 

 

茜は最後の台詞は聞こえなかったが、その後の幸は頬を少し赤らめながら歩いていたそうだ。

 

因みに幸のトイレ掃除は約2時間半という驚異の速さで終わったらしい。

 

 




未だにオリ主が変人のへの字も出していない……
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