城下町のダンデライオンー櫻田家の次男は変人?ー《凍結中》   作:ションタ

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それではどうぞ!


第四話

「今週の当番決めるよ!」

 

 

櫻田家では毎週年長組の5人がクジを引いて家事の割り当てを決めている。

※下の子達は各々自主的にお手伝い

 

クジの札にはそれぞれ『掃除』『洗濯』『料理』『買い物』『休み』と書かれている。

 

 

(監視カメラのある外になんか絶対出かけたくない! 買い物以外なら掃除・洗濯・料理、全部やったっていいくらいよ!)

 

 

と内心嫌そうに語る茜。

 

 

(買い物以外ならなんでもいい!買い物以外買い物以外買い物以外……)

 

 

ギュッと目をつぶり必死に念じながらクジを引く。そしてつぶっていた目をゆっくりと開き結果を確認する。

結果は––––––

 

 

 

 

 

––––––「買い物」と書かれた札だった。

 

 

「買い物ぉおおおおおおお!!!!」

 

 

茜は一番引きたくなかった買い物の札を見て大声で叫んでしまう。

 

 

「お、よっしゃー! 今週も『休み』だ!」

 

 

次にクジを引いた幸は、何も役職がない『休み』を引き当てて嬉しそうにする。

 

 

「お前また『休み』か。これで3週連続だぞ」

 

「まさかアンタ、不正とかしてるんじゃないでしょうね!」

 

 

3週連続で『休み』の札を引いた幸に、修と奏が得心のいかない顔をする。そんな2人に対し幸は「んな事しねーよ」と不快な表情で言い張る。

 

 

「はいはい! 2人ともその辺にしときなさい。幸がやってないって言ってるんだから」

 

「「……はーい」」

 

 

葵の発言に2人は素直に引き下がる。

 

 

 

 

 

 

「出かけたくない〜……」

 

「冷蔵庫空っぽらしいぞ」

 

 

テーブルでうつ伏せになっている茜に修が返す。

 

 

「あたしカレーが食べたいっ!」

 

「えー……」

 

「なんなら一緒に行ってあげるから」

 

「出かけたくないって言ってるじゃん……。宅配ピザじゃダメ?」

 

 

外に出たくない茜は光に宅配ピザを提案する。そんな茜に光はムッとした顔で喋る。

 

 

「茜ちゃん!! そんなにカレーが嫌いなの!!」

 

「私どんだけカレー嫌いなの!? カメラが嫌なんだってばっ!?」

 

「この前カメラに映って超目立ってたじゃん。羨ましい」

 

「そんなつもりなかったのに……。これ以上世間に恥を晒したくないのよぉ……」

 

「全国ネットでパンツ見られた「光、その辺にしとけ」むぐっ!?」

 

「うえええええぇ!?」

 

 

幸は光の口を急いで押さえたが少し遅かったらしい。茜はテレビ中継のことを思い出してしまい、頭を抱えて変な声で叫ぶ。

 

 

「アンタ達って選挙活動する気ゼロよね」

 

 

奏は手鏡で自分の容姿を確認しながら茜と光に喋り掛ける。

 

 

「あたしはやる気あるもん!」

 

「光じゃ相手にならないの」

 

「んなことねェだろ。光だって色々頑張ってんじゃねーの?」

 

 

幸は光の事をフォローする、が彼女から出てきた言葉は––––––

 

 

「いや、頑張ってはいないかも」

 

「おい」

 

 

幸は目を細めてツッコム。

 

 

「大丈夫! いざとなったらあたしの能力で票集めなんて楽勝だもん!」

 

 

光は胸を張って誇らしげに言う。

 

––––––彼女の能力、生命操作(ゴッドハンド)は生物の成長具合を一時的に変化させることが出来る。しかし、持続時間は24時間だがその間対象を再び変化させる事はできない。

 

 

「国民にはあんたが10歳だってバレてるんだから意味ないじゃない。それに変化するのは外見だけだし、見た目で人を引きつけようだなんてダメよ」

 

「自分だって外見めちゃめちゃ気にしてるじゃん!!」

 

 

手鏡を見ている奏に光は怒鳴りながらツッコム。

 

 

「いいもん! 将来あたしの方がおっぱい大きくなるし!!」

 

「はぁ? おっぱいは形が大事なの」

 

((話が逸れてきたな……))

 

 

2人の言い争いに幸と修は呆れた表情でその光景を見守る。

 

 

「大きさだよ!! 修ちゃん言ってた!!」

 

「言ってねぇ!! 感度だ「茜ちゃんはどう思う!! おっぱ––––あっ……」

 

 

光は茜にも意見を聞こうとしたが、彼女の貧相な胸を見て何かを察する。

 

 

「ごめんなさい……」

 

「謝らないで」

 

「……ごめん」

 

「やめてっ!!」

 

 

謝ったことが逆効果だったらしく茜は更に落ち込んでしまう。それを見た幸は彼女に慰めの言葉を掛ける。

 

 

「茜、人生胸だけで決まるわけじゃねーんだから気にすんなよ。お前には十分魅力があんだから自身持てって」

 

「幸ちゃん///」

 

 

茜は頰を赤くさせて小さな笑みを見せる。

しかし––––––

 

 

「ま、お前は胸よりも尻や脚派の人間だからそう言えるんだよな」

 

「……ナニヲイッテルノカナアニキ」

 

 

修の発言に幸は顔を引きつらせ片言で聞き返す。

 

 

「知ってるんだぞ、お前が毎回姉さんや奏、茜の尻や脚をみ「それ以上喋んじゃねェッ!!!」グホォッ!?」

 

 

幸はすかさず修の頭を思い切り殴りつけて黙らせる。

 

 

「こ、これは……その……えっとだな……」

 

 

大量の冷や汗をかいて2人に言い訳しようとするが、奏は幸を警戒の眼差しで睨みつけ、茜は下を向いてプルプルと震えている。二人を見た幸は諦めの表情へと変わる。「これはお仕置き結果だな……」と考えていると–––––––

 

 

「幸ちゃん」

 

「はいっ!?」

 

 

茜が下を向いたまま話し掛けてくる。幸は茜に呼ばれて直立不動で返事をする。ドンと来いと言う気持ちで見構えていると––––––

 

 

「こ、幸ちゃんその……わわ私のことそういう目で……見てたの?///」

 

「……へ?」

 

 

恥ずかしそうに聞いてくる茜に幸は間抜けな声を出す。自分の考えていた事と180°違い、幸は混乱してしまう。

 

 

「ど、どうなの///」

 

「え、あ、どうだったか「幸ちゃん?」見てました!!」

 

 

話をはぐらかそうとしたが、茜の威圧ですぐに白状する。

 

 

「そ、そうなんだ……///」

 

「?」

 

そう言うと嬉しそうな顔をする茜。幸はその意味が分からず「?」を浮かべている。そして答えを聞いた茜は––––––

 

 

「幸ちゃんのえっち///」

 

「グアアァァァァ!!!」

 

 

茜の一言に、会心の一撃をくらった幸はorzよろしく床に崩れ落ちてしまう。

この時幸は思った。「こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった」と。

 

 

 

 

 

 

「なんで俺まで……」

 

 

瀕死の状態からなんとか復活した幸は、茜と光の2人と一緒にスーパーへ向かっていた。

 

––––––何故幸が付いて来ているかと言うと、葵に「あの2人だけだと心配だから、幸も付いて行ってくれる?」とお願いされたからだ。最初こそ嫌がっていた幸だが、改めて考えると確かにこの2人だけで買い物に行かせるのは少し心配になり今に至るという訳だ。

 

3人で路地を歩いていると、光が一台の監視カメラを発見する。

 

 

(人気を得るにもこういうところからアピールしてかないとね)

 

 

彼女はカメラに映るように前を歩こうとする、が––––––

 

 

「ちょっと光どこ行くの? そっちじゃないくてこっちだよ」

 

「え、でも……」

 

「カメラの前なんて通らないよ」

 

((逆らえばやられる……))

 

 

茜の威圧に2人は恐怖する。

 

 

「あのね光、わざと目立とうとしたって国民は評価してくれないんだよ。わかる?」

 

 

茜は軽く説教をしながら光の前を歩く。その横では、幸が「早く帰ってワギャ◯ランドやりてェ」と思いを巡らせて頭の後ろで手を組んで歩いていた。

そんな2人の後ろで光は––––––

 

 

(これじゃついてきた意味ないじゃん……)

 

 

と頰を膨らましていた。

 

元々彼女が買い物に付いて来た目的の一つは、監視カメラに映って国民にアピールをすることと言っても過言ではない。だが、茜の人見知りのせいで、その目的は失敗に終わり現在不機嫌まっしぐらなのだ。

 

光が膨れっ面になっていると、1匹の猫が彼女の側を通る。猫を見た途端、光の表情が一変し笑顔になる。猫が歩き出すと彼女もその後を追いかるのだった。

 

 

 

 

 

 

「あん?」

 

「どうしたの幸ちゃん?」

 

「……光がいねェ」

 

「えっ!?」

 

 

数分後、光がいないことに気がついた2人。

 

 

「どうしよう……」

 

「ま、アイツなら大丈夫だろ。もう大きいんだしよ」

 

「でも……」

 

「それより、俺たちは先に買い物済ますぞ。その後にあいつを探せばいいだろ?」

 

「……うん」

 

 

心配する茜を安心させる幸。だが、彼も内心では光のことを心配していた。

 

 

その頃光は––––––

 

 

「にゃ〜」

 

(下りられないのかな……)

 

 

先程追いかけていた猫が木に登って下りられなくなっていた。光は背伸びをしたり木に登ろうとするがなかなか上手くいかない。

 

 

「うーん……あ! そうだ! あたしの体を成長させれば届くかも!」

 

 

そう考えた光は生命操作(ゴッドハンド)を使い自分の体を成長させる。

 

 

「変身完了ッ!!」

 

 

成長した体で猫を助けようとする光。

だが––––––

 

 

「フシャーッ!!」

 

「あれっ? あたしだよぉ!?」

 

 

光の急成長に、猫は驚いて警戒体制に入ってしまう。

 

 

 

 

 

 

あれから買い物を終わらせた2人は、公園近くの林で光を探していた。

 

 

「光ー! どこー!」

 

「この辺にいるってあのリーマン言ってたけどなァ……」

 

「もう、どこ行ったんだろ……」

 

『はぁ、良かった〜』

 

「あっ、光!」

 

 

茜は光を見つけて急いで近寄る。

 

 

「こんなところに……。もう、探したんだよ!」

 

 

安心した表情で声を掛ける茜。光は茜の声を聞いて振り返る、が––––––

 

 

「人違いでしたッ!!」

 

 

成長した光を茜は他人だと勘違いして逃げ出そうとする。

 

 

「合ってるよー!!」

 

 

光は声を上げて急いで茜を止める。

 

 

「へ? なんだ、光だったのね。ほら、遊んでないでさっさと帰るよ!」

 

「そうしたいんだけど……。ふ、服の丈が……」

 

「!?」

 

 

成長したせいで下半身がまる見えの光。そんな光に驚いていると、幸が光に気が付き近寄って来る。

 

 

「お前こんなとこにいたのか……ほれ、んなとこいねェでさっさとかえ「幸ちゃん見ちゃダメー!!」ぎやゃゃゃァァァーっ!!!」

 

 

近づいて来た幸に茜は慌てて目潰しをする。目潰しをされた幸は「目が、目がァ〜!」と叫んで地面にのたうち回る。

 

––––––この後、茜を小さくして2人の服を取り換える案でなんとか解決した。その際、視力が回復しかけた幸にもう一度目潰しをしたのは言うまでもない。

 

あと、助けた猫は櫻田家に連れて帰りました。

 

 

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

「おかえりー、って幸が彼女と子供連れて帰ってきた!?」

 

「ちげーよクソ兄貴ッ!? コイツらは茜と光だ!! あと茜、俺の足を踏んづけんじゃねェ!」

 

 

頭に包帯を巻いた修は、大きくなった光と小さくなった茜を幸の彼女と子供だと勘違いして驚倒する。茜はというと、修が光のことを彼女と言ったことにイラついたのか、八つ当たり気味に幸の足をゲシゲシと踏んづけている。

 

 

「なになに?」

 

「どうしたの?」

 

 

奏と葵の2人が気になってらしく玄関へやって来る。その時、ロリ茜を見た奏に衝撃が走る。

 

 

「何この子、どこで捕まえたの!?」

 

「あんたの妹だよ!!」

 

 

ロリ茜の可愛さに奏は思わずギュッと抱きしめてしまう。

 

幸は取り敢えずこうなった経緯を3人に一から説明する。

 

 

「––––––で、茜を小さくして服を取り換えたって訳だ」

 

「なるほどね」

 

「お前の目がいつも以上に赤くなってるのも何か理由があるのか?」

 

「……色々あったんだよ……」

 

 

修の問いに幸は顔を逸らして返答する。

 

 

「それにしては小さ過ぎない?」

 

「うん、やり過ぎた……」

 

 

光は葵の言葉に苦笑して言う。

 

因みに奏は幸の話しを聞いてすぐ、ロリ茜を自室へ連れて行ってしまった。それを見た幸は哀れに思いながら心中で合掌をするのだった。

 

 

「つーか、木を小さくすればよかったんじゃないか?」

 

「あっ!」

 

 

修の発言に光は「その手があったか!?」というような顔をする。

 

 

「それに買い物はどうしたの?」

 

「それなら大丈夫だ。ほれ」

 

 

そう言うと幸は買い物バックを葵に突き出す。

 

 

「ありがとう! やっぱり幸を行かせたのは正解だったわね!」

 

 

葵は嬉しそうな表情で幸から買い物バックを受け取る。

 

 

「うーん、それにしても……」

 

「あ? んだよ兄貴?」

 

 

自分と光を交互に凝視する修が気になり聞いてみる。

 

 

「いや、こうして見るとお前らカップルにしか見えないな〜と思ってな」

 

「は? 何言ってんだ?」

 

 

修の言葉に幸は眉をひそめる。

 

 

「幸ちゃんがあたしの彼氏かぁ……。えいっ!」

 

 

そう呟くと光は幸の腕に抱き付く。

 

 

「おっと、いきなりどうした光?」

 

「えへへ、なんでもないよ幸ちゃん♪」

 

 

光は腕に抱き付きながら嬉しそうに幸に返す。そんな光に幸は不審に思ったらしく––––––

 

 

「……何か企んでんのか?」

 

「酷いっ!?」

 

 

と疑いの眼差しを向けて言う。光はそう言われはしたものの、何処か嬉しそうな表情を浮かべている。確かに修が言うように、側から見れば2人はカップルにしか見えないだろう。そんな二人に対し葵は––––––

 

 

(茜が見てなくて良かったぁ……)

 

 

ホッと胸を撫で下ろす。

もしここに茜がいたとしたら大変なことになっていただろう。種に幸が。

 

––––––この後、今日買ってきた食材でカレーを作り、皆で美味しくいただきました。

 

因みにあの猫は櫻田家で飼うことになりました。

 

 

 

 

 

 

––––––週末

 

 

『今週の櫻田家世論調査はご覧の通りです!』

 

「あれ?」

 

 

光は世論調査の結果に疑問を抱く。

 

 

「猫ちゃん助けたのに全然上がってない……」

 

「なんでってあの辺りカメラ無いじゃない。パンツ撮られなかっただけ良かったじゃない?」

 

「……」

 

(あれ……ちょっと言い過ぎたかな……?)

 

 

茜の発言で落ち込んでしまった光。そんな光に、隣で座っていた岬が励ましの言葉を掛ける。

 

 

「光は昔っから抜けてるとこがあるよね。今回は残念だったけどさ、次があるって」

 

「うん……まぁ、いっか」

 

 

光はそう呟きながら、自分の膝に乗っている猫を優しく撫でるのだった。

 

 

 

–––––––*–––––––

 

 

 

おまけ:帰り道

 

 

幸「そういやこの猫、前に俺が助けた奴じゃねーか」

 

茜「えっ? 幸ちゃんこの猫と会ったことあるの?」

 

幸「ああ。溺れてるとこ助けた」

 

光「あっ! 茜ちゃんが引ったくりを捕まえたニュースと一緒にやってたやつだね!」

 

茜「光! 思い出させないでよっ!!」

 

 




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