僕は、その間に西村先生を呼んで、Bクラスを引き渡す。
「鴉、すまないな。さっき、坂本から聞いたんだが……」
「いいえ、大丈夫でした。雄二に助けられたので、僕は無事です。貞操は」
「そうか、ならいいが。また、勉強の相談に乗ってやるからな」
「はい! またお願いします」
西村先生を見送って、明久たちの方を見たら、そこには——
暴力を振るう島田さんと、抵抗出来ずに無惨にやられる明久の姿が。僕は、止めることが出来なかった。激しい運動をしてはいけないと言われているから、見ることしか今は出来ない。
そういえば前に頼まれた、彼女にしたくないランキング上位に、島田さんの名前を書き加えた。それと、ある女子から情報提供するよう、手紙が来たから返事を書くことにした。
「……島田さん、そういうことするから明久の好感が低いんですよ。なんでも、暴力に訴えればいいというわけではありません。現時点では、彼女にすらなれませんから。言っときますけど、明久の彼女面は止めてください。そろそろ、教室に戻らないと、戦死させられますよ」
僕は側にあった台車に明久を乗せて、Fクラスに運ぶ。
時間を省いて、今僕は秀吉に支えられている。実は、台車に乗せた明久が重くて動かせなかった。幸い、近くを通りかかったEクラスの知り合いに運んでもらった。
「ハプニングはあったけど、今のところ順調ってわけだね」
「まぁな」
「鴉よ、大丈夫じゃったか?」
「まあ、大丈夫かな。まさか、明久が島田さんの暴力を振るわれているとは思ってなかったので」
僕は秀吉とお茶を飲みながら、たわいのない会話をする。
「…………(トントン)」
「お、ムッツリーニか。変わったことはあったか?」
どうやら、情報係として周囲を警戒していたらしい。隠密に優れた土屋なら、どんな情報でも見つけてくるだろう。
「ん? Cクラスの様子が怪しいだと?」
「…………(コクリ)」
「漁夫の利を狙うつもりか。いやらしい連中だな」
「雄二、どうするの?」
「んー、そうだなー」
時計を見ると、四時半。そんなに遅くない時間帯である。
「Cクラスと協定でも結ぶか。Dクラス使って攻め込ませるぞ、とか言って脅かしてやれば俺たちに攻め込む気もなくなるだろ」
「それに、僕らが勝つなんて思っていないだろうしね」
ん?確か、根本とCクラスの小山さんって、付き合っていなかったっけ。あ、そういえば言っていなかったなぁ。まあ、いいか。
「よし。それじゃ今から行ってくるか」
「そうだね」
「秀吉が念の為、ここに残ってくれ」
「ん? ワシは行かなくていいのか?」
「お前の顔を見せると、万が一の場合にやろうとしている作戦に支障があるんでな」
「よくわからんが、雄二がそう言うのであれば従おう」
秀吉が素直に引き下がる。その間僕は、足を動かして、歩けるか確認していた。そして、歩けることを確認した僕は、Cクラスに向かう。小山さんに頼まれた本を持って。
「小山さん、注文された本を届けに来たよー。あ、初回利用だから、合計450円になるよ」
「そう、わかったわ。でも、諦めかけていたのに、あんたに頼んでよかったわ」
「あはは、僕の店に置いていない本はありませんからー。最近では、色々な物も扱っていますから、またのご利用をお待ちしていますよ」
そう言って、僕はBクラスにいる幼馴染みに、会いに行こうとする。今頃、ハーレムを築いていなければいいのだけど。
そしたら、後ろから雄二の声がする。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。このクラスの代表は?」
「私だけど、何か用かしら?」
「Fクラス代表として、クラス間交渉に来た。時間はあるか?」
「クラス間交渉? ふぅん……」
「ああ。不可侵条約を結びたい」
ああ、雄二……それは罠ですよ。根本(笑)の卑怯な手段ですから。
「不可侵条約ねぇ……。どうしようかしらね、根本クン?」
「当然却下。だって、必要ないだろ?」
「なっ!? 根本君! Bクラスの君が、どうしてこんなところに!」
明久、それは二人で手を組んで、Fクラスを陥れるためですよ。僕は、さっき分かったんですけどね。だって、商品を渡す時に見えましたから。
「酷いじゃないか、Fクラスの皆さん。協定を破るなんて。試召戦争に関する行為を一切禁止したよな?」
「何を言って——」
「先に協定を破ったのはソッチだからな? これはお互い様、だよな!」