根本の言葉に、取り巻きが動く。その後ろにはさっきまで戦場にいた長谷川先生がいた。
「長谷川先生! Bクラス芳野が召喚を——」
「させるか! Fクラス須川が受けて立つ! 試獣召喚!」
雄二が攻撃されそうなところを、須川が身代わりになる。ファインプレイです、須川。
「僕らは協定違反なんてしていない! これはCクラスとFクラスの——」
「無駄だ、明久! 根本は条文の『試召戦争に関する一切の行為』を盾にしらを切るに決まっている!」
「ま、そゆこと♪」
「へ理屈だ!」
「へ理屈も立派な理屈の内ってな」
「明久! ここは逃げるぞ!」
「くそっ!」
明久たちは、戦闘を行っている須川に背を向けて、駆けていく。
『Bクラス 芳野孝之 VS Fクラス 須川亮
数学 161点 VS 41点 数学』
須川の犠牲を胸に、明久たちはFクラスまで逃げ延びた。さらば、須川よ。お前の犠牲は無駄になるかもしれないけど。
後ろからBクラスの数人が、明久たちを追いかけてきた。長谷川先生も一緒に来ているということは、須川は負けたようだ。
『いたぞ!っ Fクラスの吉井と島田だ!』
『ぶち殺せ!』
物騒なことをいう彼には、後日お返しをすることに決めた。
「Bクラス! そこで止まるんだ!」
「いい度胸だ。たった二人で食い止めようってのか?」
「いや、その前に長谷川先生に話がある」
明久はあえて、弱みを見せることで主導権を握られないように強い語調で話をする。
「なんですか、吉井君」
「Bクラスが協定違反していることはご存知ですか?」
教師である以上、協定違反に加担は出来ない。審判を務める人間としては当然である。
「話を聞くかぎり、休戦協定を破ったのは、Fクラスのようですね。そこで反撃を受けて、協定違反を訴えるのは、戦争云々以前に人としてどうかと思いますよ」
「…………」
「——そのことで、僕からお話があります」
僕は、明久たちの間を通って、長谷川先生の前に立つ。そして、反論を開始する。
「……今回のことで、一番疑問に思うのは、どうしてFクラスとCクラスの休戦協定を、Bクラスの根本が知っていたのでしょうか?」
僕の反論に、長谷川先生はおかしいことに気が付いた。
「次に、不可侵条約を結ぶのに、小山が根本に指示を仰ぐ必要はあるのですか? そして、Cクラスの教室にBクラスがいる時点で、Cクラスが先に協定を破っていることになりますけど、Bクラスの方、何か反論でもありますか? 納得の出来る反論をお待ちしてます。嘘だったら——どうなるか、お分かりですよね?」
「Bクラスの話を聞いていましたが、そのことについて、何も触れていませんね。Bクラスの皆さん、どういうことですか?」
「そもそも、休戦協定を言い出したのは……Cクラスのはずですが? Fクラスは、何も落ち度がありませんよ」
僕はBクラスに、ある写真を見せる。すると、彼らは顔を青くして自首に出た。
そして、西村先生に連れられて、補習室に向かっていく。
「——さて、言いたいことがあると思いますが、一先ずは教室に戻りましょうか」
「凄いよ! 鴉」
「そうよ! 何なの、あの話術は!?」
「どういうことだ? 明久たち、説明しろ」
雄二が言うと、二人はさっきの興奮が収まらないのか、雄二に詰め寄る。そして、詳しい話を聞いたのか、僕の肩を叩く。
「鴉、おまえの働きはFクラスに貢献したな。それにしても、どうして知ったんだ?」
「それは簡単です。なぜなら——Cクラスの小山とBクラスの根本は、付き合っていますよ? それに僕の情報網に、隠し通せるモノなんてありませんから」
僕の一言に、Fクラスの皆さんは、各々の手に武器を携えていた。そして、FFF団という集団になっている。うーん、何かマズいことでも言っちゃいましたかね? 横にいる秀吉は分かったのか、渋い顔をしていた。
「向こうがそう来るなら、こっちにだって考えがある」
「考え?」
「ああ。明日の朝に実行する。目には目を、だ」
そうして、この日は解散になり、翌日に持ち越しとなった。