バカと鴉と召喚獣   作:蒼書生

20 / 50
2014 12.08 一部修正


問18

「本来なら設備を明け渡してもらい、お前らには素敵な卓袱台をプレゼントするところだが、特別に免除してやらんでもない」

 

 

 雄二の言葉に、Fクラスの皆がざわざわと騒ぎだす。

 

 

「落ち着け、皆。前にも言ったが、俺達の目標はAクラスだ。ここがゴールじゃない」

 

「うむ。確かに」

 

「ここはあくまで通過点だ。だから、Bクラスが条件を呑めば解放してやろうかと思う」

 

 

 あくまでも、Bクラスの設備を狙って戦争していたんじゃない。むしろ、Aクラス戦までのただの準備である。

 

 

「……条件はなんだ」

 

「条件? それはお前だよ。負け組代表さん」

 

「俺、だと?」

 

「ああ。お前にが散々好き勝手やってもらったし、正直去年から目障りだったんだよな。お前の指示で、教室を荒らしに来たBクラスたちに、鴉は貞操を奪われそうだった」

 

「なんだと? 俺の鴉が、そんな目に遭っていただと!?」

 

 

 雄二の言葉に、竜樹は大声を出す。

 

 

「……竜樹」

 

「なんだい? マイハ……グハッ!」

 

「あはははは。ちょっと、廊下でお話してきますね」

 

 

 僕は竜樹を引きずって、廊下に出ていく。

 

 

「……そこで、お前らBクラスに特別チャンスだ」

 

「「「「「(流した!?)」」」」」

 

 

 全員が同じことを思ったのは、ここだけの話である。

 

 

「Aクラスに行って、試召戦争の準備ができていると宣言してこい。そうすれば今回は『死にさらせぇぇぇっ!!』……設備については許してやってもいい。ただし、宣戦布告はするな。すると、戦争は避けられないからな。あくまでも『変態野郎!』『もっと、罵ってくれぇぇぇっ!!』……戦争の意思と準備があるとだけ伝えるんだ」

 

 

 雄二が言う度に、挟まるように鴉と竜樹の声が聞こえる。度々、何か恐ろしい音も聞こえてくる。一体、廊下で何が起こっているのだろうか。いや、知らなくてもいいことである。

 

 

「……それだけでいいのか?」

 

「ああ。Bクラス代表がコレを着て、言った通りに行動してくれたら見逃そう」

 

 

 そう言って、雄二が取り出したのは、さっき秀吉が着ていた女子の制服だった。

 

 

「ば、馬鹿なこというな! この俺がそんなふざけたことを……!」

 

『Bクラス生徒全員で、必ず実行させよう!』

 

『任せて! 必ずやらせるから!』

 

『それだけで教室を守れるなら、やらない手はないな!』

 

 

 Bクラスの仲間たちからの温かい声援。根本が、いかに嫌われているのか分かる。

 

 

「んじゃ、決定だな」

 

「くっ! よ、寄るな! 変態ぐふぅっ!」

 

「とりあえず黙らせました」

 

「お、おう。ありがとう」

 

 

 代表を見限り、腹部に拳を叩き込んだBクラスの男子。その変わり身には、雄二も驚いていた。

 

 

「では、着付けに移るとするか。明久、任せたぞ」

 

「了解っ」

 

 

 ぐったりとして動けないのをいいことに、明久は根本の制服を脱がしにかかる。

 

 しかし、男の制服を脱がすなんて、この上ないほどに苦痛である。

 

 

「う、うぅ……」

 

「ていっ!」

 

「がふっ!」

 

 

 起きそうな根本に腹部に、更なる追加攻撃を入れる。ようやく、制服を脱がし終わり、女子の制服を着せようとする。

 

 

「うーん……。これ、どうするんだろう?」

 

 

 そう、男の制服と違って、女子の制服は着方が分からない。

 

 

「私がやってあげるよ」

 

「そう? 悪いね。それじゃ、折角だし可愛くしてあげて」

 

「それは無理。土台が腐っているから」

 

 

 酷い言いようだと思う。

 

 

「じゃ、よろしく」

 

「……ただいま。ちょっと、私用で抜けていたよ」

 

 

 そう言ったものの、体に付いた血はべっとりと、且つ滴らせている。

 

 

「か、鴉……」

 

「あ、ごめん。拭いていなかったね。今、拭いてくるから」

 

 

 うっかり、僕は血を拭くのを忘れていた。これも全部、竜樹が悪い。

 

 なんだかんだで、時間は進んでいく。そして、次の日にAクラス戦が待ち受けている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。