バカと鴉と召喚獣   作:蒼書生

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2014 12/08 一部修正


問25

 ガクガクと、僕の肩を揺らすのは誰だろう? ああ、秀吉か。今日も可愛いなぁ。

 

 

「秀吉……、モヒカンになった僕でも、好きでいてくれるかい……?」

 

「……どういう処理したら、瑞希の転校からこういう反応が得られるのかしら」

 

「ある意味、希有な才能かもしれんのう」

 

「明久、検討違いなこと言ってますよ。このままだと、姫路さんが転校しちゃうということです」

 

 

 ……はっ!? いけない、ちょっとトんでた!

 

 

「ちょっと待て! 鴉、どういうことだよっ!」

 

「言葉の通りですけど?」

 

「(そうだった……。鴉は天然だ!)」

 

 

 僕はうっかり忘れていた。てか、美波が聞き逃せないこと言っていたような?

 

 

「美波! 姫路さんが転校って、どういうことさ!」

 

「どうもこうも、そのままの意味。このままだと、瑞希は転校しちゃうかもしれないの」

 

 

 僕の予想は当たっていた。転校。そう、Fクラスの環境は、姫路さんのご両親には到底受け入れられない。周りは学力の低いバカ(一部を除く)と、老朽化した汚い教室。そりゃ、転校させられそうですよね。

 

 

「そういうことなら、なんとしても雄二を焚き付けてやるさ!」

 

「そうじゃな。ワシもクラスメートの転校と聞いては黙っておれん」

 

「それじゃ、まずは雄二に連絡を取らないとね」

 

 

 明久はポケットから携帯を取り出し、雄二に連絡を取り始める。その間、僕はどこかに電話をする。

 

 

「あ、もしもし、鴉です。先生に伝言があるのですが……。はい、それではお伝えください。実はですね――」

 

 

 僕が通院している病院に電話をする。清涼祭を楽しみたいから、期間中に行くはずの予定を変更してもらうように言う。

 

 

「――そういうことです。それでは、ご検討の方をお願いします」

 

 

 電話を終えた頃には、明久たちも何かを考えていた。

 

 

「——相手の考えを読めるのは、なにも雄二だけじゃない」

 

 

「何か、考えがあるようじゃな」

 

「まぁね」

 

 

 明久はニヤリと笑って、教室を出て行く。

 

 悪い予感がして、僕は急いで職員室に向かう。明久たちに勝てるのは、西村先生しかいない!

 

 

「やぁ、雄二。奇遇だね」

 

「……どういう偶然があれば、女子更衣室で鉢合わせするのか教えてくれ」

 

 

 ここは体育館にある女子更衣室。男子禁制の場所に、明久と雄二はいた。

 

 

「やだな。ただの偶然だよ」

 

「嘘つけ。こんな場所で偶然会うワケが」

 

 

 ガチャッと、音を立てて開いたドアの向こうには、制服姿の女子が立っていた。

 

 

「えーっと……あれ? Fクラスの問題児コンビ? ここ、女子更衣室だよね?」

 

『西村先生! 明久が雄二に巻き込まれて体育館の女子更衣室にいます! ただちに、雄二を捕まえてください』

 

『また坂本だと!? また、明久を巻き込むとはっ!』

 

 

 あの密告は、鴉だと!? まさか、俺の邪魔をするとは。だが、ここは逃げねぇと! 相手は鉄人。捕まったら最後、生きて帰ることはできないからな。

 

 

「見つけたぞ! 雄二、逃がすか!」

 

 

 後方から野太い声が近付いてくる。くそっ! もう追いついてきたか!

 

 

「明久!」

 

 

 隣を走る明久は俺の視線の先に気づく。前方の新校舎二階に開け放たれた窓に、この時だけは発揮する運動神経で入る。

 

 

 俺は壁を蹴って跳んで、明久の制服を掴む。

 

 

「よいしょおっ!」

 

 

 その瞬間、一本釣り。ビッと制服から嫌な音がしたが、俺は無事に校舎内に侵入できた。

 

 

『坂本! 明日は逃がさんぞ!』

 

 

 流石に、鉄人も独力で二階には来られないみたい。だから、悔しそうな遠吠えが響いてきた。

 

 とまあ、彼らのことはどこかに捨てておきましょう。

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