バカと鴉と召喚獣   作:蒼書生

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続きなのかな

2014 12.08 一部修正


VS Aクラスとの試験召喚戦争編
問1


【第一問】 科学

 問 以下の問いに答えなさい。

『調理の為に火にかける鍋を製作する際、重量が軽いのでマグネシウムを材料に選んだのだが、調理を始めると問題が発生した。この時の問題点とマグネシウムの代わりに用いるべき金属合金の例を一つ挙げなさい』

 

 

姫路瑞希の答え

『問題点…マグネシウムは炎にかけると激しく酸素と反応する為、危険である点。

 合金…ジュラルミン』

教師のコメント

正解です。合金なので『鉄』では駄目という引っ掛け問題なのですが、姫路さんは引っかかりませんでしたね。

 

 

鴉の答え

『問題点…マグネシウムは炎にかけると激しく酸素と反応する為、危険である点。

 合金…鉄』

教師のコメント

問題点の方は正解です。しかし、合金の方は引っ掛け問題なので間違えてしまいましたね。

 

 

土屋康太の答え

『問題点…ガス代を払っていなかったこと』

教師のコメント

そこは問題じゃありません。

 

 

吉井明久の答え

『合金の例…未来合金(←すごく強い)』

教師のコメント

すごく強いと言われても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西村先生の言葉に、確かに我慢しないといけないことを再認識した。この教室は、なんでも扱いが酷いと思うけど、僕にはどうすることも出来ない。0点扱いだから。

 

 これから、過ごす仲間たちと仲良くしていかないと学園生活を楽しく過ごせない。勇気を出して、ドアを開けると待っていたのは僕を罵る言葉だった。

 

 

「早く座れ、ウジ虫野郎」

 

「ううっ…。酷いよ、僕はウジ虫じゃないのに! うわあぁぁぁぁぁん!」

 

 

 僕は悲しくなって、泣き出してしまった。こんな罵倒、初めてだよ!

 

 

「雄二、悪口を言うのはどうなんじゃ?」

 

「そうよ。ほら、泣いているんじゃないのよ。謝って」

 

 

 そう言って、秀吉と女子が援護してきた。

 

 

「すまん。てっきり、明久かと思って罵ってしまったんだ」

 

「えっぐ…。僕を罵ったんじゃ、ないんだね?」

 

「ああ、そうだ」

 

 

 どうやら、あれは僕に言ったんじゃなかったみたい。謝ってもらったから、許してあげた。

 

 

「ほら、わしの席の隣に座るんじゃ」

 

「うん、ありがとう」

 

 

 僕は秀吉の隣に座った途端、ドアが開かれ、雄二と呼ばれる男子が罵ってきた。

 

 

「早く座れ、ウジ虫野郎」

 

「……雄二、何やってんの?」

 

「先生が遅れているらしいから、代わりに教壇に上がってみた」

 

「先生の代わりって、雄二が? なんで?」

 

「一応このクラスの最高成績者だからな」

 

 

 雄二と明久のやり取りを聞いていたら、先生が来たみたい。この覇気のない声が、もしかして…福原先生だ。

 

 

「えーと、ちょっと通してもらえますかね?」

 

 

 寝癖のついた髪にヨレヨレのシャツを着た、冴えない感じの福原先生だった。

 

 

「席についてもらえますか? HRを始めますので」

 

「はい、分かりました」

 

「うーっす」

 

 

 二人が席に着いたのを確認したのか、ようやく始まった。

 

 

「えー。おはようございます。二年F組担任の福原慎です。よろしくお願いします」

 

 

 そう言って、黒板に書こうとして、チョークを探すがないので、やめた。色々と待遇の違いがあり、Aクラスの方が一番待遇がいい。だけど、Fクラスは全てが古くさい。

 

 

「皆さん全員に卓袱台と座布団は支給されていますか? 不備があれば申し出てください」

 

 

 その言葉を皮切りに、皆は不備を申し立てる。あれ? 僕のだけ、高級な卓袱台とふかふかの座布団だ。どうして、なんだろう。

 

 

「せんせー、俺の座布団に綿がほとんど入っていないです!」

 

「…我慢してください」

 

「先生、俺の卓袱台の脚が折れています」

 

「木工ボンドが支給されているので、自分で直してください」

 

「センセ、窓が割れていて風が寒いんですけど」

 

「分かりました。ビニール袋とセロハンテープの支給を申請しておきます」

 

 

 次々と出てくる不備をあしらう、福原先生はかっこいいと思う。去年は、僕に分かりやすく教えてくれたから。

 

 

「必要な物は、極力自分で調達してください。では、自己紹介でも始めましょう。廊下側の人からいきましょう」

 

 

 福原先生の指名を受け、廊下側から始まる。

 

 

「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。今年一年、よろしく頼むぞい」

 

 

 お!秀吉は演劇部だったんだ。知らなかったなぁー。

 

 

「…………土屋康太」

 

 

 口数が少ないみたい。それと、ムッツリ商会を経営しているみたい。あとで、聞いてみようと。

 

 

「島田美波です。海外育ちで、日本語は会話はできるけど読み書きが苦手です。でも、英語も苦手です。育ちはドイツだったので。趣味は――吉井明久を殴ることです☆」

 

 

 怖い! この人は危険だ。いつか、犯罪者になるよね!?

 

 明久の紹介も終わって、ようやく僕の番が来たみたい。立ち上がり、言う。

 

 

「僕は鴉です」

 

 

 そう言った途端、教室は静まりかえった。

 

 

「……彼はちょっとした事情で、鴉と名乗っています」

 

「なんで、ですかー」

 

「……説明してください」

 

「はい。僕は――両親の育児放棄によって、名前すら付けてもらえませんでした。両親は自殺して、今は親戚の人たちに助けてもらいながらペットの烏たちと一人暮らしをしています」

 

 

 中々に重い事情に、皆は唖然としてしまった。まあ、まさか近くにいる人が育児放棄されていたとは思わなかったんだろう。

 

 

「だから、名前は鴉と言います」

 

 

 そう言って、座る。

 

 

 不意にドアが開いて、息を切らせた女子生徒が現れる。

 

 

「あの、遅れて、すいま…せん……」

 

「「「えっ?」」」

 

 

 クラス中が騒がしくなる。まあ、普通はびっくりするだろうね。

 

 

「丁度よかったです。今自己紹介をしている最中なので、姫路さんもお願いします」

 

「は、はい! あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします…」

 

 

 小柄な身体をさらに縮こめるように、声を上げる姫路さん。

 

 

「はいっ! 質問です!」

 

「あ、はいっ。なんですか?」

 

「なんで、ここにいるんですか?」

 

 

 その言葉は、聞きようにとっては、失礼にあたる質問だった。

 

 彼女は容姿も一目につくほどで、テストの点も常に一桁以内に入っているほどである。

 

 

「そ、その……振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして…」

 

 

 文月学園の振り分け試験は、難しく出される問題数は多い。それに、試験の最中の退席は無条件で0点扱いにされる。それほどに、厳しいテストである。

 

 

 そんな姫路さんの言い分を皮切りに、クラスの皆に言い訳が上がる。

 

 

「そう言えば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに」

 

「ああ、科学だろ? アレは難しかったな」

 

「俺は弟が事故に遭ったと聞いて、実力を出し切れなくて」

 

「黙れ、一人っ子」

 

「前の晩、彼女が寝かせてくれなくて」

 

「今年一番の大嘘をありがとう」

 

 

 想像以上に、バカだらけだった。

 

 

「そんな言い訳を言う時点で、バカだね」

 

「鴉よ、それは天然なのじゃ?」

 

「うん?」 

 

 

 僕の一言が、皆の心に突き刺さる。

 

 

「で、ではっ、一年間よろしくお願いしますっ!」

 

 

 そう言うと、瑞希は逃げるように席に向かう。席に着くなり、安堵の息を吐いて卓袱台に突っ伏す姫路さん。

 

 どうやら、明久は姫路さんに聞きたいことがあるみたい。僕も近付いてみた。

 

「あのさ、姫――」

 

「姫路」

 

 

 タイミングが悪かったらしく、遮られてしまう。

 

 

「は、はいっ。何ですか?ええと…」

 

「坂本、坂本雄二。ところで、体調が悪いのか?鴉も」

 

「ええと…」

 

「んんー」

 

「あ、それは僕も気になる」

 

 

 明久が割り込むように、口を挟む。

 

 

「よ、吉井君!?」

 

「明久が不細工ですまん」

 

「目もパッチリして、顔もラインも細くて綺麗だし、全然不細工ではありません! その、むしろ…」

 

「確かに見てくれは悪くないな。そう言えば、知人にも明久に興味を持つ奴が居たな」

 

 

 その言葉に、姫路さんが興味を示す。

 

 

「えっ? それは――」

 

「そ、それって誰ですかっ!?」

 

 

 姫路さん、明久が落ち込んでいるんですが…。

 

 

「確か。久保――利光だったかな」

 

 久保利光→♂(性別/オス)

 

 

「…………」

 

「おい、明久。さめざめと泣くな」

 

 

 パンパンと、教卓を叩いて注意する福原先生。

 

 

「そこ、静かにしてくださ…」

 

 

 バキィッ バラバラバラ……

 

 

「……替えを用意してきます。待っていてください」

 

 

 そう言って、福原先生は出て行く。

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