バカと鴉と召喚獣   作:蒼書生

31 / 50
未投稿の続き、問29~問44を少し書き直していました。
久しぶりですね、ごめんなさい。


問29

【第三問】 清涼祭アンケート

 学園祭の出し物を決める為のアンケートにご協力ください。

『喫茶店を経営する場合、制服はどんなものがいいですか?』

 

 姫路瑞希の答え

『家庭用のエプロン』

 教師のコメント

 いかにも学園祭らしいですね。コストも掛からないですし、良い考えです。

 

 鴉の答え

『すみません。そのアンケートは、黙秘権を行使させていただきます』

 教師のコメント

 まだ、何が言われたんですか? いや、もしかして……。

 

 土屋康太の答え

『スカートは膝下15センチ、胸元はエプロンドレスのような若干の強調をしながらも品を保つ。色は白を基調とした薄い青が望ましい。トレイは輝く銀で照り返しが得られるくらいのものを用意し、裏にはロゴを入れる。靴は5センチ程度のヒールを――』

 教師のコメント

 裏面にびっしりと書き込まなくても。

 

 吉井明久の答え

『ブラジャー』

 教師のコメント

 ブレザーの間違いだと信じます。

 

 

 

 

 僕は、教室に向かう。清涼祭前日まで、学園長から用事を言い渡され、遅くまで奔走していた。

 

 

「人使いが荒いなぁ……。僕は便利屋じゃないのに」

 

 

 学園長の用事とは、召喚大会のステージを初日までに用意してほしいといったもの。どうして、一週間前に思い出したように言うんだよ。一ヶ月前なら分かるのに。しょうがないから、予算から設計、果ては工事まで進めてきた。業者の方たちには、本当に頭が上がらない思いをした。

 

 教室のドアを開けて、中に入ると雄二が――三途の川で揉めていた。

 

 

「……また、やったんですね。早くしないと、マズいことになりますよ」

 

 

 僕はそう言って、雄二の顔を引っ叩く。遅ければ、どうなっているか分からない。

 

 

「雄二、起きてください。船頭さんは、善悪が厳しいので、雄二だと高額なお金を取られますよ」

 

「鴉? どうして、そんなことを知っているの!?」

 

「……世の中には、知らない方がいいこともありますから」

 

 

 それでも起きない雄二。このままじゃ、マズいことになりそう。

 

 

「そろそろ、喫茶店の準備していますね。それまでに、起こさないと遅れますよ?」

 

「あっ! 雄二、召喚大会が始まるよ!」

 

「明久。耳元で『また、姫路の団子を食べさせられたいの?』と囁いてみて」

 

「うん、分かった!」

 

 

 教えた通りに実践する明久。すると、雄二はムクっと起き上がった。

 

 

「喫茶店の準備中だけど、そろそろ召喚大会の時間でしょう?」

 

「おう、そうだったな。サンキュー、鴉」

 

「いえいえ、ぜひとも勝ってもらないと、売り上げも上がりませんから」

 

 

 僕はそう言って、トレーを持ち上げる。これに乗せて、お客の下へ運んでいくことになるから、重さを確認する。

 

 うん、ちょっと重いかも。でも、まだ持てる重さだから良かった。よし、仕事を頑張るかな。

 

 

「あ、いらっしゃいませ! お一人様ですか? では、こちらのお席になります」

 

 

   *

 

 

 先生の言葉と共に始められるのは、校庭に作られた特設ステージで行われる召喚大会。ステージの一カ所には、烏書房協賛と書かれていた。

 

 一回戦、僕たちの相手は二人の女子である。あれ? 前に、どこかで見たことがあるような……? 

 

 

「では、召喚してください」

 

「「試験召喚っ!」」

 

 

 喚び声をあげると、僕らにはお馴染みの魔方陣が足下に現れ、デフォルメされた試験召喚獣が喚びだされた。

 

 

『Bクラス  岩下律子  &  Bクラス   菊入真由美

  数学   179点  &  163点』

 

 

 一般的な装備の召喚獣だ。西洋風の鎧と剣を持って、ここに現れた。

 

 

「さて、僕らも召喚しようか」

 

「そうだな」

 

「「試験召喚」」

 

 

 現れる僕らの召喚獣。僕の召喚獣は相変わらずの改造制服と木刀を装備している。一方、神童とまで謳われた我らが代表の召喚獣は――

 

 

「……素手?」

 

 

 何も持っていないように見える。目に見えない剣だとか?

 

 

「馬鹿が。よく見ろ」

 

 

 雄二が召喚獣を動かし、拳を掲げてみせる。

 

 

「メリケンサックを装備しているだろ?」

 

「ざ、雑魚だ! 雑魚がいる!」

 

 

 なんて弱そうな召喚獣なんだ。装備がメリケンサックなんて、他の召喚獣には一体もいなかったぞ。

 

 

「行くわよ、修学旅行のお土産コンビ」

 

「律子、違うよ。チンピラコンビだよ」

 

 

 僕らの召喚獣は木刀&メリケンサックを手にした改造制服のコンビだ。もはや、何を言われても否定できない。

 

 

『Fクラス 坂本雄二  &  Fクラス  吉井明久

  数学  179点  &  63点』

 

 

 僕らの点数が参考として表示される。

 

 

「!? ゆ、雄二!』

 

「なんだ」

 

「どうして、そんな点数になってるの!?」

 

 

 179点なんて、Bクラス並の点数だ。バカのはずなのに! バカのはずなのに!

 

 

「前回の試召戦争以来、鴉に『代表なのに、そんな点数は恥ずかしいから、勉強してもらうよ』と言われたんだ!」

 

 

 何故か、苦々しい表情で告げる雄二。

 

 こんな短期間で、ここまで伸びるとは。さすが、神童と呼ばれただけのことはある。

 

 

「でも、それだけで?」

 

 

 雄二は『勉強なんてできなくてもやっていける』ということを証明したくてAクラスに勝負を挑んだはずだけど。それを覆してでも負けられない理由があるのだろうか?

 

 

「鴉に言われたんだ」

 

「何を?」

 

「……『霧島さんと、どこで式を挙げたいですか?』と」

 

 

 か、鴉……。さすがに、僕も怖くなるよ。

 

 

「俺は負けられない! 次で勝たないと、俺の人生は! 俺の人生は……!」

 

「雄二、落ち着いて! きっと幸せな家庭を築けるから!」

 

 

  暴れそうな雄二を羽交い締めにする。

 

 なるほど。道理で雄二が勉強するわけだ。

 

 

「そろそろ、開始してもらえますか?」

 

「あ、すみません。もう大丈夫ですから。ホラッ」

 

「婿入りは嫌だ……。霧島雄二なんて御免ほごぁっ! はっ!?」

 

 

 とりあえず、殴って正気に戻す。壊れた雄二の修理法、その2だ。

 

 

「若干不安がありますが、とにかく始めてください」

 

 

 そう告げて、木内先生は若干距離を取る。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。