「例の連中って、あの常夏村コンビ? まさか、そこまで暇じゃないでしょ」
「どうだかな。ひとまず様子を見に行く必要があるな」
「そうだね。少なくとも、噂がどこから流れて、どこまで広がっているのかを確認しないと」
「お兄ちゃん、葉月と一緒に遊びにいこっ」
葉月ちゃんは嬉しそうにはしゃいで、明久の手を握る。やっぱり、明久はフラグを立てているしか思えない。それも、かなり危ないフラグである。いつか、明久が殺されるんじゃないかと思うほどに、やられているから、
島田さんを応援するのは止めようかな。照れ隠しなのか、イラついたからなのか、明久の関節を逆方向に曲げている。その前だって、あれだけボコボコに殴っておいて、何もなかったかのように話しかけているから、明久のことが嫌いなんだと思う。
「えっとですね……短いスカートを穿いた綺麗なお姉さんが一杯いるお店――」
「なんだって!? 雄二、それはすぐに向かわないと!」
「そうだな、明久! 我がクラスの成功のために、(低いアングルから)綿密に調査しないとな!」
聞いた瞬間、二人は全力ダッシュしていく。どうして、そこまで全力で生きていくんだろう。
「アキ、最低」
「吉井君、酷いです……」
「お兄ちゃんのバカ!」
姫路さんたちは、口々に明久を罵倒する。まあ、確かに女子を放っといて行ってしまうのは酷いと思いますね。
コンコンとノックされ、竜樹が顔を覗かせてきた。珍しく、真面目な表情をしている。
「鴉、Aクラスで昼食でもどうか?」
「どうしたの? 珍しいね、いつものアレを言わないなんて」
「お前が三年に恥ずかしい目に遭わされただろ? だから、心配だから一緒についてきてやる」
「……ありがとう」
僕はそう言って、竜樹と一緒にAクラスに向かう。昔からの親しい仲だと側にいるだけで落ち着く。
*
「三人共、何をしているの? 営業妨害だから、早くどいてほしいんですけど」
「か、鴉! どうして、ここに?」
「ああ、隣の奴は……Bクラスか」
「…………!!(パシャパシャパシャパシャ!)」
駄目だ。約一名、さっきから撮り続けているんだけど。どう見ても、盗撮しているようにしか思えない。これで、敵情視察とか言うなら、呆れるよ。
そうこうしているうちに、島田さん達も来たみたい。
「Aクラスの喫茶で、昼食でも食べようかと思って。竜樹は……その、あの三人に会った時に助けてもらおうと思って、ね……」
「……鴉、思い出さない方がいい」
「あの三人が、ぼ、僕を脱がして……っ!」
僕は耐えきれず、Aクラスに入る。竜樹も、その後を追って入った。明久も雄二を引きずって、入ってきた。
入り口の近くで、霧島さんが立っていた。
「……お帰りなさいませ、ご主人様」
そう言って、出迎えてくれた。まあ、霧島さんのために雄二の情報をリークしているんだけどね。それは放っておいてもいいか。
「……お帰りなさいませ。今夜は帰らせません、ダーリン」
その後に聞こえたのは、雄二だけ大胆にアレンジされた出迎え。わーお、霧島さんったら大胆ですねー。
「お席にご案内いたします」
霧島さんが歩き出したので、僕たちもついていく。
竜樹は、さっきから僕を見ているんだけど。何か、ついているのかな? それとも、心配しているのかな?
「……では、メニューをどうぞ」
霧島さんが立派な装丁のメニューを渡してくれた。これも、僕が協力して作ったから最高の出来である。Aクラスだから、立派な装丁にしてくれと言われた時は、デザインに悩んだよ。