バカと鴉と召喚獣   作:蒼書生

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問36

「――これより、四回戦を始めますので、出場者は前へ上がっていただけますか」

 

 

 僕はマイクを持って、ステージで審判を務める。周りは、見学者で席が埋まっている状態だ。

 

 

「なるほど。これなら宣伝効果は抜群だね」

 

「そうだな。しかも、今回は出場メンバーが全員Fクラスだ。文句のつけようもない宣伝の機会だ」

 

 

 辺りを見渡して、明久たちは頷き合っている。

 

 

「そんなワケでだから二人とも、しっかり宣伝よろしくね」

 

 

 そんな明久の言葉に、姫路さんは服の裾を押さえながら俯いている。

 

 そろそろ、試合を始めないと見学者たちがイライラしてしまう。だから、僕はマイクを持って喋り始める。

 

 

「……あの、そろそろ始めていいですか?」

 

「か、鴉がどうしてここにいるの!?」

 

「すみませんが、今から試合を始めるんですよ? 早く、召喚してくれませんと」

 

「あっ、はい。それじゃあ――」

 

 

 

「「「「試獣召喚!」」」」

 

 

 

 明久たちの声が揃い、それぞれの足下に魔方陣が現れる。

 

 この様子に、観客席からは小さい歓声が上がる。この試合から見始めた人にしてみれば、これだけで充分に物珍しい光景になる。

 

 本命の召喚獣が姿を現した。いつものデフォルメサイズの明久たちである。

 

 ちなみに、まだ点数表示はされていない。今回の大会のために、大型ディスプレイを設置した関係で、情報処理が追いつかないらしい。

 

 

「では、そこの生徒さん。何か、あるんでしょう?」

 

「――ああ。鴉、マイクを貸せ」

 

「はいはい、ちゃんとしてね」

 

 

 僕は雄二にマイクを貸して、一歩下がる。雄二たちの宣伝に、審判役の僕はいらない。だから、一歩下がったわけ。

 

 

『清涼祭にご来場の皆様、こんちには』

 

 

 雄二の言葉に明久は意図が分かったのか、姫路さんたちに話しかけて、整列した。

 

 

『ここにいる僕ら四人は、本格飲茶を提供する二―Fの中華喫茶で働いています。このように可愛らしい女子も一生懸命頑張っていますので、よろしければどうぞお立ち寄りください』

 

 

 そして、雄二が丁寧にお辞儀をすると、明久たちも頭を下げてお辞儀をする。

 

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

 

 その言葉と一緒に、召喚獣もぺこり、と動きを揃える。

 

 

「鴉、マイクを返す」

 

『――ということで、ご見学の皆様の中にお時間に余裕がありましたら、出場選手たちがいる二―Fに立ち寄ってみてください』

 

 

 僕は次の言葉を言う。

 

 

『さて、CMが終わりましたので、いよいよ召喚大会の始まりです。Fクラスの四人とも、いい試合をお願いします』

 

 

 そのまま、ステージの端まで下がる。

 

 

「アキに坂本。ここまで、よく勝ち残ってきたわね。でも、ウチらに勝てるとは流石に思っていないでしょう?」

 

 

 島田さんは余裕の笑みを浮かべ、主に明久を見ている。まあ、三年生が受験のために殆ど参加していないのも理由なのだろう。

 

 

「甘いな、島田。お前たちは確かに優勝候補だが、それゆえに勝ちあがってくることは簡単に予想出来た。それなら、対策はいくらでも打てるというものだ!」

 

 

 雄二は大型ディスプレイを指差し、自信満々に応える。何か、作戦でもあるのだろうか。

 

 

 

『Fクラス  姫路瑞希  &  Fクラス  島田美波

 古典    390点  &         6点』

 

 

 

「こ、古典!? 四回戦は数学じゃなかったの!?」

 

 

 狼狽する島田さん。ドイツ帰りの彼女には、古典は鬼門だったようだ。

 

 

「お前らに渡した対戦表だが――」

 

 

 悪者の笑みを浮かべる雄二。あくどい手段で、相手を混乱に陥れる。

 

 

「アレは俺の手作りだ」

 

「だ、騙したわねっ!」

 

 

 とおりで、学園長が対戦科目について考えていたんだ。……雄二、それはほどほどにしてね。後で、しっぺ返しが返ってくるから。

 

 

「くはははは! これで勝負はほとんど二対一! 俺たちの勝ちは貰ったようなものだな、明久」

 

「その通りだよ、雄二! 6点しか取れていない美波の召喚獣なんて、はっきり言っていないも同然さ!」

 

「くっ! なんて卑怯な連中なの!」

 

 

 悔しそうに呻く島田さんをよそに、ディスプレイには明久たちの点数も表示された。

 

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