夜勤に入っていたので、ちょっと忘れてまして……。
ちなみに、同級生の親と話し合うくらいには付き合いがあります。
僕と暴徒
今日もいい朝だと思う。ただし、横で笑っている竜樹がいなければの話だけど。前から思っていたのだけど、どうして僕の生活を知っているの?
「よお、鴉。さっきから怯えているが、何かあったのか?」
「……ねえ、本当に分からないの? 僕、竜樹に生活を知られているの怖いよ」
「何言ってんだ? 俺は予測で動いているだけだぞ?」
「えっ」
あれ? 僕は何を聞いたんだろう……。予測だけで動けるの、竜樹だけだよ。ご両親は竜樹の教育を間違えている気がする。どんどん人間離れしていくのを、近くで見続けていくなんて無理だよ。
*
廊下で竜樹と別れて、僕はF教室に入る。やけに動揺している明久を見かけて、不思議に思っていた。なんでだろう?
チャイムが鳴ると同時に西村先生が入ってきて、出席を取り始めた。時間に正確で、凄いと思う。
「工藤」「はい」「久保」「はい」「近藤」「はい」「斎藤」「はい」
毎日の恒例行事だけど、朝は眠くてしょうがない。春の陽気な中、静かな教室で穏やかな日常が――
「坂本」「…………明久がラブレターを貰ったようだ」
その一言で教室は殺気に満ちる。一部を除いた皆は、自分の周りにラブレターがないか探す。怒号が飛び交い、妬みに狂う彼ら。
「お前らっ! 静かにしろ!」
西村先生の一括で静寂は戻り、出席が再開された。
「それでは出欠確認を続けるぞ」
出席簿を捲る音が響く。
「手塚」「吉井コロス」「藤堂」
「吉井コロス」「戸沢」「吉井コロス」
「皆落ち着くんだ! なぜだか返事が『吉井コロス』に変わっているよ!」
「吉井、静かにしろ!」
西村先生。それはないですよ。そこは「吉井、少し黙れ」だと思います。
「鴉もヒドイよ! 君も皆に染まったの!?」
「新田」「吉井コロス」「布田」「吉井マジ殺す」「根岸」「吉井ブチ殺す」
「よし。遅刻欠席はなしだな。今日も一日勉学に励むように」
そう言って、出席簿を閉じて教室を後にしようとする。何も動じないのも凄いなぁ。
僕は何も聞かなかったフリをして、竜樹から届いたメールを開く。そこにはやたらと長文に渡って、細かく一日の生活が書かれていた。僕はメールを削除して、返信をする。
「鴉君、お話があるんですが……」
「ん? あ、いいですよ」
僕は携帯を閉じて、キャリーバッグにしまうと振り返る。
「あ、あの……」
「もしかして、ラブレターの事ですか?」
「そうなんです。私、明久君にラブレターを出したんですが、皆さんに見られるのが恥ずかしくて……」
「大丈夫ですよ、こちらにあります」
「ど、どうして持っているんですか!」
僕はダンボールから取り出した姫路さんのラブレターを見せる。あらかじめ、すり替えておきました。
「多分来ると思って、用意してました。姫路さんが見られたくないだろうと、すり替えておきましたので、こちらはお渡しします」
「鴉君、ありがとうございます!」
「ちなみに、明久の持っているラブレターは白紙です。なので、別にあれはどうなっても大丈夫です」
僕は授業の用意をしながら言う。その瞬間、ドアが開いて世界史の田中先生が入ってきた。
「授業でs……君たちだけですか?」
「……すみません。皆さん、ちょっと醜い嫉妬に駆られています」
「……すみません。自信が無くなったので、この時間は自習にします」
そう言って、田中先生は落ち込んで行ってしまった。どうしよう、自信を無くしてしまっている。やっぱり、Fクラスはバカだったか。
後日、西村先生によってFクラスは補習をする事になった。無論、逃げられないように監視役の先生がいる。西村先生と高橋先生のダックで。点数の高い高橋先生と、Fクラスを抑えられる西村先生。これは怖いね。