2014 12.08 一部修正
秀吉率いる先攻部隊と明久率いる中堅部隊、そして本陣にいる雄二率いる本隊の三部隊がある。誰も欠けることなく、生き残ってほしいけど、そうも言っていられない。
僕と姫路さんは試験を受けている。召喚獣を動かすのに、テストの点が必要だから。一教科を10分単位で解いていく。姫路さんもテストを解くスピードが速い。これは、負けていられない。
『アンタの指を折るわ。小指から順に、全部綺麗に』
『そ、それよりホラ、試召戦争に集中しないと!』
何やら、物騒な事を言う島田さん。凄く、危ないのは気にせい?
「鴉、テスト解くの速くないか?」
「んー、問題文さえ読めば答えは分かるよ?」
「それは、お前しか出来ないだろ」
問題文を読めば、自ずと答えが分かると思うけど。これって、僕だけ?
そんな事を考えていたら、悲痛な叫びが聞こえた。何か、恐ろしい事でも起きたみたい。
『さぁ来い! この負け犬が!』
『て、鉄人!? 嫌だ!補習室は嫌なんだっ!』
『黙れ! 捕虜は全員、この戦闘が終わるまで補習室で特別講義だ! 終戦まで、何時間かかるかわからんが、たっぷりと指導してやるからな』
『た、頼む! 見逃してくれ! あんな拷問耐えきれる気がしない!』
『拷問? そんなことはしない。これは立派な教育だ。補習が終わる頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮金次郎。といった理想的な生徒に仕立て上げてやろう』
『お、鬼だ! 誰か、助けっ……イヤァァ――(バタン、ガチャ)』
西村先生、充分恐れられているんですね。容赦ない補習、ご苦労さまです。
「……雄二、西村先生があんな調子なんですか?」
「ん? ああ、鴉はAクラスにいたから知らないか。鉄人は、いつもあんな調子で捕まえてくる」
僕はやっていたテストを、途中で止めてしまった。知らなかった、僕には優しかったから。そしたら、横田君が来て、雄二に報告する。
「代表、中堅部隊の動きがおかしい模様」
「なら、今から言う伝言を伝えろ」
「あ、僕からもあります。『逃げたら、西村先生とのランデブーが待っているよ(笑)」
「「うわ…。こいつ、えげつない性格してる。これで、天然かよ…」」
「侵害ですね。これでも、えげつなくない方ですよ?」
それを言って、テストに集中する。隣を見れば、姫路さんが苦戦しているみたい。
いつの間にか、横田君は伝言を伝えに向かったみたい。
まあ、いいか。そういえば、僕の出番でいつかな?分からないよ。
ここで、場面は変わる。明久視点に。
Dクラスの人が鉄人に連れていかれる様を見て、僕は島田さんに言う。
「島田さん、中堅部隊全員に通達」
「ん、なに? 作戦?何て伝えんの?」
ここで僕が出すべき指示はただ一つ。
「――総員退避、と」
「この意気地なし!」
「目が、目がぁっ!」
「目を覚ましなさい、この馬鹿! アンタは部隊長でしょう! 臆病風に吹かれてどうするのよ!」
覚ますべき目に激痛が! これは、地味に痛い!
「ごめん。僕が間違っていたよ。補習室を恐れずにこの戦闘に勝利することだけを考えるよ」
「うん。その意気よ、吉井!」
「島田、前線部隊が後退を開始したぞ!」
「総員退避よ」
あれ、さっきと言っている事が違う気がした。
「吉井、総員退避で問題ないわね?」
「よし、逃げよう。僕らには荷が重すぎた」
「そうね、ウチらは精一杯努力したわ」
くるりとFクラスに向かおうと方向転換。
すると、そこには本陣(Fクラス)にいたはずの横田君がいた。
「どうしたの?」
「代表と鴉から伝言があります」
ん? 鴉からも伝言があるんだ。何だろう?
「代表から『逃げたらコロス』。そして、鴉から『逃げたら、西村先生とのランデブーが待っているよ(笑)』」
「全員突撃しろぉーっ!」
気が付いたら戦場に向かって、全力ダッシュをしていた。鴉からの伝言が、本当に有りそうだった。
前方から、走ってくる美少女を発見。
「明久、援護に来てくれたんじゃな!」
「秀吉、大丈夫?」
「うむ。戦死は免れておる。じゃが、点数はかなり厳しいところまで削られてしまったわい」
「そうなの? テストを受け直してこないと」
「そうじゃな。全教科を受けている時間はなさそうじゃが、一、二教科でも受けてくるとしよう」
そう言うなり、秀吉は教室に向かって走る。