バカと鴉と召喚獣   作:蒼書生

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全国の方言調べるの楽しいので、喋れるように頑張りたい。
ちなみに、海外の言語は読みが出来ればと勉強しています。
進んでいませんが。


愉快なバイト

 今日も机に向かって、勉強していたら携帯が鳴ったので画面を見れば、明久のお母さんからだった。なんだろうと思いつつ、出てみる。

 

「夜分にごめんなさいね。実は聞きたいことがあるの。学校の成績って、何時頃に分かるのかしら?」

「えっ? 明久から聞いていませんでした? 一昨日に成績表が渡されたのですが……」

「……やっぱりね」

「そういえば、ずっと疑問に思っていたんですがどうして――明久は生活費をゲームに注ぎ込んでいるんですか? 以前、電気やガスを止められて使えないから、代わりに建て替えてくれないかと聞かれたんですけど。普通、同級生にそういうお願いはしないはずですが……?」

「…………」

「あと、普段の食事が正気の沙汰じゃないです。調味料で済ましたり、同級生にもらうのは日常的なのでしょうか……?」

「……本当にごめんなさい。ありがとうございます、明久に詳しいことは聞きます」

 

 そう言って、電話は切れた。僕は携帯を片手に、どうして僕が明久の日常を報告しているんだろうと考える。最初は明久の食事生活が気になって、電話をしたのが初コンタクトだった。その後、何気ない話で盛り上がって、それから定期的に報告を兼ねた日常話が普通になっていたような。今じゃ、メル友のような関係だ。あれ? 同級生の親とメル友になるのって、普通なのだろうか?

 頭を振って切り替えると、携帯を脇に置いて勉強を再開した。

 

   *

 

「……それで、嫌がらせ撃退音鳴らされた後に着信拒否に設定された、と」

「うん。酷いと思わない? あの人、きっと僕のお母さんじゃないと思うんだ」

「そうか。お前も苦労しているんだな……」

 

 明久と雄二の会話を余所に、僕はアセロラジュースを飲む。秀吉は豆乳だけど。

 

「して、明久はどうするんじゃ?」

「う〜ん……。正直、困っているんだよね。向こうも意地になっているみたいでなかなか電話が繋がらないし、会いに行こうにも海外は遠すぎるし……」

「(電話出来ることは隠しておこう。正直、僕には関係ないもん)」

 

 前日、思いっきり明久のお母さんと電話していたのは知られないようにしよう。多分、話すら聞いてくれないと思うなぁ。しかし、それじゃ振り込まれないと分かると思うんだけど。

 あ、竜樹からメールだ。ええと、駅前の喫茶店にチョコレートパフェがあるから食べないかというお誘いだった。返信しよう。

 

「竜樹持ちでいいなら……行ってもいいよ? よし、送信! えっ、もう書いたの!? ええと、それでもいいんだ……。じゃあ、いつものように真面目に振る舞ってね! と書いて送信、と」

 

 携帯を閉じて、僕は準備を済ませて下校する。今日は新商品が届くみたいだから、早く帰って確かめないと。確か、4Kテレビだったっけ。前にサンプルにと送ってもらって、機能や画質などを調べてみたけど凄いとしか言えない。そのテレビもリビングに置いて、普通に使っている。

 学生の身で、本屋を経営していたらいつの間にか、取り扱う種類が増えていき、大手の問屋になっていた。僕は一体、何を目指しているんだろう。いやいや、今は新商品が届くのを待つんだった。場所を開けておかなくちゃ!

 

   *

 

 僕は竜樹と一緒にラ・ペディスに向かう。何故か、抱えられているけど。竜樹にとっては、抱えやすい大きさだと思うが僕としては恥ずかしいしふざけんなって感じかな。しかし、いつも思うのだけど竜樹の私服はとても似合っていて、モデルみたいで格好いい。本人には言わないけどね。調子に乗って、つけ上がるから。

 店に入ると、明久が涙目でお姉さんたちに励まされていた。多分、台詞を噛んだんだろう、それも何回も。

 

「いらっチゃッ!」

「…………」

「……ははははははははっ!!」

「竜樹、黙りましょうねー」

「ゴフッ!」

 

 僕は済ました顔で竜樹の鳩尾に肘打ちを喰らわせる。人の失敗を笑うように教えたつもりはないけど、これは見過ごせないね。後でおじさんとおばさんと三人で、竜樹に言い聞かせないとね!

 

「……いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」

「はい」

 

 僕は明久に案内されて、メニューとお冷を貰う。メニューを開いて、内容を確認する。む、ガトーショコラがあった。どっちにしよう、悩むなぁ。僕は二つを頼むという考えを持たない。お金はあるけど、流石に食べきれないと思うし、どうせまた竜樹に沢山突っ込まれると思うから。

 

「鴉、俺がガトーショコラを頼むから、お前はチョコレートパフェを頼め」

「え、いいの?」

「ああ、いいぜ。代わりにパフェを食わせろよな」

「分かったよ」

 

 僕はメニューを閉じて、オーダーをする。秀吉は演技練習の一貫として、ちゃんとウェイターをしていた。台詞も完璧で、これなら安心出来る。

 頼んだスイーツが運ばれて、僕はパフェにスプーンを刺して、一口食べた。これは! フレークじゃなくて、ミルフィーユだと!? サクサクした生地の間にチョコクリームが挟まれていて、とても美味しい。フルーツも旬の果実をふんだんに使っており、絶妙な味で殴ってくる! 僕は恍惚な表情で、一心不乱に口に運んでいく。時々、竜樹の口に突っ込むのを忘れず。

 ドアのカウベルが鳴って、入ってきたお客の声にトラウマが再発した。その場で高速バイブレーションのように震える。それに気付いた竜樹は入り口を一瞥して、僕をトイレに連れていく。

 

「鴉、落ち着いたら出てこい。それまでに、常夏村を仕留めておく」

「……うん」

 

 竜樹はそう言って、いつもよりも怖い形相をして出ていく。初めて見せた表情に、僕の胸はドキドキしている。トラウマが収まりつつあり、恐怖も薄れたと思う。身体の震えはまだあるが、これ以上はお店の邪魔になるとトイレを出て、席に戻ろうとした。ドアを開ければ、そこには――

 他のお客さんの迷惑になる光景が広がっていた。誰もが憤怒に駆られ、醜い騒ぎを起こしていたのだから。

 

「何をしじぁの!? 他のお客さぁに迷惑じゃっで、そげんこたあせじよ!! 常識を考えて!? 皆、学校の看板に泥を塗うつもいなら、西村先生を呼ぶよ! 霧島さぁと木下さぁはAクラスの自覚を持って! 姫路さぁと島田さぁも人として、お店の迷惑になうこたあ止めて!」

 

 趣味で調べていた方言が出てきてしまった。勉強していたら、すっかりハマっちゃって、もっと知りたくなったよ。

 ついでに竜樹の頭にお盆を投げつける。

 

「大体ね、嫉妬は見苦しいよ。霧島さんはもっと雄二を魅了出来るように頑張って! 秀吉はいくら演劇部だって女物の衣装は断ってよ! 木下さんは見た目に似合わず、暴力的な人だったんだね! ……失望したね。島田さんと姫路さんは、なんでもかんでも奢らせすぎ! 一人暮らしをしている明久の生活費を削る気だったの? ねえ、もっと明久のことを考えてあげられないの? 島田さんはすぐに暴力に走るし、姫路さんは料理に薬品を入れるし、その挙句にこうして明久の関節を曲げようとする。明久が何をしようと、関係ないでしょう!?」

 

 僕は皆を正座させて、その前で説教をする。幸い、明久と秀吉の関節は戻せる範囲だったから、僕が治しておいたけど。

 

「このことは西村先生に相談しておきます。覚悟してくださいね。……補習で済むんじゃないかな。それとも、反省文でも書かされると思うので頑張ってね」

 

 僕は竜樹を連れて、お店を出ると帰ろうとして――転んだ。

 

「っ……!」

「捻挫してるな。しょうがねーな、背中に乗れ。このまま俺の家に行って、お袋に見てもらうか」

「……そ、うだね」

 

 結局、竜樹の背中に乗ったのだけど、注目の的で視線に晒されながら、おばさんにお世話になった。転んで捻挫になるなんて、ちょっとマヌケみたいだなぁ。あ、携帯が鳴った。画面を見れば、明久のお母さんからだ。

 

「もしもし、どうかされました?」

「申し訳ないのだけど、明久の事を頼みたいの。あの子がロクな生活を送っていなかったら、玲を監視役として送るの。出来れば、生活もそうだけど勉強を見てもらえるかしら」

「生活に関しては保証は出来ないですが、勉強なら教えられますよ。ただ、明久は得意な教科以外はやる気がないので、一応頑張ってみます。それと、そちらにアレは届きました?」

「ええ、お願いします。どんな手段でもいいから、平均点くらいは取れるように。それとアレね、届いたわ。流石に海外にいると、日本のモノは買えなくて困っていたのよ。ありがとうございます」

「いえいえ、いいんですよ。海外向けの通販も検討していたので、届いたのなら助かりました。今後とも、よろしくお願いします」

 

 僕はそう言って、通話を終えると伸びをして課題を片付け始めた。学生の本分だし、勉強はしておいて損はしないと思う。

 

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