バカと鴉と召喚獣   作:蒼書生

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問4

「吉井隊長! 横溝がやられた! これで、布施先生側は残り二人だ!」

 

「五十嵐先生側の通路だが、現在俺一人しかいない! 援軍を頼む!」

 

「藤堂の召喚獣がやられそうだ! 助けてやってくれ!」

 

 

 本陣に援軍を要請したいけど、戦力がなくなってしまう。ここは、僕らだけで持ちこたえるしかない。

 

 

「布施先生側の人たちは召喚獣を防御に専念して! 五十嵐先生側の人は総合科目の人と交代しながら効率良く勝負して! 藤堂君は可哀想だけど諦めるんだ!」

 

「「「了解」」」

 

 

 僕の指示に従って、陣形を組み始める。

 

 

「Fクラスが時間稼ぎを始める気だ!」

 

「何を待っているんだ!?」

 

 

 まずい、やりづらくなってきたぞ…。

 

 

「大変だ! Fクラスに世界史の田中先生が呼び出された!」

 

「まさか、長期戦に持ち込む気か!」

 

 

 世界史の田中先生は、おっとりとした初老の男性で採点の甘さに定評がある。ただし、採点に時間がかかるけど。

 

 Dクラスは木内先生を連れ出しているみたい。数学の先生で、採点の早さは群を抜いている。

 

 とにかく、前線を長く持たせるために、時間を稼ぐ。その為には!

 

 

「あれ? 間に合った、かな?」

 

「鴉! 来てくれたの!?」

 

「うん。召喚獣を操ってみたいから」

 

 

 そう言う鴉の周りには、烏たちが羽ばたいていた。同類に好かれているみたいだね。

 

 

「なんだ? あいつは」

 

「怪我しているようだが」

 

「Fクラスだから、たいした事ないだろう」

 

「お手柔らかに、 Fクラスの鴉がDクラス10人に挑戦します」

 

 

 

 そう言って、出した召喚獣は僕を小さくして和服を着せただけの姿。ただし、右手に持つ本は六法全書のように分厚い。その周りをたくさんの本が回っている。

 

 

 

『Dクラス 科学 前線部隊×10人 平均90点  VS Fクラス 科学 鴉 628点』

 

 

 

「なっ!? なんだよ! 俺たちが敵う訳ないだろっ!?」

 

「あいつは、化け物か!?」

 

「……ねえ、鴉」

 

「明久、今は何も言わないでね。では、腕輪発動するね。【召喚】」

 

 

 

 すると、開かれた本から神々しい天使が現れて、ニコリと笑って手に持つ剣で全てを斬り払った。

 

 彼らはなすすべもなく、見事に負けてしまった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ!? 補習なんなり、なんでもするから降参だ!」

 

 

 そう言って、Dクラスの前線部隊は全員、補習室に出頭した。

 

 

「凄いよ、鴉! あっという間に倒したじゃないか!」

 

「まあ、腕輪の能力に頼っているからね」

 

 

 そう言うと、教室に向かう。しばらく、僕の出番はないと思う。だって、あとは姫路さんにもやらせてあげないといけないから。

 

 

「鴉、凄い活躍したんだってな」

 

「うん、召喚獣で戦うのは楽しいね」

 

 

 と、ここで午後の授業が終わるチャイムが、鳴り響く。

 

 

「そろそろ、決着をつけるか」

 

「そうじゃな。ちらほらと下校しておる生徒も見え始めたし、頃合じゃろう」

 

「…………(コクコク)」

 

「そうだね」

 

「おっしゃ! Dクラス代表の首級を穫りに行くぞ!」

 

 

 教室から皆が出て行く。

 

 最後の仕上げ、Dクラスの代表平賀君を倒せば、この戦争は終わりを迎えた。

 

 戦場に響き渡るは、二つの代表の声。各々が敵を倒し、手柄をこの手に掲げる。

 

 学園内で繰り広げられる試召戦争は、多くのスポンサーに支えられ、戦えるのだ。

 

 

「姫路さん、よろしくね」

 

 

 僕がDクラス5人に数学を挑んでいた時に、明久の声がした。

 

 

「あ、あの…」

 

「え? あ、姫路さん。どうしたの? Aクラスはこの廊下を通らなかったと思うけど」

 

「いえ、そうじゃなくて……」

 

 

 もじもじと言いづらそうに身体を小さくする姫路さん。

 

 

「Fクラスの姫路瑞希です。えっと、よろしくお願いします」

 

「あ、こちらこそ」

 

「その…Dクラス平賀君に現代国語勝負を申し込みます」

 

「……はぁ。どうも」

 

「あの……えっと、さ、試獣召喚です」

 

 

『Fクラス 現代国語 姫路瑞希 339点 VS Dクラス 現代国語 平賀源二 129点』

 

 

「え?あ、あれ?」

 

 

 戸惑いながらも平賀君も召喚獣を構えさせ、相対する。

 

 

「ご、ごめんなさいっ」

 

 

 そう言う姫路さんの召喚獣が持つ大剣に斬られて、戦いは決着を迎えた。

 

 Dクラス代表 平賀源二 討死

 

 

「まさか、姫路さんがFクラスだなんて……信じられない」

 

「あ、その、さっきはすみません……」

 

「姫路さん、戦争だから謝ってはダメだよ?」

 

「そう。そこの鴉君のように、僕は戦争に負けてしまったんだから」

 

 

 僕は懐に入れていた本を取り出す。

 

 

「はい、以前注文があった『日本の風景100選』だよ」

 

「ああ、すまない」

 

「あ、そう言えば、雄二が何か言いたい事があるみたい」

 

「ああ、Dクラスを奪う気はない」

 

「どうしてなのさ! 折角普通の設備を手に入れることができたのに」

 

「忘れたのか? 俺たちの目標はあくまでもAクラスのはずだろう?」

 

「なら、標的をAクラスにしないのさ」

 

 

 明久はまったく分からない様子。

 

 

「鴉、明久に説明しろ」

 

「はいはい、明久。ゲームで例えるけど、レベル1のままで、ラスボスに挑みたいかな?」

 

「ううん、挑みたくな…ああっ!」

 

「そう、DクラスやBクラスを、レベルアップの為のダンジョンだと思えば分かるかな?」

 

 

 僕は明久の為に、分かりやすくゲームで例えた。説明しないと理解出来ないのは、バカだよね。

 

 

「話は終わりだ。各自、解散しろ」

 

 

 雄二の言葉に、皆は帰る支度をする。

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