オーバーロード 『最も幼き最後の円卓』   作:星野荒野

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プロローグ
『悪名高き最悪にして最凶のクソッたれDQNギルド『アインズ・ウール・ゴウン』討伐戦』


DMMO-RPGの有名タイトル、ユグドラシルにおいて一つの戦争が行われようとしていた。

そこに集結したのは完全武装した人の群であった。

人種を中心に、エルフ、ドワーフ、獣人など亜人種、PC、NPC、傭兵を含めその数千五百…。

このゲームにおいてこれほどの戦力が集結するのは初めてのことだろう。

それらはたった一つの目的のために集まっていた。

その集団は幾つものグループに分かれたがもっとも大きな集団から、八人の代表が進みだす。

そして一人の男が声を上げた。

 

「諸君、このたびは俺達『八ギルド連合』の要請によくぞ集まってくれた!今回の目的はただ一つ!とあるギルドの討伐だ!ここにいる多くの同胞がかのギルドに辛酸をなめさせられたことだろう!奴らは非道そのもの!PKを繰り返しては、アイテムを奪っていく最低な奴らであり、さらには!ユグドラシルの理念に基づき探索し希少資源を得ようとするPCを襲いかかってまで資源をを独占するような他人の迷惑を考えない自己中心的な集まりである!幸いにしてかの地は心あるギルドにより解放され希少資源は市場に流れるようになった…。しかし!しかしである諸君!だからと言ってゆるせるだろうか!?許せるはずがない!!しかもそのような最低行為を続けてギルドランク上位に上り詰め、それを誇っているような良心の欠片も無いギルドである!!かのギルドは異形種のみという珍しいギルドであるが、彼奴らの心はその姿同様悪に染まりきっている!ここに集まってくれた多くの者達!再度問う!!かのような外道を許しておけるだろうか!?いや!許せるはずがない!!今ここに集まった正義の心を持つ諸君!今こそ力を結集しきゃつらを!!悪名高き最悪にして最凶のクソッたれDQNギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のものどもを皆殺しに地獄の底に叩き込むのだ!!」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

 

一斉に鬨の声が上がる。

かつてない圧倒的な数。

これからもおそらくありえないであろう数、PCが、NPCが、手を、--剣を、槍を、斧を、杖を、拳を、あらゆる武器を掲げては打ち鳴らされる。

そんな中にキザに笑み浮かべながらもしっかりと弓を掲げているハイエルフの男が一人いた。

タイラー=フジーサ、ギルド『合同会社ブラック傭兵派遣斡旋社』より参加した傭兵プレイヤーである。

鷹の目を持つ傭兵と自称して名高い彼であった。

ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』に特に恨みも無ければ、噂程度しか知らない彼であったが、この一種の『祭り』に参加するしかないと、知り合いに無理やり派遣を要請してもらって参陣している。

これが彼の運命を大きく変えるとは知らずに…。

 

「全軍!作戦開始!!」

 

二一三三年、○月×日、十九時○○分

戦争は始まった。

 

ーーーーーー

 

 

 

戦力は各階層で減らされ、トラップにより散り散りになり、NPC、傭兵や小ギルドの犠牲はあったものの順調に攻略していった。

主力と言うべき八ギルド連合は連携を保ちながら、墳墓のゾンビたちを鎧袖一触と蹴散らし、地底湖のゴーレムを破砕し、氷河の蟲共を踏み潰しながら進撃していった。

ジャングルの闘技場までのルートはおおよそ判明していたために犠牲も少なく突破出来たが、第七階層以降は未知の領域だった。

ここまで作りこまれたダンジョンに感嘆の声を漏らしながらも溶岩の七階層を突破し、幾多の犠牲を乗り越え到達した八階層…しかしそこが八ギルド連合の終焉の地となった……。

 

砂嵐が吹き荒れる荒野の中、いくつもの屍が晒されていた。

立っているのは…いや、死んでいないのは僅かに数名、その数名ですらもはや戦う力すら残されていなかった。

そんな中、一人の戦士が絶望に声を上げる。

 

「そんな馬鹿な…千五百人だぞ!?いくら攻城戦とはいえ、千五百人がたった四十一人相手に全滅!?最終階層に到達すらできずにか!?…」

 

荒野にゆらめく、四十一人に向けて叫び声を上げる。

 

いたるところからもチートだろ、反則じゃないのかなどの声が上がる。

 

ワールドアイテムすら使用したこの戦争。

後に2ちゃん○るが怨嗟の声で祭り状態になった戦争の結果だった。

 

 

ーーーーーー

 

 

しかしそんな中、一人だけ違う眼で四十一人を見つめていた男が居た。

八階層まで到達できた傭兵プレイヤーその一人、タイラーだった。

その彼の心は歓喜と憧憬に溢れていた。

 

「すげぇ…、こんなすげぇギルドがあったのかよ…」

 

傭兵プレイヤーとして一匹狼を気取りつつ、一期一会を楽しんでいた彼であったが、この時の受けた衝撃は凄いの一言だった。

たった四十一人で千五百人を撃退できるギルド、その存在に完全に魅了されたのだ。

 

「俺も、俺もあの中にいれてもらうんだ。なんとしても!!」

 

タイラーはこの時そう決意した。

そしてさまざまな手段を使いアインズ・ウール・ゴウンに接触し土下座をかまして彼はこう言った。

 

「俺も、このギルドに入れてください!!」

「悪いけど、このギルド異形種であることが参加条件なんだよね、あと君学生でしょ?社会人ってのも条件なんだよね、だからごめん、無理」

「orz」

 

そのまま彼は崩れ落ちたのだった。

タイラー=フジーサ

種族、亜人種、ハイエルフ。

中の人、佐藤 良平、御年十九歳、大学一年生。

社会人になるには三年が必要であった。

だから。

 

「だ、だったら、三年後、三年後に入れてください!社会人になったその時に!!」

「そうだね……。今ギルド員の募集はしてないんだけど…、アインズ・ウール・ゴウンは多数決を重んじるギルドだ。そのとき二十一人の了解

 

が得られたら参加を認めてもいいよ」

「ほ、本当ですか!?」

「ああ、約束だ」

「ありがとうございます!!」

 

それは確かな約束だった。彼にとって確かな約束だったのだ。

しかし、時は残酷に、無上に過ぎていった。

最も輝いていた時代。アインズ・ウール・ゴウンが、いやユグドラシルというゲームがもっとも輝いていた時代は過ぎ去り、夕凪の時代へと移っていった。

そして彼が社会人となった時、それはユグドラシル終了二年前の事だった…。

 

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