WHITE ALBUM2 Concert route   作:powder snow

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第二十話

 曜子との食事を終えて帰路に着く。

 春希の隣にはかずさがいて、かずさの隣には春希がいる。大晦日以降すっかり馴染んでしまった光景だが、今日ばかりは少し趣きが違って見えた。

 具体的には春希の表情が冴えないのだ。彼がかずさを側に置いてこういう表情を晒すのは非常に珍しいことである。

 原因は先程の曜子との会話。

 その時の内容が脳裏をチラついて、どうしても考え込んでしまう。

 

 ――時間を頂戴、ギター君。

 

「……っ」 

 

 かずさをウィーンへと送り出す。

 曜子の言い分を認めてしまえば、どうしたってそうなってしまう。三年前と状況が違うとはいえ、再び離れ離れになってしまうことには変わりがない。

 それは春希にとって身体を引き裂かれてしまうような痛みを伴う行為で――こうして思いを馳せるだけで、街を形作る全ての要素が灰色に見えてしまうような味気なさを感じてしまうほどだ。

 雑踏のざわめきも、人々が織り成す音も、今の彼の耳には意味のあるものとしては届いてこない。先程まで気にならなかった真冬の冷たさや寒さが、身に染みいるほど堪えてくる。

 吐息を白く滲ませる張り詰めた空気は、まるで彼を苛むように強い存在感を放っていた。

 

「どうしたんだよ春希? さっきから口数少ないぞ。もしかして酔ったのか?」

「……ん、別に。ちょっと考えごとしてて」

「なんだよ、考えごとって。あたしが傍にいる時はあたしだけ見てろよ――なんて、ちょっと言ってみたかっただけなんだけどな」 

 

 そして、そんな春希の様子の変化に気付かないかずさではない。彼女は彼の顔を覗き込むようにして少し明るめの声を出しながら気遣った。

 あたしだけ見てろ――正にその言葉通り、春希がかずさのことだけを考えて押し黙っていたとは思いも寄らなかっただろうが。

 春希も彼女の気遣いに応えるべく、今できる精一杯の笑顔を作り出してかずさに瞳を合わせる。

 

「大丈夫。ちゃんとお前のこと考えてた。かずさのこと、考えてたよ」

「お前……よくそんな恥ずかしい台詞を臆面もなく口にできるな」

「先に言い出したのはかずさじゃないか」

「そうだけど……」

「こういう言い方、嫌か?」

「嫌じゃない。むしろ嬉しいくらいだ。……わかってるくせに、聞くな」 

 

 少しぶっきらぼうな風を装いながら、かずさがつと目線を逸らす。けれどすぐに春希へと視線を戻すと、花が咲いたようにはにかんでみせた。

 春希の隣にいられることが幸せなんだと、その仕草で表すように。

 

「……」 

 

 ハイヤーで部屋の前まで送るという曜子の申し出を春希は断っていた。何も特別な思惑あってのことじゃなく、少しでも早くかずさと二人きりになりたかったからだ。

 彼女と話をしたかったからだ。

 その為に夜の街の中を並んで歩いているというのに、思ったように会話を運べない苛立ちが焦燥感を誘い、春希を苦しめている。

 焦りにも似た気持ち。

 今彼女と交わすべき話題は決まっているのに、取りとめの無いやり取りが心地よく、そこに心の逃げ道を作ってしまいそうになる。

 

「かずさ」 

 

 肩が触れ合うほど近くにいるのに寂しさが募る。

 そんな気持ちを誤魔化すように、春希は重ねていた手を強く握り込んだ。今の彼にとってこの掌の温もりだけが唯一の繋がりだとでもいうように、強く、人差し指から順番に握りこんでいく。

 

「ん……」 

 

 小さな吐息を漏らしてかずさが反応する。

 春希の求めに応えるように、かずさもまた指を絡め、彼の手を強く握り込んだ。

 ――この繋いだ手を二度と離したくない。

 二人の気持ちは驚くほどシンクロしている。

 それなのに春希は、今からこの手を離すことになるかもしれない台詞を吐かなくてはならない。それが堪らなく辛くて、先延ばしにしたくて、言葉を詰まらせるのだ。

 でもかずさのことが好きだからこそ、愛しているからこそ伝えなくてはならない。

 これは彼一人で決めることの出来る事案ではないのだ。

 話すなら――言葉にするなら少しでも早い方がいい。

 決心が鈍らない内にと思い決めて、春希は重い口を押し開き――

 

「向こうへ戻りたいって……」

「え?」

「かずさはウィーンへ帰りたいって思うこととか……あるか?」

「ウィーン? なんだよ、やぶからぼうに」

「あっちで三年も住んでただろ? だから色々……懐かしいとか思うのかなって……」

 

 話すと決めたものの、いきなり核心を突くのは躊躇われたので、春希は少し探りを入れるように切り出した。対するかずさは、春希のいきなりの質問に面食らったかのように数回瞬きを繰り返すが、意外と素直にその質問に答えを出す。

 

「そうだなぁ。懐かしいって感覚はないけど、一度は戻らなきゃ駄目なんだろうなって思うよ」

「帰る、のか……?」

「こっちに来たのは母さんのコンサートを聴く為で、本当はお前には会わずにすぐ戻るつもりだったんだ。もう向こうを飛び出してきたも同然だし」

「確か最初に会った時に言ってたよな、そういうこと」

「うん。だから挨拶とか、引継ぎとか……色々とな。これでも一応社会人だし、ケジメはつけないと」

「一応は余計だろ?」

「残念ながら独り立ちしてるわけじゃないからね。けどすぐに日本に戻ってくるよ。長くても一週間はかからないと思う。……春希。あたし、ここに帰ってきてもいいんだよな?」

 

 ここ――かずさが言った帰る場所とは春希と彼女が住んでいるあの部屋のことあり、彼の隣にである。

 生まれてからずっと過ごしてきた日本という意味でもなく、そこから三年移り住んだウィーンでもなく、春希の傍にこそ自分の居場所があるのだと。

 

「もちろん! もちろん、そうだけど……だったらピアノはどうするんだ?」

「続けるよ。あたしにはピアノくらいしか出来ることがないしね」

「けどあっちで築いたキャリアとか無くなっちゃうんじゃないか?」

「どうだろ? 上ってた階段を下りて、もう一度上り直すみたいなことはあるかもしれないけど……培った経験とか技術が無くなるわけじゃないし、大丈夫だと思うけど」

「でも折角コンクールで良い成績を残して、話題にもなって、ピアニストとして順調に進んできてるんじゃないか。これから日本でやってくにしたって――」

「ちょっと待ってくれ、春希」

 

 怪訝そうに眉根を寄せてから、かずさが歩みを止めた。そうすると、彼女と手を繋いでいる春希も自然と立ち止まざるを得なくなる。 

 先に動きを止めたかずさより春希は一歩分だけ前に進んでいて、そこで彼が後ろを振り返り、二人が向き合う格好になった。立ち位置の関係上、繋いでいた手はここで離される。

 

「やっぱりおかしいぞ、お前。いきなりそんなこと言い出すなんて。もしかして母さんに何か言われたのか?」

「え?」

「食事を終えてからだ、様子が変わったのは。最初は慣れない場所で疲れたのかと思ったけど、そういう感じでもないし」

「そんな……こと……」

「あたしはな、ずっとお前のことだけ見てるんだ。気づかないとでも思ったのか?」

「……かずさ」 

「話してくれ、春希。あたしに隠し事するな。悩んでることがあるんならあたしも一緒に考えてやるからさ。……まあ、馬鹿だから力になれないかもしれないけど」

 

 春希の些細な変化を見抜き、気にかけてくれる彼女の行為に春希の胸が一気に熱くなった。

 いつも自分がそうしているように、かずさもまたこっちを見てくれているのだと。

 元より彼女に内緒で話を進めるつもりが無かったとはいえ、どう切り出すか散々悩んだ問題だ。それを彼女のほうから促される形になるとは想像していなかった。

 

「どうせ母さんが、あの人が絡んでるんだろ?」

「…………うん」

「だと思った。納豆みたく影から糸を引くのが得意だからなぁ」

「納豆って、お前な……」

「だってそうじゃないか。娘に内緒でまず春希に何か吹き込むなんて、物語の黒幕のすることだ」 

 

 あきれたとばかりに、かずさが両手を広げて深く嘆息する。

 少しおどけたような口調は、それを聞いている春希の心を少しだけ軽くしてくれた。

 

「……わかった。言うよ。というか聞いてくれ、かずさ」

 

 実は――と断りを入れてから春希が先程の曜子との会話の内容をかずさに伝えていく。

 それは告白というより相談、いや報告というほうが正しいニュアンスの語り口だった。なるべく簡潔にかずさに伝え、自分がどういうことに悩んでいたかを彼女に披露する。

 

「俺、曜子さんの言い分も分かるんだ。けど……」 

 

 母親としての曜子の求めはもっともだし、ピアニストとしての将来を見据えた場合そうすることが彼女にとってプラスになるだろうということも理解できる。

 その為の障害に自分がなっているんじゃないかとも春希は思った。

 だが理屈だけで心が納得してくれるなら、そもそも彼は現在かずさの隣に立ってはいない。

 だからこそ悩み、苦しんで――そんな春希の話を聞き終えたかずさは、まず最初に軽く唇を噛んでからゆっくりと表情の険を緩めていき、最後に柔らかな力で春希の胸をぽんと叩いた。

 

「かずさ?」

「馬鹿だなぁお前。そんなことで悩んでたのか?」

「なっ、そんなことって……俺にとっては一生の一大事なんだよっ。だからこんなに頭を抱えて――」

「母さんの言葉に一々惑わされるな。だって“それ”を決めるのはあたしたちじゃないか」

「それは、そうだけど……でも、俺達の気持ちだけで決めていいような問題じゃ……」

「決めていい問題だよ。春希、あたしのこと考えてくれたんだろ? あたしの為になるようにって悩んでくれたんだろ? ならさ、もっとあたしの思いにも目を向けてくれよ」

「思い……」

「お前が好きだっていうあたしの気持ちだ」

「あ……」

 

 それは彼がいつか見た光景。

 デジャヴを彷彿とさせるようなかずさの動作。

 かずさはおもむろに春希の首元に腕を伸ばすと、彼が締めているネクタイを強引に掴み取り、そのまま自身の身体に向かって彼を引き寄せた。

 突然のことで踏ん張りが効かなかった春希の身体が、自然とかずさの腕の中に収められる。

 互いの頬が触れ合い、これで少し離れていた二人の距離が完全にゼロとなった。

 

「こうすれば、ほら、あたたかい」

「かず……さ?」

「ふふ、むずがるな。大人しくあたしに抱きしめられてろ」

 

 引き寄せた春希の背中に腕を回して優しくかずさが抱擁する。

 囁くような声は彼の耳元で。

 

「もう遅いよ。お前と一緒にいるだけで、春希と身体を重ねる度にさ、あたしの心はお前と混ざり合ってしまっていたんだ。一つになってしまった。だから引き離そうとしても引き離せない」

 

 指を押し開くように掌を広げて、かずさが春希の背中を“の”の字を描くように強く弄る。

 押し付けられた柔らかい身体が、耳元にかかる彼女の熱い吐息が、春希のざわめく心の波を少しづつ緩めてくれる役割を果たす。

 

「それこそ強引に引き剥がされたりしたら、あたしが壊れてしまうくらいにな。……それくらいお前に参っているんだ」

「それはっ、俺だって……そうだよっ!」

「嬉しいなぁ春希。ならいいじゃないか」

「でも俺なんかの為にお前の未来の可能性が狭められるっていうんなら、俺は――」

「俺“なんか”なんて言うな。春希はあたしの自慢の彼氏なんだぞ」

「かずさ……」

「あたしにはお前以上に欲しいものなんて何もないんだ。お前の為なら全てを捨てたって構わない。ピアノだって捨てられる」

「……っ!」

「お前だけ、なんだよ。傍にいて欲しいのは。世界中で春希だけなんだ」

 

 以前彼が感じた彼女の危うさが、こうしてはっきりとした言葉で綴られる。

 ピアニストとしての才能や実績、欧州で活躍するかずさの姿。彼女を取り巻く世界は眩いばかりに輝いていて、決して自身が計りに掛けられるようなものではないはずだと春希は思っている。

 多くの人が望んで手を伸ばしても、決して届かない世界がかずさの周りにはある。

 華やかで、煌びやかで、それなのにかずさはその世界に価値を見出さないのだ。

 それほど強く求められて、嬉しくないわけがない。

 けれど周囲と軋轢を作り、世界を疎んじていた三年前とは違うはずなのに、自身の世界を一向に広げようとしない彼女のことを寂しくも思うのだ。

 春希だけでいいというかずさの言葉は、それほど彼にとって重い。

 

「……俺にそんな価値なんて、ない。お前の指が奏で、作り出す世界に比べたら――」

「言うな」

「きっと俺以外の全員が望んでる。お前の音を聴きたいって思ってるんだ。曜子さんだってそれが分かってるから……」

「もう、言うな春希。あたしの気持ちは何があっても変わらない」 

 

 抱きしめていた春希の背中から彼の肩へと手を回し、かずさは押し出すようにして少しだけ身体を引き離した。そうしてから彼の瞳に目を合わせると、掌で春希の頬をふんわりと包み込んでしまう。

 人差し指は彼の目元を。薬指は彼の首筋を。そして親指は彼の唇を優しく撫であげる。

 

「冷たくなってるぞ。ここも暖めてやるよ」

「かず――ん……んん……」

 

 突然春希の唇に柔らかいものが押し付けられた。

 かずさの身体が春希の身体に密着し――開いた足の間には彼女の太股が入り込み、まるで蛇が獲物を絡め取るように、全身を使ってかずさは春希を拘束してしまう。

 

「んっ……はむ、ちゅ……ふぁ……んちゅ……春希ぃ……」

 

 路上で交わされる熱烈なキス。

 身体を重ね始めた当初はたどたどしかったかずさのキスも、今ではかなり様になってきていて、優しく丁寧な動作で彼の唇を愛撫していく。

 軽く触れては離れ、次には強く吸い上げて。

 やがて二人の舌が絡みあい、くちゅくちゅという淫靡な音が辺りに響きだすくらい二人は行為に没頭し始めた。

 混ざり合った唾液は、今の二人を暗示するように彼等の口元を妖しく濡らしてしまう。

 

「ちゅ……ん、ふふ。相変わらず春希のキスは荒々しいな。なんだか強引に犯されてるような感じがする」

「今のはお前が……っていうか、かずさが事あるごとに求めるからこうなったんだ」

「いいや、春希がエロいからだな」

「それは否定しないけど……かずさがキス魔なのは変わりないだろ?」

「心配するな。春希にだけだよ、こんなあたしを見せるのは」

「そんな心配、別にしてな――んっ……!」

 

 再びかずさから唇を重ねにいって――それからしばらく二人は夜空の下で熱い抱擁を重ねた。

 一頻り互いを求め合ってから、改めてかずさが春希の胸元に顔を埋める。

 

「これだけ言ってもきっとお前は悩むんだろ? 考え込むんだろ? けど仕方ないよな。だってそれが北原春希って男だもんな」

「っ……」

「だからあたしは精一杯お前のことを説得することにする。母さんが言ったタイムリミットまでに春希の考えを変えてみせるよ」

「別に俺、かずさをウィーンに帰したいわけじゃないぞ。それどころか全く逆で、ずっと一緒にいたいって思ってるんだ」

「けど母さんの言ったことも気になるんだろ? いいよ。二人で話していこう。あの時とは……今のあたし達は、三年前とは違うんだから」

 

 一瞬だけ目を伏せたかずさが、その動作の中で春希の胸に手を添えた。

 何をするのか――そう彼が思った時、かずさは“どーん”と彼女らしくない擬音を口にしながら春希を軽く押し出した。

 

「……おっとっ」

 

 軽くたたらを踏む春希を見て、かずさが楽しそうな笑い声をあげる。

 

「あはは。じゃあ帰ろうか春希。さすがに少し寒くなってきた」

「……少しじゃないだろ。けど帰るってのには賛成だ」

 

 二人で戻る。帰れる居場所へと。

 先にかずさが踵を返し、そこに春希が追いついた。そして隣に並んでから彼は改めて彼女に提案をする。

 

「かずさ。帰ったら飲み直さないか? 今ちょっと酔いたい気分なんだ」

「それはいいな。あんな程度じゃ飲んだ気がしなかったところだ」

「相変わらずっていうか、曜子さんもお前も結構な酒豪だよな。レストランでもワインを水のように飲んでたし」

「うーん、そう考えるとこれも母さん譲りなのかもな。昔っからアルコールには強かったしね」

「……昔って、お前も俺二十歳を過ぎたのついこないだだよな?」

「今更だろ。気にするな」

 

 複雑な表情を浮かべる春希とは対照的に、かずさはあっけらかんとしていて。

 

「なぁ春希。コンビニにでも寄って帰るのか?」

「いや、近くに酒屋があるからそこで仕入れてくるよ。ほら武也と飲んだ時に色々と切れちゃっただろ? 買い足したい物もあるから」

「そっか」

「先に帰って用意してくれてると嬉しい」

「あたしも一緒に行くよ」

「ドレス着てるじゃないかよ。荷物持ちは任せろって」

「……わかった。じゃあ部屋で待ってるからはやく戻ってきてくれよな」

「ああ」 

 

 了解した旨を伝える為に春希が手を上げて応える。  

 そうして二人は別々の道を歩き始めた。

 かずさは春希の部屋へ向かって。春希は買い出しの為に酒屋へと向かって進んで行く。

  

 一人になった途端、言いようのない寂しさが春希の胸に募りだす。別に離れて行動するのは珍しくないのだが、先程までの会話の内容が春希の心に焦りをもたらすのだろう。

 そんな気持ちを誤魔化す為か、自然と歩く速度は早くなっていて――

 

「春希くん?」

「っ!?」

 

 鈴を転がすような可憐な響き。

 突然背後から掛けられた呼び声を聴いて、春希は己の心臓が凍り付いたかと錯覚した。

 それくらい衝撃的で、実際彼の歩みは“彼女”の声を聴いた瞬間に止まっていた。

 

「……春希くん、だよね?」 

 

 震えるようなか細い響きは、確実に彼の背中に迫ってきている。なのに春希は後ろへと振り返ることが出来ないでいた。

 だって、確認するまでもなく誰が声を掛けてきたのか分かってしまったから。

 彼のことを北原と呼ぶ人間はいる。

 春希と呼び捨てにする人間もいる。

 しかし“春希くん”という敬称で呼ぶ人間は一人しかいない。

 

「…………ぁ」

 

 ――小木曽雪菜。

 

 その名前が、彼の歩みを止めたのだ。

 

 

 

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