WHITE ALBUM2 Concert route   作:powder snow

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第二十五話

 唐突な雪菜の台詞にかずさが息を呑んだ。互いの視線が相手の瞳を捉えて離さない。

 目の前にいるのは付属時代からの友人であり、恋敵でもある。一生涯の“友”となるか、それとも不倶戴天の“敵”となるか。もしかしたら今日こそがその分岐点になるのかもしれない。

 ドーナツショップの店内は雑多な音に塗れ、決して落ち着いて語れるような雰囲気では無かった。それでもこの一瞬だけは、二人とも全ての音が途絶えたような感覚に包まれている。

 互いに目の前の相手しか見えていないのだ。

 そんな緊張感に包まれた場の空気を先に崩したのは雪菜。

 彼女は自身の前にあるティーカップに指を伸ばすと軽く持ち上げ、一息つくようにその中身に口を付けた。途端、ほのかに暖かいミルクティーの甘みが、柔らかな感覚と共に彼女の舌の上に届けられる。

  

「ねえかずさ。今春希くんと一緒に住んでるって、本当?」

 

 掌で包むようにしてカップを戻す雪菜。

 手は震えていない。声も掠れてはいなかった。けれどこの一文を発するのにかなりの勇気が必要だった。それでも雪菜は、なるべく平静を装ってかずさへと問い掛ける。

 

「……うん。春希の住んでるマンションで一緒に暮らしてるよ」

「いつから?」

「年が明けてからすぐに。大晦日に春希と再会して、そのまま……」

「そっか。大晦日ってことはやっぱりお母さん――冬馬曜子さんのコンサートで再会したんだ?」

「うん。って、雪菜、母さんのコンサートのこと知ってたのか?」

「そりゃね。テレビでも伝えてたくらいだし。――あっ! かずさも今じゃ日本ではちょっとした有名人なんだよ? 音楽雑誌の表紙を飾っちゃったりしちゃって」

「ああ、それ見たよ。正直言って迷惑な話だ。あたしなんて、母さんのオマケみたいなものなのに」

 

 つまらなさそうに呟いてから、かずさが目の前にあるコーヒーに手を伸ばしていく。

 ピアニストとしての実績という面では曜子に遠く及ばないのは自覚していたし、実力でも届いていないのは理解していた。そんな自分が雑誌の表紙を飾ったりマスコミで話題に上がったりするのは面白くない。

 全ては“冬馬”という名前のおかげなんだと、そう思っていた。

 正当に評価された上での報道ならまた違った反応を示したかもしれないが――いや、やはり今と似たような反応に落ち着いてしまうのが冬馬かずさという人間の本質なのかもしれない。

 北原春希という人間にどう見られているかということには固執しても、外部の人間にどう見られていようがあまり頓着しないのだ。

 コンクールで良い成績は収めたい。けれどそれを元にして芸能人のようにチヤホヤされたいとは微塵も思わない。

 曜子などはそういう面をうまく使ってビジネスに利用する能力があるが、かずさには無理だ。もし将来ピアニストとして大成しても、そういうマネジメント面を支えてくれる人材が必要になってくるだろう。

 

「おまけなんかじゃないよ。かずさ、凄いもん」 

「そう言ってくれるのは嬉しいけどね……でも雪菜が聞きたいのはそういうことじゃないんだろ?」

「どうして? わたし、かずさのことだったら何だって聞きたいよ。けど……今この場に限って言えば少し優先したいことはあるかな」

「春希のこと?」

「ううん。春希くんとかずさのこと。――わたしね、春希くんはあなたのお母さんのコンサートには行かないんじゃないかって、そう思ってたんだ」

 

 先ほど雪菜は曜子のコンサートが報道されていると言ったが、当然彼女はそれを見るまでもなくその存在を知っていた。というより、春希、雪菜、そしてかずさの三年前を知っている者なら気に掛けてしかるべき事案である。

 誰も敢えて口にはしなかったが、冬馬という名前には、皆、目を惹かれていた。

 

「きっと誰かが春希くんの思い、背中を押したんだね」

「……それは分からないけど、春希と再会したのは会場の外だったよ。雪の降る中で偶然あいつを見かけて……あたしはその背中を追いかけたんだ」

「その時どう思った? 驚いたのかな? それともやっぱり嬉しかった?」

「どうだったかな。たださ、あたしの前に春希がいるっていうのが衝撃的すぎて、感情を追う余裕なんて無かったのは覚えてる。夢にまで視た、本当にありえないって思ってた光景が急に目の前に現れたんだから」 

「そういうのかずさらしいね。けど雪の降る中で偶然出会った、か。運命的な再会だよね、それって」

「そんな感動的なものでもなかったけどな。春希の奴、あたしが追いついた時に電話してたくらいだし」

「電話?」

「うん。携帯をこう耳に当ててたからたぶんそう。もっとも話し終えた後だったみたいだけど」

 

 かずさが小首を傾げ、空手のまま携帯を耳に当てる振りをする。 

 

「……それって大晦日の話だよね?」

「そうだけど、どうしたんだ雪菜?」

「ううん、別に」

 

 雪菜が一瞬だけ目線を逸らす。しかし瞬きと共にすぐに視線を戻すと次の話題へと移っていく。

 

「もう率直に聞いちゃうけど、わたしと春希くんのことって、かずさはどれくらい知ってるのかな?」

「え?」

「あなたがウィーンへと旅立ってからの三年間。わたしと春希くんが過ごした時間のこと」

「……概ねは聞いたよ。あの冬からのこと。三年間――去年の春に春希が転部したこととかも」

「じゃあさ、去年の“クリスマス”のことは?」

「知ってる」

「…………そっか」 

「あと、このまえ春希が雪菜を送って行って……その、泣かせちゃったこととかも」

「……やっぱり、かずさには何でも話しちゃうんだね、春希くん」

「そういう言い方はやめてくれ雪菜。あたしが無理やり春希から聞きだしたんだ。あいつは悪くない」

「別に悪いなんて言ってないよ。どっちかって言えば羨ましいっていう感じかな?」

「羨ましいって……」

「春希くんにそれだけ想ってもらえるかずさが羨ましいんだよ」

 

 嫌味と取れなくもない言い回しだったが、不思議とそういう色を滲ませない言い方にかずさが言葉を詰まらせる。

 純粋に雪菜はかずさが羨ましいと口にしたのだ。

 

「だってわたしは――春希くんのことが好きだから」

 

 

 

「……事情は把握しました」

 

 改めて場所を移してからの事情説明会。

 流石に知人が大勢働いている店で話すのは憚れたのだろう。春希は小春を伴ってグッディーズの程近くにある喫茶店ボナンザに足を運んでいた。

 そして注文した品が届くや、小春に約束していた通りに全てを話すことにしたのだ。

 冗談が混じるような聞いていて楽しい類の話ではない。それでも小春は真剣に耳を傾けてくれていた。そして全てを聞き終えた彼女は冒頭の台詞と共に深い溜息を吐いたのだった。

 

「何と言いますか、呆れ果てて言葉が出てきませんね。正直言って酷いです」

「……俺のこと軽蔑したか、杉浦?」

「軽蔑? どうしてですか?」

「え? だって今呆れたって……」

「勘違いしないでください。わたしが今言ったのは、複雑な事情を抱えているのに誰も頼ろうとしない北原先輩の動向について漏らした感想に過ぎません。らしいと言えばらしいですけど、もうちょっとこう周りを頼ってみたらどうなんです?」

「俺の我侭で周囲の人間を振り回すのは良くないよ」

「良いじゃないですか、多少の我侭くらい。それに先輩を助けたいって人もいると思いますよ。飯塚先輩とか……わたしだって頼ってくれたら力に……なれるかどうか分かりませんけど、尽力はします」

「杉浦……」

 

 憤慨したように腰に手を当て、頬を膨らませる後輩の姿に春希の胸が熱くなる。

 小春は純粋に春希の為を思って怒ってくれているのだ。

 

「先輩は誰かを助けてばかりで、誰かに助けて貰おうっていう気概が薄い気がします。困った時は誰かを頼ればいいんですよっ」

「それは耳が痛いな」

「……まあ、わたしもあまり人のこと言えた義理じゃないですけど、一人で抱え込むよりは良い気がしますから」

 

 そう言って小春が、注文していたメロンソーダに刺さっているストローに指を伸ばした。途端カラン、と甲高い音を立てて氷が崩れ落ち、炭酸水特有の気泡をグラスの中いっぱいに発生させていく。

 ストローを口に含み、一気に三分の一ほど飲み干してしまう彼女。

 喉の奥を押し通る冷たい感覚が火照った身体に心地良い。季節は冬だが、きっと熱くなってしまうだろうという彼女の読みは当たったようだ。

 

「ですけど、一つだけ納得したというか得心したというか、疑問が一つ氷解した気分ではありますね」

「若いのに、またえらく難しい言い回しをするんだな」

「先輩だって年齢の割りに年寄りじみた説教するじゃないですか」

 

 お相子ですよ、と小春がうんうんと頷く。

 それから軽く咳払いをして会話を仕切りなおした。

 

「…………えと、覚えてます先輩? 去年のクリスマスより少し前なんですけど、わたしの学校でニアミスしたの?」

「杉浦の学校って、確か付属の第二音楽室で?」

「そうです。あの時の先輩とても悲しそうで、それでいて少し嬉しそうな表情を浮かべていて……それがわたしの知ってる北原先輩じゃないみたいで、それがとても気になったのを覚えてます」

 

 かずさの記事を書く為に峰城大付属へ趣き、第二音楽室へと足を踏み入れた春希を待っていたのは、色褪せる事のないかずさとの思い出だった。

 曜子が寄贈したピアノの前に座って、いつも仏頂面で旋律を奏でていた彼女。そのかずさとギターとピアノでセッションした日々は、春希にとって一生忘れることの出来ない映像として記憶されている。

 しかし当時の彼にとって何よりも大切なはずの光景を、春希は故意に思い出そうとはしてこなかった。だって、もう二度とかずさと会うことは叶わない。

 そう頑なに思ってしまっていたから。

 けれど第二音楽室に足を踏み入れてしまえば、否応無しにかずさと過ごした時期の記憶が脳裏を過ぎってしまう。

 どうしたって三年前に気持ちが引き戻される。気付かない振りをして必死に誤魔化していたのに、かずさへの恋心を隠せなくなってしまう。

 茜色一色に染まる教室で佇む春希。そんな場面を小春は偶然にも目撃してしまったのだ。

 

「あれって、冬馬かずささんのことを考えてたんですよね?」

「……っ」

 

 当時のことを思い出しているのか、春希は答えない。けれどそれが小春にとっての答えとなる。 

 

「話を聞いた今なら、どうして先輩が美穂子のことをあれだけ明確に拒絶したのかが分かるような気がします。……わたし、なんにも分かってなかった。ほんとう、先輩に怒鳴られる訳だ……」

「――あの件に関しても悪いのは俺だよ。矢田さんに非はないし、杉浦が気に病むようなことでもない」

「美穂子、まだ落ち込んでます。少しは快方に向かってるとは思うけど……」

「本当に矢田さんには申し訳ないことをしたと思ってる。俺、周りにいる人を傷つけてばかりで……大人げなかったと言ってもいいかな」

「先輩」

「あの時の俺は“好意”ってそのものを恐れてたんだよ。人を好きになるとか、ましてや誰かに好きだって言われることをね。他人と距離が近くなるってことが……本当に怖かったんだ」

 

 距離が近づけば手が届く。

 そうすれば相手の手によって傷つくこともあるし、自分の手で相手を傷つけてしまうこともある。そうなるくらいなら一定の距離を保ったままの関係の方がいい。

 そう考えていたからこそ春希は、輪の外から内側に入って来ようとした教え子を冷徹に拒絶したのだ。

 

「先輩。今“あの時は”って言いましたよね? じゃあ現在は違うってことですよね?」

「そうだな。今は――好きな人がいる。本当に大切で守りたいって、ずっと一緒にいたいって思える人が」

 

 正確には好きだって胸を張って答えられるようになったということ。

 だって彼はずっとずっと昔から、それこそ一目見た時から変わらずに彼女のことが好きだったから。

 

「近いうちに矢田さんと会ってちゃんと謝罪するよ。その時は杉浦に少しだけ力を貸してもらうことになりそうだけど」

「ええ、そういうのでしたら“どんと来い”ですよ! ……きっと美穂子泣いちゃうと思うけど、曖昧な今の関係よりはずっと良いと思いますから」

 

 その席が設けられた時にどんな会話が交わされるのか。それを予測した上で小春は、目尻にうっすらと涙を滲ませながら、笑った。

 

「ごめん、杉浦」

「……もう、どうして先輩が謝るんですか。むしろ謝るならわたしのほうじゃないですかぁ」

「え?」

「わたし北原先輩に余計なお節介をしてきたのかなって。ほら、クリスマスのこととか……」

「あ……ああ」

「正直言っちゃうとですね、わたしの中での前提条件が狂いすぎて混乱している部分があるんです。北原先輩は小木曽先輩のことが好きなんだってずっと思ってましたから」

「それは、雪菜のことは……本当に……」

「分かってますっ。分かってますよっ! 先輩が器用に嘘をつけるような人じゃないってことは。言葉は悪いですけど順番や優劣の問題ってことですよね?」

「……本当に言葉が悪いな」

「先輩から聞かされた話を総合するとそうなってしまうんですっ。少しくらいの嫌味はこの際笑って受け流してください」

 

 唇を尖らせて苛立ちをあらわにする小春。

 そんな風に率直に感情を表現する後輩の姿を見て、春希は少しだけ救われたような気分になった。

 

「だからもしわたしが余計なことをしなかったらっていう思いは少なからずあるんですよ。先輩も、小木曽先輩も傷ついて――」

「それは違う、杉浦。君や武也が手を回さなくたっていずれ雪菜とは向き会わなくちゃならなかったんだ。結果はああなってしまったけど、それだって全部俺の責任だし、自業自得だよ」

「……後悔、してるんですか?」

「してないって言えば嘘になる。俺、いっつも雪菜を辛い目に遭わせてばかりで。でも……言い訳に聞こえるかもしれないけど、あの時は本気で雪菜と一緒に歩いて行こうって思ってたんだ」

 

 ――あなたは何年経っても、わたしに嘘をつき続けるんだね。

 

 耳に残る雪菜の声を振り切り、春希は言葉を紡いでいく。

 

「色々と辛くて、限界だった部分もあった。それが雪菜の為だって誤解してた部分もあるよ。それでも雪菜が許してくれるなら、もう一度やり直したいって、そう考えてた。かずさのことを忘れたふりして雪菜の為にだけ生きていこうって。まあ、結局は全部見抜かれてて、振られたんだけどな」

「小木曽先輩は北原先輩のこと拒絶なんかしてないと思います。本心では、きっと……」

「……」 

「ねえ、先輩。もし、もしもですよ?」

 

 それは単なる思い付きだったのか。小春がもしもという仮定を前置きにして

 

「小木曽先輩がクリスマスに北原先輩を受け入れていたら――どうなっていたと思いますか?」

 

 春希にそう尋ねていた。

 

 

 

「だったら何で、クリスマスに春希を拒絶したんだっ!?」

「かずさ?」

「あたしは……あたしはさ、向こうで春希と雪菜はうまくやってるんだろうってそんなことばかり考えてた。一度二人の関係を壊したあたしが言えた義理じゃないのは分かってる。でも時間が解決してくれるんじゃないかって……あたしが居なくなった状態なら、やり直せるんじゃないかって――」

「かずさ、落ち着いて」

 

 雪菜に促され、自分が声を荒げている所為で注目を浴びていることにかずさが気付いた。

 少しばつが悪そうに目線を落としてから、改めて辺りの様子を窺うかずさ。そんな仕草で一旦間を作り、彼女は心に平静を取り戻そうとする。

 

「……この三年間、わたしと春希くんがどんな関係だったかは聞いたんだよね?」

「ああ。春希が雪菜から距離を取ったんだろ? でも雪菜は離れていかなかったじゃないか。ならクリスマスは雪菜にとって絶好の機会だったはずだ」

「絶好の機会、か。直前までわたしもそう思ってたよ。待ち合わせをして、街を散策して、レストランでご飯を食べて。ホテルに部屋を取って。あぁ今日からわたしと春希くんの新しい物語が始まるんだって。一からまた始めるんだって、そう思ってた」

 

 テーブルに肘を付いて手を組み合わせ、両手で橋を作る雪菜。そして橋面部分に当たる手の甲に自身の頬をゆっくりと乗せていく。

 

「“ごっこ”みたいな部分はあったと思うよ。ずっと距離が離れてたからお互いどう接していいか分からなくて。でも少しでも近づこうって努力はしてた。だから春希くんがわたしを求めてくれた時、やっと思いが届いたんだって――」

 

 瞳を閉じて語る雪菜。その瞼の裏には当時の光景が映っているのだろうか。

 

「嬉しかった。本当に、心の底から嬉しかったんだよ。――でも、違った。彼は嘘を吐いてたんだ」

「それはっ…………それは、春希は雪菜の為を思って――」

「うん、それは分かってる。春希くんが自分の一番大切な思いを殺してまで、わたしに振り向いてくれようとしてたってこと。けどそれって彼の贖罪なんだよね」

「雪……菜」

「ホテルでわたしを抱こうとしてた直前まで、春希くんね、かずさとお話してたんだよ? アンサンブルの表紙に映ったあなたを見ながら詫びてたんだと思う。彼のことだからバスルームで泣いたんじゃないかな?」

「……ぁ」

「必死に誤魔化してたけど、彼の顔を見てたらそれが分かっちゃった。だから切れたの」

 

 かずさを非難するような声音ではない。かといって春希に対する恨み言を言っている風でもない。ただ雪菜は淡々と事実を述べているだけなのだ。

 

「わたしじゃなかったら……もし春希くんの相手が他の女の子だったらそれでも良かったんだと思う。彼がかずさのことを思い出して辛そうな顔をしても、かずさのことを思って泣いてしまっても、きっと相手の子は気付かない。春希くんもそういう自分を最後まで演じきれると思う。けどわたしには無理」

 

 組んでいた手を崩し、掌で目元を覆う雪菜。しかしその姿勢もすぐに崩すと、視線を目の前のかずさへと合わせた。

  

「だって彼の翳りの向こうに、涙の後に、あなたの姿を見てしまうから」

「……あたし、は……」

「ねえかずさ。わたしはどうしたら良かったのかな? あなたも含めて春希くんを受け入れれば良かった? もうあの頃に――三人には戻れないのかな?」

「雪菜の言う三人っていうのはさ、春希と雪菜がいて、その輪にあたしが入っていくことを指すんだろ? それじゃ駄目だ。そんなのあたしが耐えられない」

「どうして?」

「そんなのは決まってる。――あたしが春希を好きだからだ。雪菜にだって絶対渡すものか」

「宣戦布告……じゃないね。決意表明?」

「いや、どっちも微妙に違う気がするんだけど」

「かな? けどやっと想いを口にしたね、かずさ」

 

 そう言って軽く微笑んでから雪菜が席を立つ。それから立ったままかずさを見下ろし

 

「場所を変えよっか。こんな話の続き素面じゃ出来ないよ」

 

 そう彼女に提案した。 

 

 

  

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