「覚醒」
1ケース目
櫻井 俊
序章
学校。それはとても退屈で意味のないもの。そもそも先生の言っている事が解らない。
「いいかー今日はサッカーの授業だぞー」
体育教師の威勢のいい声。喜ぶ生徒達の声。しかし全く解らない。サッカーってなんだろうか?
あぁ、なるほど。サッカーってボールを蹴るスポーツか。なら僕にはできないな。なぜなら僕には・・・
僕には足が無い。
櫻井 俊 (14)
才弾中学校3年4組。帰宅部。
成績は上の中。趣味はパソコン。
4年年前に事故で右足をなくす。
家族は父親と妹。母は事故で他界。
朝。いつも僕は5時に起きる。今考えたら特に意味はないのだが、気付いたらこの時刻に起きるようになっていた。何か特別な理由があったはずなのだが・・・
顔を洗い終えた僕は食卓に着いた。中学2年の妹の麻里がいつも通り食事を作ってくれる。実に有難いことである。
食事が終わったら学校に行かなくてはならない。
電車に揺られること約30分。僕の通う学校、才弾中学校だ。僕は杖をついてようやく2階、3年4組の教室にたどり着く。
「よう足なし」
僕の机に3人組の男子生徒が現れた。右から佐藤琢磨、近藤敬介、吉田勝である。
「僕には俊っていう名前があるんだけども」
あぁ。もう何回したか解らないやり取りだ。
「そんな名前より足なしのほうがお似合いだぜ」
もう僕のことを俊と呼ぶのは家族しかいないのだろうか。
そんなことを考えているうちに一日が終わってしまった。時は流れるのが早い。それを決定付けるのが4年前の事故だ。
4年前ー
僕は確か母と歩道を歩いていた。暑い夏の日だった。
そして昼の2時14分47秒、僕の人生は狂わされた...1台の自動車によって・・・
僕はなき叫んだ。母は僕に覆い被さった。
一瞬だった。一瞬で一輪の花、一人の人間は散ってしまった。母はその事故で死んだのだ。忘れもしない、あの運転手の顔。
しかしその運転手が逮捕されることはなかった。世の中とは残酷だ。何故優しい母が死に、人殺しのあの運転手はのうのうと生きていられるのだろう?
僕はこの世界に疑問をもつと同時に憎んだ。
母がかばってくれたおかげで死にはしなかったものの僕は右足を失った。
その事故が原因だろうか、僕には2つ変わった事が起きた。
1つは性格が変わってしまった。明るかったらしい僕は暗くなってしまった。泣き笑いすることもなくなってしまった。こちらは生活に支障は出ないのでまぁいい。しかし2つ目が厄介なのだ。2つ目は
4年より前のことが思い出せないのだ