サブタイトルとか『with』つけたら大変だろうなと。
…でも考えなおして良かったらまたつけると思います。
優柔不断でごめんなさい
-あなたを描きます。
あの言葉を描いて以来、興味本位でこの絵描き屋を覗く人たちが多かった。
そして、時にはそのまま、自分の似顔絵の依頼などをしてくる人もいるのだった。
「…はいどうぞ。」
明香はその言葉とともに、いつもお世話になっている花屋のお姉さん…らしい、見た目40代の女性に、似顔絵を渡した。
その女性はその絵を見るなり、顔を明るくして、
「あら…そっくり!ありがとうね、明香ちゃん!」
「いえ、いつもお世話になっていますから。」
「ああ…そういえばそうね。」
「あら?」その時、その女性は気がついた。
「どうしました?」
「いえ…お花が…見当たらないなってね。」
-花を買って、それで色をとり、絵を描いている。以前霊夢達に言った通り、そのことは秘密なのだ。
しかし、明香は慌てず、
「ああ…それなら、向こうの机の上に。」
明香が差した方を女性が見やると、確かに花が、植木鉢に入っている。
一番最初に買った、自分の髪の色に似た紫色の花だ。
「あら…確かにあれは私のところの花ね!大切にしてもらってありがたいわ~…。」
そう言って嬉しそうに立ち上がると、「また買ってね!」と言って出て行った。
「ありがとうございましたー。」
明香はそう言って、一息ついた。
…そして、机にもどると、あるものを取り出した。
「…これ、便利だなぁ…。」
天の川を描いた時に、魔理沙から受け取ったのは、一本の、六角形をした棒。先が黒く尖っており、その先端で紙などに線が引ける-外来でいう、「鉛筆」である。
明香は、暇があればそれを使って絵を書いているのだが、筆よりも絵の描きやすさがまったく違ったのだ。線が太くなり始めたら、ついでに一緒にもらっていた、穴の中に鉛筆を入れ、鉛筆を回すと嵌めてある刃で周りが削れ、先端が細くなる-「鉛筆削り」を使えば、また元通りに細い線が引けるのである。
「…外来ってすごいな…。」
しかし、その鉛筆も、すっかり短くなって、持つのにすら苦労する小ささになってしまった。
「新しいのがほしいわね。」
と、そこへ聞き覚えのある声が。
「よっす、どうだ、営業の調子は?」
霧雨魔理沙だった。
「あ、魔理沙さん。ええ、おかげさまで、あなた方が来る前よりはお客が来るように鳴りました。」
「そうか、それなら良かった。」
と、そこまで言うと、魔理沙は言葉を切り、少し真剣な表情で、
「…ところで、明香、妖魔本って知ってるか?」
「え?妖魔本…ですか?」
明香は少し考えたが、そんな言葉は聞いたことがない。おそらく、魔理沙は魔法使いだから、妖魔本というのは、何かの術式や魔法陣が描いてある本-グリモワールのことだろうと、明香は思った。
当然、そんなものは、名前で聞いただけで、実物なんて見たことがない。
「いえ…?そのようなものは知りませんが…。」
「あ、そうか、ならいいんだぜ。」
「…?」
「ところで明香、私がやったそれ、もうそんなに短くなったんだな。」
「え…ああ、そうですね。魔理沙さん…新しいの持ってませんか?」
すっかり短くなった鉛筆を見せながら、明香は魔理沙に聞いた。
すると、魔理沙はその言葉を待っていたかのように、
「そうだな…私はもう持ってないが、売ってる店なら知ってるぜ?」
そう言って、魔理沙は箒を持つと、「行くか?」と言うように、箒にまたがって、明香の方を向いた。
「え、あ、はい、行きます!」
そして、明香は軽く身支度を済ませると、魔理沙の後ろにまたがった。
それを合図にするかのように、箒は浮き上がり、昼下がりの雲一つない青空へと飛び出した。
-風を切って進む。その表現はあまり合わないだろうと思っていた明香だったが、今、魔理沙の箒にのっている状態が、まさに風を切っているものなのだと、魔理沙の肩を掴みながら思うのだった。
鳥にぶつかったら、恐らく只事じゃすまないだろうな、と、そういう恐怖も思い浮かびながら飛んでいる。
-すると、木々が生い茂っているなか、ぽつんと建っている家に向かって、魔理沙は降下を始めた。慌てて明香はしっかりと魔理沙の肩をつかみ、目をつむる。獲物を見つけて急降下する鳥もこんな感覚を味わっているんだろうな、と、再び思った。
「…さて、ついたぜ。」
その言葉に明香はゆっくり目を開けると、先程見かけた屋根の大きさから想像した通りの、それほど大きくない一軒家だった。
そこには、入り口の右に『香霖堂』と描かれていた。
「香霖、約束通り連れてきたぜ!」
そして、入り口前で魔理沙が叫ぶ。しかし、反応がない。その様子に、魔理沙は少しむくれ、
「…ったく、相変わらず店側として成り立ってないと思うぜ。明香、入ろうぜ!」
魔理沙は、明香を連れて店内へと入った。
「ほら、香霖、連れてきたぜ。明香だ。」
その魔理沙の言葉に、白髪の男は顔を上げた。香霖堂店主-
「…そうかい、君が新しいお客?」
「へ?ど、どういうことですか?」
すると、魔理沙はそっと耳打ちをした。
「とりあえず、はいって言ってくれ。」
「え、は、はい。」
この返事は店主に向けられたものなのか、それとも魔理沙に向けられたものなのか。
霖之助はじっと明香を見ると、
「…そうかい、僕は森近霖之助。この店、『香霖堂』の店主をやっているよ。もっとも、働いてるのは僕一人だけどね。」
そう言って、明香のベレー帽を見るなり、
「そうだね…魔理沙からも聞いてたけど、絵を描く道具が欲しいんだろう。それなら、向こうにあるよ。ゆっくり選ぶといい。」
そして、自分が見ていたであろう雑誌に再び目を落とした。
「え、ええ…。」
「さ、あっちだ。行こうぜ!」
-そして、画材があるらしい場所につくと、明香はこう切り出した。
「…あの、魔理沙さん、あの、『新しいお客』って、何なんですか?」
「あ、ああ…あれか、実は、鉛筆を持って行くときに、『今度は新しい客を連れて来てやる』って言っちゃったんだぜ…」
「あ、ああ…お金、払ってないんですね…」
「大丈夫だ、ツケだからな。」
そこまでキッパリと言われると、もはや返す言葉も無い。明香は苦笑を浮かべながら、並んでいる商品を見渡す。すると、一番に目に映ったのは-
「…これは…?」
「ん、どれどれ…?」
いきなり後ろからかかった声に、明香はビクリと肩を震わせた。いきなり霖之助が、明香が持ったものを取ったのである。
「あ、ごめんよ、びっくりさせる気は無かったんだ。ふむ…絵の具だね。」
「絵の具…?」
その道具は、少し柔らかそうな入れ物に、蓋がしてあり、入れ物には、青色が塗られていた。
「ああ、これで絵を描くんだ。このパレットを使って…。」
そう言って、霖之助は絵の具の蓋を外して、その茶色の丸い板-パレットに、青い半固体の物を出した。
「わ…。」
「どうだい、水干絵具には、ここまで綺麗な青は無いだろう?」
「え、ええ…。あと、鉛筆とかも欲しいのだけれど…。」
「ああ、勿論あるよ。こっちだ。あと、色鉛筆っていうのもあってね…」
その話ながら歩いて行く二人の姿を見て、魔理沙は微笑んだ。
-香霖の品物の説明が長いのもあり、日が傾き始めていた。
「…結構買ったな。」
「ええ…若干予算を超えちゃいましたけど…収穫は十分ですよ。」
明香が買ったのは、鉛筆、消しゴム、色鉛筆、絵の具、パレット、Gペン、インク…こんなところだろうか。
「…あ、あの、魔理沙さん、飛べます?」
「え?ああ、大丈夫だぜ、それくらい、私が持ち帰る量に比べたら優しいもんだ。」
「そ、そうですか、良かった…。」
明香は一安心し、魔理沙の後ろへ、再び跨った。そして、今度は沈みつつある夕日をバックに、飛び立つ-
「…あの、魔理沙さん…。」
「ん?なんだ?」
「どうして、私にこんなによくしてくれるんですか?」
その言葉に、魔理沙はちょっぴり照れくさそうに頬を掻くと、
「…それを説明するには、ちょっと見てもらわなきゃな。」
そう言って、魔理沙は一枚のカードを取り出した。
「…それは?」
「ああ、『スペルカード』。私達が
そして、少し薄暗くなってきたなか、魔理沙は微笑んだ。
「…しっかり目…いや、全身に焼き付けろよ。星符『ミルキーウェイ』!」
すると、魔理沙と明香の周りに、様々な色をした星々が、魔理沙の性格を表すように明るい輝きを放ちながら、周りへと拡散していく。
「…わぁ……。」
「…綺麗だろ?こういう風に、皆は、自分の好きなものをスペルカードにするんだ。…私は、子供の頃に見た、満点の星。それをイメージしたんだ。」
「じゃあ…私に星空を依頼したのは…。」
「ああ、また、あの時のような星空が見たい…そう思って、依頼したんだ。」
-そして、その依頼をしているときの私の顔。おそらく、今日見た、香霖と明香の、新しいものを発見したり、自分の好きなことをする顔。きっと、それに近かったんだろうな。
「…え、期待に…添えられました?」
「ああ、十分にな。まさに、私が思い出した星空に、そっくりだった。」
…魔理沙は一息つくと、魔理沙の放った星々の光に照らされながら、満面の笑みで言った。
「-ありがとうな!」
…1000字あっさり超えました。いや、ネタをまとめるって大事ですね…(汗)
最初の花屋のおばちゃんとの会話は入れなくても良かったんじゃないかなと思う今日この頃です。
そしてここまで書いて、この話の終わりの上をいく話を書けるかどうか早くも危惧し始めています(震え
次回から、第二画です、客も変わります。
正直なところ、第一画は画材集めないとこれから話にならないなと思ったので…(
魔理沙さんはまたでますよ、客としても…多分(
では…次回
第2-1画、『縛り、縛られる蒼』
-次はあなたを描きましょう。