-結局あの後、休み時間が終わると同時に明香は寺子屋を出て、帰路についた。
「…何かに縛られている……。」
明香は家につくなりそうつぶやき、即座に準備をして絵を書き始めた。
その表情は、魔理沙の依頼を受けた時のような真剣な表情だったが、その時とは違い、考えを整理するかのように、時々表情を険しくしながら、高速で筆をすすめる。
この状態に入った明香は、一々全体を確認するなどはせず、自らが思ったことを忘れないうちに、一気に書き終えるのである。
今回も例外ではなく、30分もしないうちに、最後の紺色を塗り終わった。今回は、墨と、香霖堂から買ってきた水彩絵の具で書き上げた。
明香は静かに、その絵を見据える。
-その絵は、慧音の青い服と帽子を着ている黒い人型-おそらく慧音だろう-が、鎖に縛られている絵だ。
さらにその絵には、鎖で縛っているであろう人々が、赤い人型で描かれていた。それは-
「よっす、調子はどうだー?」
と、その時、入り口で魔理沙の声が響いた。
はっと明香は絵を描いていた状態から戻り、この絵を見られたらまずいと思ったのか、慌てて片付けようと腕を上げたが-
「…ん?なんだ、その絵?」
いつの間にか奥まできていた魔理沙に見られ、上げた腕は力なく降ろされた。
そもそもまだ絵は乾いていない。この状態で片付けたりなどしたら、絵は酷いことになるだろう。
魔理沙は最初、明香の絵を見て驚愕と困惑の表情を浮かべていたが、いつの間にか、ただその絵をじっと見つめていた。
そして、明香に声を掛けた。
「……なんというか…なあ、朱莉。」
「え、は、はい、どうしました?」
「…これ…慧音だよな?寺子屋で教師をやってる…。」
確認のためか、魔理沙は黒い人影を指差しながら問う。
明香は何も言わず、ただ俯きがちにうなずいた。
そして魔理沙は、赤い人型を指差しながら-
「……この慧音みたいにはっきりしたものはわからないが…子供…大人、後は…妖怪か?」
今度は明香は頷くことすらもしなかった。
その赤い人型は、三組に分かれており、大きな人型、小さな人型、そして、異型の影をした人型の3組だった。
「……そうか…。」
-また、見ることができるなんてな-
魔理沙はその言葉を言わなかった。
「明香、この絵…どうするつもりだ?」
「え…?」
「…ここまで描いたんだ、この絵‥いや、この後、どうするんだ?」
この後。魔理沙に言われてみば、自分はこの後、何をするか決めていなかった。
「なら、いい案があるぜ。」
「いい案…?」
「…一つ、その慧音の話を誰から聞いたのかは知らないが、その人、慧音の種族はなんだと言っていた?」
魔理沙は近くにあった椅子にやや乱暴に腰掛けながら、明香を指差した。
「ああ、それなら…妖怪…あれ?」
「そうだな、お前が言いよどんだのも無理はないな。何せ、妖怪らしいところは無いし、あいつも妖気を最小限に抑えてる。」
そして、と魔理沙はこぶしを作り-
「今日は満月だな、夜、里の見回りをしているあいつを見てみるといい。もし来てなかったら、寺子屋の向かいの家を見てみるといい。鎖が解き放たれた妖怪の姿が見ることができるぜ。」
そう言いながら、何かを放つように、拳を開いた。
-夜。
明香の答えは最初から決まっていた。
夜、一人、昼間の賑わいがウソのように静まり返った人里を歩く。
-鎖から解き放たれた…妖怪…
そう考えた時、一つの考えが頭をよぎり、明香は思わず足を止めた。
しかし、ここまできてしまったからにはと、浮かんだ考えを振り払い、歩を進めていく。
「……。」
そして、明香は寺子屋の向かいで足を止めた。
外からでも分かるくらいの殺気に似たようなものが中から放たれている。すると、低い唸り声が、中から聞こえてきた。
「っ……!?」
思わず明香は後ずさる。
すると、目の前の扉が開き、その妖怪が姿を表した-
-緑。見た目は慧音だ。しかし、髪が緑に変わり、角が生えている。
そこから放たれる殺気も相まって、明香にはそれが慧音とは程遠い、とてつもなく恐ろしい妖怪に見えた。
そして、妖怪は明香を赤い瞳で睨む。
-動けない。
妖怪が明香に一気に詰め寄り、爪で引き裂こうとした刹那-
「夢想亜空穴!」
霊夢が素早く妖怪を蹴飛ばした。
「-!?」
いきなりのことに妖怪は困惑するが、素早く受け身を取り、今度は霊夢に標的を定めた。
しかし、今回は跳びかかりはせず、弾幕を大量に放ってきた。
霊夢は素早く空に飛び上がった。恐らく人里の被害を最小限に抑えるためだろう。
「最近、猛獣かどうか、分からない声がするって人里から話を聞いてたから見張ってたけど…
そう言って霊夢はカードを取り出す。明香がそれがスペルカードと気がつくのに、そう時間はかからなかった。
「霊符『夢想封印』!」
霊夢がスペルカードを宣言すると、七色に光る弾を10球、慧音に向かって放った。
慧音はそれを俊敏な動きで避けると、スペルカードを掲げただけで、魔法陣を展開して、自分は大玉を3つ、霊夢に向かって放ち始めた。-産霊『ファーストピラミッド』である。
「っ…!
そう叫び、霊夢は警醒陣を配置して弾幕を防いでいく。
「…あれが…スペルカード……。」
呆然と明香は二人の様子を眺めていた。
魔理沙が楽しそうに話していたが、二人の雰囲気は全く違った。
ふたりとも負けるわけにはいかない-殺気にあふれていた。
-私は、こんな争いの道具を作る手伝いをしたのだろうか。
明香は二人の争いをみることから逃げたいと思った。
-その後やってくる流れ星を見るまでは。
「彗星『ブレイジングスター』!」
動画見ちゃったら駄目ですね()
完全に集中力切れました
まあキリが良かったのでここで切りました
…原作やりたいなぁ。Windows10に変えてから紅魔郷ができなくなって…
おかげで原作が花映塚と非想天(則)しかないっていう…
…さて、次回です
第2-3画 『見出された光』
-次はあなたを描きましょう。