カンピオーネ! 草薙護堂転生 あれ?   作:岐山

1 / 5
プロローグ

 俺の名前は……。えーと、えーと、なんだっけ。っていうか俺今何しているんだっけ。……。そうだ。思い出した。今ちょうどトラックにはねられているところなんだ。

 

はっはっはー。大事なことなのに忘れていたよ。今俺の視界はとてもゆっくりと動いている。視力はアニメの見すぎで悪いはずなのだが五十メートル先の人の表情までわかるぜ。なんで驚いた顔をしているだろう。そうか、人が車にはねられているところを見たらそれは驚くにきまっているぜ。はっはっはー。……。俺、…痴呆症かな。やべー、病院行かないと。保健証はっと。

 

ってそれどころじゃねえ。今、まさに死にかけている最中じゃねえか。なんか体感時間ナゲ―――。っていうかー、なんていうか、俺なんで死にかけているんだっけー。実は、トラックにひかれそうになっていた子供を助けようとして、子供を助けた代わりに俺がひかれてしまったのさ。ふっふっふー、さすが俺。いけてるーーー。はい、嘘です。見栄を張ってしまいました。

 

ごめんなさい。誰も聞いてないのに思わず見栄を張ってしまう俺って……。Orz。俺って見栄っ張りの上に天然が入っている(友達からの評価)らしいんだ。だから、いつも周りから盛大に勘違いされてそれを現実にしようとして失敗するんだよな。お前はラノベの主人公のお笑い要員の友達(バカやって主人公を引き立てる役)だって友達に言われる始末だし。そんな評価、ち、ちっとも嬉しくなんかないんだからね。うん、まじでへこむ。

 

それはおいといて、実際のところブラック企業に勤めているんだが、朝、くそ上司から電話がかかってきて、今日の朝までの仕事を無理やり押し付けられたんだよ。自分の仕事ぐらい自分でやれよ、っていうか、今頃押し付けるなよ。その仕事一週間前、やらずに会社の金で仕事とかいって遊びに行ったお前が悪いんだろ。はあはあ。思わず愚痴になってしまったぜ。

 

そういうわけで朝起きたらすぐに着替えて会社に向かっていたんだが、急いでいたので赤信号なのに横断歩道を走ってわたっていたらすぐ右の角からトラックがやってきてドカン、ぴゅーー。今現在ここ。っていうわけさ。どう見ても俺が悪くね。トラック運転者の人、誰か知りませんが、ごめんなさい。人生山ありゃ谷ありさ。そのうちいいことあるはずだよ。うん、本当に(;´Д`A ```。

 

でも、こんな死に方嫌だなあ。こんな終わり方すると知っていたなら、若いうちに勉強やら運動やら頑張っておけばよかったなあ。たとえ、死なずに済んだとしても体が不自由になるだろうし、会社は首になるんだろうな。あーあ、俺の人生、一体何だったんだろう。もう一度やり直せたら、今度こそ……。

 

ぐっしゃっ。

 

男はそう思いながら、死んでいった。男の死はニュースで取り上げられたが、人々の頭の中からそのことはすぐに消えていった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。