カンピオーネ! 草薙護堂転生 あれ?   作:岐山

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第一話

真っ暗だ。何も見えない。本当に周りが真っ暗なのか、それとも俺の目が全く見えていないのかすらわからない。そんな状態なら本来不安や恐怖を感じるはずなのだが、俺が今感じている心情はなぜか安心感だ。何か暖かくて優しいものに包まれているような幸福感を感じている。ここから一生出たくないと思えるほどに。そんなところに水だろうか、何かの液体にぷかぷか浮いていた俺は突然の大きな揺れを感じた後、その暖かな空間から何かしらの力により追い出されてしまった。ニートでいいのに。なんで家から追い出すんだよ。というニートの気持ちがわかってしまったぜ。

 

 「元気な男の子が産まれましたよ。お母さん、頑張りましたね」

 

「よしよし、ままですよ」

 

急に周りが明るくなったと同時に中年のおばさんの声と若い美人の女性の声が聞こえてきた。ちなみに事故の影響だろうか、目が見えなかったので声から自分の偏見と独断で姿を 判断した。

 

事故で視力を失うなんて、これから俺は何を楽しみにして生きていけばいいんだ。アニメも見えないんじゃドラマCDと変わらないじゃんと思ってうなだれていると、突然お尻を叩かれた。

 

べしん、べしん。

 

重傷な怪我人に何てことするんだ、この病院は。訴えてやると思い、俺は思いっきり叫んだ。

 

「おぎゃおぎゃーー(何てことするんだ、訴えてやるぞー)」

 

あれ?気のせいかな。赤ん坊の声が聞こえたんだが……。はっはっはー、赤ん坊が近くにいるのかな。まったく、こんなところに誰が赤ちゃんを連れてきたんだ。お茶目ちゃんめ。(汗)

 

 俺はもう一度大声を出してみた。

 

「おぎゃおぎゃーー(ぼくドラえもん)」

 

…………。俺、赤ちゃんになってるぅー。ホワッツ ハプン ウイズ ミー。ノーーーーーゥ。いったい俺の身に何が起こったのだ。はっ。もしかして、医者が「うーーん、これはもうひどいですね。体の半分近くを失っています。普通ならお手上げでしょう。しかし、私にお任せください。もともと死んで当たり前の傷です。一か八かにかけてみましょう。うん、ここはもう使えないから思い切って切っちゃって。ズパッ♡とね。こことここもいらないでしょう。ズパッ、ズパッ♪。こことここは縫ってと、後はめんどくさいから適当につなげればいいや、いいよね。うん、いいともー。なんちゃって。おおー結局赤ん坊ぐらいの大きさになったな。コンパクトになってよかったじゃん、最新鋭だよ、進化だよ。最新型の持ち運びが楽な人間です って自慢できちゃうよ。っていうか、練習台としてめちゃくちゃなことをしたのに何で生きてるんだろう。この人。いい年しておぎゃおぎゃいってるよ。生きれた代償に頭がいかれてしまったのかな。俺知らなーい。つうか、まじ、きもっ。」とかなっちゃてるのかな。そうだとしたら俺もう生きていけないよ。(´・ω・`)ショボーン。いや、ポジティブに考えればこの年でもバブーとかいって若くて美人の女性の胸に飛び込んでも許されるかも。ぐへへへへ。

 

死の間際の反省をすっかり忘れ、バカな想像をしていたくそ野郎は、罰だろうか、この後、長い期間、ドキドキわくわく、地獄の赤ちゃんプレイ、恥ずかちいーをしなくてはいけないのであった。

 

 

 

♦♦♦♦

 

俺は草薙護堂と名付けられ、すくすく育って十五歳になった。どうやら、俺はカンピオーネというアニメの世界に転生したらしい、というのも、自分の名前が草薙護堂だと知った時からこの世界、まさかカンピオーネの世界じゃねと思って、周りの人物とかいろいろ確認して確信したのだ。

 

俺はこの世界を舞台にして紡がれる物語の主人公として生まれたわけだ。だが、俺は原作の護堂のように神殺しになろうとは思っちゃいない。確かに、原作どうりに物事が進むようにすれば美少女からモテモテイチャイチャパラダイスな生活が送れるかもしれない。でもさ、よく考えてみるとさ、そのためには、まず、神を殺さなくてはいけないんだよ。原作でも神は殺そうと思って殺せるわけではない的なこと言ってたじゃん。もしもだよ。そこであっさり、神様に殺されてしまったらどうするんだって話だよね。原作でも少しタイミングがずれたり、運が悪かったりしてたら、あっさり殺されてしまった可能性はあるんだよ。実際、神殺しになるには強運が必要なわけだからね。第一、原作の護堂だから神殺しになれただけで外見が同じだが中身(性格などもろもろ)が違う俺じゃ神同士の戦いの余波だけで死ぬなんてことも大いにありうるわけだよ。おおー主人公よ、物語が本格的に始まる前に死んでしまうなんてなさけない。物語が始まる前に死ぬなんて斬新!なんてことになってみろよ。死んでも死にきれないぜ。

 

その第一関門を突破したとしても、次の試練としてまつろわぬ神と戦い続けないといけないんだよ。原作でも護堂何回も死んでいたし、毎回って言っていいぐらいかなりの回数、重傷を負っていたからなあ。そんな人生御免である。第一神殺しにならなくても幼なじみや親せきの女の子とイチャイチャすればいいしね。まあ。俺が原作の護堂並みにもてればのはなしだが。

 

よって俺は神殺しにはならない。代わりに、女殺しになってハーレム王になってやろうではないかと決意したわけである。

 

原作の護堂は野球をやっていたが、俺は野球ではなく武道をやっている。武道をやっているなんてウルスラグナとの戦いに備えているのではないかと思われるかもしれない。実はその通りである。でも、神殺しになる気はない。ただ、万が一、巻き込まれた場合、死なずにその場から逃げるために武道を習っているだけである。武術が神に通じるかと聞かれたらただのモブである俺がいくら武術を身につけたからって通じるわけがない。ただ、少しでも身のこなしが良ければ巻き込まれたとき、助かる確率が上がるからやっているだけである。俺は主人公として生まれたが俺自身はモブであることは前世よりいやというほどわかっている。

 

友達には「主人公として生まれたモブって矛盾していない。痛い子なのかそうでないかよくわからない発言だよ。つうか、空手、剣道のジュニアの大会で全国優勝した後、俺は弱いからといって、古武術習いに行くモブってそんなのモブじゃねえよ。お前、十分に主人公しているから」とかわけわかんないこというやつもいる。まあ、そいつも俺の友達という時点でモブだから主人公というものがどういうものか理解しきれていないのだろう。悲しいことに、それがモブの限界なのだ。

 

まあ、その話は置いといて、実は現在俺は重大な問題を抱えているのだ。それは俺以外の転生者が原因である。別に転生者が何人いようと俺に絡んでこなければどうでもいいのだが、原作開始の時期が近づいてきたせいで転生者たちが俺の周辺に集まってきているのだ。わざわざ俺と同じ学校に通い始め、俺と顔見知りになろうとしてくるのである。なんか昼休みとか俺のクラスに違うクラスの転生者たちも集まってきて俺の取り合いとかするせいで草薙護堂は男を魅了するホモであるとかいう噂が流れてしまい、現在大迷惑を被っている。しかも、最近では草薙護堂が格闘技をやっているのは実は男と密着したいからだとか男と何またもかけて痴情のもつれを学校で起こしているとか新たなうわさが続々と流れており、一部の親しい友人を除く他の学生は俺ががちのホモだと思って、俺に声をかけられただけで逃げる奴もいるぐらいだ。腐女子どもはホモの会とか作っているらしく、俺を見ながら□□君×草薙君いいとか、○○君×草薙君の方がいいとか好き勝手にしゃべっていやがるし。

俺は前世を反省したおかげで、成績も学内でトップクラスだし、運動もできるから転生者どもが来る前までは文武両道、品行方正な生徒として尊敬されていたのに……。

 

転生者たちとしては俺の代わりにウルスラグナを殺して神殺しになるには俺の行動を詳細に把握して原作介入するのが一番であるとでも思っているのだろうが、俺に迷惑かけるな。何が友達になろうだよ。俺を自分が神殺しになるための道具にしか思っていないくせに。作り笑いを顔に張り付けて俺によって来ても目が笑っていないのがわからないとでもおもっているのかねえ。

 

俺には原作では存在しなかった草薙剣間という弟がいるのだが、おそらくこいつも転生者であろう。なんでわかるかというと、祖父にしょっちゅう、何か知り合いの物を返す時には自分に頼んでくれといっているからだ。祖父がこないだ俺に「あいつはしつこい奴だのう。何かを企んでいるかのようで不気味だわい」とか言っていたし。魔導書を利用したいならそれ逆効果だぞといってやりたくなったぜ。まあ、そんなこといわないがな。だって、昔あいつに「俺が実は前世が偉大な存在だったらどうする」っていったら、あいつ、「お前、もしかして転生者なのか。主人公が転生者とかふざけんなよ。この世界の真の主人公は俺なんだからな。お前が死ねばいいんだ。安心しろ、俺がお前の代わりに俺つええーーしながら、ハーレム要員をかわいがってやるぜ」とかいって包丁持って俺を追いかけてきたからな。その時は急いで「何言っているんだよ。俺は仮面ライダーの夢を最近見るからもしかすると俺の前世は仮面ライダーかもしれないって冗談でいようとしただけだよ。お前、もしかして本当に仮面ライダーの敵が前世だったのか」といったら、あいつ、「冗談に決まっているじゃないか。ただのチャンバラごっこだよ」とか抜かして包丁振り回すのやめたんだが、あの時本気だった。ものすごい殺意を感じたからな。

 

はあ~。転生者どもめ、さっさと神を殺すか殺されるかして俺の近くからいなくなってくれないかな。このままだと転生者どものせいで俺の人生がめちゃくちゃになってしまう。

 

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