カンピオーネ! 草薙護堂転生 あれ?   作:岐山

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第二話

みんなホモ達~の草薙護堂で――すって何言わせるんじゃい。

 

どうやらとうとう原作が始まるらしいです。なぜそんなことがわかるかっていうと、今ちょうど俺はじいちゃんに石板(プロメテウスの秘笈)をイタリアにいるじいちゃんの知り合いに私に行ってくれって頼まれている最中だからだよ。ルクレチア・ゾラって確かめっちゃスタイル良かったよな。石板渡しに行ったついでに童貞も渡しちゃおうかな。ぐへへへ。

 

っは、いかんいかん。俺は前世を反省して後悔しない生き方をするんだった。おのれ、ルクレチア・ゾラめ。これも魔女のなせる業か。危うく引っかかるところだったぜ。

どこからか「この子お馬鹿な子」と聞こえてきた気がするが空耳だろう。

 

ってこんなバカなこと考えている場合じゃなかった。俺はまだこんなところで死にたくないから行かないぞ。神に殺されてしまうことを警戒していたがその前に弟に殺されそうだわ。だって後ろでカッターを持ちながらぶつぶつつぶやいているんだよ。

 

「神殺しになってチート&ハーレムをするのは俺だ。俺がこの世界の真の主人公なんだ。俺の邪魔するモブたちは殺してやる。殺してやるからな。俺の物語を壊そうとする寄生虫どもめが」

 

おい、聞こえているぞ。わざとなのか。わざとやっているんだよな。そのカッターも脅しのために持っているだけだよな。本当にいけない使い方しようとしていないからな。お兄ちゃん、説教しちゃうぞ。激おこプンプン丸だからな。ガタガタ:;(∩´﹏`∩);:

 

俺は目の前にいるじいちゃんの顔が引きつっているのを見ながら、

 

「じ、じいちゃん。剣間(弟)が行きたそうだからその役目剣間に譲るよ。じゃあねー」

 

そう言い放つとじいちゃんが何か言う前にすばやく自分の部屋に戻った。後ろからじいちゃんの声が聞こえたような気がしたが気のせいだろう。

 

「あーあーー、聞こえない。ぼくちゃん、何も聞こえない」

 

俺は自分の部屋に入ると俺がイタリアに行かない場合、この世界にどのような影響が出るのか考えてみた。原作通りにいかないとエリカ・ブランデッリやサルデーニャ島に住んでいる人々がどうなるかは予測できない。人的被害が出る前に他のカンピオーネが神を殺してくれるかもしれないし、神々の戦いに巻き込まれて大きな被害が出るかもしれない。大勢の人が死んでしまう可能性がないとは言い切れない。むしろ、神達の戦いを終わらせるはずだった草薙護堂がいないせいで、サルデーニャ島の住民の何人も死んでしまう可能性が高いのではないか。でも、俺はスーパーマンではないのだ。モブたる俺がどうしようと世界に大きな変化は出ないだろう。出ないはずだ。なら、誰だって死なない道を選ぶにきまっているじゃないか。他の転生者たちも原作が始まったことに気が付いているはずだ。俺にまとわりついてきた奴らの誰かが神殺しになることだって十分にあり得るのだ。誰かが神を殺してくれるに違いない。そうに、決まっている。俺が行ったところでなにも変わりはしないんだ。俺は心にもやもやしたものを抱えながら言い訳を念仏のように唱えつつベットに寝転んだ。

 

 

翌朝、部屋に日が差し込むのを感じながら目が覚めた。

 

「………。あれ、知らない天井だ。確か昨日、じいちゃんの頼みを断った後、そのまま、寝ちゃったんじゃなかったっけ。なんで見知らぬ天井が視界に存在するんだろうか。はて?」

 

俺はまだ頭が半分寝ている状態で考えてみようとしたが眠気が襲ってきた。

 

「そうか。これは夢だ。ははは。リアルなくせに変な夢だなぁー。全くこんなリアルな夢ならばもっといい夢を見せてくれればいいのに」

 

俺は目をごしごしこすりながらぶつぶつ独り言をつぶやくと、もう一度寝ることにした。

 

1,2時間たっただろうか。俺はすっきりした気分で目が覚めた。

 

「……。知らない天井だ」

 

朝日を浴びるためにカーテンを開けると、眼下にカラフルな街並みが見えた。

思わぬ事態に目をごしごしこするともう一度見てみる。

変化なし。

強く頬をつねってみる。

 

「痛い」

 

俺はわけがわからなくなって大声で叫んだ。

 

「なんだよこれーーーーーー」

 

ガチャ

 

俺が茫然としていると、扉が開いて剣間が現れた。普段は弟である剣間とはほとんど話さないので仲がいいとは言えないが、困ったときの神頼みとばかりに剣間に質問を投げかけた。

 

「なあ、ここがどこか知っているか」

 

剣間はテンション高く答える。

 

「ここはサルデーニャだ。イタリアのサルデーニャ♪」

 

「イタリアだと。お前がここにいるのは分かるがなんで俺がここにいるんだ。俺は昨日、自分の部屋で寝たはずなんだが」

 

「お前がなんでここにいるかだって。俺が連れてきたからに決まっているじゃないか。いや、正確には俺たちが連れてきたというべきかもな。お前は幸運な男だよ。俺が神殺しになる瞬間に立ち会えるのだから。それよりも、聞いてくれよ。寝ているお前をイタリアまで連れてくるの大変だったんだぜ。俺に感謝しろよな。俺は器が大きいから何も対価を要求しないが本当なら「ふざけるな」」

 

剣間が俺の疑問に対してさも当然のことのように答えたので、俺は頭にきて思わず怒鳴ってしまった。

 

「何怒ってんの。ふざけんなよ。神殺しになることが決定してる人間にそんな態度取っていいと思ってんのか。不敬罪で殺すぞ。てめぇなんか俺より少し早く生まれただけのモブにすぎねぇんだよ。俺がこの世界に生まれた時点で、てめえは主人公からモブに成り下がったんだから、調子こいたこといってんじゃねえぞ。まじで殺すぞ」

 

剣間は俺にそう言い放つと、自分のやや乱れた長い髪をばさりと払いのけて部屋から出て行った。

 

俺は奴の言葉に怒りのあまりその場で奴に殴りかかりたい気持ちをどうにか落ち着かせるのにしばらく時間がかかった。本当ならぼこぼこにしてやりたいところだがあいつはこの世界が本当に自分のために作られた世界だと思っているので人を人だと思っていない。人をゲームのキャラクターかなにかと勘違いしているのだ。だから奴は自分にとって邪魔な存在だと思ったら、本当に人を殺しかねないのだ。ゲームの中でPKをするのとこの世界の人々を殺すのは奴にとって同じ行為である。

 

この考えは俺の主観じゃない。奴は実際人を殺そうとしたことがあるのだ。俺が十歳の時だった。奴は不良にカツアゲされて、それに反抗しぼこぼこにされて家に帰ってきた。しばらく憤怒の顔で家でごそごそやっていたので不振に思って、後をつけたら不良達のたまり場となっていた廃工場の倉庫の周りに灯油をかけて火をつけたのである。不良達が中にいる状態で。俺は焦って消防署に電話をすると奴を無理やり家に連れて帰った。幸い死者は出なかったが俺は思わずぞっとした。その時の奴は俺にこう言ってきたのだ。「NPCの分際で世界の主人公たる俺に逆らってなんであいつら生きてるんだろう。ちゃんと殺しに行かないと」と。俺は家族が殺人罪で捕まるなんて御免だと思い、奴を必死に説得した。結局、奴は「確かに警察に捕まっても主人公の俺なら問題ないが、一晩拘留されたらめんどくさいな。まあ、俺に逆らったんだからどうせ死ぬだろうし」。そう言って奴はやめてくれたのだが、その後その不良達が交通事故で死んだというニュースを見て奴の転生特典というべき能力を使ったんだろうと俺は確信した。俺たち転生者は生まれつき特異な能力を二つほど持っている。なぜかは知らないが。これが転生者たちの自分たちは選ばれた特別な人間だという勘違いを増長させているんだろう。剣間程ひどい考えの奴はほとんどいないが多かれ少なかれ転生者たちのほとんどの考えはひどいものである。ほとんどの転生者たちはこの世界を本当の意味で自分たちが生きていく現実だと認識できていないのだろう。テストも能力を使ってカンニングしたり、成績優秀な奴の知識を能力で奪ったりとし放題だ。俺は被害者を百人ほど知っているが、被害者は俺が認識できている人数よりもずっと多いだろう。俺が転生者だと彼らは知っていないので俺は被害にあわないように気を付けているがかなり大変である。奴らには困ったことだが、俺はカンピオーネという物語の主人公の草薙護堂なので、俺が転生者だとばれるとまじで殺されかねない。現実なんだから主人公なんてどこにもいないといったって通じやしないのだから。野球をやっていないだけで疑ってきたりしたが、そこら辺は野球部にいる野球部キャプテン兼エースの散界九浪(転生者)に野球部に入るのは認めないといわれてはいれなかったとそのままの理由を言ったおかげで疑いが晴れたが、その時の見下したような顔はかなりイラッときたもんだ。

 

俺は感情を鎮めると、仕方がないので朝食を食べに食堂に向かった。

 

食堂で他の転生者たちも食べていたが、お互いに腹の探り合いをしていて居心地がとても悪く、せっかくのイタリアの料理も楽しめず味が全然わからなかった。

 

朝食をすました後、彼らは俺の部屋に集まって誰が石板を持つか話し合い始めた。奴らはけん制しあった結果、俺に石板を持たせることにしたようだ。俺はもちろん拒否したがぎらぎらと欲望にまみれた目で拒否権はないといわれ、仕方がないので俺が持つことにした。

 

イタリアの観光をしたかったが転生者たちが俺の近くで互いを見張りながらくっついてきたので、周りからすごい変な目で見られ、観光どころではなかった。こんな状態から一刻も早く逃れたい俺は急いで歩くことにした。

 

ルクレチアさんに押し付けたらすぐにその場から消えてイタリア観光にでもしゃれ込むかと思いながら歩いていると金髪でスタイル抜群の美少女が話しかけてきた。そうエリカ・ブランデッリの登場である。

転生者たちが目をキラキラさせながら、彼女に話しかけに群がった。ご愁傷さまである。周りをきょろきょろした後、唯一話しかけてこない俺に助けを求めるような眼をしてきたが、俺は気づいていないふりをした。可哀想だが、俺が彼女と話そうもんなら大変めんどくさいことに成ること間違いなしである。俺はただでさえ妹の静花を彼らから守っているせいでかなり疎まれているのだから。触らぬきちがいに被害なしである。まあ、エリカ・ブランデッリならどうにかできるだろう。

 

結局原作通りに彼女についていくことになった。そうはいっても全員が車に乗るのは無理なので転生特典で車についていける奴らは能力を行使してついてくることになった。彼らの俺の能力すげえだろアピールがうっとおしいことを除けば順調である。さすがエリカ・ブランデッリというべきだろう。うっとおしいと思っているに違いないが、少しもそんなそぶりを見せずに笑顔で彼らに対応している。はーあ、まじ疲れる。

 

イタリア最高の魔女と呼ばれる魔術師、ルクレチア・ゾラの家に着いた時には俺はへとへとになっていた。特に激しい運動をしたのではないのに。俺は日本人恥晒し隊の一隊員として心の中で過去から現在までの全日本人に手を合わせて誤った。俺にはエリカ・ブランデッリも薄らと疲れた表情をしているように見えた。

 

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