ワンピース転生 今度こそ家族を守る   作:岐山

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第二話

ぼんやりとした意識の中、誰かに引っ張られるかのように周りの壁に押し出され、明るいところに出たことを感じた。さっきから漠然とした意識があるのだがどうも頭がぼっとしていて全然働いてくれない。

 

 どこからかおぎゃーおぎゃーという赤ん坊の声が聞こえる中、体を動かそうと頑張るのだが力がまるで入らない。まあ、八門遁甲の全門を開けて生きていられただけもうけもんと考えるしかないだろう。視力が落ちてしまったのだろう。周りがぼやけていて明るいということしかわからない。

 

「私と愛しい彼の赤ちゃんだわ。元気に育ってね」

 

 女性のきれいな声がどこからか聞こえてきたが、その声を誰が発したのか確かめる前に、眠気に負けてしまい、俺は夢の中へ旅立っていった。

 

 

♦♦♦

 

 

 生まれてから幾年か経ち、俺いや、私はすくすく育って七歳になった。どうやらお、私は転生をしたらしい。健康的で何も問題はありませんといいたいところだが、重大な問題が発覚してしまったのである。あるはずのものがない!そう、わたくしめの息子がなくなってしまっていたのだ。てっきり男に転生したと思っていたらなんと女の子として転生してしまっていたのだ。大ショックである。これならば前世の記憶がない方が良かったでござるよ。性同一性障害になってしまったでござる。もうこうなったら腹を切るしか……(錯乱中)。

 

 少し取り乱してしまった。誠に恥ずかしい。一年かけて悩み続けたある日、そうだ、いざとなったら、インぺルダウンに行って、エンポリオ・イワンコフのホルホルの実の能力で男にしてもらえばいいんだと思いついてから気が楽になった。

 

口癖が男の口調で身についてしまっているから母親から強制的に直されて今は一人称を俺ではなく私にしようと日々努力している。まあ、いまだに油断すると一人称が俺になってしまうのだが…。

 

「おーい、遊ぼうぜー」

 

 家の前から友達の声が聞こえてくる。そういえば昨日、明日は海に行く約束をしていたんだっけ。やばい、急いで準備しなくちゃ。

 

「少し待ってて。すぐに行くから」

 

私は返答すると、急いで鞄に詰め込んで階段を駆け下りる。

 

「行ってきます」

 

ベランダで服を干していた母親は俺、いや私の言葉に振り返ると濡れているような大きな紫色の目で私をにっこりと微笑みながら見た。

 

「行ってらっしゃい。あまり遅くならないようにするのよ」

 

少し遅れて長い絹のような光沢のある真っ黒な髪が母親の動きについていき、ふぁさっと羽のように広がった。

 

「わかった」

 

 俺は母親に返事を返しながら、母親に思わず見とれてしまわないように顔を振り向かずにそのまま外に向かった。我が母君は絶世に美女といって差し支えない。もし俺が前世のナルトの世界、又はもうひとつ前のただの日本人だった時に会っていたならば子持ちであることなど関係なしに求婚していただろう。いや、逆に高嶺の花過ぎて満足に声もかけられない可能性の方が高いか。そのくらいすごく綺麗なのである。しかも天然が入っているからとっつきにくい綺麗さというよりも綺麗でなおかつ可愛いといった感じである。

 

おかげさまでしょっちゅう男に絡まれている。それだけならまだいいのだが、たまに人さらいにさらわれそうになったりしてそのたびに私が武装色の覇気でみぞおちに必殺のボディーブローを入れて悶絶させて村長に突き出しているのだ。中には額は高くないが賞金首のいることもあってそれでそこそこ金がたまってしまった。金は必要なのでうれしいのだが素直に喜べん。

 

ちなみに私はこの年ですでに武装色の覇気、見聞色の覇気を使える。なぜか武装色は初めからすぐに使えた。ナルトの世界で体術をひたすら磨いたからかもしれない。見聞色は毎回男に絡まれたり、さらわれたりする母親を死ぬ気で探し回っていたらいつの間にか使えるようになっていた。まあ、母親と外出するたびに神経をとがらしていたら使えるようにもなるだろうよ。その苦労は、…察してくれ。

 

これでも俺が五歳くらいまでは村の皆がいろいろ手伝ってくれていたのだが、我が母も気を使われ続けるのはいやだったのだろう。人さらい撃退用の武器は持たせているのだが、あまり人を疑わない性格なので結構騙されやすい。十回に九回は騙されてさらわれかけているのだ。そのおかげで俺は村の皆から某漫画の名前と同じワンパンマンといわれ、子供たちのガキ大将的な立場になってしまった。いや、父親はどうしたと思うだろう。父親はなんといないのだ。死んだのか、それとも母のもとから去ったのかすらわからない。母以外は誰も我が父について知らないし、母はいくら聞いても父についてはちっとも教えてくれない。聞くたびに父とののろけ話を聞かされ、諦めた。母よ、のろけ話が長すぎる。前世とその前の人生でも結婚したことのない私にとってはのろけ話は吸血鬼に対する日光ぐらいのダメージがあるのだよ。ぐわぁー。

 

そんなこんなで毎日楽しく暮らしている。最近は人さらいの頻度が多くなってきたので母親にプレゼントと称してよくなる鈴とお香を渡しておいた。これで万が一見失ってもどうにかなるだろう。

 

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