綿月豊姫として生きるONE PIECE 作:なんてことだ……
「………」
輝く銀髪を無造作に下ろし、面倒だとでも言うように美しい顔をしかめる。彼はおもむろに手を前にだし、聞き取れないほどの小さな声でなにかを呟いた。
すると鋭い美貌を称えるその
彼の目の前には今にもその存在を消そうとしている影の姿があった。影は力を維持できなくなったのか、己にかけていたものが解かれ、本来の姿をさらしている。だがそれも気にしていないのか、影を包んでいく優しい光に泣きそうな笑みを浮かべ、しかし安心したように目を閉じた。
「【■■■■】……」
目の前の影の名を呟き、彼は顔を
彼は影へと近づいていく。ゆっくりと、床を踏みしめるようにして。そうでもしなければ、彼は嬉しさで影を力一杯抱き締めてしまいそうだった。
「あぁ、やっと……欲しかったものが手にはいる…!」
蕩けるような笑みを浮かべると、彼は影を抱き上げる。体の半分以上を失い、それでも尚“神”としての誇りを失わなかった影。彼は影を労るように自身の力をできる限り影に注ぎ入れる。
ゆっくりとだがその存在を取り戻していく影を満足そうに見下ろしながら、彼は影が生み出した怪奇な紋様を見る。
「『転生陣』か」
それだけ呟くと、彼はその紋様を消し去った。そして、コツコツと足音を響かせながら出口へ向かっていく。
出口につくと抱き抱えている影の負担にならないように繊細な手つきで扉を開ける。そして、身のうちにしまってあった純白の雪のような六対の翼を広げ、バサリと飛び立っていった。
一方、彼等の居なくなった場所は徐々に崩壊を始めている。床は崩れ落ち、天井が腐っていく。その落ちたら先には一筋の光りも宿らない純粋な闇が広がっていた。
闇は触手のようになり、落ちてくる残骸を絡めとる。触手が残骸に触れると何故か残骸が溶け、触手を伝って闇に飲まれていく。
そして、闇はその大きさを増していった。
べチャリと音をたて闇が這い出してくる。それにいち早く気づいた“神”は、闇を閉じ込めるために力を使う。しかし、闇の触手に触れると力が溶け、飲み込まれてしまう。“神”は存在できるギリギリまで力を使うが、闇を閉じ込めることはできなかった。
そして、抗うための力をもがれた“神”は、その存在を闇に絡め取られ、飲み込まれていった。
因みに【■■■■■】の■の数は名前の文字数とは違います。