ZENTO模試が終わったので気軽にss投稿していきます。
では本編を開始します。
俺は平塚先生の後を追いながら考えていた。 俺の心の中には疑問点が数個も羅列しているが、その中でも一番思っているのは『奉仕活動って何するんだ?』ということである。
そりゃ俺だって男だ。 かわいいお嬢様の執事的な存在となるなら御奉仕しますよ。 てか、逢にしてやりたい。 恩返しと称しながら一緒にいたいわ
まず、思いつきで奉仕活動させようってのが既におかしいのだ。 この俺に仕事を持ってきたことを後悔させてやる……!
今向かっている場所が特別棟というのもその奉仕活動に含まれている狂気さが増幅して俺の中でアラームが鳴ってる。 いや、定期的になってるからスヌーズかもしれない。 スヌーズモード早くきれないかなぁ……。、
とにかく、この奉仕活動に嫌な予感しかしない。 俺にだって抗うことができる。 しかし、なんと言えばいいだろうか。 考えろ。 なんのための国語3位だ。 逢に褒められてその日一日中顔のにやけが止まらなかったあの時を思い出せ。
「先生、俺トーチなんで奉仕活動すると消えちゃうんですよ。」
「消えたらお前の存在を認識してるやつはフレイムヘイズ以外いないから酷使できるな。 頑張れ。」
マジかよ……。 返しが完璧やった。 まさか○眼のシャナ把握してるとはあの三十路やべぇ。
俺は感服したためしぶしぶ文句は言わないことにした。 なんなら封絶使って奉仕活動するまである。
「着いたぞ。」
先生が立ち止まったのはなんの変哲も無い教室。 プレートには何も書かれていない。
俺が不思議に思って眺めていると先生はからりと開けた。
さてさて、私の熱い奉仕活動、ホウカツ!始まります! フフッヒ って言って相手を威嚇するべきか迷うな。 そもそも相手がいない可能性もあるからやっぱりやめておこう。
その教室の端っこには机と椅子が無造作に積み上げられている。 倉庫として使われていたのだろうか。
他の教室とはそれ以外は何も変化のない普通の教室。
けれど、そこがあまりにも異質に感じられたのは、一人の少女がそこにいたからであろう。
この子が俺の奉仕活動の御主人とふざける間も無く俺はあまりにもその子の読書姿が絵の一部のようにも見えるくらいの美しさがあり不覚にも見とれてしまっていた。
「平塚先生、入るときはノックを、とお願いしていたはずですが」
端正な顔立ち。流れる黒髪。クラスの有象無象の女子たちと同じ制服を着ているはずなのに、まるで違って見えた。
「ノックしても返事した試しがないじゃないか。」
「返事する間も無く、先生が入ってくるんですよ。」
平塚先生の言葉に彼女はジト目で返す。 ジト目って可愛いですよね。
「それで、その性犯罪者の様な目線を向けてくる人は?」
いつの間にかそのジト目が軽蔑の眼差しとなって俺を捉えていた。 何故分かった。
俺はこの少女を知っている。
二年J組雪ノ下雪乃。
無論俺みたいな一般ピーポーが有名人の顔と名前を知っているだけで話したことなんて一度もない。 てか、俺がまともに会話をするのが逢だけなんだよ。 言わせるな恥ずかしい。
総武高校には普通科9クラスの他に国際教養科というのが1クラスあり彼女はその中でも異彩を放っている。
あ、胸の大きさが紅一点で異彩を放ってるわけじゃないですよ? 確かに慎ましいですが。
彼女は定期テストで毎回一位に君臨する。 マジッベー、ッベー。 定期テストは逢と出会ったあの時から俺にとって勉強会(成功確率1/3)となっている。
そして、彼女の容姿は誰からも注目を集めるほどに優れている。 なんでしょうねこの完璧超人。
てか、雪ノ下さん。 性犯罪者って訂正してください! 俺は性犯罪者になんてならない! 俺が女と見ているのは今の所小町と逢だけだ。 あれ?これやばくね?
「彼は比企谷八幡。 入部希望者だ。」
何か今おかしい言葉が聞こえた。 NYUBU? はっはっは、冗談はやめてくださいよ平塚先生。
「入部って何の話ですか……。」
思わず突っ込んでしまう。
「平塚先生、話してないんですか。」
雪ノ下は額に手を当て頭を悩ませている様子。 平塚先生が中々やばい。
「おっと、話してなかったな。 君にはペナルティとしてここでの部活動を命じる。 異論反論質問抗議口答えは認めない。 しばらく頭を冷やせ。 反省しろ。」
さすがにこれは文句を言いますよ私は。 Noも言える人間になろう!
「なんでですか……。 先生の友達がいるかって質問にいるって答えただけじゃないですか。」
「ほらそれだよ。 信用ならない。」
このアマ……! 俺を舐めすぎである。
「えぇっと……そこの……」
雪ノ下がこっちを見ていた。 そう言えば名前言ってなかったな。
「二年F組の比企谷八幡だ。」
「ありがとう。 比企谷君、確かにあなたが友達がいるって言うのは信じられないわね。」
なんなんだこいつらは。 人をなんだと思っている。 ……まぁ、逢が話してくれなかったら今頃もぼっちだな。
「だろ、雪ノ下。 と言うわけで比企谷を入部させたいのだが。」
「お断りします。」
雪ノ下さん? 流石優等生だな。 俺には入部させなくてもいいくらい分かってくれるか。
「そこの男の下心に満ちた下卑た目を見ていると身の危険を感じます。」
「………………」
お前の慎ましい胸元なんて見ねぇよ! ……いや、本当ですよ? ほんとほんと。 オレウソツカナイ。
「安心したまえ、雪ノ下。 その男は目と性根が腐ってるだけであってリスクリターンの計算はばっちりだ。」
「何一つ褒められていねぇ……。 全然違うんですが。 俺は常識人なんで常識的な判断ができると言ってください。」
「彼は確かに先生がおっしゃった通りの性格のようですね。 ……まぁ先生からの依頼であれば無碍にはできませんし……。 承りました。」
すごい嫌そうですね雪ノ下さん。
「そうか、ならよろしく頼む。」
先生は満足そうに頷きそのまま帰っていった。 ……あのー? 百歩譲ってこの部活に入るのはいいんですが何をする部活なんでしょうねぇ……。
そんなことばかり考えていたせいか気づくのが遅れた。 俺は今雪ノ下雪乃と二人きりでいるのだ。 え、なに? これラブコメ? ラブコメだったの?
そんな訳があるわけがない。 ラブコメ遅れるなら俺に中学の頃から幸せにしろ……とは言わない。 あの事件があったから俺は逢と会えたのだ。 彼女にとって俺と出会ったのは幸せなことかは知らないが重荷になっていないことを出会った時から願っている。
時計の針がチク、タクと進む。 本のページをめくる音が遅く感じる。 つまらない時間ほど長く感じるというがその通りだと思う。
今俺と雪ノ下はなんの接点もない状況だ。 そもそも出会いがあんな会い方では会話もろくにできないだろう。
「ねぇ、比企谷君。」
そう思っていた矢先に雪ノ下から声がかかってきた。
「あなたさっき友達いるとか妄言をつぶやいていたけど実際のところいるのかしら?」
「さっきから何回も言ってるだろ? 居る。」
「じゃあ、その友達を呼んで来てもらえないかしら?」
確かにそれが一番解決方法としていいだろう。
だが、あいつは今帰ってるんだ。 あいつの友達との時間をぞんざいに扱ってはいけない。
「悪いな。 今日平塚先生に呼び出されたから先に友達と帰るよういったんだ。だから今日は呼べない。」
「そう……。 完璧に聞こえる言い訳ね。」
この人まだ信じていませんよ。
「なら、今度連れてくるからその時でいいか?」
「なら構わないわ。」
そこらへんの物分かりはいいんですね……。
てか、忘れてたけどこの部活が何の部活だか聞いていねぇ。
「なぁ雪ノ下。 この部活って一体何をやる部活なんだ?」
「……そうね、ならゲームをしましょう。」
なんでこいつは棗恭○みたいに言ってるんだ?
「ゲーム?」
「そうよ、部活の名前を当てるゲーム。」
なるほど。 単純なゲームだ。
だがな……本当に何をするんですかね。 雪ノ下は本を読んでるだけ。 部活に使いそうな道具もない。
とりあえず、思い当たったものを一つ答える。
「文芸部か?」
本気でこれしか思いつかない。 これで外れたらギブアップも辞さない。
「違うわ。」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ。 マジかよ、多分俺の顔は今悲壮感にあふれていると思う。
「マジかよ……。 そういえばさっき平塚先生は奉仕活動とか言ってたな……。 ボランティア部とかか?」
ボランティアは部活でやるものではないとは思うが思いつかないので答えてみた。
「違うわ。 いい線だったけどね。」
もう思いつかない。 素直に降参しよう。
「だめだ、思いつかない。 ギブアップだ。」
分かりやすく両腕を上にあげる。 気のせいか雪ノ下が満足気ですね。
「持つものが持たざる者に慈悲の心をもってこれを与える。 人はそれをボランティアと呼ぶの。 途上国にはODAを、ホームレスには炊き出しを、モテない男には女子との会話を。 困っている人に救いの手を差し伸べる。 それがこの部の活動よ。」
いつのまにか雪ノ下は立ち上がり、自然、視線は俺を見下ろす形となっていた。
「ようこそ、奉仕部へ。 歓迎するわ。」
まったく歓迎されてるようには思えないんですけど、雪ノ下。
雪ノ下、由比ヶ浜、戸塚との邂逅場面はどうしても原作リスペクトしてしまう。
流れを変えたりとかしてますけど微々たるものって感じで本当にすみません。
材木座と川なんとか崎さんは出したいのですが出すと佳境までが長くなりすぎてだれてしまうのでおそらくカットとなります。 希望がありましたら感想で材木座出してくれ〜とか言ってください。
それでは次回もよろしくお願いします。