転生神類は平穏がお好き! 作:はらだけーいち
人間、生きていれば相当おかしなことが起こる。
それは、1回死んで転生してしまった僕の持論である。
人間、車に轢かれるなんて良くあること。
そんでもって、神様的存在にあってしまうことも良くあること。
果ては二次創作物にありがちな、ある原作を基にした世界にチート転生することも良くある良くある。
さらにさらに、転生した世界の原作がわからないことなんでザラでしょう。
だって、平凡しか取り柄のなかった僕がそんな経験するんだもん、良くあるに違いない。てか、そう思いたい。
…………とまあそんな現実逃避は置いといて。
僕は転生者である。しかも、主人公の踏み台なることを望まれ、それでいて普通と違うタイプの踏み台に成れ、と無茶振りされた踏み台転生者(予定)。
与えられたチートは、TCG『デュエルマスターズ』の『ゴッド・ノヴァ』関連能力と、『イズモ』系列カードの能力…………要は、神様的存在お手製の怪しげなカードと怪しげな宝石を用いてそれらを召喚したり、なんとかしたりする能力である。
背景ストーリー的には確かにラスボスなので、主人公に倒されることを考えると確かに合ってる能力なのかもしれないが…………主人公側詰まないか?
と言うのも、イズモ系列カードの最上位のカードの能力がヤバイ。
『
僕が『デュエマ』で愛用していたカードだ。
その効果は、その両脇にお供のゴッドクリーチャーがいて、自身を含めた3体が合体すれば、合体しているゴッドはフィールドから離れないというもの。しかも自分のみならず、フィールドにいるゴッド全てに適用される。
コレを攻略する術は、メタ能力を持つクリーチャーを用意せねばならず、しかも2枚のカードのみ。
揃えるまでに時間がかかるという欠点こそ抱えつつも、こいつらを揃えたら大体勝負に勝てる。メタカードも、それらを軸としたデッキを組む必要があるので、実質あってないようなメタである。
…………これが現実世界に適応されたら、傍にゴッドがいる限り、この能力を使えば僕は無敵になれるということ。
うん、ラスボスっぽいけど踏み台じゃないよね。むしろ「黒幕」だよね。「黒幕」も「黒幕」で出た瞬間手札全捨ての3体合体でシールド全ブレイクと言うのだからおかしい。
…………コレ、踏み台無理だよね。どう足掻いても黒幕不可避。
だから僕は諦めた。
どう足掻いても踏み台化が無理で黒幕不可避なのであれば………善行を積み世界の為に生きていけば、少なくとも黒幕化だけは回避できるんでは?
故に、日々を善行に費やしていった結果。
僕は、元テロ組織のトップになっていた。
組織では『教祖』とか『イズモ様』とか呼ばれちゃってる。
な、なんでこんなことになったんだろう…………単に、悩める人がいればそばに寄って愚痴を聞いたり、職場を追われた人に、どこかで聞いたことのありそうな助言をしたりしていただけなのに。
そうこうしている内に、気が付けば自称堕天使だの、自称悪魔だの、自称魔法使いだの言う、少し可哀想な人たち(のちに本物と判明)の相談を受け始め、そこからまた自称さん達(のちに本物ry)からの襲撃を受ける様になり、ゴッド・ノヴァやOMGを召喚して迎撃してると、まるで信仰する神様でも見つけたかのようにひれ伏され。
そんなことを続けていたら、いつの間にか『破壊と混乱』を掲げる物騒なテロ組織と相対することになり、その時は少し本気を出して無法神類化し、『
いくらテロ組織と言えど後味が悪かったので、『もうこんなことしちゃダメだよ』という旨を無駄に壮大に語り、更生を試みた。
結果、僕はそのテロ組織のトップに収まることとなり、何故かテロ組織は宗教組織へと変貌…………僕は教祖兼信仰対象として崇められることに。
…………それだけならまだ良かったんだ。充分胃が痛くなる様な内容だけど。
信者達(や、僕はそんなこと認めた覚えはないんだけど!)がかなり膨れ上がり、様々な派閥が生まれ、さらに大きな組織の定めとでも言うのか、腐敗した派閥が増える増えるわ。あと過激派もいて『世界を支配するべきはイズモ様!』とか言うもんだからもう堪んない。
僕自身が善行を積もうにも、もう大っぴらに動けなくなったもんだから慈善事業をしようとし、そこでまた人が増える。そこにお金の匂いを嗅ぎつけたのか、黒い人もたくさん寄ってくる寄ってくる!
そういえば、会社も建ってた気がするなぁ…………胃が痛くなるから概要はあんまり聞いてないけど。一応あまりに悪どいことしてたら僕の『悪行センサー(笑)』に引っかかるし、反応してないから問題は今の所問題ないだろうけど。
…………そんな様々な案件について対応し続ける余り、僕は寝不足&ストレスから胃痛が発生。一応はひよっこ神類なのに、最近胃痛薬とカフェインが手放せなくなってきた。
聖書の神様程影響力は無いとはいえ、新興宗教じゃあり得ないほどの影響力を持つ組織なのだ。しかもよりにもよって、僕の祀られてる。元一般人の僕からすればよく耐えてる方だと自慢したい。
…………でも、一回休憩はさんでもいいよね。
「ねー、ヨミ君いるー?」
「こちらに」
僕の部屋に常駐してくれている、1番最初の僕の協力者。とある事情から、僕に付き従うようになってしまい、友達である…………否、友達だと思いたい僕からすれば頭の痛いことになっている。
「非常に申し訳ないんだけどね、僕しばらく休もうと思うんだ…………なんか、10年くらい月月火水木金金レベルで働いてた。だから、3年ぐらいお休みしても許されると思う」
「…………私としても、イズモ様の要望は可能な限り叶えたいところですが。流石にそれは…………」
「…………うん知ってる。分かってた」
そんなことが無理ゲーってなことは、分かってたよコンチクショウ。
「あー…………一度高校ぐらいは行きたかったなぁー」
ほら、高校生活ってある種の憧れだし。高校1年の春に死んじゃった僕としては、高校生活を謳歌したかったというか。
でも、このまま組織をほっぽり出すわけにはいかんのよな…………ほとんどの人が僕を信じて来てくれた人な以上、害から守りたいと思うわけで。今逃げると、絶対乗っ取られて悲惨な目に遭わせることになってしまう。それだけは勘弁ならない。
「それでしたら、通ってみては?」
「…………ふぇ?」
「いえ、何処か我々の追い切れない場所に行かれるのならまずいことになりましょうが、そうでないのであれば問題は無いでしょう。幸い余程のことがなければ、私はあなたの右腕として指示や手を下すことも可能です」
…………それってつまり、
「通って…………いいの?」
「イズモ様の、思うように」
……………………!
「ありがとうヨミくん! 愛してるぜベイべー!」
「身に余るお言葉です」
よし、そうと決まれば!
「日本地図を用意! ダーツで行き先を決める!」
「…………そ、そんな某ダーツの旅的な決め方でよろしいので?」
「いいんです!」
手元に日本地図とダーツを矢を創造し、部屋の壁に貼り付ける。
「それじゃあいっくよー!」
手元から離れる矢。
そして刺さった場所を確認する。
「『駒王』…………ねーねーヨミくん。これは『こまおう』と呼ぶのかね?」
「いいえ、これの読みは『くおう』でしょう。…………本当に、いいんですか?」
「男に二言はないよ! んじゃ、準備始めるねー」
…………後になって、僕はこの判断を悔やむこととなる。が、それも今となっては後の祭りだった。
♪♪♪♪♪
この話は、とある転生神類の心労の嵩む活動の記録である。
それでは、
『転生神類は平穏がお好き!』
始まり始まりー!