転生神類は平穏がお好き! 作:はらだけーいち
レッドゾーンはなんか生姜から出てくるしベアフガンは大き過ぎる。マスターGは地味に場持ちが良くて面倒だし。
え、モモタルス? あんなんチュートピアとの噛み合わせが悪過ぎてワロスですわ。
何はともあれ。
ヨミ君の読み通り、特に向こうさんからの接触はなく。僕は望んだ通りの平和な学園生活を送れていた。
学生の本分である勉学はもちろん気合を入れて励み、部活動はせず代わりに図書委員会に入り図書館の受付業務に精を出し、友人も寂しい奴とは思われない程度にでき、非常に充実していると言えるだろう。
そしてそんなある日の放課後のことである…………
♪♪♪♪♪
「そういや神城、お前
鞄の中に荷物を詰めて、今まさに図書館に向かおうとしたところ、友人の1人にそんな話を聞かされた。
「へぇ〜、あの兵藤先輩がねぇ〜」
「んだよー反応悪りぃな。俺なんかリアルに顎が外れたんだからな?」
「いやー、他人の色恋とか正直どうでもいいし…………」
これは嘘。興味がないわけではないが、そこまで不思議に思わなかっただけである。
『あの』と言われる『兵藤一誠』先輩は、此処駒王学園高等部2年生。つまり僕らの一個上。
この先輩、この学園ではかなりの有名人である…………悪い方向で。
と言うのもこの先輩、頭にドが付くほどの変態なのである。
朝っぱらから猥談、学園へのエロ本エロビデオの持ち込み、覗きの常習犯…………上げていけばキリがない。ちなみに風の噂によると、この学園へはハーレムを作るつもりで志望し、煩悩を原動力に勉強しまくった結果見事合格したのだとか。エロの心も極めればここまで行くのか、非常に興味深い。
まあそれはそうと、ここまで行くと本当にモテる気あんのかと言いたくなるようなド阿呆な先輩ではあるが…………まあモテる要素が皆無かと言えば、そうでもない。
この先輩、結構なお人好しなのだ。なんでそんなことが言えるのかと言うと、僕自身先輩にお世話になってるわけで。
以前、まだ校舎内を把握してない上に、気軽に話せる人がいなかった4月の頃、移動教室で場所が分かんなかったことがあって。普通なら周りについていけばいいところを、トイレに行ってた所為で波を逃してしまったというね…………。
そこでオロオロしていた所に偶々通りかかったのが兵藤先輩。なんと先輩、自分が遅刻するのを承知で近くまで案内してくれたのだ。…………僕の神類として一番最初の善行が道案内だっただけに、奇妙な親近感を覚えたのはここだけの話。
で、兵藤先輩のことをそれなりに気に留めてると、あの人似たようなこと結構してんでやんの。僕と違って素でやってやがる。ありゃあ生粋のお人好しだね。ぶっちゃけド変態じゃなきゃモテモテになれるんでねーだろうか。嗚呼勿体無い。
それでも、親切にされたらコロッといっちゃう女性もこの世の中にはいるらしい。だから、あまり不思議ではないのだ。
「んで、そんな顎が外れる程驚愕な話を聞かせて、君は僕にどんな反応を求めてたんだい?」
「そりゃあ俺以上の反応してもらって、その面を写真に残し…………ハッ!?」
「ほうほう…………ならバスケ部のキャプテンさんに、君があーんなことやこーんなことを言ってたことを──────」
「わ、悪かった悪かった! だからそれは勘弁してくれ!」
ふっふっふ。この神城イズモを嵌めようとするのが悪いのだ。
「んじゃま、俺は部活行ってくるぜ。また来週な!」
「うん、また来週!」
とはいえ、こんな普通の若者のやりとりができるなんて…………
「(感☆動!!! ありがとうヨミ君、君のお陰で僕は今幸せだッ!!!)」
『(勿体無いお言葉です、イズモ様)』
「(…………いやあのヨミ君? 君こんな思念にまで反応しなくても)」
『(イズモ様からの感謝の言葉を、例え思念と言えど逃すのはイズモ様の右腕として失格でしょう)』
…………うーん、何処かで接し方間違っちゃったかなぁ。まあ、だからと言ってよそよそしいわけじゃないからいいんだけど。
そんなこんなで僕は鞄を担ぎ、委員の仕事を全うすべく、図書館へと向かう。カウンター業務は、そこまで頭使わないので楽でいい。
と、教室から図書館へと向かう道すがら…………
「はっはっは! 見ろ、これが今週末のデートの約束のメールだ!」
「「くっ、くそぉ…………イッセーの癖にィ!!」」
噂をすれば影なのか…………兵藤先輩と、先輩の友達である松田先輩と元浜先輩が視界に入った。あ、松田先輩も元浜先輩も、兵藤先輩に負けず劣らずのド変態である。類友とはよく言ったもので。
まあ、接点があるわけでもないので、普通に彼らの横を素通りしようとした、その時。
『ドクン!!』
「…………ッ!?」
強烈な鼓動音に、思わず振り返る。
しかし、それ以降はその鼓動を感じ取ることができず、僕は歩みを再開する。
あの音は…………一体全体何なんだ?
♪♪♪♪♪
「もしかしたら、『
「ああ、あの」
その日の晩、ヨミ君とチゲ鍋を突きながら今日あったことを話すと、そんな答えが返ってきた。
『神器』……何も三種の神器的なそういうものではなく、文字通り神が創った異能や、武器などの総称。あ、僕が作ったんじゃなくて、聖書の神が創ったもの、システムだけどね。
なんでも、いろいろあるらしく研究対象としても楽しい…………と、ウチの信者の堕天使さんが言ってた。
ちなみにコレはあんまり心安らぐ情報ではないが…………『
「ちなみにイズモ様から情報を提供してもらった『
『クロスギア』……デュエマにおけるカードタイプの1つ。いわゆる装備アイテム。使い辛さが目立つが、大胆な効果や地味に使える効果を持ったものが複数。まあ、僕がいた頃のゲーム環境じゃ、まず使われないだろうが。とりあえずモルネクとガイネクはプレ殿コンビ喰らえこの野郎。
「お、なんか進展あったのん?」
そこでヨミ君が、懐からカードを1枚取り出した。
カード、と聞くとあんまり大したことがなさそうだが…………オラクル教団は物体を特殊なカードに収める技術を有している。…………まあ、僕が神様的なナニカからもらったゴッド・ノヴァやOMGが封じられているカードを研究したから得られた技術だけどね。
そしてそのカードも、何かが封じられたカードであり…………
「ブフォッ!!?」
そこに写っていた封じられたものの絵を見て吹いた。
「ど、どうなされましたかイズモ様!?」
「あーいや、なんでもない。とりあえずそのクロスギアは封印ね」
「な、何か問題な点でも…………?」
いやだって、そりゃ写ってるのが『グランドクロス・カタストロフィー』とか。デュエマ背景ストーリーで世界を終焉に導いた(笑)終末魔導具を作り出すウチの研究員達に、戦慄を覚えた。
いやー、あんまり堕天使さん達が神器について熱く語るからって研究ネタとしてクロスギアの情報投下するんじゃなかった。
「ち、ちなみに試作品としてあと3枚あるのですが…………」
「まだあんの!?」
おずおずとその試作品であろうクロスギアが封じられたカードをさらに2枚取り出したヨミ君から、それらを受け取る。
「…………おおう、コレはコレは」
前世だと、絶対にデッキには入れられないが、今世だと使うと面白そうなクロスギアが、2つ。まあ、前世と効果が同じであれば、だけど。どうもゴッド・ノヴァ、OMG、僕やヨミ君の能力も、前世のカード効果まんまじゃないしね。
「…………で、話を戻すけど。でも神器持ちにしたって、アレは異様だった様な気がするのよねぇ」
「あまり考えたくない可能性ですが…………それこそ、神が危機感を抱く存在、『神滅具』かもしれませんね」
「…………うわぁ」
それ、勘弁して欲しいなぁ…………。
「まあ、まだ鼓動音が聞こえる程度なのでしょう? ならば覚醒はしていないはず。今は静観を貫くべきでしょう。大っぴらに動けないこの駒王町ですから」
「うー…………そうだよねぇ…………」
僕は僕を殺せる可能性がある武器の存在に頭を痛めながら、チゲ鍋から豚肉を掬って頬張るのだった。うん、辛いの旨い。
そういや新パックのドキンダム…………なんか完全不明とかいうトチ狂ったカードが出るらしいですね…………え、ドキンダムX? それこそあいつレッドゾーンでたら沈むじゃないですか(絶望)