転生神類は平穏がお好き! 作:はらだけーいち
A:(作者の頭が)トチ狂ってるからである。
いいじゃんいいじゃん。イッセーを超絶強化させたっていいじゃない。
駒王学園高等部:オカルト研究部。通称『オカ研』。学園の二大お姉様と呼ばれる『リアス・グレモリー』先輩と『姫島朱乃』先輩に、入学してまだ2ヶ月目にして学園のマスコットポジションを得ている『塔城小猫』同級生、更には学園一のイケメン『木場祐斗』先輩と、学園の綺麗所が集まっている謎集団。いろんな意味で目的不明な作戦を決行しているらしい怪しい文化系クラブである。
が、しかし。それは所詮世を偲ぶ仮の姿。
オカルト研究部は、上級悪魔リアス・グレモリーと、彼女の眷属悪魔の集団なのだ。
眷属悪魔……というのは説明すると面倒なので省くが。まあ上級悪魔が与えられる特殊なチェスの駒で下僕として悪魔に転生しちゃった元非悪魔の方々を指す。
で、なんでこんな説明口調で現在確認をしているのか。
…………今、そのオカルト研究部の部室にいるからなんですよねぇ。
さて、夕方の公園から変わって、僕と兵藤先輩とグレモリー先輩は駒王学園オカルト研究部部室へと。来客用のソファに一応座らせていただき、紅髪悪魔さんからの射抜くような視線に耐えてるわけです、ハイ。
ま、そんな状況に陥ってるのは何も僕だけでなく。
「…………あ、あのー」
ピリついた空気に耐えられなくなって声を出しちゃったりしてる兵藤先輩も、いた。というか先輩、グレモリー先輩の胸部に視線行き過ぎ。この状況でもそんなんとか呆れを通り越して尊敬しちゃう!
「ふう…………そうね、敵意をむき出しにしていたら、話すことも話せないわね。とりあえず、お互いの素性は後回しにしましょう。異論はあるかしら?」
「いえ、むしろありがたいですグレモリー先輩」
よ、よかったァッ!!! この空気に耐えられないのは僕もだったんで、今すっごい楽になりましたッ!!!
「まずはそうね…………堕天使からこの学校の生徒を守ってもらったこと、感謝するわ。本当に、ありがとう」
「お気になさらず。むしろ、無断で貴女の縄張りに入り込んだこと、謝罪いたします。申し訳ございません。正式な謝罪は、後日ということでよろしいですか?」
「ええ、もちろんよ」
それはそうと、である。
「兵藤先輩がついてこれてないみたいなので、後で記憶を消すにしても巻き込むにしても、世界の裏側事情について説明しておくべきなのでは?」
「そうね。堕天使に狙われたということは、おそらく
その言葉に、思わず僕は顔を顰めてしまう。
「やっぱり、持ってんですよねぇ…………そうですよねぇ…………頭痛い」
「……? 何か問題でもあるのかしら?」
「あーいえ、気にしないでください」
何はともあれ、解説解説ー。
♪♪♪♪♪
「…………まあ、天使と堕天使、悪魔の事情についてはこんなところかしら」
あまり複雑過ぎてもアレなので、簡潔に説明しようというグレモリー先輩の案は成功したようで、兵藤先輩も成る程成る程と頷いていた。
「あー…………ちょっと、というかかなりショックだったんですけど、夕麻ちゃん…………じゃなくてあの堕天使は、俺の中にあるその『神器』? とかいうモノを危険視して殺そうとしたってことなんすよね…………ハハハハ、ハァ」
で、落ち込んだ。
…………なんというか、同じ男として同情します。
だがしかーし!! 僕にとっては不運かもしれないが、彼には普通の人が逆立ちしても手に入らない才能の結晶である神器、それも堕天使が恐怖し、僕でさえも戦慄するブツが備わっているということである!! 慰めるのにはもってこいのネタだ!!
「えっと、終わったことは〜…………なんて非情なことは言いませんが、少し前向きに考えましょう。兵藤先輩には、それだけ警戒されてしまう程の素晴らしい神器が眠ってるという可能性が高いわけじゃないですか! やりようによっては、あの堕天使に痛い目見せることだって可能なはずです!」
「そ、そうかな…………」
「そうですとも! 逃した魚は大きかったんだと認識させて、レッツ逆襲です! …………というわけで」
グレモリー先輩に視線を向ける。彼女は、僕がやりたいことを察したのか、了承の意を込めて頷いた。
許可が出たところで、懐から宝石と水晶…………オラクルジュエルとレイジクリスタルを一つずつ取り出す。
「『神器』は、力の満ちた空間だと発現しやすいと聞きます。故に、悪魔の巣窟故に魔力の漂うこの部屋は、非常に発現させやすい。そして、僕の持つこの宝石と水晶でさらに力の密度を上げます。これで手順をミスらなければ発現確率は100%でしょう。さて、兵藤先輩。発現させるに当たって先輩にはやってもらいたいことがあります」
「お、おう! どんとこい!」
又聞きではあるが、その場面を見たこともある僕なので、まあ問題ないでしょう。
「まず、頭の中に先輩が思い描く『一番強い存在』を思い浮かべてください」
「よし、分かった」
そこで先輩は、目を強く瞑り唸り始める。おそらくめい一杯その存在を頭の中に映し出してるのだろう。
「じゃあ、その思い浮かべた存在の1番強く見える姿の真似を」
「え、ええっ!? やらないとダメか!?」
「もちろん。あ、単に真似るだけじゃダメっすからね? それはもう主演男優賞取れるぐらいの迫真さで。思い浮かべたのが何なのかは分かりませんが、恥ずかしくともやらなければなりません」
「うぅ…………くそっ、こうなりゃヤケだ!!」
そう言って先輩は、構えを取る。
その姿は、右手に剣を、左手に盾を構えてる様を幻視するものであり…………。
…………ちょい待ち、まさかコレって。
♪♪♪♪♪
『1番強い存在を思い浮かべろ』
微笑む様がまるで悪魔の様で、それでいて天使の様な…………俺を助けてくれた後輩が、そう言った。
1番最初に思い浮かべたのは、俺の大好きな漫画『ドラグ・ソボール』の『空孫悟』。
でも、何故かしっくり来なかったんだ。
いや、そんなはずは無い。間違いなく、空孫悟は俺の思い描く1番強い存在のはずだ!
…………けれども、やはりしっくりこなかった。
バカな、俺のドラグ・ソボール熱が薄れたというのか!? それは由々しき事態だ! と、思いながら、神城を見た。
その時、脳裏によぎったのはさっきの光景。
俺を庇いながら、堕天使の前に立ち、背格好は小さいのに、ヤケに大きく見えた背中と翼に、構えた剣と盾。
そうだ、みっともなく尻餅つきながら、俺は思ったんだ。
『スゲェ…………カッコいい』
って。
だからは目の前の後輩のあの姿を思い浮かべてみることにした。
(…………今度は違和感ねぇな)
ドラグ・ソボール熱が冷めたというわけではなかったんだ。ただ、この後輩の後ろ姿が、とても印象に残ったからなんだ。
頃合いを見計らっていたのか、少し間を空けて神城が口を開いた。
「じゃあ、その思い浮かべた存在の1番強く見える姿の真似を」
ちょ、嘘だろ!? 本人目の前にして、そんなことができるかよ!!?
でも、どうやらそうしないとその『
ええい、こうなりゃヤケだ!!!
右手に剣を持つイメージ。
左手に盾を持つイメージ。
そして、後ろを庇いながら…………
「ハァッ!!!」
剣で、目の前を突く動作。
…………なにも、起きない。
「…………おい神城。なにも起きね──────」
その時だった。
俺の両手が、真っ赤に光り始めたのは。
♪♪♪♪♪
真っ赤に輝き始める兵藤先輩の両腕。
だが、おかしい。
あの光の発生源から、微妙な引力を感じる…………と、思った次の瞬間だった。
「うっ!!? ジュエルにクリスタル!!?」
赤い光に呼応する様に、ジュエルにクリスタルが光を放ち始める。
そして、2つの石は…………兵藤先輩の両手の甲にそれぞれ飛んで行き…………。
「う、うわァァァアアアアアッ!!?」
僕らの視界は、眩い光によってホワイトアウトした。
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「だ、大丈夫ですかお二人共?」
強烈な光によって、目が未だしぱしぱするのをおして、僕は2人に無事を問う。
「ええ、なんとか大丈夫よ…………一歩間違えたら、聖なる光に焼き尽くされそうだったけれど」
「…………それは、済みませんでした」
いや、まさか僕だってこうなるとは思ってなかったっていうか…………。
「それで、兵藤先輩は?」
大分戻ってきた視界の端に捉えた兵藤先輩に目を向けながらそう口にして…………
「お、おう…………なんとかな」
…………僕は大きく、間抜けにも、口を開けた。
閃光を発していた両の腕に纏っていたのは、赤い籠手。これだけならばまあいい。
その籠手の…………右の甲にはレイジクリスタルが、左の甲にはオラクルジュエルが、神々しく煌きながら埋まっていた。
そしてクリスタル、ジュエルに浮かぶ紋様は…………龍のマーク。
さて、この世には『
じゃあ、兵藤先輩の神器はそれだったのか。
違う、と断言できる。龍の手には、手の甲に宝石やら水晶やらがくっ付いてる筈がない上に、それらを差っぴいても…………それだけじゃ説明のつかない威圧感を、それは放っていた。
さて、この世には左手のみに纏う、赤い『
さて、それらを踏まえた上で。先輩が持つ神器…………否、神滅具の名前は。
「『
というか、オラクルジュエルとレイジクリスタルが飲み込まれちゃったけど、コレどーすんのさ!!?