遊戯王GX ~もしもOCGプレイヤーがアカデミア教師になったら~   作:紫苑菊

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・・・やっぱり作者と同じトラウマを受けた方が何人かいらっしゃるようで。
あのカード達は制限でよかったと心底思う作者でした。まあ、今開放すればレッドアイズや青眼含めいくつかのデッキが大暴れするルートが見えなくもない。


第5話

 試合は、沖田のターンから再開される。

 

「俺のターン、ドロー。手札から、地征竜リアクタンの効果を発動する。」

「手札からモンスター効果だと?!」

 

 この時代のカードプールは、手札からモンスター効果を発揮するようなモンスターは少なかった。だがタイタン、お前はさっきデスルークデーモン使ってただろ。人のことを言えないじゃないか。

 

「このカードはドラゴン族または地属性のモンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「巌征竜-レドックス」1体を特殊召喚する。手札の瀑征竜-タイダルを捨てる。来い、レドックス。」

 

 巌征竜-レドックス

 効果モンスター

 星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000

自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または地属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。また、このカードと地属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する。このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・地属性モンスター1体を手札に加える事ができる。「巌征竜-レドックス」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 沖田 

  手札9→10→8

 

 現れたのは岩窟のようなドラゴン。その暴力的な姿にタイタンは、タイタンにへばりつく闇は思わずしり込みする。あのドラゴンが自分にとって良くないものだと本能的に気付いたからだろう。なんせ『精霊の力』が宿っているのだから。

 

「安心しろ、このターンこのカードは攻撃できない。だから守備表示で召喚した。まあ、壁としては十分かもしれないがな。続けて風征竜ライトニングの効果発動。」

「さっきと同じ征竜のカードか・・・。」

「その通りだ、タイタン。更に言うなら効果もほぼ同じ、ドラゴン族または風属性のモンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「嵐征竜-テンペスト」1体を特殊召喚する。手札のドロール&ロックバードを捨ててテンペストを特殊召喚。」

 

 沖田

  手札8→6

 

 今度は嵐をその身にまとうドラゴン。このターン攻撃できないとしても、強力なモンスターであることに変わりはない。まさか最上級のモンスターがここまで簡単に出てくるなんて思いもしなかったタイタンは小さく悲鳴をあげ、十代は歓喜する。

 

「すげぇぜ先生!!こんなに簡単に最上級のモンスターを揃えるなんて!!」

 

 最上級モンスターは本来生贄として2体のモンスターを捧げなければならない。例外はあるが基本的にそういうルールになっている。その為、1ターンで最上級が何体も並ぶ光景は殆ど見ない十代は歓喜の声をあげた。だが、沖田からすればこれぐらいが征竜のデフォであり、賞賛どころかもはやこれくらい普通だと考えているため、不思議そうに言った。

 

「十代君、誰がこれで終わりと言いました?」

「「・・・え?」」

 

 思わず声がそろう十代とタイタン。だがこれはあくまでも沖田にとって、そして征竜にとっては前座でしかないのである。

 

「俺はフィールドのレドックス、テンペストを生贄に捧げ、ドラグニティアームズ-レヴァテインを召喚する!」

 

 沖田

  手札6→5

 

 ドラグニティアームズ-レヴァテイン

 効果モンスター

 星8/風属性/ドラゴン族/攻2600/守1200

このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する「ドラグニティ」と名のついたカードを装備したモンスター1体をゲームから除外し、手札または墓地から特殊召喚する事ができる。このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、装備カード扱いとしてこのカードに装備されたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

 降臨したのは緋色の翼を纏い、剣を持つドラゴン。その攻撃力は決して高くはない。だが、わざわざ出したのだから何か厄介な効果がある。そう考えるナニカ。そしてそれは的中する。

 

「このカードは召喚、特殊召喚成功時に墓地のドラゴン族を装備できる。効果で墓地の光と闇の竜を装備。このカードが効果で破壊された場合、装備されたカードを特殊召喚できる効果がある。」

「なんて強力な効果だ・・・。」

 

 だが、この感想は即刻撤回される。

 

「安心しろ、光と闇の竜は特殊召喚できない。」

「「・・・はぁ?!」」

 

 思わず叫び声をあげる十代とタイタンに取りつくナニカ。まあ、もっともである。わざわざ最上級モンスターを生贄に捧げて出てきたモンスターの効果がほとんど無意味なのだから。これなら先ほど生贄にしたモンスターを装備した方がメリットがある。

 

 だが、それは勘違いだ。ここで重要なのが光と闇の竜の効果である。その強力なコンボは、『レヴァテインライダー』と呼ばれ、OCGにおいても厄介な戦術として使われている。

 

「・・・どういうつもりだ?」

 

 このコンボを知らないナニカは、訝しそうに尋ねる。

 

「光と闇の竜は、破壊されたときに発動する効果がある。自分フィールドのカードをすべて破壊し、墓地からモンスターを特殊召喚する効果がね。」

 

 そこまで言われてナニカは気付いた。あのレヴァテインとかいうモンスターは特殊召喚時にも発動すると言っていた。つまり・・・。

 

「レヴァテインがもし、戦闘もしくは効果で破壊されたとする。すると光と闇の竜は装備対象を失うことで破壊される。これは装備魔法共通の処理だが、重要なのがここだ。フィールドから破壊されたことで光の闇の竜の効果が発動する。」

 

 そこから先にはナニカも予想がついた。

 

「破壊されたレヴァテインを対象に発動し、もう一度光と闇の竜を装備することでレヴァテインは何度でもフィールドに蘇る・・・。」

「その通り。」

 

 つまり、あのモンスターを破壊するわけにはいかない。破壊したとしても蘇生されるだけ。むしろ、墓地にある蘇生先の選択肢の中から自由に選ばせるだけ。

 

「安心しろ、サイクロンでこいつを破壊すれば・・・と言いたかったが、先ほどの手札抹殺の効果でもう一体レヴァテインが墓地に落ちている。装備された光と闇の竜だけを破壊しようとしても無駄だ。」

 

 ・・・どうすればいいのだ。ナニカはそう思った。このターン耐えるすべは用意している。だが、だからと言ってあれを突破できる手段は・・・。

 

 光と闇の竜

 効果モンスター

 星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守2400

このカードは特殊召喚できない。このカードの属性は「闇」としても扱う。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。この効果でカードの発動を無効にする度に、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。自分フィールド上のカードを全て破壊する。選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「・・・さらに手札から水征竜-ストリームの効果を発動。手札のドラゴン族もしくは地属性モンスターと手札から捨てることで瀑征竜-タイダルを特殊召喚する。効果でタイダルをデッキから特殊召喚。」

「先生・・・。」

 

 死なないドラゴンを作り出してまだやるのかと若干引き気味に冲田を見る十代だが、沖田は十代にだけは言われたくないと思っている。1ターンに何枚もドローする十代。もしクレイマンが破壊されていて、バブルマンが手札にいたらと思うと流石に冲田も肝が冷える。そんな状況は想像したくもなかった。

 

 水征竜-ストリーム

 効果モンスター

 星4/水属性/ドラゴン族/攻1600/守2000

ドラゴン族または水属性のモンスター1体と

このカードを手札から捨てて発動できる。

デッキから「瀑征竜-タイダル」1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

「水征竜-ストリーム」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 瀑征竜-タイダル

 効果モンスター

 星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または水属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。また、このカードと水属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、デッキからモンスター1体を墓地へ送る。このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・水属性モンスター1体を手札に加える事ができる。「瀑征竜-タイダル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 沖田

  手札5→3

 

「さらに超再生能力を発動し、サイクロンも発動させておこうか。右の伏せカードを破壊する。」

「チェーンで発動する!選択されたカードは魂のリレー!手札のモンスターを特殊召喚し、そのカードが破壊されない限り私が受けるダメージは0になる!だが、この効果で特殊召喚されたモンスターがフィールドを離れることで自分はゲームに敗北する!さらにチェーンで威嚇する咆哮!このターン攻撃宣言を行えない!」

「・・・チェーンはない。逆順処理を行っていいぞ。」

「ック。」

 

 その余裕が、今は腹立たしいを通り越してもはや絶望に近い。だが、これは闇のデュエル。いくらナニカが闇そのものだとしても、負ければどうなるかわからない。負けられないのだ。

 

「・・・魂のリレーで特殊召喚するのはヘル・エンプレス・デーモンだ・・・。」

 

 それはタイタンのデッキで最も攻撃力の高いカード。だが、レヴァテインを突破することはできないし、次に十代に回せばスカイスクレイパーの影響下にあるHEROで倒されてしまうだろう。

 

 魂のリレー

 通常罠

手札からモンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターが自分フィールドに表側表示で存在する限り、自分が受ける全てのダメージは0になる。そのモンスターがフィールドから離れた時に相手はデュエルに勝利する。

 

 威嚇する咆哮

 通常罠

このターン相手は攻撃宣言をする事ができない。

 

 ヘル・エンプレス・デーモン

 効果モンスター

 星8/闇属性/悪魔族/攻2900/守2100

このカード以外のフィールド上で表側表示で存在する悪魔族・闇属性モンスター1体が破壊される場合、代わりに自分の墓地に存在する悪魔族・闇属性モンスター1体をゲームから除外する事ができる。また、フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、「ヘル・エンプレス・デーモン」以外の自分の墓地に存在する悪魔族・闇属性・レベル6以上のモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。

 

 手札にはもう防御カードはない。そもそもタイタンの性格上、どちらかと言えばガンガン行こうぜに近いので、防御カードの総数がほぼないに等しいのだ。数少ない防御カードはデッキにあとほんの数枚埋まっているはずだが、それを次のドローで引けるかと言われれば悩ましいところ。サイクロンもあと1枚だけデッキに眠っているが、引けるかどうかと言われると、そうでない可能性の方が高い。つまり、次のドローに全てはかかっているが、それを引き当てれるかは至難の業である。

 ナニカは、そんなタイタンを罵倒してやりたくなった。こんな奴に取りついた自分を恨んだ。だが、現実は非常にも刻一刻と進んでいく。

 

「カードをセットし、エンドフェイズに入る。征竜の効果で6枚墓地に行ったので、6枚デッキからドローする。引いた中に超再生能力があった。速攻魔法なので発動し、さらに6枚ドロー。手札枚数制限で5枚捨てる。」

 

 沖田

  手札1→0→6→11→6

 

 さらに手札と墓地肥やしをさせてしまった。というよりは11枚ドローってどういうことだとナニカは全力で抗議したくなったが、終わってしまったものは仕方がない。

 

「私のターン。」

 

 ナニカにターンが回るが、このデッキにあれらを突破する手段はない。だから、ナニカは最後の手段に出た。自らの力を、タイタンを乗っ取る必要最低限を残し、新たにカード創造する。

 

「ドロー。ルールによりもう一枚ドローする。」

 

 タイタン

  手札2→4

 

 これでナニカは突破の手段を得た。手札には、最悪のカードが創造される。

 

「おろかな埋葬を発動。デッキからゼラの天使を墓地に落とす。さらに月の書を発動し、ヘル・エンプレス・デーモンを裏側守備表示にする。これで魂のリレーのデメリット効果は不発に終わる。」

「何?」

 

 流石にこれには沖田も十代も疑問に思う。沖田はゼラの天使のステータスを記憶の中から引きずり出して、そこから、最悪のビジョンを導き出した。ついでに魂のリレーの効果を回避されたが、それは沖田にとっては予想通りなのでどうでもいい。十代はそのタクティクスに感心していたが。

 

「墓地のゼラの天使、デスルークデーモン2体、インフェルノクインデーモンを除外し、天魔神 ノーレラスを特殊召喚!」

 

 現れたのは、まるで天使と悪魔を融合させたような、まさに神のような禍々しさを持つモンスター。その効果は、凶悪としか言いようがないほどに強力無比。

 

「ライフを1000ポイント支払い、お互いの手札、フィールドのカード全てを墓地に送る!」

「な、なんだって?!」

 

 十代は思わず叫ぶ。沖田はやはりあれだったかと、己の勘の鋭さに辟易してきた。沖田の悪い予感はたいてい当たる。今回も当たってしまったが、まさかゼラの天使が入っているとは思いもしなかった。あれを止める手段は、今の沖田のデッキにはない。そもそもこのデッキは校長直々に、生徒たちが汎用性の高い妨害札ばかり使うようになってしまってはアカデミアの意味がなくなるからと、純粋な、それも妨害札の少ないデッキを作ってくださいとお願いされ、渋々試験的に作った、『レヴァテインライダー征竜風味(征竜主軸)』なのだ。無理にレヴァテインと光と闇の竜を突っ込んでしまったため、エフェクトヴェーラーを突っ込む枠が無くなり、聖杯や聖槍を突っ込むのは同僚であり先輩の養護教諭に止められてしまい、妨害札と言えるようなカードは神の宣告と光と闇の竜、ピン差しのスキルドレインだけになってしまったこのデッキ。伏せたのは手札制限の墓地送りから逃れるための手札抹殺でいわばブラフ。抵抗のすべはない。十代は4枚ドローしているため、その中にもしエフェクトヴェーラーがあれば話は違うかもしれないが、十代がそのカードをデッキに入れているとは沖田には到底思えなかった。

 

 天魔神 ノーレラス

 効果モンスター

 星8/闇属性/悪魔族/攻2400/守1500

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性・天使族モンスター1体と闇属性・悪魔族モンスター3体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。1000ライフポイントを払う事で、お互いの手札とフィールド上のカードを全て墓地へ送り、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

「チェーン発動非常食!悪夢の蜃気楼とスカイスクレイパーを墓地に送りライフを2000回復する!」

 

 焼け石に水かもしれないが、ただ破壊されるよりはいい。十代は非常食を発動し、ノーレラスの効果が処理され、全てのカードが消え去る。残ったのは何もない。

 

 冲田&十代 4000→6000

 タイタン 3600→2600

 

 非常食

 速攻魔法

このカード以外の自分フィールドの魔法・罠カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。自分はこのカードを発動するために墓地へ送ったカードの数×1000LP回復する。

 

「だけどタイタン、それじゃあお前もがら空きだぜ?先生のドラゴンは復活するし、次のターン、俺と先生でモンスターを引き当てれば、それは全てダイレクトアタックだ!お前の不利には変わらないぜ!」

 

 だが、その言葉は沖田が訂正した。

 

「いや、十代君。ノーレラスの効果が続いている。それに、光と闇の竜は破壊されたときに効果を発動するのであって、ノーレラスの効果は『破壊』じゃなくて『墓地に送る』だ。レヴァテインは蘇生できない。」

「その通り。そして私はカードを1枚ドロー出来る。」

 

 思わず苦々しい顔になる沖田。こんなことならもう一つ、それも本気用のデッキを持ってくるべきだったと後悔する。

 

「強欲な壺を発動!2枚ドローし、手札からデーモンの騎兵を通常召喚する。」

 

 デーモンの騎兵

 効果モンスター

 星4/闇属性/悪魔族/攻1900/守 0

フィールド上のこのカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、自分の墓地から「デーモンの騎兵」以外の「デーモン」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

「バトルだ、デーモンの騎兵でダイレクトアタック!」

「十代君!!」

 

 沖田は思わず声をあげる。闇のゲームはライフを失うとその分現実にダメージがノックバックを与えてしまう。自分は慣れているが十代君は闇のゲーム未経験者。一気に1900のライフを失えば痛みで気絶してしまうかも、最悪だとショック死だってあり得る。

 だが、その心配は無用だった。

 

「墓地のネクロ・ガードナーの効果発動!このカードをゲームから除外し、1度だけバトルを終了させる!」

 

 騎兵の攻撃は盾の戦士に守られ、ライフを失うことはなかった。生徒が無傷で済んだことに思わず安堵する沖田。逆にタイタン(正確には取りつくナニカだが)の方は苦々しい顔になる。このデュエル、いまだにライフを減らせていないのだ。

 だが、負ける気はない。相手の手札は0。次のドローで逆転されるようなことはそうそうないだろう。十代の融合はフィールドか手札に揃っていなければ無意味で、沖田が使っていた征竜を特殊召喚するには手札から小さい征竜と同じ属性のカードかドラゴン族を墓地に送らなければならないので、手札が2枚以上必要だ。ナニカは安心しきってターンを渡す。・・・征竜の効果を知らないからこその安堵だった。

 

「俺のターン、ドロー!・・・カードを1枚伏せてターンエンド。」

 

 先ほどチートドローをしていた十代も、流石にこの状況はどうしようもないらしい。カードを伏せただけでターンを渡す。これで残るターンは沖田だけ。さあ、さっさとターンを回せ。そう考えるナニカ。そしてその期待は案の定裏切られることになる。

 

「俺のターン、ドロー。墓地のレドックスとレヴァテインをゲームから除外し、墓地のタイダルの効果を発動する。」

「・・・へ?」

 

 思わず素っ頓狂な声が出るナニカ。もう嫌な予感しかしない。

 

「タイダルは、手札、墓地の水属性かドラゴン族をゲームから除外し、手札、墓地から特殊召喚できる。タイダルを特殊召喚。」

 

 さらに先ほども現れたドラゴンが復活する。

 

「さらに墓地のレドックスの効果。墓地のバーナーとブラスターを除外して特殊召喚。この時除外されたブラスターの効果は発動しない。そして手札のブラスターの効果。墓地のリアクタンとストリームを除外して特殊召喚。そして墓地のテンペストの効果。墓地の光と闇の竜とレヴァテインをゲームから除外し、特殊召喚。」

 

 焔征竜-ブラスター

 効果モンスター

 星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800

自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または炎属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。また、このカードと炎属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・炎属性モンスター1体を手札に加える事ができる。「焔征竜-ブラスター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 再び現れた嵐のようなドラゴンと焔を纏うドラゴン。先ほどと違い、この効果で特殊召喚したカードは攻撃できるため、合計9400のダメージが、タイタンとそれにまとわりつくナニカに襲うことになる。

 

 4体の自然を征すドラゴンが、沖田の前に群がる。その光景にナニカは絶望を感じた。フィールドも、手札も一掃してなお止めることは出来ないのかと折れかけた心(闇に心があるか疑問だが)がこれ以上潰れないように保とうとする。

 

「いけ、タイダル!タイダルウェイブ!」

 

 だが無情にも沖田の攻撃が開始された。どこかのゲームで聞いたような攻撃名だが、それに竜は従い、咆哮をあげてタイタンの手駒の騎兵に襲い掛かる。もっとドラゴンらしくブレスでも吐けよと沖田は思うが、これがこいつらの攻撃モーションなのだ。仕方ないね。

 

「待った、攻撃の無力化を発動!これでバトルフェイズを終了させ「カウンター罠発動!神の宣告!」な、なんだと?!」

 

 タイタンが発生させたカードは、十代のたった1枚の伏せカードに破られる。十代のライフ半分と共に。

 

 神の宣告

 カウンター罠

LPを半分払って以下の効果を発動できる。●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

「十代君!!」

 

 思わず心配で声を荒げる沖田。ライフは共通なので自分にも強烈な倦怠感が襲ってくるが、自分よりも生徒である十代の方が心配だった。

 

 沖田&十代 6000→3000

 

「いけ、先生!!」

 

 そういわれたらやるしかない。十代が開けた活路を、沖田のドラゴンたちがすり抜けていく。合計ダメージ9400の竜がタイタンの体に次々刺さっていく。

 

「うおおおおぉぉぉぉ!!」

 

 タイタンの叫び声と共に、デュエルの決着がついた。

 

 勝者は沖田と十代。まあ、タイタンは頑張ったほうだと思う。

 

 

 

 




四肢をもぎ、翼を剥がし、牙を抜かれ、首を落としても、他のドラゴンに寄生して生きながらえ、かといって巣を焼き払ったら、胴体を暗黒物質で再構築した征竜。お遊びカード大量投入とはいえタイタンはよくやったよ・・・。おまけにチートドローHERO付き。勝てるかこんなもの(ダンセルショウカンしながら)

感想、評価待ってます。そしてもうちょっとだけ続くんじゃ・・・。



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