モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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ボス達の見解とは

 ポケモンバトル専門月刊誌『スタジアム』にて行われた企画。トップトレーナー五人がバトルに関連したテーマについてそれぞれの考えを披露する。それぞれのトレーナーの立場や考え方の差がわかりやすく表現され好評を得た。


月刊誌スタジアム『ボス達の見解』①

Q 今のトップトレーナーに最も必要な資質はなにか?

 

 新企画一段目は、誰もが一度は疑問に思うであろうものをチョイスしてみた。

 リーグトレーナーを最終目標にするトレーナーの数が増え、地方を問わずリーグトレーナーの数も増えている。

 しかし、未だにその定着率は芳しくない。『Cリーグで数年持てば御の字』とすら言われるカントー・ジョウトリーグを生き残るために最も必要な資質とは何なのか。ファンだけでなく、リーグトレーナー志望やリーグトレーナーそのものすら答えを知りたい永遠の謎であろう。

 かつては『タイプの相性を知っている』とか『技の特性を理解している』など、今では信じられないようなことが、強豪トレーナーの条件とされていた。だが、それらの情報は既に丸裸であり、リーグトレーナー達にはもっと高度な条件が求められていることだろう。

 強力なポケモンですら個人の特権ではなくなった、既に育て屋ビジネスは成熟の段階に入っている。

 トップリーグトレーナーの面々には些か食傷気味の質問であるかも知れないが、これを最後だと思ってどうか答えてほしい。

 どうか『そんなの自分が知りたいものだ』などというはぐらかしはご遠慮願いたい。

 

 

 

A 手持ちに限らないポケモンとの絆、それを負う責任。

(殿堂入りトレーナー ワタル)

 

 ドラゴンポケモンをレンタルするという現代バトルは、我々ドラゴンつかいの一族からすればまさに衝撃的な時代だ。今は亡き長老が目の当たりにしていれば、卒倒していただろうか、それとも目に涙を浮かべていただろうか。それすら想像できないほど、我々の常識とはかけ離れている。

 だが、私の主張は変わらない。素晴らしいトレーナーとは、最高峰のトレーナーとは、ポケモンと対等な立場を築く事のできる度量を持つことが大前提だ。それは、レンタルしたポケモンと共に戦うとしても変わらない。手持ちのポケモンにすら認められていないようなトレーナーが、レンタルしたポケモンと絆を持てるはずもない。レンタルポケモンは絆の応用問題なのだ。

 

 

 

A 疲弊せぬタフな精神力。

(第〇〇代カントー・ジョウトリーグチャンピオン キシ)

 

 ポケモンリーグを戦い抜くことは、フルマラソンを日課にするようなものだ。

 日々更新される情報を根気よく眺めて、虚偽と真実を見極め、自分に有益なものだけを吸い上げる。

 時には、本当に小さな地方の学生同士の対戦の映像を取り寄せてることもある。言葉は悪いが、彼等の稚拙な戦いから、セオリーを知らぬトレーナーの自由な発想を想像し、それをリーグでも応用可能かを考えながら、その技術が既にリーグで使用されていないかどうかを調べる。僕はこのような情報の暴食をリーグトレーナーになったその日から続けている。

 それでも、負けることがある。理不尽だと叫んでしまいそうになるほどの技術に、その情報が飲み込まれることがある。

 そして、その次の日からまた、情報を貪り食う。自分が披露した戦術は、ポケモンは、既に自分のものではなく、また誰かに貪り食われる情報となっているからだ。

 これに折れることがなければ、僕のようにチャンピオンになることも可能だろう。だが、大抵のトレーナーが折れていく。

 

 

 

A ポリシー。

(第〇〇代カントー・ジョウトリーグチャンピオン カリン)

 

 トーナメントの予選などで若い子と当たると、細い子が多くて心配になる。

 もちろんそれは体格のことではなく、ポリシーの事。

 あっちへフラフラ、こっちフラフラ。勉強熱心なのはいいことだけど、道標の星を持っていなければ、自分がどこに行くべきかわからなくなる。

 あの子達は勝利こそが道標なんだと言うかも知れないけれど、それは道を歩いた結果であって、星ではない。

 勝ちながら、勝ちながら、あるいは負けながら。

 そういう結果を繰り返しながら、道標だと信じた星を目指して歩いていくもの。それがバトルであり、人生でもある。

 私にとっては、好きなポケモンで勝てるように頑張ることが星だった。

 何でもいいから星を見つけなさい。そうすれば、負けた後の景色が変わるはずだから。

 

 

 

A 恵まれることと、それに身を任せることのできる捨て身の覚悟。

(カントー・ジョウトAリーグトレーナー シン)

 

 残念ながら、望む人すべてがトップトレーナーになれるわけではありません。

 才能をひけらかしたいわけではありません。しかし、カントー・ジョウトAリーガーには十人という定員があり、毎年二人がBリーグから昇格するトレーナーのために席を開けます。私は運良く残留できていますが、毎年、どうしてこんなに強い人が降格しなければならないのだろうと思っています。

 恵まれること、それはトップトレーナーになるための第一条件だと私は思っています。

 そして、その恵まれたものに、自分でも理解することのできない、自分自身の咄嗟の勘に身を任せる強い心が必要です。私達ですら、私達に与えられたそれのすべてを理解できてはいないのです。理屈だけでは解明できないものが、まだまだバトルにはあります。

 

 

 

A 勝敗を楽しむこと。

(カントー・ジョウトAリーグトレーナー モモナリ)

 

 バトルには、特殊な事例を除き、勝ちと負けがある。どんなに優れたトレーナーでも、この事実からは逃れられない。五十の戦いが起これば、五十は勝ち、五十は負ける。

 つまり、勝負事とは勝つか負けるかなんだ。ところが、これをわかってないトレーナーが多すぎる。

 負ければすべてを否定されたように思いつめた表情になり、俯き、まるで自分にひとかけらの価値もないかのように落ち込む。一々そんな事を気にして、この先いくつバトルがあると思っているんだろう。人生すべてのバトルを勝利することなんてとてもじゃないができやしないよ。

 相手が自分よりすごけりゃ負けるんだから、そんな事気にする必要ない。やれるだけやって負けることもある。僕なんて、そんな事しょっちゅうだ。

 負けに心を痛め、それを克服する精神力を目指すよりも、そもそも負けに心を傷めなきゃいいだけの話だよ。




もう思いついたことをとりあえずやってます。

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