モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。 作:rairaibou(風)
Q 興行は伝説をも支配するのか?
◯+年度、カントー・ジョウトリーグチャンピオン決定戦。
挑戦者であるカンナが繰り出したのは、その個体数の少なさと未だに謎の多い生態から伝説のポケモンの一つに数えられているフリーザーであった。
試合そのものは健闘一歩及ばずカンナの敗北となったが、突然に繰り出された伝説にセキエイを含むカントー・ジョウトが騒然となったことは想像に難くない。
現在、カントー・ジョウトでは出場できるポケモンの種類には縛りがない、そのつもりになれば、すでに伝説とされているポケモンたちを繰り出すことも可能だろう。
もし、伝説とされているポケモン達がポケモンリーグ対戦場に現れ、その興行のシステムにはまり込むことがあれば、彼等はリーグに何を起こしてくれるのだろうか。
ベテラン、若手、それぞれの見解を問いたい。
A かつては、私達がそうだった。
(殿堂入りトレーナー ワタル)
あの試合のことは今でもよく覚えている。
カンナはカントー・ジョウトリーグの歴史の中でも不世出の氷使いであり、その彼女と伝説のこおりポケモンであるフリーザーの組み合わせは、恐らく我々ドラゴンつかいの一族の歴史の中でも有数の天敵であったのではなかろうかと思う。
今後、伝説と称されるポケモンたちがポケモンリーグに現れる。それは全くありえない話ではないと私は思っている。その根拠として、我々の存在がある。
私が手持ちにしているカイリューも、ギャラドスも、リザードンも、あるいは我々ドラゴンつかいの一族そのものも、かつて里の人々にとっては得体の知れぬ伝説であった。それが今では、その生態をトレーナーでない人間ですら理解しているものもいるだろう。
もし伝説達がリーグに現れれば、長い時を得て、彼等はただのポケモンになるだろう。それが良いか悪いかの話は、ここで行うべきものではない。
A 勢力図変わる可能性
(第〇〇代カントー・ジョウトリーグチャンピオン キシ)
フリーザーというポケモンは、質問文の通り個体数が少ないとされ、故にその生態の研究も進んでいない。どのように育てることが正解なのかを知っている人間は少ないだろうと予測されるし、そもそもどのような子育てをするのかということすら、断片的にしか理解されていないのが現状だ。
だが、はっきりと理解できることは、伝説と呼ばれるポケモンたちはそのほとんどが強力な能力を持ち、人間に対して好意的な感情を持っていることは少ないということだ。研究が進んでいないということがその証明。例えば人によく懐き、危険も少ないコラッタのようなポケモンのほうがよく研究できることは感覚的に理解できるだろう。
その上で、カンナ氏のように伝説のポケモンを従える事ができるトレーナーが現れるのだとすれば、それは僕達のような才能のない若手にとっては痛手になるだろう。情報化とは、悪く言えば真似をすることだ。真似をすることのできない戦術が流行れば、それは新たな時代の、いや、時代の逆行を意味するのかも知れない。
幸いなことに、カンナ氏以降伝説のポケモンを従えてリーグに参戦したトレーナーは今のところいない。そのまま穏やかな海であることを、僕は願っている。
A 見せびらかしたく、なるだろうか。
(カントー・ジョウトAリーガー オグラ)
あまり言われないことですが、伝説のポケモンと共に戦う事のできるだけの信頼を作ることには、みんな憧れているんではないでしょうか。ポケモンの存在に順位をつけるわけではありませんが、少なくとも私はフリーザーと共に戦ったカンナさんに憧れます。
伝説のポケモンに認められること、ある意味でそれは、バトルで勝利することよりも、トレーナーとして誇るべきことなのでないかとも、私は思います。根拠があるわけではありませんが、恐らく私にはたどり着くことのできない領域なのでしょう。
もし私が、伝説のポケモンに認められるようなトレーナーになれば、そのままリーグを引退してしまうかも知れません。その信頼関係をバトルに還元しようと考えるでしょうか。少なくとも私は、それを見せびらかして悦に浸るようなことには抵抗があります。
恐らく、カンナさんも同じように考えていたのではないでしょうか、それでも、あの人はフリーザーと共に戦いました。かっこいいと思います。
A 何も変わってはならない
(カントー・ジョウトAリーガー ワゴー)
伝説のポケモンが、ただ、ちょっとだけ情報が足りないだけの強いポケモンが対面にいたとして、それで俺達が何かを思うことはないだろう。
只々珍しいだけのポケモンに心乱されるようなことがあれば、そんな奴はリーグトレーナー失格だ。俺達が見るべきなのは場の状況であり、ポケモンのレアリティではないはずだ。
どこかに引きこもって細々暮らしているかわいそうなポケモンをどうこうしようとは思わないが、戦いの場に出てくるのならば、それなりの覚悟ってものをしてもらわないと困る、ポケモンも、トレーナーもだ。
もちろん、自分が伝説のポケモンと共に戦う機会があれば、俺はそのレアリティを思いっきり利用してやろうと思っている。それで相手がビビるようなことがあれば得だし、それでビビるようなやつは今後のために潰しておかなければならないだろう。
A 僕達の何かが変わるわけじゃないんじゃないかな。
(カントー・ジョウトAリーガー モモナリ)
確かに、伝説のポケモンは能力の高いものが多いだろうし、戦力に数えることができればトレーナーとしてのランクがぐっと上がるだろう。事実、あの試合の時のカンナさんは単純に一枚戦力が増えていたわけだし。
だけど、それがなにか大きな変革を起こすとは僕は思わないかな。
例えばカンナさんにとって、フリーザーとラプラスに対する愛や信頼の重さは変わらないはずだ。違うのは、ラプラスは泳げて、フリーザーは飛べるとか、そのような戦略性の違いだけ。
勘違いされがちだけど、個体数の多いポケモンがトレーナーにとって特別ではないかと言えば、決してそんなことはない。カンナさんにとってフリーザーが特別な一匹であったように、僕にとってもゴルダックは特別な一匹なのだ。
強力なポケモンとしてトレーナーを助けることはあるだろう、物珍しいから人気になったりお客さんが増えたりもするかも知れない。だけど、だからといって僕達とポケモンの関係が変わるわけじゃないし、変わってはならないんだよ。
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マシュマロ
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