モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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15-大転落劇

 ショックである、僕はショックを受けている。

 僕のトレーナーとしての誇りの一つに『ジムバッジ獲得の期間』がある。僕はカントーの歴史において二番目のスピードでカントージムバッジをコンプリートした。ちなみに一番はあのレッドである。

 この記録が、あっさりと抜かれたのである。しかもレッドを抜き歴代最速である。

 

 この大記録を作ったのはイッシュリーグトレーナー、ミセス・シンディアである。

 そう、皆様ご想像通りのリーグトレーナー移籍問題の渦中の人である。

 勿論、本誌の読者の方にはピンと来ない方も居るだろう、そんな方にわかり易く説明すると、イッシュリーグに所属していたシンディア氏がイッシュポケモンリーグ協会とのゴタゴタの末に離脱を決意、母方の故郷でもあるカントーのポケモンリーグに移籍を希望した問題である。

 僕個人としてはそんなもんさっさと認めてあげればいいじゃないかと思っていたのだが、どうも協会間の付き合いではそうも行かないらしく、色々とすったもんだしていたのである。

 そこでしびれを切らしたシンディア氏は、カントージムバッジをコンプリートしたと言う経緯である。元々彼女はイッシュAリーグ所属の一流トレーナーである、その気になれば他地方のジムバッジコンプリートなどなんてことないだろう。

 

 この動きを見て、カントーポケモン協会はシンディア氏の来年度からのCリーグ参戦を決定したわけだが、僕としては記録を抜かれたことにはショックを受けつつも、彼女の参戦自体は楽しみである。

 リーグは違えど、彼女はイッシュポケモンリーグバリバリのAリーガーである、しかも戦術も玄人好みの受けループ系である。受けに受けて相手を焦らし勝負に出たところをカウンターで取る戦術は、残念ながらイッシュ地方では人気を得ることが出来なかったが、カントーではその精神性から人気になるだろう。ブロンドでスタイル抜群、キャピキャピとした印象であるが、かなりレベルの高い職人系トレーナーである。

 更に、シンディア氏の夫はあのヒースコート氏である。ヒースコート氏もバリバリのイッシュリーグAリーガーである。更に彼はポケウッドの一流俳優でもあり、まさにイッシュドリームの体現者である。ヒースコート氏は超のつくパワー戦術の使い手であり、多少タイプが不利であろうがなんだろうが火力でゴリ押しして勝利する姿はわかりやすく、イッシュでも大人気である。

 ひょっとするとヒースコート氏が何かの機会にカントーでその武勇を見せてくれるのではないか? と僕は期待している。

 

 

 

 

 この原稿を書いて二日後に、またまた僕の記録が抜かれた。しかもシンディア氏のように他地方の実力者がコンプリートしたような参考記録めいたものではない、最短だ。全く無名の少年が勢いそのままにぶち抜いたのだ。

 抜いたのはマサラタウン出身のクロセと言う少年である。伝説のトレーナーレッドと同郷なのは何か運命めいたものがある。

 しかし彼はなんとレッドの記録をも抜いてしまったのである。しかも年齢も当時のレッドより半年若い。記録はいつか抜かれるものとは言え、こうも衝撃的だとクラクラしてしまう。

 ちなみに僕はこれで第四位となった、第四位って…。

「あのレッドに次ぐ歴代二位のスピードで」と言うのは結構な商売道具だったのに…まったく営業妨害である。


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