モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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セキエイに続く日常 211-怪人連盟 ④

 サビ組事務所。

 

 かつては殺気と怒号が支配していたその空間も、今は窓から差し込む昼の光に白く焼かれ、どこか物悲しい静寂に包まれていた。

 

 モモナリは、テーブルの上にラベルのない無骨な瓶を、静かに、しかし確かな重みを伴って置いた。

 

「友人が作った『きのみ酒』だ。度数はかなり強いけれど、君たちなら、きっと飲みこなせるだろうと思ってね」

 

 中には琥珀色の液体が満たされており、光を透かすとその奥に、カントーの厳しい大地で育った実の、力強い生命力が濁りとなって沈んでいるのが見える。

 

「僕も、そろそろこの街を去るからね。その前に、これだけは渡しておきたかったんだ。ご馳走になったからね」

 

 カラスバは、目の前の酒瓶をしばらく無言で眺めていたが、やがて視線を上げ、モモナリの掴みどころのない横顔を射抜くように見つめた。

 その瞳には、裏社会を生き抜いてきた男特有の鋭さと、目の前の男が抱える巨大な矛盾に対する、純粋な困惑が混ざり合っている。

 

「結局、あんたは何がしたかったんや。敵になって街を荒らしてみたり、こうして律儀に筋を通してみたり。あんたの行動は、俺らの理屈じゃあ支離滅裂や」

 

 カラスバの問いは、ミアレが標榜する『管理』や『秩序』という物差しでは決して測ることのできない、モモナリという異物への根源的な疑問であった。

 損得でも、名声でも、あるいは思想でもない。

 何がこの男を突き動かし、何がこの男をこれほどまでに傲慢に、そして誠実にさせているのか。

 

 モモナリは、窓の外でゆっくりと首を振る再開発のクレーンを見つめながら、短く、しかし一切の迷いもなく答えた。

 

「良いバトルがしたいだけなんだ」

 

 その言葉に、嘘はなかった。

 敵役を演じて街の不安を煽るのも、彼にとってはすべて『最高のバトル』という果実を、最も美味な状態で手に入れるためのプロセスに過ぎない。

 最高の舞台を作り、最高の相手を育て、そして最高の瞬間を共有する。

 

 そしてそれが成されそうなら、それに対する礼も尽くしたいとは思っている。

 

「本当だよ」

 

 その純粋すぎるエゴイズムこそが、モモナリというトレーナーの正体であった。

 

 カラスバは、呆れたように鼻で笑い、ようやく酒瓶に手を伸ばした。

 理屈は通じない。だが、その狂気じみた誠実さだけは、確かに伝わっていた。

 

 

 

 

 事務所を出たモモナリの視界に、プリズムタワーの巨大な影が、まるで都市の隠しきれない傷跡のように長く横たわっていた。

 

 そして、彼はある一点に視線が吸い込まれる。

 

 夕暮れ時、オレンジ色広場の中央に、その少年は一人で立っていた。

 

 少年は、自らの腕に嵌められたメガリングを陽光に透かし、その結晶で歪められた光を覗き込んでいる。

 

 モモナリが近づいても、そこには強烈な敵意も、プライドに駆られた殺気も存在しなかった。ただ、嵐の前の海面のような、不気味なほどの平穏がそこにはある。

 

 彼は足を止めず、少年の横を無造作に通り過ぎようとしたが、ふと、少年が視線を泳がせ、モモナリを捉える。

 

 都合がいい、と、モモナリはその歩みを緩め、少年の視線の先にあるリングを指差す。

 

「聞いたよ、今日『怪人』と戦うらしいね」

 

 あまりにも白々しい、三流役者にも劣る演技であったが、少年はそれを咎めることも、ましてや憤ることもなかった。

 少年はただ、ゆっくりと顔を上げ、あまりにも浅いモモナリの瞳の奥をのぞき込む。

 

「正義が、君の強さの理由だと言うのなら、それを出し惜しみせずに思い切りぶつければいい」

 

 モモナリの声は低く、しかし少年の鼓膜に直接振動を叩き込むような、逃げ場のない重みを持って響いた。

 

「彼らは、君たちが守ろうとしている秩序や平穏を、少しばかり弄ぼうとする『敵』だ。そこに容赦や慈悲を挟む余地はない。君の掲げる正義が本物であるのなら、彼らを完膚なきまでに叩き潰し、その正しさを証明するしかない」

 

 少年は何も答えず、ただモモナリの言葉を、乾いた砂が水を吸い込むように静かに受け止める。

 モモナリは少年の瞳の奥に、小さな、しかし決して消えることのない火が灯るのを確認し、さらに言葉を継いだ。

 

「ロートルと侮ることなかれ、彼女のことはわからないが、少なくとも彼は、いつでも全盛期だ。対面に立つ君たちが、彼を全盛期たらしめるほどの輝きを放っている限りはね」

 

 それは、引退した先人が後進に送る、温かな助言などではなかった。

 今この瞬間、互いの命を削り合い、魂を磨き合える対等な『友人』としての、和気あいあいとした宣戦布告。

 男が放つ、衰えを知らぬ剥き出しの渇望。少年はその圧倒的な質量に晒され、恐怖ではなく、自らの魂が激しく共鳴するような未知の高揚を覚えた。

 

 ああそうとも。

 同じなんだ。

 

「じゃあ、頑張ってねぇ」

 

 モモナリの姿が、家路を急ぐ人混みの中に溶けるように消えていく。

 少年は、掌の中でメガリングを強く握りしめた。金属の冷たさが、かえって自らの体温を鮮烈に際立たせる。

 

 日は完全に傾き、ミアレの街には夜の帳が降り始めた。

 管理された都市のルールを超えた、剥き出しの『正義』と『渇望』が正面から激突する、その幕開けを告げるように。

 

 遠く、空に一番星が鋭く瞬いた。

 

 

 

 

 夜の底、赤く脈打つ境界線。

 

『バトルゾーン』の内側には、ミアレシティの『今』を司る者たちが集結していた。

 

 MZ団、DG4、ジャスティス会、そしてユカリとハルジオ。

 どこか遠いビルの屋上からは、サビ組の面々もこの狂気じみた騒動の幕引きを見届けていることだろう。

 

 ミアレを守護する最強のトレーナー、タウニーと少年が、一歩、また一歩と、重圧を押し返すように歩みを進める。

 

『怪人連盟』によるミアレ侵攻。

 

 都市を蹂躙する災厄か、あるいはそれを食い止める英雄の再来か。

 周囲の目には、ミアレの未来を賭けた大層な決戦に映っている。

 

 否。

 

 実際のところ、そんな高潔なものではないのだ。

 

『怪人連盟』は名誉を求めているわけではない。金も、権力も、世界の破滅すらも、彼らの関心の外にある。

 ただ、バトルをしたい。

 その純粋すぎる、ゆえに狂気じみた執念が、管理された都市を恐怖させているに過ぎない。

 

 どちらが勝とうが、ミアレが崩壊することはない。

 ただ、どちらかのプライドが砕け、どちらかが誇りを得る。

 どこにでも存在する、ありふれた、何の変哲もないバトル。それだけのことだ。

 

 石畳が鳴り、視界が砂の粒子に塗り潰される。

 

『すなあらし』

 

 渦巻くカーテンを割り、少年とタウニーの前に『怪人連盟』がその姿を現した。

 

 男は、仮面の下で静かに二人を見据え、それから、視線を上向かせた。

 バトルエリアの向こう側、夜空にへし折れたまま鎮座する、かつての栄光、プリズムタワー。

 男は目を細める。

 

「君たちの英雄伝は聞いている」

 

 男の声は、乾いた風のように響く。

 

「世界の危機、時代の変わり目、そして、時代の終わり。君たちのような存在が、それらを救い、切り開いていく。いつだって、物語はそうやって進んできた」

 

 男は隣の女を見やった。

 女は、静かに、しかし深く頷く。

 その言葉に、不服は無い様だ。

 

「だからこそ、俺達は戦いたいんだ。どのような形でも、どのような向き合い方でも。君たちが『正解』だと言うのなら、俺たちはその壁になろう」

 

 瞬間、彼らの前にボールが投げられている。

 

 マチエールの目には、その初動すら捉えられなかった。

 だが、少年とタウニーの指先は、すでに自身のボールへと届いている。

 

「さあ、世界を、救ってみせてよ!」

 

『怪人連盟』が しょうぶ を しかけて きた。

 

 

 

 

 吹き荒れていた砂のカーテンが、舞台の幕が上がるように、不自然なほど急激に凪いだ。

 

 だが、男はこの空白を単なる休憩や大見得の時間とは思っていなかった。

 

「『じしん』」

 

 両手に鎌を宿したメガガブリアスが、その巨体を感じさせぬ爆発的なスプリントでメガエンブオーに迫る。

 

「『はなふぶき』!」

 

 だが、その突進がエンブオーに届くよりも先に、少年のメガメガニウムが生み出す『はなふぶき』が、彼女を押し返す。

 

 タウニーはバランスを崩したガブリアスに一撃を入れるためにエンブオーと体勢をとったが、女とメガサーナイトが自分たちをじっと睨んでいることに気づき、それを収めた。

 

 そこで初めて、このバトルに膠着が生まれた。

 

 四体のメガシンカポケモン。

 

 白銀のドレスを纏ったメガサーナイト、鎌を両腕に宿したメガガブリアス。

 そして対面、瑞々しい生命力の奔流を放つ少年のメガメガニウムと、焦熱の巨躯を揺らすタウニーのメガエンブオー。

 圧倒的なポケモン達が、それぞれ自分達と同じように圧倒的な三匹のポケモンの動向に目を光らせている。

 

 観戦者たちは、そこに動きは無いだろうと思っているだろう。

 否、対戦者たちは動いている。

 

 最も動いているのは男とガブリアスだ。

 彼らは目線と息遣い、はては足先を向ける数ミリ単位の動きで、今か今かと機をうかがいながら、それでいてそれに対する対面の反応に目を光らせ、その本質を見抜こうとしている。

 

 その次に動いているのはタウニーとエンブオーだろう。

 彼女たちは男とガブリアスの動きに目を配らせながら、その隣で目を光らせる女達の対処に追われている。

 メガエンブオーは速さに劣る分、特殊な形状をした槍のような炎を駆使した間合い管理に秀でる。相手の動きは見切りたい。

 

 その次となれば少年とメガメガニウムとなるだろう。

 彼らは特別動いているわけではないが、それでも男達の挑発に対応しようと最低限の動きを見せている。

 

 最も動きを見せないのは、女とメガサーナイトだ。

 彼女らはいわゆる挑発を男たちに任せ、若人がそれに釣りだされるのをじっと待っている。

 あるいは擬態、であろうか。

 

 やはり、動いたのは男。

 

 男が軽く石畳を二度叩いた瞬間に、ガブリアスが石畳を割るほどのスプリントでエンブオーに踏み込む。

 そして、二歩目で再び石畳を踏み抜き、一瞬でベクトルをメガメガニウムに向けた。

 

 あまりにも豪快なフェイントに、観戦者たちは一様に度肝を抜かれただろう。

 だが、対戦者たちはそうではない。

 

「『どくづき』」

 

 メガメガニウムを狙ったガブリアスのカマは、分厚い肉の壁に阻まれる。

 間に入ったメガエンブオーが、体全身でそれを受けたのだ。

 大したダメージではない。だが、大事なのは目の前の落ち着きのないドラゴンを止めたということだ。

 

 メガメガニウムの連なった花弁が、色とりどりの光をため込んでいる。

 

「『ひかりのかべ』!」

「『マジカルシャイン』」

 

 花弁から放たれた強烈な光は、不意に現れた『ひかりのかべ』によって複雑に屈折させられた状態でガブリアスに届く。

 十分に威力を殺されたその攻撃は、メガガブリアスの耐久性に傷をつけるには程遠い。

 

 そして、何より不意に現れたその壁は、ガブリアスが新たに蹴る『じめん』としてあまりにも優秀だった。

 

 ガブリアスがそれを蹴って宙を翻る。

 

 だが、その着地を強かに狙うポケモンが一匹。

 

「『ローキック』!」

「『まもる』」

 

 足を狙った地を這う蹴りに、ガブリアスが足を上げてそれを受ける。

 そこを狙ってくるのは男の予想通り。

 

 間合いは近く、速さに理がある。

 

 少年とメガメガニウムは、女とメガサーナイトの出方をうかがい、女も同様だ。

 ジリジリと間合いを測り、獲物をうかがうその立ち姿。

 仮面越しであっても、肌を刺すような研ぎ澄まされた殺気が伝わってくる。

 

 その様子をちらりと見やった男は、ただ純粋に、思った。

 

 美しい、と。

 

 昼間に見たビルボードの、あの『喪失』への抵抗など、ここには微塵も存在しない。

 彼女は今、間違いなく人生の全盛期にいる。

 偶像としての美しさではない。

 自分が最も渇望した『対面相手』としての完成された美しさがそこにあった。

 

「『アイアンヘッド』」

 

 男の指示は、冬の夜風のように冷徹で、厳しく、そして何より、予測のできぬものであった。

 

 その矛先は、正面のメガエンブオーではない。

 横に立つ女の、メガサーナイトだった。

 

 明らかな、そして唐突な裏切り。

 だが、女は、驚かない。

 目線を泳がせることすらしなかった。

 

「『まもる』」

 

 メガサーナイトは、その強襲を予見していたかのように、一点の淀みもなく『まもる』を展開する。

 鋼の衝撃が、物理的な質量を伴った光の壁に弾かれ、不快な金属音を夜の広場に撒き散らす。

 

 男は仮面の下で口の端を吊り上げた。

 

 そうだ。これでいい。

 この場にいる全員が、自分以外のすべてを敵と見なし、己の渇望を押し通す。

 それこそが、彼が求めたバトルの真実だ。

 

「馬鹿ねえ」

 

 仮面の下で、女が小さく、しかし愉悦を含んだ声で呟いた。

 彼女もまた、この不条理を望んでいたのだ。

 否、こうならないことこそが、彼女にとっての不条理であり、屈辱であり、侮蔑であったのだ。

 

 だが、当然、この場にいる誰もが、その理屈を理解できない。

 

「え?」

 

 思考が止まる。タウニーの、MZ団の、そして観衆の。

 目の前で起きた『仲間割れ』という非論理。ミアレの常識、あるいは『協力して悪を倒す』という正義の物語の枠組みにおいて、それはただの自滅にしか映らない。

 

 あるいは、その男は実は『二重スパイ』だったのか、とすら思える不条理。

 

 だが『怪人連盟』にとって、それは『合図』だった。

 彼は、そして彼女は、生物が最も弱く、スキを晒す瞬間というものを理解している。

 

 呆気にとられた一瞬の空白。

 二人は、示し合わせたかのように同時にタウニーのメガエンブオーへと牙を剥く。

 

「『サイコキネシス』!」

「『じしん』」

 

 タウニーたちの反応は、遅れた。

 少年は反応はできたが、タウニーたちを救うまでの判断はできなかった。

 サーナイトの『サイコキネシス』が巨躯を不可視の鎖で縛り上げ、身動きを封じたのちに、ガブリアスが『じしん』の衝撃を与える。

 

 共闘は終わった。

 だが『今だれを排除できるか』というプロの優先順位だけは、完璧に一致していた。

 

 沈黙。

 メガエンブオーが力なく膝をつき、それをボールに戻したタウニーも赤い境界線の外へと消えていく。

 

 数的有利を失った少年。だが、彼は集中を切らしていなかった。

 眼前で起きた混沌を、そのまま『戦場』として受け入れている。その瞳に宿るのは、理不尽への怒りではなく、次の一手を捻り出そうとする冷徹な計算だ。

 

「良いねぇ」

 

 そうつぶやいた男は、わずかにスタンスを変更した。そしてそれは、女も同様。

 

 横並びではない。

 互いに背中を預けることもない。

 自分以外の二人を常に視界に収める、三角形の陣形。

 

 何もわからぬ観戦者など置き去りにしてしまえ。

 このバトルは、今この瞬間、誰が敵で誰が味方かも分からない『三つ巴』へと変貌した。

 

「さぁ、さぁ、さぁ、さぁ」

 

 モモナリの独白が、夜の静寂に溶ける。

 これが、彼が求めたバトルの真実だ。

 正義も悪も、共闘も裏切りも、すべてはノイズに過ぎない。

 赤い檻の中、三つの殺気が、等間隔に火花を散らしている。

 

 相も変わらず、微動だにしないように見えながらも小刻みにトレーナーもポケモンも激しく動き回る男に、女は集中を切らさないながらも、心の底から呆れ返り、そして、いつかを懐かしみ、そして、つい先ほどまでそれに気をやらなくてよかったという事実を幸福に思っていた。

 

 だが、同時に、これほどの挑発とフェイントの圧力のフルコースにつぶれることのない少年とメガメガニウムの持ち得るものに、一抹の羨望と、そして、最上の歓喜を感じてもいる。

 

「『ギガドレイン』」

 

 動いたのは少年だった。

 メガニウムが花弁を光らせ、巨大なエネルギーを作り出す。

 

 それが放たれるより先に、男たちも動く。

 

「『みがわり』」

 

 男のわずかな指示を聞き取り、ガブリアスがバックステップを行う。

 そして、思いきり石畳を爪で切り裂き、土煙を巻き上げる。

 

 メガニウムのエネルギーがそれに向かって放たれた。

 だが、それは音と共に土煙をさらに巻き上げるだけに終わる。

 

 その土煙を切り裂きながら、ガブリアスがメガニウムに襲い掛かった。

 

 しかし、その攻撃は完遂はされない。

 

「『ムーンフォース』」

「『まもる』」

 

 スキをついて死角からの攻撃を狙った女に、男たちは機敏に反応した。

 その強力な攻撃が石畳を強かに打ち付ける前に、ガブリアスは再び地面を蹴って、サイドに受け身を取りながら転がって『ムーンフォース』のダメージを逃がす。

 

 すぐさま起き上がったガブリアスの眼前には、光り輝くメガメガニウムの連なった花弁があった。

 

 男はそれに口角を上げた。

 

 女は、少年の次にガブリアスに一撃を叩き込もうとサーナイトと呼吸を合わせる。

 メガメガニウムとメガサーナイトの連撃となれば、さすがのメガガブリアスと言えど倒れざるを得ないだろう。

 

 少年が声を上げる。

 

「『だいちのちから』」

「え?」

 

 地面を踏みしめたメガメガニウムの地響きは、石畳を揺らしてメガサーナイトに向かう。

 

「『ひかりのかべ』!」

 

 咄嗟な指示だが、誤りではない。

 メガサーナイトの足元に展開された『ひかりのかべ』は、地面から打ち上げられた『だいちのちから』のダメージを確かに軽減した。

 

 だが、その壁に、当然のように迫りくるメガガブリアスの突進を止める力はない。

 

「『アイアンヘッド』」

 

 愚直に突き出されたドラゴンの頭が、そのままメガサーナイトに突き刺さる。

 肉をハンマーが叩くような鈍い音が響き渡り、サーナイトが体を折る。

 そのまま彼女は膝をつき、地面に突っ伏した。

 

 すぐさま、男と少年は向き合う。

 一人また去った。最後はタイマンだ。

 

 女は、倒れた相棒をボールに戻しながら。自らの判断ミスを悔いる。

 

 男より自分を攻撃することを選んだ少年の判断は、今ならば間違いのないものだったと考えることができる。

 彼の判断を分けたのは、あまりにも単純な『本質』の比較だ。

 自分はこれまで『ミアレの怪人』として『底』を見せなさ過ぎた。

 

 何者かわからない、何をしてくるかわからない、何が目的なのかもわからない。そのような謎でミアレを翻弄した。

 それは間違いではない演出であったのかもしれない。

 ノイズになったのは途中から急に参加してきた男の存在だ。

 

 彼はあまりにも『底が浅い』

 誰だか丸わかりだ、ぶっちゃけモモナリだろう。

 何をしてくるかもわかる、バトルだ。

 何が目的かもあまりにもわかりやすい、バトルだ。

 

 彼が見せたあまりにも浅い『底』は、少年にとっては『ただ純粋にバトルの理を追う』存在として認知されたのだろう。

 ならば、第三者のサーナイトがいる前で紙一重の勝負をするよりかは、不意を打ってサーナイトを強襲し、その目を別の部分に向けさせればいい。

 

 その分析は限りなく正しく、そして、成功した。

 ただ、彼女にとって、かつて対戦した頃のモモナリよりも、よりキレを増していたことは想定外だった。

 

 少年もまた、その男のあまりにも浅い『底』と、信じられないほどの切り替えの早さに驚くばかりであった。

 そもそも、この数分で起きたことが無茶苦茶なのだ。

 不意な仲間割れに、数的不利を押し付ければいいだけのダブルバトルをみつどもえにし、挙句博打に近かった女への攻撃の雰囲気を、おそらく誰よりも早く理解し、攻撃を畳みかけた。

 それでいて、いまだに集中力を切らさず、あまりにも鋭い目で自分たちを睨みつけている。

 少年が類まれなるバトルの才能の持ち主でなかったら、あっけなく飲み込まれていただろう。

 

 その時、久しぶりに聞いたようにすら思える友人の声。

 

「今です! その仮面の正体を暴いてください」

 

 ピュールだった。

 彼もまた冷静に、状況を判断している。

 女は負けた。その正体を暴かれることを拒否する理由は無い。

 

 一瞬、一瞬だけ、少年はその言葉に気を取られた。

 

 そして、男はそれを見逃さない。

 

 ガブリアスが動き、少年はわずかに遅れてそれに身構える。

 やられたかもしれない。

 

「『すなあらし』!」

 

 振り被ったガブリアスが、そのまま回転するように腕を振り上げ、巨大なつむじ風を作り出す。

 砂を巻き上げ始めたその風は、やがて巨大な『すなあらし』を作り出そうとしていた。

 

 少年はそのスキをつくことができなかったことを悔やみつつ、その選択に疑問を覚えていた。

 踏み込めば、あるいは勝負が決まったかもしれなかった。

 バトルに対してあまりにも合理的なその男が、何故このチャンスを逃したのかがわからない。

 しかし、警戒を緩めるわけにはいかなかった。

 

 勢いを増す『すなあらし』を目前にしながら、男は立ち上がろうとしている女に目をやる。

 そして、彼はその目をまっすぐに見据えて目配せした。

 

『すなあらし』の勢いはさらに増している。すでに観戦者たちも含めてバトルゾーンを飲み込まんとしている。

 

 女は、そのまま立ち上がり、はためく服の裾を抑えながら、少年に背を向け『すなあらし』の中に消える。

 

「バレてないうちに早く逃げなよ」という、彼の意思を尊重して。

 

 

 

 

 すでに『すなあらし』はバトルゾーンを飲み込み、一メートル先ですらはっきりと見えないほどになっている。

 観戦者はバトルを追うことはできず、当然、逃走者を追うこともできない。

 遥か彼方にいるはずのサビ組も、それを追うことは不可能だろう。

 

 少年は目を凝らして警戒を続ける。少しばかり先で揺れる影は、男とガブリアスであるはずだった。

 

「正体なんて、どうでもいいじゃんねえ」

 

 男の気楽なその言葉は、はっきりと少年だけに届く。

 

「例えば道行く人とバトルをしたとしてさ、その前にわざわざ相手の素性や人生を細かく聞きやしないだろう。そんなもんはさ、戦っていく過程でわかるもんだよ」

 

 影が揺れる。細かな足音が響く。

 来るか。

 否、来ない。

 

 そう思わせておいて、砂煙が切り裂かれる。

 

「『どくづき』」

「『まもる』」

 

 メガメガニウムの周りから咲き誇った幾多もの花弁が、メガガブリアスの両鎌を受け止める。

 だが、それらはガブリアスの鎌に仕込まれた毒によってすぐさま萎れ、溶ける。一度きりの防壁にしかならない。

 

「『やどりぎのタネ』」

「『かえんほうしゃ』」

 

 再び『すなあらし』の中に逃げ込もうとしたガブリアスを追うために放った『やどりぎのタネ』も、すぐさま対応される。

 

 ガブリアスは再び砂に身を潜め、今度は一度大きく距離をとったのか、影も見えなくなった。

 

「僕は、君のことがわかるよ」

 

 男の声だ。

 

「強くて、かっこよくて、それでいて優しく、正義感に溢れている」

 

 少年が何も返さないことを、肯定と捉えて、男は続ける。

 

「だからこそ、この出会い方でよかったと思っている。君たちの本気を、俺達は確かに受け取り、今こうやって堪能している」

 

 影が、現れた。

 

「君達に、俺はどう映っているのかな?」

 

 影が動く。

 

「『リフレクター』」

 

 弱点の攻撃を防ぐために、メガニウムは前方に壁を作り出す。

 

 地面が揺れる。振動が内臓に伝わる。

 

 少年はすぐさまそれに違和感を覚え、その違和感と、次の瞬間の状況をすぐさまリンクさせ、メガニウムと共に足元を見やった。

 ちょっと待て、じゃああの影は男なのか。

 気が狂ってる。攻撃されたらどうするつもりだったんだ。

 

「『あなをほる』」

 

 足元の石畳が割れ、二つの鎌が強襲してくる。

 少年とメガニウムはすんでのところでそれに気づいた。

 かなり無理な体勢で体をひねり、それの直撃を何とかしのぐ。

 

 ここに、少しばかりの若さが出た。

 直撃でよかったのだ。

 仮に直撃だったとしても、大したダメージではない。

 それよりも、この繊細な状況で無理な体勢をとってしまった事のリスクのほうが大きすぎる。

 

 当然、男ほどのトレーナーがこれを見逃すはずがない。

 

「『どくづき』」

 

 振り被られた鎌は、確かに、そして強かにメガメガニウムに叩きつけられた。

 だが、ほんの僅か、一瞬の差で、メガニウムが『リフレクター』の向こう側に体を逃がしていた。

 効果抜群の攻撃、無視のできないダメージだったが『リフレクター』が緩衝となり、メガニウムは何とか足を踏みしめる。

 

「『マジカルシャイン』」

 

 再びメガニウムの花弁が光を放ち。ガブリアスにも強かなダメージが入る。

 

 だが、メガガブリアスもまた、崩れることなく足を踏みしめた。

 二人とも、ここが勝負を決める一瞬だと、理解している。

 

「『どくづき』」

「『リーフストーム』!」

 

 踏み込んだガブリアスの鎌が、確かにメガメガニウムの首筋をとらえた。

 だが同時に、メガニウムの花弁から。幾多もの鋭利に尖った葉が放たれる。

 

 ガブリアスはそれに踏ん張って耐えた。その攻撃そのものを読んでいたわけではない、だが、彼女もまたこれが勝負を決める一瞬だと、相手もすべてをかけてくるだろいうということを理解していた。

 

 さらに力を籠めようとしたガブリアスは、不意に浮遊感を覚えた。

 そして彼女は、『リーフストーム』に吹き上げられる。

 

 幾多もの尖った葉っぱが体を傷つけられるのを感じながら、ガブリアスはその予期せぬ力に戸惑い、困惑していた。

 相手のメガニウムが確かに強力な個体でハンサムなことはわかる。だが、ここまでのパワーは無いはずだ。

 そこまでは考えることができた。だが、それ以上は考えることができなかった。

 

 何とか体をひねり、背中から石畳に落ちることはできたが、そこから起き上がることはできなかったからだ。

 

 重力に負け、石畳に強かに体を打ち付けたガブリアスを眺めながら、男はこの甘美な時間の終わりを感じ、『すなあらし』の風を感じながら一つ鼻を鳴らした。

 

 若さが、出た。

 

 メガニウムの『リーフストーム』がもし何の力も増していないものであれば、ガブリアスは問題なくそれに耐え、ダメ押しの『どくづき』を叩きこむことができたはずだ。

 

 だが、少年とメガニウムは、この『すなあらし』の流れに『リーフストーム』をうまく乗せた。その嵐はミアレを蹂躙するばかりであったその威力を、最後の最後に力とした。

 奇しくもそれは、翻弄されるばかりであったミアレのトレーナーが初めて『すなあらし』を利用した瞬間だったのだ。

 

 だが、惜しむらくは、男とガブリアスの間に認識の齟齬があったことだ。

 

 あの『すなあらし』は、メガシンカの力を得たガブリアス自身が放ったものだ。ドラゴンの中でも上位のポテンシャルを持つ彼女が作り出したそれは、それこそ計り知れないエネルギーを持っていた。

 

 そのエネルギーを逆に利用される程度の事は、男もガブリアスも理解できていただろう。だが、彼女の、彼女自身の力というものは、まだ男しか正しく理解できていなかった。

 つまり彼女は、彼女が思っているよりも大分強いのだ。

 

 まあいい、と、男は肩をすくめる。

 それが今わかってよかったじゃないか。

 

 男はガブリアスをボールに戻した。そして、エネルギーを失いつつある『すなあらし』を感じながら、少年に歩み寄って右手を差し出す。

 

「おめでとう、君たちはミアレを守った」

 

 

 

 

 バトルゾーンを覆っていた『すなあらし』が、不自然なほど静かに霧散した。

 

 視界が戻る。

 観戦者たちが目にしたのは、立ち尽くす少年と、その傍らで自らの仮面を無造作に少年に手渡している男、モモナリの姿だった。

 

「やぁやぁ、正体がバレちゃったねえ」

 

 モモナリはいたずらが成功した子供のように笑い、少年と、呆然と自らを見つめる観戦者たちを見回した。

 そこに罪悪感など微塵も感じられない。

 否、あるはずがなかった。

 彼にとって、これが罪であることはあり得ないから。

 

 彼はただ、何でもないことのように背を向け、歩き出そうとする。

 だが、それを阻むものがある。

 

「待てや、自分。これで終わりやと思うなよ」

 

 行く手を阻んだのは、カラスバだった。彼は明らかに敵意を持ってモモナリを睨みつけている。

 泣く子も黙るサビ組だ。力を持たぬ敵役には厳しい。

 

 その背後では、マチエールが通信機を握りしめ、警備局への緊急連絡を試みようとしている。

 

 街を騒がせ、秩序を乱し、ミアレの実力者たちを蹂躙した報い。

 それは、この街で生きる者たちが掲げる、当然の『理屈』だった。

 

 だが、その動きを止めたのは、勝者である少年だった。

 

 少年は無言のまま、カラスバの前に腕を出し、マチエールを真っ直ぐに見つめた。

 言葉はない。

 だが、その瞳が、周囲の喧騒をねじ伏せるほどの重圧を持って語っている。

 

『このバトルに、これ以上の続きはない』

 

『怪人連盟』が求めていたものは、栄誉でも、街の支配でも、膨れ上がった自己顕示欲の発散でもなかった。

 ただ、この瞬間の『バトル』だけ。

 そしてそれは、今、完璧な形で果たされたのだと、少年の瞳が証明していた。

 

 マチエールは、少年の瞳に宿る、自分たちには理解し得ない『トレーナー同士の合意』を読み取る。

 モモナリと仮面のトレーナーが行ったのは、あくまでバトルエリア内での『バトル』だ。

 過剰な演出や砂嵐はあった。だが、ルールを逸脱した『犯罪』を立証するには、彼らの戦いはあまりに純粋すぎた。

 

「わかったわ。これ以上は、私たちの仕事じゃない」

 

 マチエールは通信機を下ろした。

 カラスバもまた、忌々しげに舌打ちをし、道を空ける。

 

 モモナリは、少年の横顔をちらりと見やった。

 

「優しいねえ君は。正義の人だ」

 

 それは皮肉ではなく、心からの賞賛だった。

 モモナリは軽やかな足取りで、夜のミアレの闇へと消えていく。

 

 背負うものはない。

 ただ、最高の激突を終えた後の、乾いた充実感だけが肺を満たしていた。

 

 

 

 

 深夜。再開発の喧騒が眠りについた、ミアレシティ。

 

 へし折れ、歪んだままのプリズムタワーが、月光を浴びて不気味に、しかし神々しくそびえ立っている。

 かつての栄光を無残に晒しながら、それでもなお都市の頂点として君臨するその姿は、まるでこの街の執念そのもののようだった。

 

 その塔を見晴らすベンチに、一人の女が座っていた。

 

 もし、通りすがりの誰かが彼女の正体に気づけば、この街は再びパニックに近い熱狂に包まれるだろう。

 だが、誰も彼女を見向きもしない。

 

 彼女は今、世界最高の女優として『くたびれた社会人女性』を完璧に演じている。

 丸めた背中。生気のない視線。疲れ切った指先。

 その演技という名の仮面は、夜の闇に完全に溶け込んでいた。

 

 その『無名』の隣に、音もなく一人の男が腰を下ろした。

 

 泥を落とし、身なりを整えたモモナリだ。

 

 彼にとって、彼女を探し出すのは難しいことではなかった。

『勘』を頼りに『才能』を探せばいい。

 どれほど巧妙に隠そうとも、本物の輝きは闇を透かして漏れ出すものだ。

 

 二人の間に、言葉はすぐには生まれない。

 ただ、夜風が歪んだタワーの鉄骨を鳴らす、乾いた音だけが響く。

 

 不意に、モモナリが呟く。

 

「知ってるかい。夜のプリズムタワーは、とても美しいんだ」

 

 女は、その言葉の意味を理解しながらも、それを否定する。

 

「あの頃のプリズムタワーじゃないわ」

「いや。あの頃のままさ」

 

 モモナリが、折れた塔を見上げたまま呟く。

 それは、傷つき、形を変えてなお存在し続ける『強さ』への、彼なりの賛辞だった。

 

 モモナリは視線を落とし、隣の女へ向き直る。

 

「謝らなきゃいけないことがある。僕は、また君を軽んじていた」

 

 昼間、ポスターの彼女に見た『衰え』

 時間の経過という、抗えない理屈。

 彼はそれを、彼女の限界だと勝手に定義していた。

 

「焦ってたんだ。君は結婚し、子供が生まれ。また、置いていかれるんじゃないかとね」

 

 否。それは、自分自身の情熱が衰えることへの恐怖の裏返しなのだ。

 

「だが。間違っていたよ。君は全盛期だった。いつでも、どんな時もね」

 

『すなあらし』の中で見た、あの狂おしいまでの輝き。

 それは老いへの抵抗などではない。

 今この瞬間を生きる強者の、純粋な爆発。

 

 モモナリは、彼女が『最強』であり続けていることの真実を、その身に刻まれた心地よい痛みと共に認めた。

 

 女、カルネは、演技を解かぬまま、わずかに口角を上げる。

 仮面の下で、彼女もまた、この『ワルガキ』との共犯関係が終わることを惜しんでいた。

 

「私は納得いってないんだけど」

 

 不意に、彼女が呟いた。

 

「あんなの不意打ちでしょ。ノーカンよ」

 

 モモナリはそれが先ほどのバトルの事を言っていることを理解し、呆れる

 

「負けず嫌いだねぇ。良いじゃないか別に、君の勝ち越しだろう」

「よく言うわね。あなた、私を裏切ったのよ」

「じゃあどうしろと」

 

 モモナリの問いに、カルネは答えなかった。

 それが答えだった。

 

 その時。

 彼らの頬を一筋の風が撫でる。

 その風には、わずかに粒子が混じっていた。

 ザラついた、懐かしい感触。

 

 二人が、同時に顔を見合わせる。

 

「呆れた。この期に及んで、まだ『すなあらし』でバトルしたいの?」

「勘弁してくれよ。これは俺じゃねえって。君の過剰演出なんじゃないのか?」

「私、一応女優よ? こんな演出、くどすぎるわ」

 

 言い争っている間にも、風はどんどん強くなっていく。

 再び街を包み込もうとする、正体不明の『すなあらし』。

 二人は、ついに笑い出すしかなかった。

 

 理屈ではない。

 この街が、あるいは運命が、まだ終わらせてくれないのだ。

 

 どちらが提案するわけでもなく、二人は立ち上がった。

 ベンチを離れ、互いに十分な距離をとる。

 

 砂塵が舞い、月が隠れる。

 

 暗闇の中で、二つのメガリングが、共鳴するように輝き始めた。

 

「楽しませてよね」

「おーおー、かかってこいや」

 

 嵐の再来。

 本当の幕引きは、まだ先になりそうだった。




 以上で『セキエイに続く日常 211-怪人連盟』は完結となります。見ていただいてありがとうございました。
 今回の話は構想そのものはZA発売当初からわりとあったものだったんですが、いろいろ考えていくことが増えたことに加えて後述の理由で少し伸びてしまいました。
 今回ポケモンレジェンズZAをプレイしたときに、そのあまりにもバトル感むき出しな世界観に最初は『これはモモナリとの親和性高そうだな』と思っていたのですが。考察を進めるにつれて『あれ、これちょっと違うな』と思うようになりました。
 モモナリの思想の根本は『日常と闘争に明確な境界線は存在しない』という部分を重視しています。なのである程度自由自在にバトルができるミアレシティの環境は確かに一部分だけを見ればモモナリの性格と合うように見えましたが、結局のところそれは『バトルゾーンの外ではバトルをしない』というところで、ミアレという都市が人々の『闘争』をうまくコントロールしているんだなという結論になりました(当然、良いことです)
 こうなってしまえばミアレのシステムとモモナリの思想はあいいなれないものになるのですが、まあモモナリの思想が合うのはハナダの洞窟なので別にそれでいいです。
 カロスシティのミアレシティは『モモナリ』の世界観でも数多く使われていた部分であったので、そこはすんなりできました。
 ところがこの物語の構想時は追加コンテンツ前だったので『カルネの子供』という形でカルネが物語に絡んでくる想定ではなく、何ならラストはもっとロマンチックな終わりをする想定でした。
 追加コンテンツ後は『カルネの名前を出すのならアンシャやユカリとの絡みは必要だろう』と思われると思うのですがそこが少し消化不良に終わっているのはそれが原因です。ですがちょっとX・Yの原作時間軸時点でカルネに子供がいたという事実は作者の脳を破壊しているのでもっと時間があったらもっとも面白いものができたかと言われれば微妙なところです。

 あとユカリに関してですがこのキャラに関しては正直びっくりするくらいモモナリと親和性ありました。親和性ありすぎて逆に動かしづらかったです。



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