モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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20-世代間コミュニケーション

 今年度のポケモンリーグが開幕した。僕も一戦目を何とか消化したので、興味のある人はチェックしてみて欲しい。

 さて、自分のことは棚に上げ、僕はタマムシシティで行われていたCリーグ開幕戦を見に行った、目当ては午前に行われるトミノ、クロセ戦と午後から行われるシンディア、タマキ戦である。この二戦は共に今年のCリーグの中心となる二人が出ている訳だから、ぜひとも生で見ておきたかったのである。

 いやーしかし、クロセ君は強い。全体的にキビキビとしたスタイルでこれといった無駄がない。それでいて相手のスキを見逃さず柔軟に対応できる判断力もある、ポケモンも強制ではなく心の底からクロセ君を慕っているように見えるし、これは強いなあと思った。コンプリート記録の被害者としては嬉しい限りである。読者の皆さんには彼の名前を覚えておいて欲しい、彼は必ずやトップトレーナーの一人になるだろう。

 

 試合後、僕は彼に接触することに成功した。と言うより、現場に居たポケモン協会職員が僕を彼の護衛に任命した。最近ポケモン協会は僕のことをバトルの強い面白エッセイおじさんだと思っているんじゃないだろうか。僕は将来彼の前に大きな壁として立ちはだかる予定なのだが…、と言うよりこの業界きっての遊び人(人からはそう言われる)にカントーリーグの未来を任せるな、と言う声が聞こえてきそうである。

 しかし不安であった。経験上僕がクロセ君くらいの年齢の頃はそれはもう尖りに尖って、触れるもの皆に噛み付いていた(友人のトキワジムリーダーは「そんなでもなかったぞ」と言うのだが)彼もその例に漏れなければ、開幕先制パンチの毒づきをされて、僕を泣かせると言う事もありえるのである。そんときはもう、この誌上でありとあらゆることを書いてやろうと思っていたのである、ペンは剣よりも強いのである。

「や、やあクロセ君。この後一緒にシンディアさんの試合を一緒に見ない?」

 まるでナンパである。

「見ましょう見ましょう! 俺、シンディアさんのバトル楽しみだったんですよ!」

 読者の皆さん、クロセ君は強いですが良い子です。是非応援してあげてください。

 しかし、こうも良い子だとポケモン協会の毒牙にかからないか不安である。僕のように騙されて将来のチャンピオンとエキシビション組まれたりしないか心配だ。そういえば最近イッシュのジムリーダーシャガのお弟子さんが若くしてかなりの素質を見せているらしいが…不安である。

 

 という訳で僕とクロセ君は関係者席からシンディア、タマキ戦を観戦したわけである。

 Cリーグの一つの試合ではありながら、この試合は共に余計なプレッシャーがあったように思う。

 ミセス・シンディアは元イッシュリーグAリーガーとして落とす訳にはいかない試合であるし、タマキ君はタマキ君で、海外からの刺客にやられるかやられないかと言う注目のされ方をしてしまっている。観客の野次(自分が試合をしている時にはよく聞こえるのだが、観客席に座るとまあよく聞こえる)にも近しいニュアンスの物があった。

 僕はこういうのは嫌いである、一度面と向かえば肩書なんて関係のない世界である、その時に強いほうが勝つ。そんなもんである。

 結果は、シンディア氏がイッシュAリーガーの貫禄を見せつける結果となった。いやーしかし鬼の受けであった。受けで主導権を握ると言う高等テクニックをなんとも軽々とやってのける。タマキ君も打開の手を多く見せたが、それをシンディア氏が上回った形だ。玄人好みの名試合だったと思う、攻めが好きな人も受けが好きな人もぜひともチェックして欲しい。

 

 

「いやー、シンディアさん強いねえ」

「ええ、あのナットレイは相当なもんですよ」

 などという話をしている時に、さっきのポケモン協会の職員がぬーっとやってきた。僕は嫌な予感を察してその場を逃げようとしたのだが、まだ世間をあまり知らないクロセ君が捕まってしまったのだ。

 しかたがないので聞けば、シンディア氏の護衛もしてくれとのこと、なんだろう、ポケモン協会はアホなのか。

 しかし、クロセ君の手前それを承諾してしまったのである。そもそも今日はもう試合が終わってるわけだから後はホテルに帰るだけだろうに。

 という訳で僕(他称遊び人)はカントーリーグの超新星とイッシュリーグからの刺客を引き連れる事になったのだ。


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