モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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31-お菓子の話

 最近のポケモン用スイーツは凄い。

 僕が若手の頃なんかはきのみを粉にして固めたポロックというものがかろうじてスイーツと呼べるもので、これも食感はポケモンフーズに近く、美味しそうに食べてるゴルダックやアーマルドを見てマジかよこいつらと思ったものである。

 それ以降は僕達はとりわけスイーツに心躍らされることはなくなり、クシノから貰ったヒメリやらラムやらを育てて満足していたのである。

 

 ポフレやらポフィンなどのポケモン用スイーツについて知ったのは最近になってからだった。トレーナー友達のシンさんのスイーツレシピが本誌に取り上げられていたのである。焼かれてふんわりとしたポフレとポフィンのなんと美味そうなこと、僕みたいな人間だったらポケモン用だと気づかずにぱくつくだろう。そして恐らく言われるまでそれが人間用のお菓子だということを微塵も疑わないだろう。

 先日リーグ戦観戦時に彼女に出会った。僕はぶしつけに「あれは美味そうだったね」と言うと、彼女はたいそう嬉しかったらしく、次の休日に僕とポケモンにご馳走してくれる運びになったのである。思えば、男女にかぎらず戦うことばっかり考えている集団である。そのようなことをリーグトレーナーに言われることがなかったのかもしれない。

 僕はクシノを連れて行こうと思った。あいつはきのみマニアである。世界中のありとあらゆるきのみを栽培しているし、その味にも精通している。あいつにきのみを持ってこさせればシンさんも喜ぶだろうし、クシノもこういう技術的なものには興味が有るはずである。

 

 僕とクシノは彼女の実家に招待され、彼女のスイーツを頂くことになった。僕は特に興味はないが、クシノは割烹着持参で技を盗んで帰る気満々である。器用な男なので、難なく取得しそうで怖い。

 シンさんの実家はデカい、ハナダで一番デカい家それがシンさんのご実家である。ちなみにクシノの実家もデカイ、すごいぞマジで。

 

 おじゃますると、シンさんのサーナイトが出迎えてくれた。おしとやかに挨拶なんかしてくれているがこのサーナイト本当に強くて困る。クロセ君のニンフィアと並んで、ドラゴンキラーフェアリーの筆頭である。おしとやかさに騙されていつものようにガサツな事しようもんなら何されるかわかったもんじゃないので、僕は借りてきたニャースの様におとなしくしていたのである。

 ちなみにこのサーナイトさんには、僕のガバイトの遊び相手もしてもらった。今回のスイーツを一番楽しみにしているのは僕のガバイトである。パンパンに詰まったクシノのリュックを見て「きのみでしょ!? あれきのみなんでしょ!?」とボールを震わせていた。ガバイトは本気でじゃれに行くのだが、サーナイトさんはすっと抑えこむ。ガバイトの頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいるのが見える、強さとは力だけじゃないことをわかってくれればこれ幸いだ。

 

 ガバイトがへとへとになってそろそろ甘いモノでもほしいなとこちらをちら見しだした頃に、ポフレとポフィンが完成した。いやしかし、クシノに割烹着は似合わない、金髪碧眼なんだから変な意地はらずにエプロン着ればいいのにと思った。

 

 スイーツは美味かった、まー美味かった。何の疑いもなく食べたもの。

 僕はつい「昔のポロックに比べたら雲泥ですね」と言ったら、シンさんに最新のポロックも頂いた。これも美味かった。今後小腹がすいたらこれでもいいかもしれないと思った。

 こんなにも美味しいポケモンスイーツのレシピはそのうちまとめられて本になるらしいので、スイーツ好きのトレーナーはぜひとも手にとってみてほしい。




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