モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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セキエイに続く日常 100-節目

 最後の頼みと、キリューはロトムを繰り出した。電子レンジを取り込み炎タイプを複合したヒートロトムは特殊攻撃に弱いローブシン相手には悪くない選出のはずだった。ネイティオを繰り出すことができればよかったが、ローブシンの持っているコンクリートの柱がその選択をリスクのあるものと感じさせていた。

 ロトムは決して素早い方のポケモンではないが、ローブシン相手になら先手を取れる。レンジを模した部分の蓋を開き、そこから『オーバーヒート』した炎を吐き出して、ローブシンに攻撃する。威力は高いがエネルギーを大量に消費し、次以降の攻撃が期待できなくなるデメリットはあるものの、『ボルトチェンジ』で退場できることを考えると悪くない。

 キリューは次の戦略に思考を巡らせた、厄介なガブリアスはグランブルを犠牲にして何とか倒している、まさか『どくづき』で弱点をついてくるとは思わなかったが、地面タイプのガブリアスのことを考えなくて良いのは大きい。

 キノガッサはあり得ないだろう、エネルギーが尽きかけているとはいえ、もう一発の『オーバーヒート』は考えたくないはず。

 恐らく次に出てくるのはオノノクス、とキリューは予測した。今期キシの快進撃を支えているドラゴン二枚体制、そのカードを切るなら今しか無い。出てきたオノノクスに『ボルトチェンジ』でヒートロトムを退場させ、ネイティオの『みらいよち』を打ち込むことができれば、重ね打ちでまだ分からない。

 しかし、この予想は裏切られることになる。オーバーヒートをモロに食らったローブシンは大きくぐらついたが、手にしていたコンクリートの柱をドンと地面に突き立て、こらえてみせたのだ。

 キリューは驚いた、しかし、相手のキシに慌てた様子はない、まるでそれが当然だと言わんばかりに次の指示を飛ばしていた。

 ローブシンの持っているコンクリートの柱が、ロトムに叩きつけられる。『ストーンエッジ』のようなその攻撃は、炎タイプを複合しているヒートロトムには効果が抜群だ。しかも相手はそのパワーに主張があるローブシンである、無事では済まない。

 これは強い、とキリューはヒートロトムをボールに戻した。残るポケモンは二体、しかし相手の布陣を考えるともう勝負は決まりかけていると言ってよかった。

 キリューは新たにネイティオを繰り出し、『サイコキネシス』でローブシンを沈める。キシはこれといって動きを見せなかったが、意識してのものだろう。死に体のローブシンを残すよりも、後続を活かす冷静な判断だった。

 キシは一呼吸置いた後に次のポケモンを繰り出す、現れたのはあごオノポケモンのオノノクス、高い攻撃力と『かたやぶり』な力強さを持つドラゴンポケモンで、キシの快進撃を支えていた二体のドラゴンのもう一体だった。

 キリューは『みらいよち』の指示を出し、ネイティオは胸の目も煌々と光らせる。リスクはあるが仕方がない、ネイティオにオノノクスと当たって勝てる力強さは無いとの判断で、おおよそ正しかったが、オノノクスはネイティオが『みらいよち』を完了させる前に猛然と『げきりん』で襲いかかる。力強さも持っているが、飛行タイプのネイティオよりも素早かった。

 『げきりん』が直撃してしまったネイティオはそのまま地面に叩きつけられ、戦闘不能となる。

 残る一体、ハリテヤマだけでは状況の打開は到底できないだろう、キリューは負けを覚悟し、それでも望みを捨てきれないトレーナーの性がそれをなんとかかき消そうとしていた。

 手厚かった、戦況をかき回すガブリアスに対策を割けば、その他が疎かになり、全体をバランスよく対策すれば、キシ陣営の圧倒的パワーの前に対策ごと押し潰されることになる。噂によれば、最後の手段としてボーマンダの選択肢も用意しているという。

 これではまるで、とキリューは思う。

 これではまるで、チャンピオン、ワタルのようじゃないか。手厚く、力強く、それでいてポケモン達をまとめ上げている。

 いつかのシルフトーナメントでワタルを相手にした時とまるで同じだった、それなら、それならあるいはいい勝負、否、勝てるのではないか。

 十数年に及ぶワタルのチャンピオン時代、それを終わらせるのは、弟弟子のキシなのではないかと思い始めていた。

 

 この一戦は、キリューのハリテヤマが最後までキシのオノノクスに食らいついたものの、キシは数の有利を落ち着いて押し付け、勝利をモノにした。

 これでキシはAリーグを八勝無敗とし、最終戦の結果を待たずしてチャンピオン決定戦への切符を手にした。

 キリューにとっては悔しい敗戦だった。この試合に勝つことができればお互いの成績を七勝一敗とし、初のチャンピオン決定戦に向けてリーグ戦をまだ分からなくすることができたが、この敗戦により六勝二敗となり、夢は潰えた。

 後にこれが歴史の節目の一つだったとファンの印象に焼き付きこの試合は『シオンの兄弟決戦』と呼ばれることになる。

 

 

 

 

 セキエイ高原特別対戦場、関係者控室。

 一昔前に比べれば、ここの雰囲気も随分と変わったな。と、カントージョウトポケモンリーグAリーガー、イツキは思っていた。

 『チャンピオンロード世代』のベテラン達はすっかりと鳴りを潜め、パブリックビューイングの解説役や、地元での解説会、実況ラジオのコメンテイターなどでこの場には居ない。小金を稼ぐことを優先しているのか、それとも、居づらさを感じるのを嫌がっているのだろうか。

 一昔前に比べれば、控室も幾分か寂しくなっているような気がする。否、人数的なこと言えばほんの少し少ない程度なのかもしれないが、いつも賑やかなあの男が居ない事に違和感を感じていた。

 ふと、控室に備え付けられた巨大なモニターから懐かしい声が聞こえたような気がした。

「ちょっと、テレビの音量を上げてくれないか」

 誰にともなくそうつぶやくと、すぐにテレビの音量が上げられた。きっとジョウトの若手が居たのだろう。イツキはカリンと並ぶジョウトの大御所になりつつあり、カリンが一匹狼の路線を続けている影響で、自然とジョウト出身トレーナー達のまとめ役となってしまっていた。

 テレビからは今日のチャンピオン決定戦の試合予想を実況者と解説陣が語っていた。リーグトレーナー達は意外とこういう番組が好きで、自称専門家達の的はずれな見解を笑いあったり、戦術オタク達の濃い知識に感心したりする。

『本日の解説はカントージョウトポケモンリーグBリーガー、クロサワさんです』

『よろしく』

 懐かしい声は、クロサワのものだった。

 そうか、今年はあの男が居ないんだ、とイツキは気づいた。クロサワがAリーグを陥落して以降、あまり話すことはなくなっていた。それでもあの男はチャンピオン決定戦には必ず関係者控室に現れていたのに、寂しいものだなと思った。

『このように実況生中継をリーグトレーナーの方とご一緒するのは初めてのことです』

『毎年毎年ここにすわっているアマの連中や詐欺師一歩手前みたいな奴らがあまりにもひどいもんだから、今回は立候補させてもらった。一度この試合をこの特等席から見てみたかったしな』

 絶句する実況アナウンサーの声を確かに聞き取りながら、前言撤回しなければならないな、とイツキは思った。あの男は全然変わっていない。

「面白くないですよ全く」

 ふと、若い声でそう聞こえた。イツキがその方向を見ると、ジョウトの若手トレーナー、ニシキノがモモナリ相手におもいっきり愚痴をこぼしていた。

 ニシキノはバッジをコンプリートする前からその資質を多くの人間に認められたトレーナーだった。彼はキシと同年代で、ジョウト出身のトレーナーだったことから「東のキシ、西のキノ」と比較されていた。研究派のキシと比べれば、少し荒削りで見ていて気持ちの良い試合をするトレーナーだった。ライバルのキシがチャンピオンに挑戦することになった今年、Aリーグへの昇格を決めていた。

「なるほど、ニシキノくんは面白く無い、と」

 ふんふん言いながらそれを小さなメモ帳にメモするモモナリに「あ、ちょっと、それは書かないでくださいよ」とニシキノは咎めた。

 『週刊ポケモン生活』の中での小さなコラムを担当するようになってから、モモナリは常に気づいたことをメモに残すようになっていた。ポケモンバトル一辺倒だった男の奇行はリーグトレーナーの中でも少しばかり話題になった、本職のバトルもそのくらい真面目に事前研究とマメなチェックを怠らなければもっと良い位置にいるだろうに。

 『天気変更戦術』の衰退以降、モモナリは再びBリーグを彷徨うようになっていた。そんなことをしている暇があるのか、とリーグトレーナー達は笑っていたが、少なくともイツキはモモナリの選出をこれ以上ないものと感じていた。彼ならバトルを誇張表現無く日常として書くことが出来るだろうし、自分達リーグトレーナーがどれだけ逸脱しているかということも、彼の日常に軽く触れるだけで容易にわかってもらえるだろう。

 決して悪いことばかりでもなかった。モモナリの素直で毒のない純なエッセイは、モモナリを「馬鹿を演じて好き勝手モノを言ういけ好かないやつ」と思っていたリーグトレーナー達が「バトルがしたいだけの馬鹿」だと気づくに十分だった。特に若手のトレーナーなどはモモナリに気楽に接するようになっていた。

 

「まいどー」

 控室の扉が開かれ、クシノが現れた。途端に何人かの若手女性リーグトレーナーが彼に群がる。遅く来た新人だが見た目の良い彼は、リーグトレーナー達にはすぐに受け入れられた。あまりにも変化球がすぎる戦略のせいで一般のミーハーを付けることはできなかったが。

 その後ろから、キリューも顔を出した。控室が少しピリッとした空気になる。単純にキリューがAリーガーだからというのも理由の一つだろうが、最も大きな理由は彼がキシの兄弟子であるということと『シオンの兄弟決戦』の件だった。

「よう、今日はキクコさんは?」

 モモナリがメモを片手にキリューに戯れた。

「家で見るってさ、まあここには来れないだろ」

 キリューも軽くそう返した。確かに今日キクコがここに現れたら控室の空気はとんでもない事になるだろう。

「気にすること無いのになあ」とモモナリはペンで頭を掻いた。

「キシくんはどんな感じだった?」

 流石に兄弟子だろうから、キシの控室に顔くらいは出しているだろう。とモモナリの質問。

「何も変わらねえよ」と、キリューは手を振って答えたが、その後しばらくうーんと上を向いて唸った後に、そういえば、と続ける。

「俺より背が高くなってたなあ」

 キリューはなんでもない事のように言っていたが、兄弟子にそう思わせること自体に意味があるのではないか、とリーグトレーナー達は思った。

 

『クロサワさんはこの試合、どのように進むとお考えですか?』

『アホか、それがわかったら俺がチャンピオンになってるだろ。お前もプロならもっとまともな質問をしろ』

「二度目のチャンスを与えてるゆーことは、まだまだ気ぃ使ってますわな」

 アナウンサーの絶句をバックミュージックに、クシノはそう笑った。言われ慣れている男の余裕だった。

 モモナリとキリューもつられて笑い、彼らに囲まれているイツキも笑いを堪えていた。

『ええと、それならクロサワさんのこの試合についての考えを一つ』

「お、これはええ質問やな」

『素人のためにハッキリと言おう、キシを始めとする新世代の波は高い。彼らは我々の世代からは考えられない方法で試合へのアプローチを進め、地位を確立しつつある。チャンピオンワタルと言えども、彼らの情報に確立された戦略には一歩劣るだろう』

 相槌を打とうとしたアナウンサーにしかし、クロサワはと大声で制す。

『ここで一つ考え方を転換させる必要がある。新世代はなぜ地位を固めつつあるのに新世代と呼ばれ続けるかだ。それはチャンピオンワタルがチャンピオンであるからだ。新世代は多くのトレーナーを引きずり下ろしたかもしれないが、ワタルを引きずり下ろすに至ってはない、世代交代を果たしていないから新世代と言われ続けている。ワタルの人智を超えた強さがそうさせている』

 相槌を打つにはここしか無いと言わんばかりに割り込もうとしてきたアナウンサーにもう一度、しかし、と釘を刺す。

『だが、ここでもう一度考え方を転換させる必要がある。たしかにワタルは強い、人智を超えている。しかし、ワタルは神ではない、所詮はトレーナーだ。ここでもう一人人智を超えたトレーナーが現れたらどうなるか、それがキシを含めるAリーガー達だ』

 ふん、とクロサワが完全にしゃべり終えたことをしっかりと確認してから『ええと、つまりどういうことなのでしょうか』とアナウンサー。

『どちらも強いということだ』と、クロサワは答えた。

「この人向いてねえよ」

 キリューの言葉に控室が同意を示す。

「いや、こういうのがええんや、だってもっと聞きたいもん」とクシノが笑って返した。

 

 

 

 

 ワタルの先鋒はギャラドスだった。電気タイプ以外のポケモンなら大体有利を取ることができ、その威圧的な風貌とは対称的に『いかく』によって対戦相手を萎縮させ、その場に長く居座ることも出来る技巧を持った一番手だ。

「さあ、どうなるか」

 と、モモナリはキシの一番手に注目した。今期Aリーグにおいて、キシは電気タイプのポケモンを見せてはいない、対ワタル戦略の第一手は何なのか。

 キシの先鋒に控室は、おおお、と湧いた。

 現れたのは、プラズマポケモン、ロトムだった。キリューがよく使う電子レンジの機構を取り込んだものではなく、洗濯機の機構を取り込み水タイプを複合している。

「俺は貸してねーぞ」

 モモナリやイツキの追求より先にキリューが呟いた。兄弟子の彼も不意をつかれた選出だった。

『キシ選手のこれまでの手持ちにロトムの情報はありませんが』

『やりやがった、元から用意していたのか、それとも急ごしらえの隠し玉か。とにかくこの大一番で経験のないポケモンを使うとは』

 モニタの向こうで、クロサワも唸っていた。

『しかし、奴の兄弟子であるキリューはロトム使いとして有名だ。経験はなくとも、情報としては知っていたのかもしれない』

「人生が変わるかもしれんこの試合で、よくもまあこんなことが出来るわ」

 クシノも唸る。手持ちのポケモンとの結託と経験値の多さでここまで来た男からすれば信じられない選出だった。

「経験よりも、対策とデータを優先したんだろう。僕達の世代からすれば考えられないが、これも一つの強さには違いない」

 イツキは冷静に戦況を分析していた。

「この状況はワタルにとって相当きつい。選択肢を絞られているどころの話じゃないぞ」

 その言葉にモモナリが割り込む。

「ギャラドスを居座らせる選択肢はほぼないと言っていいでしょうし、ハガネールを持っていたとしてもハイドロポンプのことを考えると出しづらい、しかし下手なポケモンを出しても『ボルトチェンジ』が厳しいし、ガブリアスなら、いや、露骨すぎるなあ、そうなるとギャラドスの犠牲はやむを得ないという考え方も」

 電気タイプの攻撃に弱いギャラドスは電気タイプのロトムとの相性は最悪、しかし、安易な交換に逃げるのを読まれ『ボルトチェンジ』を決め打ちされてしまい、後出しで更に有利なポケモンを繰り出されてしまうだろう。ワタルは選択肢として地面タイプを複合しているガブリアスを持ってはいる、ガブリアスならば『ボルトチェンジ』の電撃を吸収し交換を無効化することもできるが、それを読まれてしまうと更に厳しくなってしまう可能性もある。

 控室の総意が出る前に、ワタルはギャラドスをボールに戻し新たにポケモンを繰り出す。

 繰り出されたポケモンに、ロトムの『ハイドロポンプ』が襲いかかる。『ボルトチェンジ』でのポケモン後出しの選択肢ではなかった。

 新たに繰り出されたポケモン、ガブリアスの強靭な体は『ハイドロポンプ』の水流をものともせず、まっすぐに水流を突き進み、その源であるロトムに『ドラゴンダイブ』で飛び込んだ。

 もう一発、と再び体勢を整えたガブリアスを見て、キシはロトムをボールに戻した。

『ドラゴンダイブはかわされやすい技だが、『ハイドロポンプ』に自ら突っ込んでいくことで確実にロトムを攻撃できる。ドラゴンポケモンに精通したワタルらしい、ドラゴンの強さを知っている攻撃だ』

「読み合い自体はキシが勝ってるのだが」

 キリューが心配そうに呟いた。これでキシが自信を失わないか心配だった。

「間違いなく最良の選択肢だったが、ドラゴンのポテンシャルでその傷を最小限にとどめたワタルの強さだな。これに揺さぶられると厳しいぞ」

 ワタルと付き合いの長いイツキは、多少の不利ならその腕力で捻じ曲げられる彼の強さをよく知っていた。

「キシくんはここでもトップクラスのデジタル派だから、現状を客観的に評価することは出来るでしょう、しかし」

 じっくりと戦況を眺めていたモモナリは気づいていた。

「急ごしらえのデメリットは確実にある」

『ロトムを温存したのはなにか特別な理由が?』

『ギャラドスの存在を考えると、電気タイプは温存しておきたいと言う考え方がある、ロトムの特性は自らの弱点をカバーしているから、ギャラドス相手に後出ししやすい。だがもっとも大きい理由はそこではない』

『と、言いますと?』

『素人には分からなかっただろうが、あの『ドラゴンダイブ』でロトムは怯んじまったのさ。そのまま置いとくと一気に戦闘不能にまで持っていかれるかもしれねえ、初出しの弱みだな、しかしそれを敏感に察知して手元に引き戻し落ち着く時間を作りだしたキシも見事』

『次のポケモンは何でしょうか?』

『ああ? そんなもん見てりゃわかるだろうが』

 アナウンサーも慣れてきたのか、なるほど、と気持ちのいい相槌を打った。

「あのロトムはギャラドスやプテラみたいな脇を固めるポケモンへの対策やろうな、はなからドラゴンを相手にさせることは考えてへんのやろ」

 クシノの予想は的を得たものだった、彼はポケモンリーグ入りが遅かっただけあって近年の戦術に詳しかった。

「氷か、はたまたフェアリーか」次のボールを投げたキシにそう語りかけた。

 繰り出されたポケモンをガブリアスは地面に叩きつけ『じしん』の衝撃で攻撃を加える。

 しかし新たなポケモン、パルシェンは余裕の表情でガブリアスを跳ね除けた。

「おいおい、パルシェンも公式戦じゃ使ってへんぞ、大盤振る舞いがすぎるやろ」

『パルシェンですか。クロサワさん、この選択は?』

『さっきのロトムを考えると対策が露骨な選択肢だ、どう転がるかはまだわからない。技の選択について言うとワタルが『じしん』を選択したのは強さの現れだな、フェアリータイプのポケモンを考えると『どくづき』を打ちたくもなるもんだが、結果論で語れば『ストーンエッジ』が最良だったが、リターンが大きければリスクも大きい読みに頼らず正攻法を貫くのは強いな』

 ガブリアスはもう一度先手を取る、対戦場の岩盤を踏抜き、砕けて尖った『ストーンエッジ』ごとパルシェンに叩きつける。

『苦手な組み合わせのはずですが、手持ちに戻しませんでしたね』

『もうすぐ理由がわかる』

 攻撃を食らったパルシェンは殻を閉じて吹き飛ぶが、まだ戦闘不能には至っていない。しかし自慢の殻はひび割れ、ところどころボロボロと砕ける。

「『からをやぶる』か、予定通りといったところだね」

 イツキの言うとおり、パルシェンの殻のひび割れは意図的なものだった。自らの防御性能を大きく下げる代わりに素早さと攻撃性能を大きく引き上げる。長年使いづらいポケモンだったパルシェンの地位を大きく変えた技である。

『下手な交代をすると無条件であれをされてしまう。ガブリアスを捨ててでもダメージを入れたかったんだろう』

 そのままパルシェンは自身の体内から『つららばり』をガブリアスに発射した。技の精度にばらつきがあり安定しない技だが、パルシェンはその特性によって最大限の攻撃を安定して打ち出すことが出来る。

 ガブリアスは何とか堪らえようとするが強力な氷の技には耐え切れない、近代の対戦界を支配しつつ有るポケモンのただ唯一と言っていい弱点らしき弱点だった。

『パルシェンの役割はしっかりと果たしたな』

 モニタから聞こえるクロサワの解説に控室は同意の声を示した。

「『だいばくはつ』を考えると次はカイリューでほぼ決まりと言っていいでしょうね」と、モモナリが言うが早いか、ワタルはカイリューを繰り出した。

『『しんそく』でほぼ決まりだろう。こうなったパルシェンを温存する必要は無いからな』

 キシはパルシェンに『だいばくはつ』の指示を出すが、パルシェンがそれを実行するよりも先にカイリューが『しんそく』でパルシェンに攻撃、『からをやぶる』で防御性能が大きく下がっていたパルシェンは耐えきる事ができず、戦闘不能。

『五対五だが、今から出すポケモンを選択できるという点でこの段階ではキシが有利だ』

「パルシェンを手持ちに入れた時点でこの展開はある程度予測できるでしょうから、この状況に適したポケモンを出してくるはず」

 モモナリの言葉に「となるとフェアリーやろか」とクシノ。

「いや、もっとエグいポケモンが出てくるかも」

 キシが次のポケモンを繰り出す、現れたのは二本キバポケモン、マンムーだった。

『鬼だな』

「エグすぎるわ」

「ああ、これはキツイ」

 と、トレーナー達は大体同様の反応を示した。

「水ロトム、パルシェン、マンムーとはね」

 イツキも遅れてううんと唸った。バランスがいいとはとても言えない。

『クロサワさん、解説を』

『見りゃわかるだろ、この対面はカイリューが圧倒的に不利。だが、ワタルはカイリューを引くことができねえ、交代を読まれて『ステルスロック』を撒かれちまったらカイリューの強みであるタフネスさも失うことになる』

 キシに考える時間を与えなくするためだろう、ワタルとカイリューの行動は素早い。

 カイリューは上空からマンムーに『ばかぢから』で襲いかかる。

 マンムーはそれを堪えて、相手の陣営に尖った『ステルスロック』を飛ばして交代にプレッシャーを掛ける。

「もう一対策有るんだろうね」とその技の選択を見てモモナリはつぶやいた。目先のダメージよりも、マンムーを犠牲にしてこの期の展開を重視していると考えられる技だった。つまり、今目の前にいるカイリューは彼らにとってそこまでの脅威ではない。

 ワタルはマンムーを犠牲にするというキシの意図を読み取ったのだろう、再びカイリューに『ばかぢから』を命じた。

 その腕が振り下ろされる前に、マンムーは『こおりのつぶて』をカイリューに浴びせた。少しのダメージでも、カイリューのタフネスさを削るには十分。マンムーは悔いなく沈んだ。

『これでチャンピオンが五体、挑戦者が四体となりましたが』

『しかし状況を作っているのはキシの方だな。計算高く冷静だ、ワタルの方はドラゴン二体が消えた上にギャラドスが縛られている、恐らくキシの方はガブリアスを温存しているだろう、現状ではワタルのほうが不利かもしれない』

「キシの次のポケモンによるやろうな」

「でもあのマンムーの行動は明らかに次の動きがある感じだったからなあ」

 控室はキシが次に繰り出すポケモンに注目していた。

 そして、キシが繰り出したのは祝福ポケモン、トゲキッス。ドラゴンに対する天敵であるフェアリータイプの筆頭だった。

 これには控室も「やり過ぎだ」と揺れる。

「キシならやりかねないとは思っていたが」と兄弟子のキリューは短髪を掻いた。

「ちょっと露骨だなあ」

 セキエイ高原には「自分の用意できる限りの最高のパーティを引き連れてくる」と言う伝統的な不文律が存在してた。お互いが持っているベストをぶつけあう事が、セキエイと敗北したAリーガーに対する最大限の敬意だと考えられていた。チャンピオンとは特定の誰かに強いものではなく、誰に対しても強くあるべきなのだと。

 ところが、今回のキシのパーティは偏りがすぎる。ドラゴン使いのワタルを徹底的に潰しに来ていることは明確、このパーティであらば、Aリーグを勝ち抜くことはできなかっただろう。

 言葉にはせずとも、その不文律を受け入れていたキリューやイツキはあまり面白い思いはしていない。その他のリーグトレーナーも同様だろう。特にAリーガーとしてキシと戦ったトレーナーは激しく憤っているに違いない。

 トゲキッスは自身の羽毛を神々しく光らせる神秘的な技『マジカルシャイン』でカイリューに攻撃を加える。カイリューも『かみなり』を打とうとしたが、その眩しさに目がくらみ、的を外した。ダメ押しとトゲキッスは『しんそく』でカイリューの巨体を吹き飛ばす。カイリューが戦闘不能になったのは誰の目にも明白だった。

「これじゃ勝った所で」と、控室の誰かが言った。侮蔑とも呆れとも取れるトーンだった。

 キリューはその言葉に瞬間的に激しく怒りを覚えて、バッと控室を見回したが、自らも含め、トレーナーのほどんどが何らかの腑に落ちない気持ちを覚えていることは確かだった。

「まだワタルさんが負けたわけでもないのに」

 モモナリがため息まじりに言った。

「対策や相性でチャンピオンが決まるのならばあの時カンナさんがチャンピオンになってるはず」

 Aリーグ二期の男の言葉は、控室には届かなかった。

 

 

 

 

 チャンピオン決定戦を観戦していたトレーナーとファン達は、もしかすれば、自分達の目の前で偉業が起こるかもしれないと、気が気でなかった。

 同業者、アマチュア、そして全くの素人から見ても、キシの対策は完璧だった。なんとか食らいついているワタルが不思議なほどに。

 観戦者たちは、恐らく初めてワタルに感情移入し、心からの声援を送り始めていた。影のあるチャンピオンだった時代にも、挑戦者たちを退け続けた絶対王者だった時代にも、ワタルは常に壁であり続けたはずなのに。

 時代が変わろうとしているのかもしれない、と誰かが思った。しかし、これが、これこそが自分達の望んだものだったのだろうかとも思った。あの強大な、ワタルというトレーナーの次に来る時代は、こんなに面白みのない、淡白なものなのだろうか。

『もし挑戦者が勝利することになれば、それはあのレッド以来の快挙となりますが』

 お互いの残りのポケモンは二体ずつ、すこしばかり気の早いアナウンサーの情報も、現実味を帯びた情報として観戦者に届けられていた。

『お前は見たことがあんのか? レッドの試合を』

 久しぶりに、クロサワがアナウンサーに噛み付いた。

『いえ、私はまだ子供の頃でしたから』

 アナウンサーはまだ若い、少年のような愛嬌と、滑舌の良さ、あとはほんの少しばかりのアドリブ能力が武器だった。

『レッドはこんなもんじゃなかった。レッドは驚異的で、爽快で、恐怖があった。奴は得体のしれない強大な力だった、奴の戦いには型が無く、どこを向いているのか、誰と戦っているのか分からなかった』

 クロサワの迫力に、アナウンサーは相槌を打てなかった。軽口を叩いていた男の、その日一番の迫力だった。

『キシはこの試合に勝つかもしれない、しかし、それはワタルと言うトレーナーの強さを型にした力だ。ワタルに勝つと言う目標と戦っている。タイプで言えばレッドよりもシゲルに近いだろう、学習型トレーナーの完成形と言ってもいい。だが、レッドとは違う』

 はっと、クロサワは我に返った。それまで熱く語っていたものが、提示された情報とは見当の違うものだという事にようやく気づいたのだ、一体誰がレッドとキシを比べようなどと言ったのか。

『失礼』と、素直に謝る。視聴者に向けての、初めての謝罪だった。

 

 ロトムの『十万ボルト』の前に、ワタルのリザードンは崩れ落ちた。

 弱点である電気タイプの攻撃が強烈だったことはもちろんだが、それよりも厳しかったのは『ステルスロック』の存在だろう。

 キシはポケモンたちの役割をキッチリと決め、冷静に、機械的に立ちまわっていた。

 パルシェン、マンムー、トゲキッスは危なげなくドラゴン達を処理し、ロトムとガブリアスは脇を固めるポケモン達を押しつぶした。ワタルのドラゴンには徹底的に弱点を押し付け、その他のポケモンにはドラゴンを押し付ける。

 ワタルのラストは大方の予想通り、二匹目のカイリューだった。長年ワタルのエースであり続けたポケモンである。

 無類のタフネスさを誇るポケモンだったが『ステルスロック』の前にはそのタフネスさも無効化されてしまう。

「確か、マリルリを温存してるよな」

 キリューは恐る恐る呟いた。未だベールの中にあるキシの六体目、選択肢自体は多くあるが、今期のキシはフェアリータイプのマリルリを多く使用していた。

「そこまでやったら鬼なんてもんちゃうな」

「それなら、やっているかもね」

 呆れたように笑ったクシノに、イツキも同じく生笑いを浮かべながら返した。やりかねない、と控室中が思っていた。ここまで渡ってしまった橋なのだ、キシがここで妙な大人しさを見せるわけがない。

「ワタルさんのカイリューは『かみなり』を打てるから、マリルリじゃラストは不安でしょう」

 ロトムに向かって『ドラゴンダイブ』を決めるカイリューを見やりながら、モモナリが誰にともなく言った。

 倒しきってもいい勢いのある技だったが、ロトムはギリギリこらえて『でんじは』でカイリューを思うように動けなくしてしまう。

「ガブリアスに脇のポケモンの処理をさせている以上、マリルリ以上の何かがありそうな気がしますね」

「となると、やっぱりオノノクスやろうか」

 カイリューはロトムの最後の抵抗である『ハイドロポンプ』を片手で弾いて、『ドラゴンクロー』でロトムを弾き飛ばす。これで残りはお互いに一体づつとなったが、状態異常と体力の兼ね合いから、挑戦者であるキシの方が有利であると皆考えていた。

『さあ、長かったチャンピオン決定戦も、残りは一体づつ、挑戦者は徹底的な対策を強いてきましたが、最終的には熱戦になりましたね』

『そうだな、まさかワタル側が熱戦を作り上げる側になるとは思いもしなかったが、やはりチャンピオン、実力と、意地と、執念がある』

「ラスト次第」とモモナリはつぶやいた。ワタルがカンナのフリーザーに打ち勝った男だということをモモナリは信じていた。

 キシは最後の一つを少し強めに対戦場に放り投げた。

 現れたポケモンに、観客は全て度肝を抜かれた。対戦相手であるワタルでさえも、その光景を疑っただろう。

『そう来るか、キシの野郎、あれだけ策略を巡らせといてここで暴れるか』

「なるほど」とモモナリは頷いた。

 巨大な四肢、発達した尻尾は重量感を溢れさせながら揺れ、それらの巨体を中に浮かべる両の羽は力強く羽ばたいている。

 一見太っているかのように見える体は、その奥に鋼のような筋肉を携え、その周りに付いた肉はしなやかさと粘り強さを引き出すものであることは、この試合を見ている観客ならば全員がわかっているだろう。

 キシのラストのポケモンは、ワタルのラストと同じ、カイリューだった。

 控室は愕然とする。そのカイリューも、初めて使用されるポケモンだった。

「おいおい、この大一番でオノノクスを控えさせるのかよ」

 悲鳴にも近いキリューのつぶやき。もはや初使用のポケモンについては特にこれといった驚きはなかった。

「この展開を読んでいたとするならばこれ以上ない選出だね、方や体力は満タンで、方や麻痺状態で体力にも不安がある」

 モモナリは、ふうんと溜息を鼻から抜いて「後は振りきれたほうが勝つ、キシ君ならそれもわかっているだろう」

 目の前のカイリューを倒せば、自分がチャンピオンになれる。その緊張を一つも感じさせないほど、キシの指示に淀みは無く、カイリューもまたこれまでのポケモンとは動きのキレが段違いだった。

 しかし、それはワタルもまた同じ、キシが『げきりん』の指示を出すのとほぼ同時に、ワタルも『れいとうビーム』の指示を飛ばした。

 麻痺状態の分だけ、ワタルのカイリューが出遅れる、キシのカイリューが怒りに身を任せて力一杯ワタルのカイリューをぶん殴る。

 並のポケモンだったらあっけなく吹き飛ばされてしまうだろう。しかし、歴戦の戦士であるワタルのカイリューは両の足を踏みしめて堪え、超至近距離から『れいとうビーム』を放つ。

『凍ればまだわからないぞ』

 しかし、カイリューの『げきりん』は『れいとうビーム』ごときでは凍らない。

「終わる」

 控室の誰かがそう言った。そうか、そうだよな、お互いにラストの一匹同士なのだからと、控室は思った。

 キシのカイリューの『げきりん』はワタルのカイリューの腹をめり込ませ、望まぬ雄叫びを挙げさせた。

 さらにダメ押しと言わんばかりに右腕を振りぬくと、ワタルのカイリューはついに倒れた。

 審判員が、職務を全うすることを意識しすぎたのか、チャンピオンのポケモンの戦闘不能を表す赤い旗を、素早く、それでいて、ぎこちなく掲げた。

 観客席からは、割れんばかりの歓声、否、戸惑いの声が上がっていた。

 勝負だから、どちらかが負ける、もちろんチャンピオンが負ける側になることもあるだろう。頭では皆そう理解していても、心の何処かでは永遠につづくのではないかと思っていたワタルのチャンピオン時代が、終わった瞬間だった。

 

 

 

 

『クロサワさん、本日の試合、いかがでしたか?』

 アナウンサーもプロである、視聴者と、観戦者の興奮が収まった頃合いをきちんと見計らい絶妙なタイミングでクロサワに質問した。

『見ていた人間の全てが素晴らしい試合だったとは言わないだろうな、だがはっきりしていることが一つだけある』

 ふう、と一つため息を付いた。

『今日、俺達は『旧世代』になった』

 短く、それだけ言った。

 アナウンサーは『長い歴史を超え、新しいチャンピオンが生まれたことをどう思いますか。やはり、悔しい思いはあるのでしょうか』と問う、

 クロサワは少し沈黙を貫いて、頭の中を整理した、自分の脳内で蠢く霧のような感情をなんとか言語化して正しく伝えようと考えた。

『正直な所、まだ実感が湧いてない。ワタルのチャンピオン時代は、もはや俺達にとって当たり前のことだったのかもしれない。寝る、起きる、飯を食う、ワタルがチャンピオン、そんな生活が十数年続いていたんだ。俺だってチャンピオンに挑戦したことはある、勝てなかった。挑戦するに値しないトレーナーだって数多くいた、もしかしたら俺達は、チャンピオンを当たり前のことにすることによって、なんとか心の安定を保っていたのかもしれない。それが今日、どうやら終わったらしい。明日、もしくは一週間後、いや、来期ワタルがAリーグで戦っているのを見て初めて『ワタルがチャンピオンではない』という現実を実感するのかもしれない、その時は』

 言葉を切って、感情の再確認をする。

『きっと、悔しさが溢れだすんだろうな』

 

 

 

 

「良い試合だったと思う」

 ざわめく控室の中、モモナリのつぶやきは、周りの数人にしか届いてなかった。

 モモナリのその言葉はきっと本心からのものなのだろう、空気を読んだ嘘を付けるような男ではない。

「ありがとう」とキリューは答えた。全面的な賞賛の言葉を受けることは今後少ないだろうと思っていた。

「キシはこれからが大変やな、これは色々と『言われる』勝ちやで」

 クシノの指摘の方が、バランスの良い真っ当な指摘といえるだろう。ワタルがチャンピオンで在り続けた十数年は決してワタルだけのブランドではない、ワタルに挑戦し敗れた挑戦者達、その挑戦者に挑み、敗れたAリーガー達、更に彼らと戦い、振り落とされた下位リーグのトレーナー達の、涙と、執念と、理想が凝縮されたものである。

 それをあのような形で奪取したキシに浴びせられるのは、賞賛だけではないだろう。

 事実、控室の中でも、キリューの耳に届かないようにとボリュームを絞られた様々な発言が飛び交っていた。

 イツキはそれを振り払うように「どうあろうとも、時代が変わったのは間違いない」と言い切った。

「若い力が躍動しているのか、それとも、私達が衰えつつあるのか」

 チャンピオンロード世代の元気のなさは、今日の控室のメンバーからも感じていた。

 キリューとクシノは何も答えることができなかった。イツキ達の世代よりも若く、キシ達の世代よりも上の自分達の立場が無いように思った。

 しかし、モモナリは違った。彼はうーん、と首をひねりながら唸った。

「いや、上の世代が衰えたわけではないと思います」と、言って更に続ける。

「それよりも、キシくんを含めるその他のトレーナーが、ワタルさんに追いつき始めたんでしょう」

 イツキやキリューから見れば随分と格下であるはずのモモナリの言葉は、彼らを少しだけ安心させた。




キシと言うトレーナーは「モモナリですから。ノーてんきに行きましょう。」では影が薄めのキャラクターですが、原作キャラであるワタルを倒すという大仕事を任せるキャラだったので、個人的には思い入れがあるキャラクターです。
エッセイ部を読んでいただいた方は、彼の今後がわかっているでしょうが、そういうところも含めて、キシというキャラクターはお気に入りです

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