モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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7-情報化を考える

 ポケモンリーグで大きな動きがあった、久しぶりのことでもあったのでご存知の方も多いだろう。

 Aリーグ勝者、キシがチャンピオン決定戦にてワタルを破り、殿堂入りトレーナーとなった。今後チャンピオンとして活動するのかどうかは未定である。こればっかりは僕が直接聞くわけにも行かない。

 チャンピオンワタルはドラゴン使いとして有名である。なんでも有名な一族であるらしく、世界各地に親類が広がっているらしい。どうも僕には大きすぎる話だ。

 ドラゴンタイプのポケモンは氷タイプに弱い、これはもうこの業界で知らない人間は居ない。

 ワタルさんと戦うトレーナーは、勿論対策を講じる。氷タイプに始まり、状態異常、天候変更、昨今はトレーナーのレベルが飛躍的に上がり、ガブリアスやボーマンダなどの強力なドラゴンポケモンを味方にするトレーナーも多い。

 しかし、チャンピオンはこれまでずっと僕達を跳ね返し続けてきた、ひとえに彼のレベルの高さのなせる技だろう。

 

 キシ君は世界の情報化が生み出したエリートと言って過言ではない。彼はポケモンの特性や相性を調べあげ、対策する。彼の知識は孵化や育成までを網羅し、それでも満足しない彼はより専門的なスタッフに孵化育成を託し、より高みを目指している。今の若手にはこのような考えのトレーナーが多い。

 ベテランのトレーナーの中には、彼等と考え方が対立する人もいる。これは美意識や自尊心の問題なので、誰が悪いという問題でもないのだが。

 正直僕も彼等とは考え方が違うなと思う時もある、ところが彼等と食事にでも行ってみると、意外と話が合ったりするので不思議なものだ。

 

 今の若手、その根本に存在するものはなにか。僕はそれが現トキワジムリーダー、シゲルであると断言できる。

 当時、ポケモントレーナーと言うのは上のレベルになればなるほど環境や資質、経験が必要だと思われていた。ポケモンリーグとして挑戦者を跳ね返し続けていた四天王とチャンピオンワタルはその象徴であった。

 ところが、ある一人の少年が、様々なタイプのポケモンを従え、彼等を打ちのめした。現トキワジムリーダー、シゲルである。

 ポケモン研究の権威であるオーキド博士の孫でもある彼は、ポケモン図鑑の作成のためにカントーをロードワーク、ポケモンの観察を続けるうちに特性や相性を網羅し、バトルに応用、殿堂入りへの原動力とした。今の若手の「ポケモンについての情報を調べ上げ、知識を詰めばバトルに勝利することが出来る」という考えの根拠は、彼なのである。

 

 チャンピオンワタルはこれまで、情報化を武器にした若手を跳ね返し続けてきた。

 しかし今回、ついにキシがチャンピオンの牙城を崩した。若手達はこの事実により自信を深めるだろう。今、業界が大きく動こうとしている。

 

 

 

 

 原稿は昨日書き終えたのだが、どうしても気になることがあるので、議論の叩き台として追記する。

 若手の中にはレッドもシゲルと同じく情報化トレーナーだと思っている物も居るが、僕はそうではないと思う。

 何故ならばレッドは情報化トレーナーの頂点であるシゲルにも勝利しているからだ。

 ではレッドはどういうパターンのトレーナーなのか、正直僕にはわからない、分からないが、とてつもなく強力な概念の一つであることには間違いないと思う。

 僕は気になっている、情報化トレーナーであるキシ君の次の強敵は、一体誰なのか。同じく情報化トレーナーか、もしくはまた別の強力な概念なのか…。


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