艦これ code:SilverArrow inside darkness   作:もふもふおるた

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第1話です。
一部オーバードライヴ様が書いてる部分あり


第1話

時は午前2時、虫も眠る丑三つ時。月刀航暉と駆逐艦 電は司令室で仕事をしていた。

「さて、そろそろ休まないとな。」

「そうですね、司令官さん」

2人がそろそろ仕事を終わらせ、明日に備えて休もうとしたその時であった。

コンコン

「…?誰だ」

「天津風よ。入ってもいいかしら?」

「天津風?とにかく入ってくれ」

「失礼します」

「失礼しますよっと」

入ってきたのは天津風と見知らぬ男が1人だった

「…天津風、この方は?」

答えたのは男の方だった

「この度天津風の上司となりました枢木直己です。階級は少佐です。どうぞよろしく」

その答えを聞いて、航暉は一瞬眉をしかめ、すぐにその表情を隠す。ペントレーに万年筆を戻して口を開いた。

「国連海軍准将、第50太平洋即応打撃群司令長官、月刀航暉だ。真夜中遅くに報告ご苦労、着任の挨拶にしては珍しい時間だが、急用かな?」

電が一瞬驚いたような表情をした。航暉には珍しくどこか皮肉げな雰囲気がしたからだ。天津風もどこか不満げな表情をするが、当の枢木少佐は涼しい顔だ。

「できるだけ早く月刀准将にはお会いしたかったですし、忙しそうでしたので手空きの時に、と」

「……貴官の所属は?」

「この度新設された国連軍海軍内部調査室の極東方面担当ですよ。…この度は極東方面最大の部隊の司令官への挨拶をと思いまして」

そう言って枢木は演技がかった動作で礼をした。

その動作に月刀は違和感を覚える。

「新設された…と言ったか。その前は貴官はどこに所属していた?」

「実は私以前は傭兵でして」

「傭兵?」

「ええ、お偉い様方は自由に、誰にも悟られない手駒が欲しいらしいもので。」

「それが、なぜ海軍に?」

「懇意にしているお得意様が安定した役職を頂けるというのでありがたく頂戴したまでですよ?」

 

 

 

「……なるほど傭兵上がりか、どうりで立ち方に癖があるわけだ」

 

 皮肉げに笑った航暉がデスクに体重を預けた。

 

「癖……?」

「重心の位置だ。親指の付け根に重心を常に合わせる動きは陸軍の歩兵部隊では必須で叩き込まれるが、海軍だと初期の海兵訓練ぐらいでしかやらん。陸上戦闘職についてた証拠だ。あと無理矢理着たんだろうが国連のダブルスプレッドの制服は腰の絞りが結構きつくてね、ショルダーホルスタで銃を吊るとかなり膨らむんだよ。抜き撃ち(ドロウ&ショット)に拘らずにヒップホルスタに付け替えることをお勧めする」

 

 一瞬瞬きをした枢木はにやりと笑った。

 

「……さすが元陸軍出身、御高説痛み入ります」

「口を慎め、少佐」

 

 航暉がギンと空気を張った。その気迫に当てられたのか天津風が半歩下がった。

 

「一つだけアドバイスをしておこう、枢木少佐」

 

 航暉の声はどこか冷えていた。

 

「監査職というのは金にならん。安定志向に鞍替えしたとしても、必ずどこかで欲が出る。監査が欲を出したらどうなると思う?」

 

 電は間に入ることもできないまま、その行く末を見守るしかできない、だが、電に見せようとしなかった顔をしている。

 

「行きつく先二つに一つだろうよ。癒着か横領だ。それを防ぐためにこそ、軍部は監査組織を独立させ、特設調査部として運用してきた」

「だが、それは恒常的に設置される特調に対しての癒着構造の発生を意味するんじゃないのか?」

 

 どこかラフに構えた枢木が笑う。

 

「だからこそ、いくつもの課に分け、相互に監視させている。その中でわざわざ内部調査室なるものを発足させた。……どうも匂いがするね」

「匂い、ねぇ」

「監査ってのは金と権力が正義となる資本主義社会で、特権階級の搾取を防ぐためのシステムだ。それを戦場における資本主義の権化たる傭兵に任せるとは、少々面白い構図だと思わないか?」

 

 そう言うと航暉は笑って続けた。

 

「どういう意図があるにしろ、貴官の目的が何にしろ、私の部隊にそれを断る理由はない。歓迎しよう、枢木少佐」

「歓迎するならもっとソフトに行かねぇか?」

「さっきも言ったはずだ。口を慎め。監査として特殊権限を持っていても、昔ながらの海軍組織を引きずる国連海軍は金よりも階級が物をいう、その上に胡坐をかいている者たちに目をつけられるといろいろ面倒だ」

「そんなアドバイスする余裕があるのか? 月刀家の末裔のあんたに。あんたがその階級に胡坐をかいてないといえる論拠はどこに?」

「司令官さんは―――――!」

「電」

 

 とっさに反論しようとした電を航暉が止める。

 

「それを調べに来たんだろう? 枢木少佐」

 

 それを聞いてどこか獰猛な笑みを浮かべた。

 

「今日はすでにもう遅いのでこれで失礼します」

「お互い明日は睡眠不足になりそうだな」

 

 どこか軽薄な敬礼が交わされる。

 

「行くぞ、天津風」

「え、あ、うん……」

 

 天津風に声をかけ、枢木がドアノブに手を掛けた。

 

「君の部隊が―――――」

 

 去りゆく背中に航暉が口を開いた。

 

 

「保身と利権のためではない、攻勢の部隊たることを願うよ」

 

 

「―――――いわれるまでもない」

 

 それが互いへの宣戦布告だった。




短めですがこの辺で。
続きは後日
PA
11/10
現在当初のものから大きく書き換えをしていて遅れてます
近日中に一話でもあげます
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