東方幻想斬~BLEACH the fantasy time of end~   作:ディーン・グローリー

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急にアレなんですが、とりあえず強さ設定
一護の強さは紅魔時なら――
霊夢>レミリア=フラン>一護=咲夜>美鈴

妖々夢時なら――
幽々子>霊夢>一護=魔理沙>咲夜>妖夢

みたいな感じです。


第21斬【約束の花見】

《1》

 

 西行寺幽々子の企みは、博麗霊夢と霧雨魔理沙、十六夜咲夜、そして黒崎一護の活躍により幕を閉じた。

 よって春を集め、満開にしたかったであろう西行妖は諦め、春という概念が元通り幻想郷中に還元された。故に今回の異変は無事解決したのだ。

 

   *

 

 異変解決から数日後、幽々子から花見の招待通達が届き、今回異変解決に貢献した四人の他に紅魔メンバー、魔理沙の誘いでアリス、そして大変ご迷惑をおかけしたプリズムリバー三姉妹も参加することとなった。

 

 そして約束通り、幽々子の白玉楼にて盛大に花見を行われた。

 もちろんタダ酒であり、タダ飯がたら腹食える。

 霊夢はタダ酒ということもあり、飲みまくっている。それとは対照的に、一護は未成年なためオレンジジュース(果汁100%)を飲みつつ、妖夢の手作り弁当に舌鼓を打っていた。

 

「どうですか黒崎さん。お口に合いますでしょうか?」

 

 妖夢は自分の作った弁当を食べている一護の姿を見て、少し緊張した面持ちで聞く。

 

「ああ、美味しいぜ。この味付け、結構俺好みだしな」

「あ、ありがとうございます!」

 

 妖夢は嬉しそうに言葉を上げる。

 

「あ、あの、こちらも、よければお召し上がりください……!」

 

 妖夢が一口サイズに切った、卵焼きをお皿に乗せて差し出した。見た目は一般的、平均的なものだ。

 

「おう、さんきゅう」

 

 一護はパクリと、それを食べた。すると卵の旨味と、更に相乗効果を生み出す出汁の効いた風味が口いっぱいに広がった。

 

「おお、すげぇ美味ぇな」

 

 自然に、関心の声を上げる一護。本当に、お世辞抜きに今まで食べた卵焼きの中で一番美味しい。

 

「これだけで店出せるんじゃねぇか。俺なら毎日通うレベルだ」

「え……そ、そこまでお褒め頂いて、嬉しい限りですはい!」

 

 少しドキッとした妖夢は、ちょうど手に持っていたお盆で顔を隠しながら答えた。第三者視点から見たら、初々しいカップルが誕生しそうな瞬間である。

 そんな光景を見ていた一人の少女が、千鳥足気味に近づいてきた。

 

「お~お~お熱いねぇ~お二人さん」

 

 酒瓶片手に、酔った魔理沙が声をかけてきた。

 

「将来は結婚かなぁ~、このこの。式には呼ぶんだぜ? はっははは!」

「完全に悪酔いしてやがる」

 

 肘で小突いてくる魔理沙に、一護は鼻を抑えながら溜息混じりに呟く。本当、見た目が少女なだけに、かなり場面的にヤバいところがある。規制されかねないレベルだ。

 顔は赤く、目がトロンとしており、しかも酒臭い。

 最悪だ。

 

「け、けけけッ――ケッコン!?」

 

 魔理沙の発言に対して、恥ずかしさが爆発したのか妖夢は屋敷の中へ逃げてしまった。賢明である。

 

「ったく、魔理沙ったら何言ってるのよ。シラフの人に絡むのはやめなさいと、あれほど言ったでしょ」

 

 そして次にアリスがやって来た……と、同時に、

 

「結婚の日程が決まったら報告してよね」

「こいつも完全に酔ってやがる」

 

 もう、完全に酔った親父の領域だ。

 こういうのに絡まれるくらいなら、そこらの不良に絡まれる方が何倍もましだと思う一護。

 とりあえず、この二人から一護は逃げるように離れた。

 

「これじゃあ、ゆっくり弁当も食えないな。花見を楽しむこともできねえ」

 

 こんなに桜が綺麗なのに、周りには酒に酔った集団がいるため静かにできない。とてもご立腹である。

 と、前方で紅魔メンバーが騒霊の三姉妹の演奏を聴きながら花見をしていた。

 

「あれぇ~、一護だぁ。なになに、それ美味しそう~。私にもちょうだい~。あれれ、けど、ぼやけて見えるよぉ~」

 

 金髪少女のフランが一護に気づき、よろよろの千鳥足で一護に近づいてくる。

 こいつも、酔っている。体格は完全な子供だが、実年齢は500を超えるため、飲酒はOKだが絵的には一番大変だ。

 

「あれぇ~、一護が四人に分身したぁ~。もしかして私のフォーオブアカインドを使ったのかなぁ~」

 

 フランは違う意味で嫌な酔い方をしている。

 

「コラコラ、フラン駄目よ。一護を困らしちゃ。――弾幕ごっこなら、あっちでやって来なさい」

 

 そしてフランの姉であるレミリアが助け舟をくれるかと思いきや、とんだ煽り舟を寄越してきた。

 同じくレミリアも酔っているのを瞬時に理解できた。

 

「は~い、じゃああっちに行って弾幕ごっこしよー」

「おいやめろ服を引っ張るな! てめぇレミリア! フランの姉なんだったらちゃんと面倒見ろよ!」

「姉は妹の成長を見守るものよ」

「お前も外見はフランと何ら変わらねえ成長具合じゃねえか」

 

 その瞬間、酔っ払いの拳が一護の顔面にめり込んだ。

 酔ってはいるものの、ちゃんと聞き取っているようだ。

 

「一護さん!」

 

 一護は嫌になり逃げようとしたのも無駄に終わった。

 美鈴が気合の入った声を上げて、反射的に一護の動きを止める。

 

「何です……?」

 

 気迫のある勢いなので、どこかこの人なら酔ってなさそうと期待する一護だが、

 

「私と是非とも、ヒック、戦ってぇくれませんかぁ~? 今なら私、酔拳が使えるんでぇ、メッチャ強いですよぉ。今度は〜、負けませんからね、ヒック」

「あー、いや結構です」

「何を~、ヒック、酔拳の力は凄いんですよ!」

「あ、おい! 近づくな抱きつくな!」

「私の酔拳をですね……うッ」

「オイいま吐きそうになりかけたか!? 酔拳の凄さはどうしたんだよ! ただの酔っ払いと変わらねえじゃねえか!」

 

 逃げるようにして離れ、少しでも期待した自分がバカだったと思う一護は盛大にため息をつく。

 こういう時に限って、一番まとも(?)そうな咲夜は、妖夢と料理を作っている。

 

(……そうだ、俺も二人の方に行って手伝うか)

 

 そうすれば、こんな悪酔い共と居なくてすむ。

 一護は、早速屋敷の中に入ろうとする。

 その途端、後ろから誰かが抱き付いてきた。

 

(この豊満な感触は……)

 

 一護の背中に抱きついているので、背中に誰かの豊満な胸が当たっている。柔らかく、弾力のある感触に初心な一護は、少しどころか結構ドキリとしてしまう。

 そして、この中でこれ程の胸の持ち主は一人しかいない。

 一護はゆっくり後ろを振り向くと、そこには幽々子がいた。

 

「一護ちゃ~ん、ダメよ~。勝手に人の家に入っちゃ」

 

 この人?も完全に酔っている。

 

「あの、幽々子さん。その、胸が背中に、当たっているんですけど……」

 

 恥ずかしながらも言った一護は少しどころか、かなり赤面する。

 

「やぁ~ん、一護ちゃんのエッチィ~。ホントは嬉しいくせにぃ~」

「何言ってるんですか!? あんたは!」

 

 悪酔い共に絡まれて徐々にイライラしてきた一護は幽々子を引き離し、屋敷の中へ入って行った。

 幽々子は何だか少し残念そうにいる。

 そして一護は直ぐに戻ってきた。

 両手に満タンの水が入ったバケツを持って……

 

「あんたらいい加減に目ぇ覚ませ!!」

 

 一護はバケツに入った大量の水を悪酔いしている全員にぶっかける。

 ぶっかけられた悪酔い連中は水のせいで一気に酔いが覚めた。

 

「ったく、これだから悪酔い連中は」

 

 一護は悪酔いから覚めた連中を一瞥し、屋敷の中にバケツを戻そうとした。

 

「黒崎さぁん!!」

 

 が、妖夢の呼ぶ声が一護を止めた。

 妖夢が門の方から慌てて何かを持ってやって来る。

 

「何だよ、そんなに慌てて」

 

 妖夢が一護の前に行くと持っていた物――文々。新聞を一護に渡した。

 

「…………」

 

 一護は何がなんだかよく分からないが、とりあえず新聞を受け取り見る。

 それを見た一護は目を丸くした。

 それが気になった霊夢(もともと酔っていない)、酔いの覚めた魔理沙が新聞を覗くと、二人とも一護と同じ反応を示した。

 

「あら、どうしたの? 私にもちょっと見せて」

 

 幽々子が一護から新聞を取り読み上げる。

 

「え~と、大スクープ。異変を解決し、吸血鬼とも互角以上に戦った黒崎一護氏が、バカで有名な妖精チルノ氏に……まさかの敗北」

 

 幽々子の読み上げに、紅魔メンバーがピクリと反応した。

 

「チルノ氏が幻想郷最強か……だって」

 「ちょ、ちょっと待てよ! 俺はあの弾幕勝負は――」

 

 わざと負けた、なんて言えなかった。

 なぜか、それが卑怯だと思ったからだ。

 

「くそ、あの鴉女! 許さねぇ!!」

 

 一護は再び文に復讐?を誓った。

 

   *

 

 その頃、ある屋敷では一護たちと同じ新聞を見て苛立っている男がいた。

 

「あの野郎、こんなふざけた奴に負けやがって……」

 

 怒りが頂点に達したのか、男は新聞を握り潰した。

 

「何をイライラしているの?」

 

 その男に女の人が声を掛けた。

 

「チッ、どうでもいいだろ」

 

 男はクシャクシャの新聞を投げ捨て、何処かへ行った。

 女はそのクシャクシャになった新聞を拾い上げて、目を通す。

 

 そして、女は何か面白い事でも考えたのか微笑んだ。

 

 

《2》

 あの花見の後、霊夢、魔理沙、一護以外は全員帰った。

 花見にパチュリーが見えなかったのは、ある事を夢中に調べていたかららしい。恐らく何かの文献だろう。

 そして三人は花見の後、幽々子の家に泊めてもらった。

 霊夢と魔理沙はあの後も飲んだせいで、直ぐに就寝した。本当、約束どおり大量に飲み食いをしたのだ。

 一護は泊めてもらう礼として、適当に妖夢の手伝い、床に就いたのだった。

 

 そして、明朝直ぐにお暇するはずだったのだが。

 

「すみませんが、こちらに黒崎一護という方はいますか?」

 

 一護は朝起き、着替え、縁側に出たら一人の女性に突然声をかけられた。

 金のショートボブに金色の瞳を持ち、その頭には角のように二本の尖がりを持つナイトキャップを被っている。

 服装は古代道教の法師が着ているような服で、ゆったりとした長袖ロングスカートの服に青い前掛けのような服を被せている。

 その女性が腕を交互の袖の中に隠しながら、黒崎一護の居所を本人に聞いてきた。

 

「えっと、俺がその黒崎一護ですけど」

 

 一護は自分を指差しながら言う。

 それを聞いた女性は少し驚いた表情をした。

 

「そうでしたか。これは失礼しました。あなたが黒崎一護さんでしたか。では今から私と、少しの間付き合ってもらいます」

「は……どういう事だよ?」

「お伝えした通りの意味です」

 

 女性はそういうと自分の後ろを指し示した。

 そこには空間に穴が空いていた。両端にはまるで空間を縛るようにリボンが付いており、漆黒の穴が口を開いている。

 そしてよく見ると、その漆黒の穴の向こうから無数の目が見え隠れしていた。

 

「では、行きましょうか」

「いや行かねえよあんな不気味なところ!」

 

 一護はその穴を指さして言った。

 

「なに急に現れて俺をあんなお化け屋敷みてえなところに誘導しようとしてんだよ! つか何だよその穴? 空間? 頼まれても行きたくねえよ」

「え?」

「えじゃねぇよ。なに驚いてんだよ、俺のほうがビックリだよ」

「……そうきましたか。確かにこんな気持ち悪いスキマに入りたくないですよね。生理的に無理ですよねコレ。こんな空間を作った人の倫理観を疑いたいですよね。ええ、十分に理解できます」

「まぁそれもあるけど、見ず知らずの人に付いていく義理もねえんだよ」

 

 一護は困ったように頭を掻きながら、対して何やら考え込んでいる女性。

 女性は頭の耳をぴくぴくさせながら、一護に改めて口を開く。。

 

「ふむ、困りましたね。幽々子さんには既に伝えて了承を得ていますが、お聞きになられていなかったでしょうか? それに、この先にあなたに会いたがっている男がいるんですよ」

「俺に会いたがっている男? つうか、あの人は勝手な事してくれたな」

「ええ、その人はどうやら黒崎一護さん、あなたのお知り合いのようでして。是非ともお会いしてあげてほしいんですよ。じゃないと、また荒れそうですから」

「……そいつが誰か知らねえが、ったく、しょうがねえな。少しだけだぞ。それでいいなら会ってやるよ」

「それは、ありがとうございます。ではご案内いたしますので、付いてきてください」

 

 お人よしな一護は渋々了承し、空間に空いた穴に入っていく女性に付いて行った。

 

   *

 

 穴の中は無数の目が有り、一言で言い表すなら気持ちの悪い空間である。常に全方位から監視されているような、不気味かつ居心地の悪い所だ。

 一護は女性の後ろを歩きながら周りを見渡す。

 

(何か、気分が悪くなってきやがった)

 

 一護は手で口を押さえる。まだ、寝起きも同然で、こんな空間にいたら気分が悪くなるのも必然であるし目覚めが悪い。

 

「そういや、まだあんたの名前聞いてなかったな」

 

 一護はふと思ったので聞いてみる。

 

「これは失礼。私はすきま妖怪の式 八雲藍です」

「式って式神のことか?」

「はい。私はグータラババァ……じゃなかった、スキマ妖怪の八雲紫様の式神です」

(今グータラババァって言わなかったか? ん、八雲藍……どっかで聞いた名前だな)

 

 と、そんな会話をしていると出口に到着した。

 そこは一護が一回だけ行った事のある、橙と弾幕ごっこをした迷い家だった。

 

「ここは……」

 

 一護がそう呟くと、目の前に一人の女性が現れた。

 金髪のロングで毛先をいくつか束にしてリボンで結んでおり、ナイトキャップを被っている。首にも同じ赤いリボンが付いている。服装は紫にフリルのついたドレスを着ており、白い手袋を着用している。

 片手には大きな可愛らしい日傘を持っているのが特徴的だ。

 一護はその女性を見て、かなりの強者だと分かった。

 正直いって、今の自分では敵わないと瞬間的な直感で確信した。

 

「えっと、あんたは?」

「人に名を聞く時は自分からよ、ぼーや」

「……黒崎一護」

「私は神隠しの主犯 八雲紫。よろしくね」

 

 紫が一護に微笑みかけてくる。

 しかしその裏、何かを楽しんでいるような企んでいるような、判然としない雰囲気がそこにあった。

 

「で、用件は何ですか?」

「早速本題に入るの。せっかちさんね。まぁ、それ程大した用じゃないから安心して。あなたに会わせたい男がいるの」

「誰だ?」

「こっちにいらっしゃい」

 

 紫はそういうと歩き出した。

 どうやら、その男のとこに連れて行くようだ。

 一護はその後ろを歩く。

 

 付いていくこと二分、一護は少し広い平地にやってきた。

 同時に――驚愕した。

 一人の男が自分に背を向け立っている姿を見る。

 一護はその後ろ姿だけで誰なのかが分かった。

 ショートジャケット風の白い死覇装に水浅葱色の髪。そして、右腰背面に〝6〟の刻印がある。

 一護は声を上げ、その人物の名を言った。

 

「グリムジョー!!」

 

 その名を言われ、男は笑みを浮かべながら一護の方を振り向いたのだった。

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