東方幻想斬~BLEACH the fantasy time of end~   作:ディーン・グローリー

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とりあえず新章です。
ちなみに、この章はオリジナルで、ほぼコピペでいくつもりですのでパパッと終わらせる予定であります。


第肆章〈東方幻夢殺篇〉
第24斬【百鬼夜行の小さな鬼】


《1》

 

 チュンチュンと、小鳥のさえずりが心地よく聞こえてくる朝。

 眠気を誘うような陽気に対し、しかしながら瞼を閉じていても鋭く刺さるような日差しが部屋で寝ている少年を、起きろ起きろ朝だぞと言わんばかりに照らし上げる。

 縁側に隣接する部屋の中、半開きになった襖障子の奥に眠る少年――黒崎一護は暖かい日差しにより重い瞼を上げた。

 

「……朝、か」

 

 意識をゆっくりと覚醒させていき、名残惜しいが自分を包んでいてくれた布団を片手でめくり、そのまま上半身を起こす。

 そしてそのまま呆然とはせず、立ち上がり半開きになっている襖に歩み寄った。

 ガラガラと、襖を全部開放し、全身に日差しを浴びると背伸びをするように自分の頭に朝だぞと語りかける。

 

「…………」

 

 同時に、暖かい風が吹き、森の小枝や葉を揺らす。後はここに、川の水のせせらぎなんかが聞こえてきたら完璧だと思う一護。

 しかし既にここで一年を過ごした一護は、だいたいここの地理を把握しているので、そんなものが聞こえないのは承知だ。

 

(そういや、幻想入りして、もう一年も経つのか)

 

 一護が幻想郷にやって来て約一年が経とうとしている。

 早く感じたような、短く感じたような。ここでは見るもの全てが一護にしてみれば、新鮮であり様々な出来事があったりしたため、どちらかと言うと短く感じたような気がする。

 幻想郷に来た時期は、なるべく早く自分の元の世界に帰りたいと思ったものだが、ここではすることが増えてしまったため、今はそれを終わらすまではまだ帰れない状況だ。それに元々の原因である博麗大結界の異変については、ほとんど進歩なしに等しかったりもする。

 

「……一年か。早いもんだな」

 

 この一年、振り返ると本当に色んなことがあった。

 楽しいことも、辛いことも、悲しいことも、たくさんたくさん。

 ここに初めて来たのは夏あたり。夏は紅霧異変が発生し、そこで色んな戦いがあった末に仲間もできた。そして明確な敵も出現した。

 

(刹蘭……か)

 

 未だ謎に包まれた敵だが、あれから姿を見せないことを鑑みるにもう少し先になるだろう。

 

(夏……そういや幻想郷には海が無いんだったな)

 

 去年の夏は紅魔メンバーが遊びに来ることが多々あった。

 遊びに来るたびに一緒に花火をしたり、スイカを食べたり、湖で水遊びなんかもした。

 

(あ~、あの時期ってそういや人里で祭りをやってたんだったかな。去年は行ってないから、今年は一度行きてぇな)

 

 次の季節の秋は、紅葉狩りなんかをした。

 幻想郷の秋は、全ての山が赤に染まり、とても色鮮やかだった記憶が今でも熱く焼き付いている。実際、一護の住んでいた空座町では、そんな光景が全く見れないため単純に凄く綺麗だと思ったのだ。

 

(そういや人里の収穫祭は凄かったな。あんま見たことない果実まで色々とあったし)

 

 そして次の季節の冬は、同じく空座町ではお目にかかれないほど雪が積もった。

 とても寒くて、毎日布団から出るのに一苦労した思いがある。

 

(冬か。そういや毎日のようにチルノに弾幕ごっこを挑まれたっけ)

 

 チルノは冬の妖精のため、その季節だともちろん活発――元からすごく活発だが――になる。それ故に弾幕ごっこで「今日こそは最強のあたいが勝つ!」などと言って挑んできたが、一護の連戦連勝で終わっている。

 その他にも紅魔メンバーや妖精メンバーと雪合戦やかまくら作り、そして上白沢慧音との約束であった寺子屋での顔出しなんかもした。

 冬といえばクリスマスというものもあるが、幻想郷では浸透していないのか人里ではそういった概念がなかった。しかし紅魔館では大きなクリスマスツリーが登場し、盛大にクリスマスパーティーをした記憶があるが、酒を飲まされたせいか記憶に靄がかかっている。

 他にもお正月の時期は、さすがの博麗神社にもたくさんの参拝客が来られたため、霊夢はどこか嬉しそうだった。その裏で、一護は人を襲うような妖怪の警告及び退治に回されていたので、とても多忙だった。

 そして春……と言いたいが、春は春雪異変が発生しほとんど春の季節の醍醐味である桜が見れなかったので、それほど重んだった思い出はないが、もちろん異変を通して新しい仲間もできた。同時に懐かしい好敵手であるグリムジョーとの出会いもあった。これが正直なところ、一番でかい。

 花見をした記憶もあるが、呑んべえ急増のため、あまり良い記憶がない。

 

「……そして、一年か」

 

 思い出に浸っていた一護は、新しい一年を迎えるように、空に向けて「おはよう」と言い放った。

 一護は部屋に戻り、布団を畳む。

 その後に、普段着に着替えると井戸まで行き、冷たい水で顔を洗う。

 顔を洗い終えると、そのまま居間へと向かった。

 居間に着くと、食欲をそそる味噌汁の香りと、焼いた魚が目に入った。霊夢が朝食の用意をしており、ここで一護は霊夢と朝の挨拶をする。

 二人は朝食をとり、食べ終えると霊夢は神社の外の掃除をし、一護は中の掃除をする。

 これが、毎日の日課だ。

 

   *

 

 昼になり昼食を食べ終えた霊夢と一護は縁側に行く。

 朝はほとんどの時間を掃除に消費するため、昼ごはんを食べた後は縁側でゆっくりと寛ぐ……これもいつものの日課だ。

 そして――

 

「よぉ、一護、霊夢。相変わらず変わらない一日を過ごしているな」

 

 そこに魔理沙がやって来るのも、いつものの日課だ。

 ただ、いつもと違う点が一点……

 

「あれ、魔理沙。何、その変な着物」

 

 そう、いつも着ている服と全く違うのだ。

 一護はその着物を確認した途端、目が驚愕の色に変わった。

 

(まさか、死覇装……なのか?)

 

 魔理沙が身に纏っている着物は、黒一色で白の帯を巻き、下には純白の長襦袢を着ている。まるで死神が纏っている死覇装のようだ。

 

「へへ、いいだろ。私の新コスチュームだぜ」

「けどあんたに着物って似合わないわね」

 

 自慢するように、魔理沙が言うのに対して霊夢はドライである。

 黒い着物、もしかしたら似ているだけかもしれないが、一護が聞いてみた。

 

「その着物、どこで手に入れたんだ」

「ん、気になるか。この着物は、一護が幻想郷に初めて来たときがあっただろ。その時に香霖堂で見つけたんだぜ」

「香霖堂で……」

 

 魔理沙があの時、一護と霊夢が帰った後、棚の奥から見つけ出した着物。それを魔理沙が購入(?)し、サイズをアリスに合わせてもらい着用したのだ。

 

「どうだ、一護のあの黒い姿に似ているだろ」

 

 似ているというより、まんま同じである。

 

「魔理沙は元々黒い服を着ているから、あまり違和感が無いわ」

「アリスにも似たようなこと言われたぜ。そんなに私って、黒のイメージが強いのか?」

 

 一護は死覇装に似ている着物って事で、一応その場は済ました。

 あくまで憶測だが、もしかしたらグリムジョー以外に誰か自分の知り合いが来ているのかもしれないと考える。いや、そもそもそちらの方が自然なのかもしれない。ここは〝不幸というレベルだけで来れるのだから〟。

 

「おー、ここかー」

 

 と、不意に鳥居の方から幼い無邪気そうな少女の声が聞こえてきた。

 一護と、そして霊夢と魔理沙がそちらに目を向ける。

 そこには、確かに少女がいた。

 薄い茶色のロングヘアを毛先のほうで一つにまとめている少女。その頭の左右から、長くねじれた角が二本生えている。幼い容姿で、服装は白のノースリーブに紫のロングスカートで、頭に赤の大きなリボンを付けている。三角錐、球、立方体の分銅を腰などから鎖で吊るしている……とても個性的な格好の妖怪少女だ。

 その少女が一護たちを確認すると、歩み寄り――

 

「ここに黒崎一護がいるって聞いて来た! 私と勝負しろ!!」

 

 挨拶も何もなしに、いきなり勝負を挑まれた。

 急な展開に、三人は頭を空白にし、最初に霊夢が呟くように言う。

 

「いきなり現れて何言い出すの? こいつ」

 

 どう反応したものか困惑した末の発言だった。

 しかし妖怪少女は自分のテンポを緩めることなく、次なる台詞を吐く。

 

「私は小さな百鬼夜行 伊吹萃香だぁ!!」

 

 急に名乗られた。

 最早完全に自分のペースである。

 

「いきなり名乗られても困るんだけど。それに、あんた酔ってない」

 

 よく見ると妖怪少女の顔が少し赤く、酒臭い。これは完全に酔っ払い妖怪だ。

 

「全然酔ってない! あと、ここには紫から聞いてきたのよ。強いヤツ大募集してるって」

 

 瞬間、聞きいたことのある妖怪の名を聞いて三人が少し反応する。

 紫とは、もちろん迷い家に住む八雲紫のことだ。彼女の名前が出たということは、恐らく知り合いなのだろう。

 それを軽く問いたいが、それより一護が困ったように別口のことを聞く。

 

「もしかして、それって一年前くらいの文々。新聞のことか? 一年前の記事がそんな出鱈目な内容だったよな」

「ん、それは知らないけど、とりあえず尋常に勝負よ! 黒崎一護!!」

 

 一護の質問などどうでも良さげに、バッと指さした……霧雨魔理沙に向けて。

 

「え、私?」

「そうだよ。黒崎一護は黒い着物を着てるって聞いたからね」

 

 何か勘違いしている。

 これは完全に紫の説明不足だ。

 それとも、この萃香って子が大切なとこだけを聞き逃して、黒い着物ってとこだけを聞き取っていたのかもしれない。

 しかも、黒い着物といっても戦闘で死神の姿になった時以外はならないし。

 

「へっ、いいぜ。この黒崎一護が相手になってやるぜ!」

 

 そして間違いを指摘せずに、そのままノリノリに流す魔理沙は、自分を黒崎一護と嘘を言った。

 

「おー、やる気満々だな! よ~し、私はそんなやつが大好きだぁ!」

 

 萃香と名乗った少女もノリノリである。

 

「お、おい、魔理沙。いいのかよ? 俺って言わなくて」

 

 一護は小声で魔理沙に言う。

 

「別にいいだろ。それとも一護がやりたいのか?」

「いや、別にやりたいとは思わねぇけどよ」

「じゃあいいって事で。いやー、久しぶりに思う存分、体を動かしたかったんだよ」

 

 箒をクルクル回転させながら言う。

 

「それじゃあ……早速勝負だぜ!」

「おぉー! 掛かって来い!!」

 

 こうして魔理沙VS萃香の弾幕勝負が始まる。

 

 

《2》

 

 魔理沙と萃香は博麗神社から少し離れた平原にやってきた。

 ここは、一護が幻想郷に来たばかりの時に魔理沙と弾幕ごっこをした場所だ。

 そして、あの時と同様に広い平原の真ん中辺りで二人が向き合っている。本当に、あの時と同じ映像を別キャラで魅せられている気分だ。

 一護と霊夢は二人から離れた場所に立って、二人を見守る。

 

「何か久し振りだぜ。此処にこうやって相手と向き合うのは」

 

 魔理沙はあの時の事を思い出す。

 初めて一護と弾幕ごっこをした時の事だ。

 

「ねぇ、早く始めようよ一護」

「…………」

 

 一護といわれ魔理沙は反応しない。

 そして、ふと今は自分が黒崎一護と名乗った事を思い出す。

 

「お、おう。分かったぜ」

 

 魔理沙は慌てて答える。

 

「それじゃあ、とっととスタート!」

 

 魔理沙が答えた後に、霊夢が面倒そうにスタートの合図を切った。

 

「先手必勝! 萃符『戸隠山投げ』!」

 

 萃香が速攻でスペルを唱えると同時に、大岩を魔理沙目掛けて投げてきた。小さい体から投げられたとは思えない大質量の大岩。自分の3倍の大岩を軽々と投げるとは、流石は妖怪である。

 

「危ねェッ!」

 

 魔理沙は飛んで来る岩を横に跳び避ける。

 瞬間、魔理沙のいた位置に大岩が大地にめり込み、凄まじい揺れを起こした。これは当たれば洒落にならない。

 

「まだまだ行くよぉ~!」

 

 萃香が続けて大岩を魔理沙目掛けて、連続して投げてくる。もはや投げる感覚は野球ボールに等しい。

 魔理沙は放棄に素早く乗り、高速で飛行して躱す。

 

「おいおい、一体どっからあんな数の岩が出て来るんだよ!?」

 

 ここは平原だ。大岩などどこにも存在しない。

 すると魔理沙の疑問に萃香が平然と答えた。

 

「私の能力は〝密と疎を操る程度の能力〟。この能力で私の周りに岩を萃めているのさ」

「説明さんきゅう。よく分からないけど分かったぜ」

 

 今の回答では疑問を氷解しきれていないが、あまり深く問わない。そもそも敵に問うのは間違っているし、ここは幻想郷である。非常識蔓延るこの世界で、こんなものは当たり前だ。

 

「魔符『スターダストレヴァリエver.2』!」

 

 魔理沙が遂にスペルを唱えた。

 その瞬間、魔理沙の乗っている箒の速さが数倍も上昇し、そのまま萃香に突っ込む。

 

「この私に正面から挑もうなんて、いい度胸してるじゃない」

 

 萃香は不敵な笑みを浮かべながら拳を構える。それを見た魔理沙は雄叫びを上げ、炎のような黄色い魔力を纏った。

 萃香も何の逡巡もせず橙色の妖気を纏い、真正面から受け入れるそうだ。

 ――その刹那に、お互いの力が激突した。

 爆発的な大音響を響かせ、力の余波による凄まじい突風を全方面に巻き起こる。それだけではなく萃香の立っている地面は陥没し、大地までも粉砕していく。

 

「鬼の力を舐めるなよぉー!」

 

 萃香が叫ぶと同時に、魔理沙が上空に吹き飛ばされた。

 単に力負け。激突は魔理沙が敗れたが、それだけでは終わらないのが、この魔法使いだ。

 

「喰らえ! 恋符『マスタースパーク』!」

 

 ミニ八卦炉を取り出すと、透かさずスペルを唱えた。

 そして萃香に向けて極太の大エネルギーのレーザーを放たれる。これこそ魔理沙の十八番のスペルだ。

 萃香は油断していたためか、極太レーザーを避けきれずそのままレーザーに飲み込まれた。

 魔理沙は地に足を着き、萃香の方を見る。

 マスパのせいで土煙が舞っていて、無事かどうかは分からないが、この程度で倒せる程やわな相手では無い事は承知している。

 

「流石は黒崎一護! 紫が強いっていうだけの事はある!」

 

 そして、当然のごとく、土煙をかき消して萃香が現れた。

 少しは傷ついているものの、ほとんどピンピンしている。

 

「こうなったら私もちょっとだけ、本気を出して上げる! ――鬼神『ミッシングパープルパワー』!」

 

 萃香がスペルを唱えると魔理沙だけではなく、一護と霊夢も〝見上げながら〟驚愕した。

 

「な、何…だと!?」

 

 そう、萃香が何十倍にも巨大化したのだ。さながら一つの山、現世のビルなんかが該当するような圧巻する大きさだ。

 

「さぁ、こっからが本番だよ!」

 

 萃香はそういうと魔理沙目掛けて拳を振り下ろした。

 もはや隕石が降ってきたような錯覚に襲われる拳を、魔理沙は箒に再度乗り飛行しつつ避ける。

 

「へっ、ただ大きくなっただけじゃ、私は倒せないぜ」

 

 魔理沙は再びミニ八卦炉を巨大な萃香に向け、マスタースパークを放った。

 萃香はそのマスパに対して、拳を構え……

 

「おりゃぁ~!」

 

 素っ頓狂な声を上げ、萃香は軽々とマスパを殴り消した。

 

「……マジかよ」

 

 魔理沙は自分のマスパを拳で消された事に驚く。こんな相手、今まで見たことない。

 

「次は私から行くよ!」

 

 萃香は魔理沙に殴りかかった。

 これは挑むより、避けたほうが良いと考えたのか、魔理沙は素早く飛行を続けて避ける。

 

「くそッ。一発でも当たったら終わりだぜ」

 

 萃香の攻撃は巨大化して鈍くなっていると思っていたが、殆ど鈍くなっていない。これは半分ほど卑怯だ。

 

「儀符『オーレリーズサン』!」

 

 魔理沙はスペルを唱えた。

 すると自分の周囲に四つの球体が現れる。

 その球体が魔理沙の周りを回転しながら萃香に向かってレーザーを放った。だが、そのレーザーは萃香に殆ど効いていない。

 

「まだまだー!」

 

 魔理沙の周りを回転する球体が青白い光りを放ち、ブーメランのように回転しながら萃香に向かって放たれた。

 

「喰らわないよぉ!」

 

 萃香はその四つの球体を蚊を潰す要領で、軽々と潰してしまった。

 その事に魔理沙は目を見開く。

 

「冗談だろ……」

「隙有り!」

 

 萃香は魔理沙の一瞬の隙を狙い、巨大な拳をぶつけた。

 魔理沙はそのまま地面に勢いよく叩きつけられる。

 

「これで終わりだよ、黒崎一護」

 

 止めを刺すかのように萃香は、地面に叩きつけられた魔理沙を踏み潰そうとした。

 

「くそ……ッ。この私を……霧雨魔理沙を、こんな簡単に倒せると思うなよぉ!」

 

 魔理沙が憤ると同時に自分の本当の名を明かしてしまった。

 それを聞いて驚いたのか、萃香の動きが一瞬止まってしまう。

 その間に魔理沙は、凄まじい速さで上空に飛んだ。

 

「大出力! 星符『ドラゴンメテオ』!!」

 

 魔理沙は萃香の上空に行くとスペルを唱えた。

 ミニ八卦炉から下方の萃香に向けて極太レーザーが放たれる。

 萃香は油断してしまい、もろにレーザーを受けてしまった。

 

「く……ッ!」

 

 萃香も今のレーザーは流石に喰らったようだ。

 

「くそぉ!」

 

 萃香は直ぐに自分の上にいる魔理沙を見るが、そこには既に魔理沙の姿はない。

 

「ど、どこに行った!?」

 

 萃香は少し焦りながら魔理沙を探す。

 だがどこにも居ない。

 

「終わりだぜ、魔砲『ファイナルスパーク』!」

 

 不意に魔理沙のスペルを唱える声が聞こえてきた。

 聞こえた方向は、自分の真正面。まさに灯台下暗しである。

 そして、スペルを唱え魔力を大量にミニ八卦炉に溜めている。萃香も真正面にいるとは思わず、探しそびれていたようだ。

 

「しまった!」

 

 萃香は直ぐに魔理沙を攻撃しようとするが、間に合わない。

 魔理沙のミニ八卦炉から凄まじい超極太レーザーが萃香に発射された。

 萃香は全身でそれを受け止めるが、あまりの強さに受け止めきれず、レーザーに飲み込まれた。

 

「はっ、はっ、はっ……私の勝ちだぜ!」

 

 完全に疲れ切った体でそう言うと、魔理沙は地面に吸い込まれるように倒れた。

 今のレーザーを喰らった萃香も大ダメージを受けたらしく倒れる。

 両者が倒れ、そのまま弾幕勝負の幕は閉じてしまった。

 

「ふむ……」

 

 そして、観戦していた霊夢が勝者の名を言う。

 

「勝者は……萃香ね」

 

 どうやら霊夢の見立てでは萃香の勝ちのようだ。

 

「引き分けじゃねぇの?」

「何言ってるの。倒れたのは魔理沙が先よ。魔理沙の負けに決まってるじゃない」

「あー、成程な」

 

 一護は一応納得する。

 

「で、この二人はどうするんだ?」

 

 一護は倒れている二人を見る。

 この二人は気絶しているから誰かがどこかへ運ばなければいけない。

 

「一護に任せるわ。じゃ、先に帰ってるから」

 

 霊夢はそういうと直ぐに神社の方に飛んで行った。

 

「あ、おい! ったく、何で俺なんだよ……」

 

 まぁ薄々は自分が運ぶとは思っていたが。

 一護の言葉を完全に無視する霊夢。

 霊夢は直ぐに一護の視界から消えた。

 

「はぁ~、仕方ねぇな」

 

 一護は溜息をつき二人を博麗神社まで運んだ。

 

   *

 

 夜になり一護と霊夢は夕食を終えた。弾幕ごっこの後は平常通りの日常を過ごしたのだ。

 魔理沙と萃香はあのまま起きず、仕方無しに神社で寝かせてある。

 

「んじゃ、俺はそろそろ寝るぞ霊夢」

 

 一護は居間に居る霊夢に言い、寝床に向かった。

 眠気が高まってきた一護は直ぐに布団に入り、寝息をたてる。

 

 ――しかし、この時は誰も気づかなっかた。

 一護がこれより〝本当の悪夢〟を見るなんて、誰にも……もちろん本人にも。

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