リリカルでメカニカル   作:VISP

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第四話 亡霊VS亡霊

第4話

 

 地上本部技術班を襲撃したテロ勢力、その多くは無人機械であり、戦闘した警備の陸士の話で「戦闘中に魔法の威力が低下した」等の証言から、極めて高い技術力を保有した未知なる敵勢力である可能性が高い事は解った。

 詳細は無事だった技術班の解析待ちだが、目下の問題は新型ADが奪取された後、とあるテロ組織に流された事が容易に判明した事だった。

 容易に、と言ったのは地上の情報部が調査した結果、これ見よがしにと残された痕跡や情報を探った結果だとか。

 

 「罠だな。」

 

 ベーオウルブズの出撃前ブリーフィングでの言葉に、隊員達が揃って頷く。

 全員が「あ、これアカン奴や」と各々が感じ取っていた。

 

 「よって、今回は全員にオプションの自由搭載を許可する。整備班にも声をかけておいたから、明日にでも出撃が可能だ。」

 

 「取り敢えず全身に反応装甲とスプリットミサイル4発は定番だろー。」

 「反応装甲+ナイフも肩部正面装甲に二本ずつ、主兵装はガトリング砲に背部には大型弾倉で…。」

 「通常の探査魔法だけじゃダメみたいですし、電子戦装備詰みますね。」

 「反応装甲にー背部にはチェインガン×2でー。」

 「じゃーその分スラッシュリッパー貰うよ。」

 「僕は普段から重いんですけど…取り敢えず、正面にだけ反応装甲つけて、足回りに高機動装備と対誘導兵器チャフ載せますね。」

 

 部下達がわやくちゃしながら装備プランを練る姿に、キョウスケも内心で(オレも色々いじりてぇ…!混ざりてぇ…!)と考えるが、生憎と表情筋が死んで久しいのでその顔面が動く事は無い。

 

 「予想される戦域は荒野、そこに廃棄された企業の実験場だ。既にその企業は倒産し、利権者もいない。」

 

 つまり、やり放題だ。

 その一言に、隊員達は拍手喝采を挙げた。

 

 (いやね、こいつらだって最初はオレの方針(犯罪者潰すためなら多少の被害は~)には反対だったんだよ?

 でもうちの隊が投入される場所って、大抵はガチヤバな所なんで、人質の安否とか気遣おうにも無理な状況が多いんだ。

 それに災害救助なら兎も角、テロリストの人質なんて大抵は死ぬしね☆

 まぁコラテラルダメージっって事で、非殺傷設定での攻撃は有りとして戦闘します。

 まぁ質量兵器じゃどう足掻いても死ぬんだし、目や重要臓器とかは避けてるんだから、感謝してくれても良いのよ?)

 

 「だが油断するな。相手は慣れてないとは言え、奪取されたS型は極めて高性能だ。高ランク魔導士向けに開発されたADで、防御力ならオレのナハトに並ぶ。生半可な攻撃では奴を倒せん。各自、出撃前にスペックデータに目を通すように。」

 

 真面目な事を話してるのに鉄面皮の下でそんな事を考えているとは本人以外誰も知らないが、取り敢えず恙なく会議は終了した。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 唐突だが、以前オレは隊員達に「局の方針」についてどう思っているか?と問われた事がある。

 現状に対してはYesと答えた。

 だって、管理局のトップって有能なんだもん。

 実質的なトップ=三脳だが、あれらの能力の高さは現状が示している。

 明らかに怪しい敵勢力からの攻撃、しかしソレはこっち側のトップが何らかの形で暗躍している。

 つまり、どちらも管理局のコントロール下にあり、無秩序な混乱が起きない事が決まっているのだ。

 外道な所業は多いものの、最初から出来レースなら、被害は想定の範囲内で終了する。

 そして人々に管理局の力を、必要性を示す事にもなる。

 

 魔法という周辺被害が比較的少なく応用性の高い技術を用いて、周辺の次元世界の秩序と安定を確立するために、周辺世界の危険物を排除する。

 この場合の危険物とは質量兵器、大量破壊系ロストロギア、非魔法技術の一部(原子力等)の事だ。

 結果として、現在知られている次元世界の多くは時空管理局の下に危険な兵器・技術を無くしながら、そこそこ平和になったのだ。

 核兵器やらアルカンシェルに匹敵する魔導砲がブッパされる世界よりも、現在は遥かに平和だ。

 たった50年かそこらでここまで平和な世界を築いてみせたその手腕には脱帽する。

 だが、それも現在の拡張政策が続く限りは何時かは破綻するだろう。

 魔導士の人口は少ない。

 現在確認されている次元世界の中ではミッドが最多であるが、それとて全人口の何%と言った所なのだ。

 治安を維持するためには絶対的にマンパワーが足りない。

 かと言って、周辺世界の何所かに大量破壊系のロストロギアが眠っていたら…となると、不安で夜も寝られなくなるのがその当時の生き証人となる三脳他老人達だ。

 故に拡張政策を止められず、外へ外へと広がっていく。

 

 きっと、三脳達はスカリエッティが誕生せずとも、何時か破滅していただろう。

 ガンダムにおけるティターンズと一緒で、組織の規模が広がり過ぎた故に末端の行動を管理できずに破綻してしまう。

 それを理解している故に彼らの体制を揺るがしかねない存在は例え体制側であっても容赦しない。

 

 故に彼らはオレを許しはしないだろう。

 

 魔導士、魔力を持った人々に課せられる高貴な義務。

 力を持った者達へそんな世相を醸造する事で、管理局へと奉仕させる。

 つまり、オレのADの様な技術は連中にとっては邪魔な訳だ。

 低ランク魔導士でも戦力化可能とする技術は現場としては大歓迎だが、体制側としては邪魔になるし、余り把握していない所からいきなり戦力が湧き出る等、管理面で一大事だ。

 それならもっと初期に潰されそうだが、流石に最高権力者が一訓練校の一訓練生にまで目を向けてられる程暇ではないし、恐らくだがレジアス少将が手を回していたのだと思われる。

 まぁあの御人もオーリスのダチ+万年戦力不足の陸ってな要素があったからこそだと思うけどね。

 つまり、今後はもう少し自重しろって事だよね、うん。

 この一件さえ超せば暫くは大丈夫だろうし、頑張りますか。

 

 

 ……あれ?今気づいたけどオレって微妙に死亡フラグ建ててない?

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 荒野に爆音にも似たローター音が響き渡る中、間もなく夕暮れという時間に、ソレは現れた。

 

59式兵員輸送ヘリ改

 

 外見上は既存の兵員輸送ヘリよりも多少ゴツくなっただけだが、換装された装甲は元は次元航空艦にも採用される代物で、近年次元航空艦隊で進められている次世代艦の配備と共に廃艦となった艦からまだ使えるものを流用している。

既存のヘリに比べて高い防御力を誇り、特に側面・底面の装甲が厚くなっている。

 また、機体前部の左右のドアを倒す事で機銃座を展開、支援射撃を行える等、兵員輸送のための手段とされてきた地上本部のヘリ運用をより柔軟にした機体だ。

 最近では漸く一般部隊にも配備が開始されたそうだが、それはさておき。

 肝心なのはこのヘリが今、戦地に向けて飛んでいるという事だ。

 

 「ウルフ6、先行します。」

 

 言葉と同時、この中で一番若く階級の低い陸士が言葉と同時に全身にADを纏う。

 PAD-05 ヴァイスリッター。

 本来純白の筈の騎士は、今だけは夜間迷彩に彩られている。

 通常、陸戦兵器の範疇にいるADを、空戦に特化させ、飛翔能力を得たソレは熟練の空戦魔導士に匹敵する戦力だ。

 反面、その機動性は装甲を犠牲にして得たものであり、生存性は極めて低い。

 ソレを最も年若い隊員に預ける事には紆余曲折あったものの、ソレを使いこなせる者が今現在彼女しかいない事もまた事実であった。

 ハッチ開放と共に、騎士が槍の名を持つ愛銃を手に空を往く。

 その高い加速力によりアッという間にヘリを引き離し、戦地へと向かっていく。

 ヴァイスリッターはその優れたセンサー系を用いて、前線での偵察や索敵、航空支援を主として行動する。

 彼らベーオウルブズにとっては何時もの編成である。

 

 「各員に通達、後10分で戦域に到達します!」

 「後5分後で全機投下開始。ヘリは連絡あるまで戦域外で退避。」

 

 ヘリパイロットの言葉にベーオウルフその人が答える。

 その意味する所は、この先が極めて危険な戦場である事を指していた。

 そして5分後、その指示は的確だった事が知れた。

 

 「ロックオン確認!チャフ散布に乱数回避!」

 

 突然、地上から合計3発の地対空ミサイルが放たれた。

 地上に目を向ければ、そこにはシートの様なものを被った携行ミサイルを構えるテロリストが視認できただろう。

 電子的なステルスだけでなく、恐らく光学迷彩も使用したのだろうとキョウスケならば当たりを付けたが、今は関係ない。

 激しく揺れ動くヘリ内の全隊員が一斉にADを展開、それぞれ普段以上に重装備となったゲシュペンストとその派生機を纏うと、同時にヘリが激しく振動した。

 

 「後部ハッチに一発被弾!下部ハッチを3秒後に緊急展開!ご武運を!」

 

 そして3秒後、ベーオウルブズは数時間ぶりの地上へと熱烈なダイブを敢行した。

 

 

 

 

 時を同じくしてウルフ6、ヴァイスリッターに乗った陸曹も接敵していた。

 

 「こいつら、やる!?」

 

 それは航空機を無理矢理人型にした様な、航空機に無理に機械の手足を付けた様な、そんなフォルムをしていた。

 それが3機、ヴァイスリッター程ではないが、それでも並の空戦魔導士よりも上の機動性で空を舞っている。

 

 シュドドド! ガゥンガゥン!

 

 斉射されたミサイルと火砲に慌ててブレイクすると共に全力でジャマーを起動、誘導をジャミングされ、ミサイルは何もない空中を通り過ぎていく。

 

 「ウルフ6から1へ!敵の奇襲を受けた!繰り返す、奇襲を受けた!敵は機動兵器3!」

 

 だが、必死の通信も入ってくるのはジャミングによるノイズだけ。

 既に戦闘が開始されてから5分以上経過し、このままでは味方も奇襲を受けかねない。

 

 (くそ、このままじゃ…!)

 

 自分はまだ良い。

 普段から足の速い自分は逃げ切れるし、ミサイルだって電子戦装備の今なら対処し切れる。

 しかし、他の面々はチャフはあっても対空戦闘はそこまで得手じゃないし、この速さの敵ではいくらゲシュペンストの高密度・高初速の射撃魔法とて当たり辛いだろう。

 

 (私が、落とさないと…!)

 

 そう覚悟を決め、行動を牽制と回避から、本格的な機動戦へと移行する。

 だから、敵の背後から突っ込んできた隊長の姿を視認した時は、目が点になった。

 

 『抜けられると思うなよ。』

 

 両肩の装甲が展開、露出した発射口から無数の散弾が吐き出された。

 位置的に丁度範囲外だったヴァイスリッターは兎も角、最も近かった敵航空兵器は直撃、数秒後に爆発四散した。

 

 『ウルフ6、気を抜くな。』

 『は、はい!』

 

 言葉と同時、動揺も少なく応戦してくる敵機2機にアルトアイゼンとヴァイスリッターが示し合わせた様に3連マシンキャノンを連射する。

 しかし、届かない。

 しかも、ブースターで無理矢理カッ飛んできたアルトは、滞空限界を迎えれば落ちていくだけだった。

 

 『た、隊長!?』

 

 そこを好機と捕えた敵機が殺到、自由落下状態のアルトに火力を集中する。

 

 『いや、早いのに止まったらダメだろ?』

 

 そこに遠方からの一対の砲撃魔法が狙い澄ました様に発射、片方が直撃を受けて装甲を一撃で貫通、爆散し、もう一機は右腕を捥がれ、大きくバランスを崩した。

 そこをヴァイスリッターは見逃さなかった。

 全AD中最高精度のセンサー系とベーオウルブズ中最高の狙撃能力を持った期待の新人の射撃は、正確に敵機の胴体を射抜き、撃墜した。

 

 『ウルフ6、状況報告。』

 『はい!敵のジャミングにより遠距離での通信は不可能、索敵は機械・魔法共に低下中!望遠による目視確認中に3機の敵航空兵器の迎撃に遭遇し、撃破しました!』

 『各機損耗は無し、任務を続行する。ウルフ6は直上にて制空・索敵を担当、離れるなよ。』

 『『『『『了解!』』』』』

 

 そこからは一方的だった。

 本来のフォーメーションを取り戻したベーオウルブズはその後、多数の武装化した車両と歩兵部隊に遭遇したが、数だけのそれらに彼らが遅れを取る事は無く、15分後には目標施設へと到着した。

 

 『…索敵範囲内に動体反応無し。魔力・電力共にありません。』

 『ウルフ4から1、明らかに罠ですぜこりゃ。』

 『ウルフ3より4へ、無駄口を叩くな…とは言え、罠だらけの敵地に入りますか?』

 『あからさま過ぎますなぁ。』

 『あの、ウルフ6から1へ、無理して突入するべきじゃないと思います…。』

 

 明らかに誘っている雰囲気に、隊員達はいやそーな顔をして口々に文句を言う。

 まぁ怪しすぎと言えばそうなので、その意見にはキョウスケとしても賛成だったが。

 

 『ウルフ1より5へ、通風孔自体は無事か?』

 『え?えぇ、無事です。地下通路もありません。』

 『では、今から言う事を実行しろ。先ず……』

 

 だから、彼が卑怯臭い手段を取ったとして仕方ない事なのだ、うん。

 決して邪魔者扱いされた事にむかっ腹が立った訳ではないのだ…多分。

 

 

 

 

 

 一方、施設内、その最奥部となる地下実験場では奪取されたゲシュペンストmk-Ⅱ S型が今か今かと敵を待ち構えていた。

 

 (早く来いベーオウルフ、今日こそ貴様に引導を渡してやる!)

 

 搭乗者である男は、嘗てある次元世界の国軍に所属していた。

 魔法技術はミッド程発達していない、極々普通の戦乱に溢れた、でも良くも悪くも自由な世界。

 信仰か自己の利益程度しか物差しにしかならない様なその世界で、男は信仰を選んだ口だった。

 だが、男の信仰は殺された。

 攻め寄せてきて、嘗ては敗北した管理局の軍勢を遂に一か所に追い詰めて止めを刺そうという時、彼のいた司令部が吹き飛んだ。

 そこには彼の他にも多くの兵士と、そして彼の信仰する宗教、その指導者たる教祖もいたのだ。

 司令部の警備は万全で、こちらの勝ちは決まっていた。

 それを、たった一匹の孤狼に覆された。

 司令部は壊滅し、彼の目の前では教祖が虫の息の状態で、奴の頭部から伸びる角に背中から串刺しにされていた。

 そして、教祖を串刺しにしながら、奴は悠々と司令部跡を去っていった。

 その時はそれで意識が限界だったが、生き残りの話では奴は教祖を盾にしながらこちらの味方を殺し尽くし、最終的には向かってきた対戦車ミサイルに投げつけ、挽肉にしたとの事だ。

 惨い、惨たらしい死に方だった。

 到底許せるものではなかった。

 しかし、息を吹き返した管理局に逆撃され、最終的には地位も名誉も無くした男には何もできない筈だった。

 

 (目には目を、刃には刃を、血は血によって贖いを!我らが祖国の、信仰の、教祖様の仇を!)

 

 男が復讐に胸を焦がしながら待ち続けていた時、不意に音が聞こえてきた。

 

 (地上部隊が交戦に入った?いや、遠すぎるし、衝撃なら兎も角ここまで聞こえる訳が…。)

 

 不審に思い、耳を澄ますと同時、驚くべき内容が聞こえてきた。

 

 『…えします!この施設は間もなく空爆されます!繰り返します!この施設は間もなく空爆されます!対地下爆弾を投下しますから、人がいるなら逃げて下さい!』

 

 ギョッとした。

 この施設は極秘という訳ではないので地下脱出路なんて洒落たものは無い。

 災害時の緊急通路も上の入り口に向けてのものだし、そもそも空爆なんて想定していない。

 先ず間違いなく生き埋めになる。

 それを悟った時、男はしてやられた、と悟った。

 

 (抜かった!管理局ならば直接奪還か破壊に来ると判断したのが甘かった!あの悪魔ならこの程度はやる!)

 

 このADならば生き埋めになったとしても、無傷とはいかないが無事だろう。

しかし生き埋めになった後、掘り出された所で無様に回収されるだけ。

 

(かと言って、表に出た所で集中砲火か!悪魔め!)

 

だが、戦わずに敗北する事は認められなかった。

だから、切りたくない札を切る事にした。

 

「…聞こえるか、医者の。」

『おお、聞こえるとも。何か困り事かね?』

 

 

 

 

 

 『意外とあっさり落とされましたね。』

 『いやいや、試作品であれだけ出来れば十分さ。さて、これで終わったらつまらないし、彼にはもう少しだけ後押ししてあげようか。』

 『では?』

 『うん、アレを起動させよう。いい加減倉庫の肥やしになってたしね。』

 『大きすぎるのも考えものですから、次からは考えて作ってください。』

 

 

 

 

 

 無論の事、ベーオウルブズはバンカーバスターなんて持ってきていない。

 単に通風孔を伝声管代わりにブラフを仕掛けただけだ。

 まぁ、反応が無ければ気化性の高い液体燃料を流し込み、火をつけるぐらいはしたが。

 幸いと言うべきか、表の鉄屑にはそういったものが沢山詰まれていた。

 ウルフ6があんまりな策にガクブルってるが、これで敵も出てきてくれる事だろう。

 今は全員が半包囲する形で施設の入り口付近に布陣して待ち伏せている。

 

 『来てくれますかね?』

 『来なければそれで良い。一定時間経てばヘリが増援を連れてくるしな。』

 『あ、振動センサーに感、来ますよ!』

 『各員、攻撃準備。』

 

 全員が今か今かと施設の入り口を見守る中、ふとウルフ1、ベーオウルフは思考を反らしていた。

 

 (今回の敵は明らかに暗部の息がかかっている。そんな連中がこの程度で終わるか?出所不明の航空兵器、奪取されたAD、多様な質量兵器に歩兵向けステルス装備。まだある筈だ)

 

 (地下施設、罠の他に隔壁での分断か?否、明らかに消耗させる事が目的。だとすれば、本命は別…!)

 

 唐突にウルフ1、キョウスケの背筋に悪寒が走った。

 

 『全機退避!緊急回避!』

 

 その声に、全員の動きが反応するのとほぼ同時。

 

 『メガ・グラビトン・ウェーブ発射。』

 

 基地周辺に重力の嵐が襲い掛かった。

 

 

 

 

 ガラン、と音がなると同時、5機のADが瓦礫の中から立ち上がった。

 

 『全機、状況報告。』

 『ウルフ2、問題無し。』

 『ウルフ3、装甲に中度の損傷。』

 『ウルフ4、ライフルが一つ全損。後は大丈夫です。』

 『ウルフ5、装甲に軽度の損傷。』

 

 そして、最後にウルフ6の報告が入った。

 

 『こちらウルフ6!無事ですけど、敵を目視で確認!10m級の人型兵器です!』

 

 最早報告の必要も無かった。

 宙に浮きながらその巨体でこちらを威圧するソレの姿に、全員が静かに戦意を滾らせていた。

 格納型の四指のマニュピレーター、全体的にずんぐりむっくりな機体、なのに魔力も無く浮遊する巨体。

 明らかに現在の一般的な技術とは隔絶していた。

 

 『さっきの人型モドキに似てますね。』

 『同系統の技術かと。』

 『考え事は壊してから考えようぜ!』

 『んじゃ、いつも通りに。』

 『各機、敵大型兵器を撃破しろ。オレは…』

 

 ガキィン!

 

 『こいつの相手をしよう。』

 『待っていたぞ、ベーオウルフ…ッ!』

 

 アルトアイゼンが後ろにステークを構えたと同時、局所的に結界を展開した腕部が叩き付けられる。

 ゲシュペンストmk-Ⅱ S型。

 奪取された新型機がそこにあった。

 

 『あーもう!うちの隊は色物の相手ばっかりかよ!』

 『グダグダ言うな!目標に集中しろ!』

 『さっきの範囲攻撃以外にも武装がある筈だ、警戒してかかれ!』

 『航空支援はお任せを!』

 『取り敢えず、最初の花火を上げようか。』

 

 そして、ベーオウルブズの中で一番重く、一番鈍く、一番火力のある機体が最大の特徴である砲身を構えた。

 

 『ツインキャノン、シュート!』

 

 砲撃特化型AD、シュッツバルトがその本領を発揮した。

 

 

 ベーオウルブズ VS ??????

 

 

 

 

 

 『貴様の事は忘れた事が無かった!我が同胞と故郷、教祖様の無念、晴らさせてもらう!』

 『…行くぞ、ナハト。』(あー宗教テロの人か。取り敢えず8割殺しで。)

 

 アルトアイゼンとmk-Ⅱ S型。

 親を同じくする二機は互いに敵同士になりながら、ほぼ同時に踏み込んだ。

 

 

 PAD-04 アルトアイゼン(ナハト) VS ゲシュペンストmk-Ⅱ S型

 

 

 

 

 

 

 

 




レコード・オブ・ATX 最新話出てたねぇ。
まさかキョウスケがグルンガスト乗るとは思わなんだ(小並感

後、私はグルンガストとかダブルG、他原作有りの勇者ロボなら兎も角バンプレストオリジナルではちょっと…だから今度のBFは見送ろうかと。
前回のUXは傑作だったのになぁ…。

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